今年最後の投稿です。
一年近く閲覧してくださった方々に感謝を……
感想を、評価を、誤字脱字を……本当に有難いです。
前半と後半は時系列が違います。
・空白の後には
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早朝、朝食の用意をしようとしたら何故か厨房に提督が居た。
不意打ちみたいな形で遭遇してしまったことに間の悪さを感じる。正直逃げたいけど残念なことに間宮さん、伊良湖さんと目が合ってしまった。
その瞬間に悟った。もう逃げられないと……
「おはようございます」
「!? おはよう」
何はともあれ、何事も無かったかのように挨拶をする。
しかし提督はちょっと驚いたような反応をするだけで、普通に挨拶を返してくれた。
顔を見せた瞬間には怒られるか文句の10や20くらい言われるかと予想してビビってたけど、何も言われないのはなんでだ? もしかして意識してるのは俺だけ?
いや、穏やかな眼を崩さない提督が気持ち悪い……を通り越して不気味さを感じさせるレベルだ。むしろ一週間もサボってたのにお叱りの言葉が飛んでこないのはあまりにも不自然だと思う。
「今日の秘書艦はどなたですか? あ、こっち側のスペース借りても?」
でも無言だと俺が雰囲気に耐えられないから話を振る。
幸いなことに提督がわざわざ厨房に居るなんて珍しいといった話題がある。
「ああ。今日の秘書艦は大井だよ」
「なるほど。あ、ありがとうございます」
提督が答えながらもスペースを開けてくれた。
それにしても大井さんねぇ……そりゃ
まだ北上さんとの愛の巣に居るだろうな。
二人の部屋は一回入ったことあるけどヤベェもん。キッチンからシャワールームまで生活に必要な
海防艦と一部の人は長門さんから『
でも仕事を放っぽり出すのは良くないね。仕事しながらだったら幾らでもやって構わないけどね!
そんなことを考えながら朝食を用意していく。
あっ、グリル使ってんの?
じゃああとは味噌汁は間宮さんから貰って、おかずは適当に漬物でも用意して終わりで良いか。
「スチュワートも執務室に来るかい?」
「…。……はい」
その言い方を止めろォ!
間宮さんも「あら」じゃないよ! でもそうだよねぇ! 提督からそう言われたらお誘いと同義だもんね! 伊良湖さん代わりに行ってくれない? 朝食の支度あるから結果を教えて? 何言ってんの……いや待って結果って何?
このままではマズイ……何か打てる手は……
「大湊の現状を把握するには書類を見ないといけませんからね」
あ~ダメだ。全然言葉が浮かんでこない。
自分で言っててなんだけど、照れ隠しの為に仕事を理由にしてるようにしか思われないんじゃないか? つまりツンデレと同じじゃないか。男のツンデレとか誰得だよ?
「そうだね」
提督の目が優しくなった。
そうじゃない。死にたい。
結局、間宮さんと伊良湖さんから優しい目で見送られて執務室。
提督からのアレやコレといった質問に答えつつ、朝食を食べる。
「やっぱり美味しいですよねぇ」
「そうだね」
久しぶりに食べた味噌汁に感動しながら箸を進める。あっさりした味の中にもしっかり風味があって……美味しい!
それにしても、何気に
食堂で食べる時以上にお上品に食べないといけないとかやっぱり気を遣ってダメだ。本来だったらとっくに食べ終わってるんだぞなぁ……俺が飯を食う様を見て楽しいか?
こうなったのも全部提督が厨房に居るタイミングが悪いよ。
そんな時、執務室の扉がノックされた。
時間はラジオ体操のちょっと前。
「提督、ただいま……ってスチュワートが居るじゃない! だったら私、部屋に戻っても良いわよね? 良いわよね? 良いわよねぇ!?」
おおぅ……大井さんの目がマジだ。
「えっウン」
提督もこの有様。
大井さんの北上さんに対する好感度に上限は無いのか? 頼むから「北上さんの為なら!」とか言って世界征服とか始めないでくれよ?
