やりたくなったので。
反省はしてますが後悔はしてません。
サウスダコタさんの後ろを全員で付いていく。勿論日本の皆も一緒だ。
しかし日本の皆は俺と会話が出来ていない。アメリカの艦娘たちがボディーガードよろしく俺の周りを囲んでいるからだ。
まぁ、皆も馬鹿じゃないだろうから俺が日本に戻るってことに気が付いてるだろうし、アメリカの面々の悪ふざけに付き合ってる形だろう。
「ねぇ、スチュワートは本当に「そこまでよ!」……」
陽炎が人の壁を無視して俺に話しかけようとしてもコロラドさんが迫真のインターセプト。
「スチュワート、スマホだ」
「すいません。今手元に無いので」
「どうしてこんな時に持ってないんだ!」
どうしてって……みんなの部屋から盗聴する為にだ!
なんかアメリカの人たちとバカやって騒いでるって高揚感と「ちょっと悪い事してるかな?」って背徳感でゾクゾクした。すごく楽しかった。
「せめて艤装さえ着けていれば通信出来るのに……」
「神通、無駄よ! 傍受はともかく妨害なんて朝飯前なんだから!」
「そんな……」
アイオワさんの言葉で神通さんがショックを受けたように言葉を零す。
『皆さんノリノリですね』
『こんな楽しそうなことを見過ごすなんて勿体ないじゃない!』
まぁね。
『ホーネットさんは止めなくて良かったんですか?』
『本当なら止めなくちゃいけないんでしょうけど、止めても止まらないから……』
苦労の色が滲み出た溜息を吐いたホーネットさんがちょっと可哀想に思えてきた。確かにアメリカの面々……特にアイオワさんとサウスダコタさんはちょっと我が強い感じあるかも。
アレックスさんも蓋を開けてみたら自由人な感じだし、これは相当苦労してそうだなぁ。
『ご愁傷様です』
『貴方もそっち側だったとは思わなかったけど』
ジットリした目で見られた。済まねぇ、日本人は
「よーし、そろそろ着くぞ!」
サウスダコタさんの言葉でホーネットさんと秘書事情のお喋りを中断して前を見ると、柵が見えた。その先には体育館が見える。
向かう先には他にそれらしい建物は無さそうに思える。
『もしかして、あの建物も基地のものですか?』
『勿論よ。出向が終わると大半があそこに籠ってトレーニングとか色々やるのよ』
『はえ~……規模大きいですね』
普通に市民体育館っぽいのが偶々基地の隣の敷地に建設されてるんだと思ってたんだけど、まさか基地の一部だったとは。
それにしても、弓道場みたいな感覚で射撃場があるのはアメリカらしいな。
建物の中に入るとバスケットコートも見えた。出しっぱなしのボールと得点板が見える。本当にトレーニングしてるのか怪しくなってくるんだが?
