メリークリスマス!
趣味の悪いプレゼントだよ!
私は普通にチーズケーキが好きです。
みんなはなんのケーキがお好き?
・その心の内は……? ②
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佐藤元帥からとんでもないプレゼントを貰ってからというものの、気もそぞろな状態に書類仕事にすら集中出来ない日々が続いてしまっていた。
しっかりと叱ってくれる存在は本当に有り難い。でも本当に良い事ばかりかと訊かれると何とも言えないと答えると思う。
別に優しくしてくれたりそっとしてくれたりする大多数にも不満がある訳では無いのだけれども……駄目なものにはしっかりと指摘して欲しいという想いはある。
前者は『ダメになっても何とか
後者は『ダメになっても許してくれる』という甘えを。
……今は本当に頼もしく思う。
「でももう少し手加減しても良かったんじゃ……あ、鍵……」
廊下に放り出された自分はどうすれば良いのだろうか。
『まったく見てらんないわ! 残りの書類は片付けておくから明日までにそのバカみたいな顔を何とかしてよね!』
『何か嬉しい事でもあったのかは知らないけど、シャキッとしてよこのクソ提督!』
『私たちのことを全滅させたいって言うならずっとそのままでも良いんじゃない? ……嫌ならさっさと頭でも冷やしてきてよね! ふんっ!』
あまりにも自分が情けなかったのか「見てられない」という言葉と共に椅子を立たされ、背中を叩かれ、お尻を蹴られてしまい、挙句には執務室を追い出されてしまったのが現状だ。鍵まで掛けられてしまったからしばらく入ることは出来ないだろう。
蹴り上げられたお尻と叩かれた背中が痛い。
「提督さん、もし、お時間があるようでしたら一緒にお茶でもどうですか? 今日は長良型が全員揃ってるんですよ!」
宿舎内を歩いていると、今日は全員非番だという長良型のお茶に誘われた。
ふと想像してみるとお茶会の光景がありありと浮かんでくる。とても楽しい時間になると思う。
「気持ちは嬉しいけど……また今度で良いかな?」
でも今は仕事に集中出来ていないという理由で追い出されて3人に仕事をさせている。自分ばかりゆっくりしている場合では無いと思って断腸の思いで断る。
「分かりました。また機会があったら声をお掛けしますね」
「ああ」
名取とその後少し会話をしてから現状の相談を出来そうな艦娘について考える。
だけど候補に挙がる艦娘が尽く遠征や出向、演習などで時間が取れるかが怪しい。大淀は忙しそうにしていたし、今日が非番の艦娘も、わざわざ休日を邪魔されたくはないだろう。
結局最後に残った候補が鳳翔だった。
思い立ったが吉日とばかりに最近妖精さんが建てた居酒屋に向かう。
『私は戦力としては……』と戦うことに遠慮がちな彼女が、こういった方面から艦隊を支えていきたいと申し出て、この居酒屋の営業の申請を承認したことは覚えている。
まだ自分は利用したことが無いけど、お酒を飲むような人たちが夜な夜な通って楽しんだり寛いだりしていることを知っている。
「おや? 買い出し中につき留守にしています……そんな」
しかしながら夜に賑やかになるその居酒屋は、日中はとても静からしい。普段から顔を見せないから分からなかった。
今度時間があったら警備府全体を見て回るのも良いかも知れないと思い、居ないものは仕方ないと工廠に向かうことにした。
「あれ? 提督、お疲れ様です! ここに来るのは珍しいですね」
「ちょっとね……」
工廠ではいつも通り明石が作業していた。
最近は建造の頻度が下がっていたし、確かに工廠に来る頻度も減ったからここに来るのは珍しいのかもしれない。
「今日は書類仕事は無いのですか? 知ってるとは思いますけど、スチュワートさんは納期に厳しいですよ〜?」
「今回はちょっとした相談で来てね」
「なるほど~……私で良ければ聞きますよ!」
「ありがとう。まずは―――」
明石が自分の相談に乗ってくれたので、最近仕事に集中出来ないという旨を伝えた。
その話を聞いた明石が心当たりについて尋ねたので正直に答えた。
すると目を輝かせて色々と訊いてきた。
自分はそれらにも素直に答えた。
「はぁ~、聞いてるだけで疲れました。提督は乙女心を解ってません! そう言うことは本人に直接ぶつけてください! 私は仕事を思い出しましたので!」
そして最終的には呆れたような、怒ったような明石に工廠から追い出されてしまった。
本人に直接ぶつける……? それはつまり告白をしろということで間違いないのだろうか。