提督の生返事っぽい相槌を聞いた大井さんが手品のように消えた。愛のちからってスゲー。
北上さんはいつもあの大井さんから溢れて迸る愛を受け止めているのか。ちょっと重いような気がするけど……やっぱり北上さんは凄ぇや。痺れるねぇ。
食べ終わったら溜まってた報告書や申請書を手に取る。
様々な艤装の開発報告に、各艦娘の娯楽含む備品の申請。へぇ……鳳翔さんが居酒屋を正式に開いたのか。後で覗いてみよう。
あとは陳情ばっかりだし、作戦も無かったみたいだ。
「花見もしてる……随分と平和だったんですね」
「それはお互い様じゃないかな」
「ずっとこんな感じだったら良いんですけどね」
「そうなると良いね」
「さぁ、
執務室の窓を開ける。
涼しい風が入り込んできた。
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・イタズラに手間暇をかけて
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カチ カチ カチ
壁掛け時計の音
カリカリ……
ペンが紙に走る音
カサカサ……
紙の擦れる音。
「どうぞ」
「ああ、ありがとう」
提督の机に判子を捺した書類束を乗せる。
いつもの書類整理の光景だ。
それにしても、忙しかったのは知ってるけどまさかこんなに書類が溜まっていたとは……。
机の上にまだ沢山残っている書類を見てげんなりする。
まぁ、このペースで行けば夕食前には処理が終わるだろう。
しかしそうは問屋が卸してくれない。早速執務室の扉がノックされてお客さんが入ってきた。……
そんな四人はいつもの制服を着ていない。
暁が魔女、響は吸血鬼、雷は幽霊で電は狼人間。
普段なら浮くような
なぜなら
「「「トリックオアトリート!」」」
世はまさに、大ハロウィン時代!
あぁ~……こんなの見ちゃったらロリコンになっちまうよ。
でも今は仕事中。
それらのお菓子を提督が戦艦や空母、重巡たちと用意してたのは公然の秘密だ。
「提督、お菓子をくれないと酷い目に遭うよ」
「わぁ怖い」
なんだその感想は! 大根役者にも程があるぞ!
実際
「ちょっと提督!」
「ぁ、ああそうだった……ハッピーハロウィン」
この4人にはカボチャのマフィンが渡された。
恥ずかしがった暁と遠慮した電以外の二人が提督に抱き着くといった可愛いイタズラをした後、他の個包されたお菓子を渡されて帰っていった。
「残りの書類は一人で大丈夫だからスチュワートも楽しんできなさい」
「良いんですか?」
残りの量、絶対に一人じゃ終わらないと思うんだけど……
「優先度の高いものは終わってるからね」
……そう言われたなら遠慮はするまい。
イタズラとお菓子配りに色々と賭けせてもらおう! 現代人らしく盛大にハロウィンを楽しませてもらおうじゃないか。
そう決めて提督の机に置いてあるお菓子の入った籠からマカロンを2つ取って口に運ぶ。片方はイチゴ風味。もう片方の緑色は……
まぁいいや。苦いだけでマズくはないし。
マカロンを飲み込む。
「分かりました。トリックです」
用意していた飴の1つを提督に渡す。
舐めた提督が噎せた。
「ゲホッ……これは何の飴だい?」
「トマトですが、南部鉄器から採取した錆によって血液フレーバーにしました。健康に害はありませんのでご安心を。それでは提督も良きハロウィーンを。……失礼します」
そう言いながら執務室を出る。
廊下は紫とオレンジのハロウィンカラーに彩られ、電気は若干光量を落とし、チラホラとジャックランタンが置かれている。
「涼月さんが頑張ってたもんなぁ」
今年は買ってきたカボチャで作ったお菓子にジャックランタンだったけど、来年こそはこれだけに留まらず普段の料理でもカボチャを使えるように、なんと自分で栽培するつもりなんだとか。
しかも既に宿舎の裏に菜園を用意してもらうように申請を出しているらしい。そこまでカボチャにかける熱い想いとは一体……?
『既にカボチャの幽霊に憑りつかれてるかもよ?』
と言うのは照月さんの言葉。好物って言うのは行き過ぎてるような気もするし……実際あり得なく無いのが笑えない。
それはそうと、予定の場所に早く行かないと。
「今日はハロウィンです」
『『それは何だ?』』
「この服を着て、この籠を持って「トリックオアトリート」と言うとお菓子を貰えるイベントです」
場所は秘密の孤島。
当然と言うか人間の文化を知らなかった北方棲姫と港湾棲姫に、秋刀魚の美味さに引き続き俺が
精神年齢が見た目相応に幼い北方棲姫がお菓子が貰えるイベントに食いつかない筈が無く。
『行ってくる!』
秋刀魚の時に厳しく港湾棲姫に
「さぁて、楽しくなってきましたよ」
『お前は本当に……ハァ。分かってるな?』
「バッチリ写真に撮って後で渡しますよ」
『それなら良いんだ』
保護者の同意もゲット。後は俺も思うままに騒げば良いか。
コスプレは……ジェイソンで良いか。
問題はチェーンソーが有るかどうかだな……
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・紅いキャンディー
ハロウィンにスチュワートが用意した特製の飴。
「食べたら吸血鬼」の文句と共に恐れられた。
身体に影響は無いが、
食べ物で遊ばないように!
突然ですが作者辞めます。
来年には復帰します。