「到着だ!」
着いたのは体育館の隣の部屋で、トレーニングルームっぽいところだった。
ランニングマシンとかベンチプレスとかのトレーニング用品が並んでいる。バランスボールとかのダイエット用品にしか見えないような物もあるから筋トレだけの場所ではないかもしれない。
でも一番目を惹くのはそれらではない。
「どうしてこんなものがあるんですか?」
そう突っ込まざるを得ない物、それはリングだった。
ボクシングとかでもやるつもりなのかよ……深海棲艦が少ないからって今度はどんな相手を想定したトレーニングしようとしてるんだよ。
「スチュワートを返してほしかったらまずこのサウスダコタを倒してからにしてもらおう!」
「馬鹿を言うな。味方同士でわざわざ演習でもない只の喧嘩の延長線をやるつもりは無いぞ」
長門さんの言葉に日本の皆がうんうんと首を縦に振る。まぁ、アホくさくてやってられんわな。
俺としてもバスケットボールの方が平和で良いような気がするけど。
「サウスダコタ、いくら負けたくないからって自分に有利なルールで勝負するのは感心しないな」
「そうよサウスダコタ! 相手の出したルールに乗った上で捩じ伏せるのよ!」
『違う、違うわ……そうじゃない』
アレックスさんがサウスダコタさんに微妙に違う注意をした。ホーネットさんが眉間と目頭を指圧して呟いている。
わざわざ日本語で注意したのは挑発も兼ねてるんだろう。
「なんだと!?」
「長門さん乗らないでください。これは明らかな挑発です」
結果として長門さんがピクリと反応し、頭を切り替えた神通さんに止められた。
神通さんを戦闘モードに切り替えさせちゃったなぁ。こうなった神通さんは手ごわいぞ。
「
「コロラド、いやビッグセブンはサウスダコタをこの程度扱い出来るとは、随分自信があるみたいだな。どうした? 速くリングに上がって来たらどうだ。なんなら二人同時に相手してやってもいいぞ。んん?」
コロラドさんに止めの一撃を、サウスダコタさんにダメ押しとばかりにこう言われてしまえば……
「貴様……!」
「え? 私はちょっと……」
まぁ、こうなるな。
長門さんは誇りであるビッグセブンを軽く見られたことに激怒し我慢の限界。コロラドさんは自分の発言がブーメランとなって突き刺さっていた。
『ほら、コロもBig7なんだから行きなさい!』
『『『そうだそうだー!』』』
『ああもう! 後で覚えておきなさいよ! そしてこの腐れ《自主規制》! なんで私まで煽るのよ!』
コロラドさんがリングに上がってへっぴり腰になりながらファイティングポーズを取って、チラチラ長門さんに視線を送っている。なんだあの仕草かわいいかよ。
でも長門さんは……おお、陽炎と神通さんが押さえてくれたお陰で「勝手にやってろ」って視線を向けてるに留まってる。
「ふぅん……これじゃあまたコロラド相手の連勝数が伸びちゃうかもな~。でもその意気込みは気に入った! レフェリー!」
「はい。レフェリーはサラが務めますね」
そう言ってリングに上がっていったサラトガさん。
結構抵抗なくリングに上がっていったけど、こういった殴り合いに忌避感があまり無い? でもコロラドさんの為にグローブとかその他道具を持って行くのは最早慣れを感じる。つまりそういうことか。
「フレッチャーはBGMの、ガンビーはポップコーンとコーラの用意をして!」
「「
いよいよアメリカの観戦に必須のポップコーンとコーラの用意をするように声が掛けられて、今までもテンションの高かったアメリカの人たちのテンションがまた一段階上がった気がする。
『大盛り上がりですね』
『日本の子を見習って欲しいわ全く……』
『ハハハ……因みにサウスダコタさんの強さはどれくらいですか?』
『
『それはまた……』
強すぎやしませんかね?
因みにコロラドさんは3番目に弱いらしい。実際にリングの中では2回目のワンパンチでノックアウトされてた。おいおいおい瞬殺だよ。
ルール的に負けてしまったコロラドさんはサウスダコタさんの前から運ばれ、高速修復剤の原液を塗られて飛び起きてアトランタさんに文句を言っていた。
「頑丈な艦娘ならでは、か」
盛り上がりに欠けるからってブーイングの嵐を受けていたサウスダコタさんが居るリングが、急に探照灯で照らされる。
そして急に変わったBGMと共にフラッシュが強くなって、それが収まった頃には
「コロラドなんて必要ない。私一人で十分だ」
リングに長門さんが立っていた。
コイツらサ〇ヤ人かよぉ!
・コロラド
Big7の一人。
アメリカの戦艦達の中で一番取り回しが良いから対深海棲艦の戦闘経験が3人の中で最も多い。
戦艦にしては身長が低いことを気にしている。
漣から「ツンデレとは」というよく分からない説教を○○時間された経験を持つ。
・
サウスダコタ > アイオワ >> ヘレナ ≧ ヒューストン = (