私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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134話です。

シナリオを横道に逸らして自分の欲望を優先するのは作者の特権。
唐突にやってみたくなってしまったんだ…



違う捉え方 戯れ ~Play Out~

「コロラドさんも言ってたって……」

 

 俺がアメリカに異動することは既に決まってたということか? 初めて聞いたんだけど。

 

「私の聞き間違いではないだろう。それでだが、アメリカに残るなんて言わないよな?」

 

「え? ……勿論、残りま「ちょっとスチュワート借りてくわね!」は?」

 

 「残らない」って答えようとしたらイントレピッドさんから掴まれてすごいスピードで日本の皆と引き離された。おお、一瞬足浮いたぞ。

 そのまま宿舎に突入して、向かった先は……

 

『ヘイ! 皆居る〜!?』

 

『ちょっと邪魔しない……あっ

 

ウワアアアァ……

 

――― you died ―――

 

『『『あ~……』』』

 

 アイオワさんの部屋だった。ゲームオーバーっぽい画面と周りの反応から今日もゾンビを撃ちまくっていたらしい。済まねぇな、ゲームのあるあるだと思って許してくれや。

 

 

 

『ん? そんなことは言って無いぞ』

 

 アイオワさんの部屋にはアレックスさんも居た。

 どうやらアレックスさんは日本の皆の前では物凄い猫を被ってるらしく、 俺がこの前サウスダコタさんと格ゲーやってたら部屋に乱入してきて、あまりのフランクさにビビりまくった。その後に『内緒にしといてくれ』ってホーネットさん込みの三人で説得されたからまだ日本の人は誰も知らない……筈。多分、きっと May be …

 今も艦娘たちのゲーム風景をホーネットさんのアップルパイを皆の分まで食べながら鑑賞しつつ一の間にか輪に混ざってた。

 

『ちょっとコロ! まさか冗談で言ったの!?』

 

「ち、違うわ! アレックスが日本に『スチュワートはアメリカの艦だから貰っていいかな?』って電話してたじゃない!』

 

『俺はそんな欲張りだと思われてたのか。泣けてくるぜ。俺が言ったのは『スチュワートはアメリカの艦だから長期間借りて良いかな?』だ。そもそもな~ただの電話一本のやり取りで異動の決定なんて普通しないだろう?』

 

 そりゃそうだ。その電話が何時かは知らないけど今頃偉い人たちは揉めてそうだなぁ。異動先がここ? だったら楽しそうだし全然OKよ。

 

『サムから連絡来た。日本の皆、すごい焦ってるんだって……どうするの?』

 

『どうするって言われても。なぁ、どうせ帰るんだろ?』

 

『まぁ……そうですね』

 

 提督からも『帰ってきてくれ』なんて言われて皆で約束しちゃったから、それを破らない為にも一度帰ることは確定だ。

 いや、それだとまるで彼氏と約束した彼女みたいだな……俺がそれをやってると思うとキモいな。

 

『出向の報告とか色々あるので』

 

 うん、こう言っておけば問題は無いだろう。

 

『ところで半月以上経ったけど、スチュワート的にはアレックスはどう? 好きになれそう?』

 

『は?』

 

 いきなり何? 今その質問する意味ある?

 う~んでもアレックスさんかぁ……まぁ俺ってホモじゃないし、好きにはなれないよね。

 普通の女性から見たらイケメンそのものだろうけど俺からしたら野郎ってだけで範囲外だ。済まねぇ、俺には男のケツを追いかける趣味も男に迫られてときめく心も無いんだ。

 

『恋愛的にはNGです。これからも大湊警備府ともどもよろしくお願いしますね』

 

『Oh……振られちゃったぜ』

 

 まぁ、ホーネットさんの左手を見ればね? 俺だって言っちゃいけないことくらい分かってるわ。

 

『因みに好きになれそうって答えたらどうなります?』

 

『目を付けられることは確実だ。最悪呼び出される』

 

 怖過ぎぃ!

