私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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145話です。

回収してない伏線とか多すぎてヤバい……
ある程度は取りこぼしても良いですか?


各自準備

 夕張さんを始めとした数人と休日に買い物に行くことになった。

 それ自体は悪い事ではなくて、むしろ予定が無かったから丁度良いくらいだ。

 

「でも欲しい物無いんですよね~」

 

 そんな贅沢な悩みを同じ遠征のメンバーに零す。

 自分の部屋も自信を持って誰かを招けるレベルに整ったからインテリアの類はもう必要ないし、食べ物は経費で落ちるか、自分で作るから安上がりだ。

 本が読みたくなったら伊8(ハチ)さん、または夕張さんの部屋に行けば大体あるから買わないし、ゲームは熱中し過ぎちゃうから自制(見る専)してる。

 お洒落? 今でも普段着数着と寝間着さえあれば後はどうでもいいと思ってますが? それにアメリカでジョンストンからしこたまプレゼントされたし……そろそろ袖を通さねば失礼だな。

 

 そもそも、大体の娯楽よりもアメリカの面々と連絡した方が面白いから娯楽が要らない。ついつい夜更かしして通話とかしちゃうからね。

 話題は様々で料理に世間話、互いの愚痴だったりする。自分の部屋を防音仕様にして貰って良かった……

 

 

 

 そんな感じで俺は既に衣食住と娯楽が満たされている状態にある。

 だから欲しい物が無い。あるとしたらお金で手に入らないものだ。休みとか、自由とか。

 

「ホントに欲しい物無いっぽい? 夕立は~……数えきれないくらい欲しい物あるっぽい!」

 

「お金余ってんのかい? だったらあたいにくれたっていいんだぜ? スチュワートより上手に使ってやるって」

 

「涼風、卑しいと思われるわよ?」

 

「てやんでぃ! 冗談に決まってんだろぉ!?」

 

 明らかに節約の二文字とは無縁そうな夕立と涼風。

 村雨さんも化粧品と洋服の出費が多いって時雨が言ってた。

 

「あんまりさっぱりし過ぎてて、まるで男の人みたいです」

 

「「「えっ」」」

 

 男の人って言われた!? バレた!? いや、まるでって言ってるからあくまで“男の人っぽいね”だけであって“男の人だね?”ではないからセーフ。

 それよりも! 何で春雨は男の買い物を知っているんだ?

 まさか彼氏か? だとしたら相手は誰だ? 兎に角、春雨を貰っていくのなら白露型の全員と俺……じゃ足りないな。大湊の全員を認めさせてからにするんだな。

 それが出来なきゃ大人しく引き下がってもらおう。それも出来ないなら……

 

「「沈めましょう(ちゃおう)」」

 

「沈めるって何をですか!? あっ、男の人って司令官です! この前たまたま買い物先で一緒になりまして……はい

 

 俺と村雨さんの呟きを聞き取った春雨が真っ赤になりながら弁解している。うん、可愛いね。

 提督も買い物に行ったら春雨と出くわすなんてラッキーじゃん。もげろ。

 

「なぁんだ びっくりしちゃった。あと、何処で会ったのか教えてくれる?」

 

『みなさん! しっかり付いて来てください!』

 

 阿武隈さんから通信が入った。

 ふと見渡すと、離れた場所に黄色い点が見える。

 

「怒らせちゃったっぽい?」

 

「駆逐艦が言うこと聞かねぇってしょげてたもんなぁ……(ワリ)ぃ事したかな?」

 

「ですねぇ」

 

 阿武隈さんは頑張るほど空回りしがちなんだよね……能力は低くないのにどうしてだろう?

 

 

 

 

 

「……」

 

 はい。

 

 俺だ。

 

 遠征の終わった次の日に、やって来てますショッピングモール。

 艦娘の皆が『比較的近い、大きい』という理由で休日に通い詰める場所だ。

 ショッピングモール裏の商店街とかも降りてるシャッターが目立ってたのに「あれ? 前までシャッター閉まってたのに呉服屋出来てら」なんてこともあるから、間違いなく一年前よりも活気付いてる。

 

 残念なのは、ターゲットを艦娘に向けてる店がある為、服や化粧品、アクセサリーの店が比較的多いことだ。あとは本屋、家具屋、カフェとか洋菓子店とかかな。

 でも和菓子店は少ない。何故なら艦娘が和菓子を外で食べないからだ。和菓子店に参入の余地を残さない間宮さんすげぇ……

 

 そんなショッピングモールの中、海や山でのレジャー用品が売られているコーナーの一角で俺はハンモックセットで横になっていた。

 比較的近くでワイワイと楽しんでいる艦娘御一行の声を聞く。

 

「皆は浮かれ切っておるようじゃな! 全く情けないのぉ……あ! アレは筑摩に似合うと思うのじゃ!」

「あら、利根姉さん? ……ふふっ。クーラーが効いてるからってあんなに元気に」

 

「私たちにとってさ、水着って逆に普段着に近いよね」

「ちょっとイムヤ! 悲しくなるから言わないで」

 

「さっき喉渇いたのが響いて80円足りない・・もうだめぼお」

「仕方ない。後で返してね?」

「㌧」

 

「もう少しウチにも有れば、ブイブイ言わしたるのになぁ……不公平や!」

「?」

 

 みんな楽しそうだなぁ。

 

「平和~~ぁふ。眠……」

 

 まだまだ時間かかるだろうし、一休みくらいしても良いでしょ。

 

 

 

「パンパカパ~ン」

 

「お゛ぅっ!?」

 

 愛宕さんに起こされた。

 耳元のパンパカパ~ンで頭パーンしそう……ッ!