悶々とした気持ちを抑えつつ鍵の開いていた執務室の扉を開ける。
流石に書類仕事を全部任せるのは論外だ。彼女たちの負担にもなってしまうし……。
「「「頭を冷やすのが遅い!」」」
むしろ悪化しましたとは口が裂けても言えなかった。
アメリカへ出向していた面々が戻って来た。
朝早く、まだ日の出よりも早い時間にも拘らず警備府内はそのニュースで持ち切りだった。
多少遅くなるかもという連絡は受けていたものの、予定通りの時間に戻ってきてくれたのは何事も無くて良かったと思う反面、いざスチュワートに告白すると決心したのがつい昨日である手前、もう少し心の準備をさせて欲しいとも思う。
「旗艦長門、以下6名只今帰還した」
その言葉をしっかりと聞き声を掛ける。そうしたら一拍の間が出来た。
警備府の全艦娘が見ている中だけど今のタイミングがベストだと感じた。息が詰まりそうだけど……やるなら今しかない。
「スチュワート、前へ」
そう言って……言った。言ってしまった。
もう後戻りは出来ないぞ。
心臓が早鐘を打っているのが分かる。
「スチュワート、これを……」
指輪を差し出す。
多分受け取ってはくれないんだろうけどそれはそれで彼女らしいと思う。でも、自分としてはどうか受け取って欲しい。
「え、え~っとぉ~……」
……手を指輪に伸ばしかけた彼女がピタリと動きを止め、顔を赤くして目を泳がせている。
しかし、差し出された指輪は受け取ってくれなかった。
だから、いつものように拒否の言葉が出てこないことに最後の希望を託して、もう一押ししてみることにした。
「受け取ってほしい」
やはりダメかと思い、指輪を引っ込めようと思った時、いつもの彼女の遠慮とは違ったおずおずと、といった様子で指輪に手を伸ばして来た。
「…………はい」
間が空き過ぎた返事も弱弱しく、自分の前だと表情の乏しい彼女が顔を真っ赤にしている。
あまりにも現実離れしているから一瞬夢を視ているのかと思ったくらいだ。
そして彼女が指輪を受け取った瞬間、拍手や口笛などが聞こえてきた。
そこから先は自分でもよく憶えていない。
でも、幸せな気分だったことは覚えている。
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出向から戻ってきて一週間が経った。
俺は相変わらず部屋に引き籠っていた。
アメリカの面々から渡された食べ物がまだ残ってるからもう少し籠城できるだろう。
暫くは外に出たくないって一週間前も言ってたし、一週間後もそう言うんだろうなぁ……
チラリと机の上に置かれた小さい箱に目をやる。
「……」
相変わらず影も形もある
「あああああっ! ――――っ!」
枕に顔を埋めて叫ぶ。滅茶苦茶ノドが痛いけどそれよりも頭と心が痛い。
今でも思い出して顔が熱くなる。
まさかコレが……恋?
「あああっ!」
クッソ恥ずかしいんだよこのヤロー!
なんだよあの時の俺の反応。第三者にはまるで恋する乙女に見えた可能性がワンチャンあるんじゃないか?
俺だったら「墜ちたな(確信)」とか言うだろう。
「くそぅ……くそぅ……ふざけやがって」
そう悪態を吐きながら再度テーブルの上に乗ってる箱を見る。
視線でアレを消してしまえたらどれだけ良いか。
でも貰っちゃった限りは頑張らないといけないし、残念なことに返品とかも受け付けてなさそうだし、あれだけの目があったんだから知らぬ存ぜぬは無理がある。
しかも多分貴重なものだから海に捨てるのは論外。誰かにあげようとしてもダメだろうし、明石さんに内緒で鋳潰そうとしても妖精さんから止められるんだろうなぁ……
「呪いの装備かな?」
頑張らなきゃって思わせることが多分プラス効果。
残りは全部マイナス効果だから呪いの装備だな。
着けたら外せないのは嫌だから着けるのは止めとこ。
「……よし!」
これでも一週間引き篭もってねぇ。外聞は悪すぎるけど時間はこれでもかと言うほどあったんだ。
結論は出た。綺麗サッパリ忘れよう!
「指輪なんて最初から無かった。良いね?」
そう自分に言い聞かせて
「さて! 今の時間は~……午前3時だと……?」
体内時計ガバガバかよ! まぁ、シャワー浴びてから朝食の支度でもしようかね。
「この時期だとシジミかな? あ~日本食たべた~い」
この指輪はきっと以前この部屋を使ってた誰かの忘れ物だ。
さっさと引き出しの奥にしまっちゃおうね。
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青春をボッチで過ごしたばかりに……
ポンコツ過ぎるぞ主人公!
自分の立ち位置を分からせられる日は来るのか!?