 

『まぁ、日本のヤツらも落ち着いたらスチュワートも報告の為に帰るってことにはすぐ気が付くだろ。だからこのまま眺めてるのも良いと思うんだが……どう思う?』

 

『楽しそうだから賛成です』

 

『あ、コロラドは今日の内に謝っておけよ』

 

 

 

▼――――――――――

 

「スチュワートどうすんのよ! すっごいキリッ! って感じの目で答えてたけどあれ絶対に残るって言おうとしてた!」

 

「別れは唐突と言いますが、まさかそんな……」

 

 走り去っていったイントレピッドといっそ笑えるくらい抵抗の出来ていなかったスチュワートが消え、後には日本から来ていた5人とアランと彼に抱き着いたままのサミュエルだけが残された。あとスチュワートの釣果である多くのゴミ。

 

 日本の5人は焦っていた。

 まさかいきなりアメリカから非公式であるとは言えスカウト紛いの言葉を掛けられたスチュワートがそれに対して前向きであるかのような態度を取ったことが原因だった。

 

「ダメね……長門さん、提督に電話が繋がらないわ」

 

「なんだと? こんな時に一体何をしているんだ提督は!? 加賀、大湊に連絡を入れろ」

 

「止めておきましょう。無闇にこの情報を広めたら混乱を招くかもしれないわ」

 

「クソっ、何か手は……」

 

 

 

『イントレピッドもタイミング悪いな~。ガンビーに連絡だけ入れておこ』

 

 少し離れた場所にはまだアランとサミュエルが残っていた。

 しかし、日本の5人はこうなった原因の言葉を発したと言っても過言ではないアランと、アメリカの艦娘であるサミュエルに問い詰めるといった簡単なことに気が付かないくらい、混乱していた。

 

『サム、私は彼女たちがなんて言ってるか分からない。なんて言ってたんだい?』

 

『えっとね~』

 

 

 

『ふむふむ。スチュワートは愛されているんだね』

 

『でも前に訊いたら大湊の提督は好きじゃないって言ってたよ』

 

『いや違くってね、皆から大事にされてるっていう意味だよ』

 

『……そうだね』

 

 そんな会話をする二人の前には「緊急対策室を設立する! 場所は私たちの部屋だ、行くぞ!」と言って5人が居なくなったことによって存在感を大きくしたゴミの小山があった。

 

『アラン叔父さん、スチュワートが命の恩人って言ってたけど何したの?』

 

『秘密だよ』

 

『むぅ。教えてくれても良いのに……スチュワートって釣りの才能無いんじゃない?』

 

 大量のゴミと、バケツに入った小魚を見ながらそう言ったサミュエルが釣り竿を引き上げる。

 それなりに大きな魚が食いついていた。

 

 

 

 

 

「いきなりここに対策室を設置したのはいいが……何から手を着けたら良いんだ?」

 

「やっぱりもう一度本人にアメリカに残る意思があるのかを確認するべきではないでしょうか」

 

「私もそう思うわ。嫌がる本人を引きずってでも帰らせる趣味は無いもの」

 

 ちなみに今の会話は一足早く部屋に通話中のスマホを仕込んだスチュワートによって盗み聞きされている。

 それに気づかずに話を進める日本側の会話は、今までテレビゲームに夢中だったアメリカの面々も『面白そうなことになってるじゃん』と次々に興味を示すのには十分だった。

 

「よし! ではスチュワートを無事に日本に帰す為にス号作戦を開始する! まずは本意を聞き出すためにスチュワートと接触するぞ。加賀、誰の部屋に人が集まっているか分かるか?」

 

「カーテンが閉まってるのはガンビア・ベイとアイオワさんの部屋ね。恐らくアイオワさんの部屋に皆居ると思うわ」

 

「良し、では行くぞ! 加賀と初風はここに残って提督と連絡を引き続き試みてくれ」

 

分かったわ(了解よ)

 

 だが、相手は悪ふざけを始めたアメリカの面々。

 ここまで日本側も焦るとなると本当のリアクションではなく、面白半分の演技でやってるのだと勘違いしていた。

 

「スチュワートに用がある。通してくれないだろうか?」

 

『ダメよ! スチュワートは渡さないわ!』

 

「そっちが立て籠る(やるつもり)なら、こちらもやってしまって……良いのか?」

 

『望むところよ! 行きなさいサウスダコタ!』

 

 アイオワの部屋の扉が開かれ、中から出て来たのはサウスダコタだった。

 黒い特攻服に天上天下と書かれた服を着て、手にはボクシングバンテージを着けている。

 

「よぉ、待ってたぜ。囚われのお姫サマが欲しけりゃこの私に え。違う?……付いて来な!

 




 サミュエル・B・ロバーツ
アメリカの可愛い清涼剤。
足が遅く、駆逐艦二人と比べると能力も低いことを気にしているが、コストパフォーマンスが段違いだから良いかとも思っている。
アレックスよりもアランに魅力を感じ、彼のふくよかなお腹を見つけては突撃して、今日も撫でられている。

サムは可愛いなぁ!
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