 

「気持ちよさそうに寝てるところゴメンね~」

 

「何でこんなところまで来て寝てるのよ。ほら、スーちゃんも水着を買いましょう?」

 

「あっ、もう水着は持ってるので。安心してください」

 

 これは事実だ。

 

 俺が水着を買う上で基準にしたのは露出面積だ。変態扱いは嫌だからね。

 という訳で俺が事前に買ってある水着と言うのはダイビングする時に着るようなウェットスーツだ。水辺で着る服だから水着だと屁理屈も捏ねておこう。シュノーケルも買ってあるからツッコミを入れられても問題は無い。

 そんなウェットスーツは、目の前の愛宕さんみたいなダイナマイトボディなら体のラインがアレやコレ逆にとんでもなくエロくなりそうだけど、今の俺みたいなちんちくりんなら着ても性的には見られる心配はない。完璧だ。

 

「へぇ~……どんなの?」

 

「如何にも普通のヤツです」

 

 だからこれは嘘。

 

「ふ〜ん。てっきり囚人服みたいな全身タイツかと」

 

 何故バレた。

 

「私を何だと思ってるんですか」

 

「露出を嫌う恥ずかしがり屋ってところ? まぁ、もう持ってるなんて言わずにもう一着くらい買っちゃいなよ」

 

 そう言われて夕張に引っ張られる。

 諦めに似た感情のままズルズルと女の園? に引き摺り込まれて行った。

 

「コレなんて良いんじゃない?」

 

 夕張さんの手には朧が買ったのにソックリなスポブラみたいな水着があった。制服でいつも着けてるインナーと合わせればまだセーフか?

 

「あ〜良いですねぇ」

 

 もはや開き直った俺は、相槌を打ちながら同じタイプの青いヤツを籠に放り込んだ。

 そして女物の水着のショートパンツ、水着のレギンス、最後にラッシュガードとやらを籠にブチ込む。

 

「……もしかして、入れ墨とか入れてるの?」

 

「実は胸に7つの傷がありまして」

 

「馬鹿なこと言ってないの」

 

「まあ、春風も最近の水着はちょっと破廉恥だって言ってましたし、ちょっと遠慮したいですね」

 

「ホントにアメリカの(ふね)なのよね?」

 

 心は生粋の日本人、しかも女性ですらない。

 それくらい多めに見て欲しいぜ。

 あとは欲しいもの特に無いからとレジに並ぶ。

 

 

「え? 今度は夕張さんの分を? 選んで欲しい……?」

 

 俺の苦難は自分の水着を買うだけでは終わらなかった。

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 その日の夜。

 俺の部屋では妖精さん(ホモ)が部屋を散らかしていた。

 

 怒鳴り散らしてやろうかと思ったけど、分かりやすい図を見せられたことでいくつかの物品を回収しに来たらしいことが分かった。

 探し物はUSBメモリと冊子。

 

「あ~……」

 

 なるほど確かに、部屋中のありとあらゆる引き出しが漁られている。

 でも確かに、隠しておきたい物の引き出しには鍵が掛かっている。そして鍵は俺が持ち歩いている。

 

 冊子の方は、恐らくあの妖精さんが残したなんだかんだでお世話になったヤツだろう。

 鍵を開けて冊子を引っ張り出して提出する。

 

 回収されて困るなんてことは無い。俺にはもう必要ないものだし、なんだかんだで事情を知ってそうなこの妖精さん(ホモ)なら悪い事には使わないだろう。

 

「でもUSBなんてあったかな……」

 

 正直記憶に無い。

 というより、使った記憶が無い。

 

 でも火のない所に煙は立たぬの考え方で、俺の部屋に探しに来たってことは俺が持ってる可能性が高いってことだろう。

 引き出しを漁る。すると消費期限の切れた羊羹、極小サイズのドライバー、ジョンストンとお揃いのネックレス、極小サイズのペンチ、ケッコン指輪、極小サイズのスパナ、秋雲先生から没収したマンガ、見たこと無い蟲の死骸が入った袋、その他諸々が出て来た。

 

「ん、あった……」

 

 前の日記帳の下にUSBメモリはあった。

 相変わらず何のヤツだったか記憶にすらない。

 

「欲しいの?」

 

 妖精さん(ホモ)は頷く。

 

「じゃあいいよ、あげる。変なことには使わないでね」

 

 そう言うと、散々散らかした部屋を片付けないまま妖精さん(ホモ)は出ていった。

 許さん。

 




最近忙しさがマッハな上、最高にハマった長編小説を見つけてしまったから書く時間が無いです……
投稿者の端くれである前に1人の読者故、続き読みたさと「投稿せねば…」という意識に挟まれて1日に3食しか食べれません。

ところで、主人公の水着が実質
全身インナー + スポブラ + ショートパンツ。
……案外ノリノリじゃねーか!
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