私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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152話です。

あと1週間……あと1週間で3月が終わる……
へへ……これでやっと解放される……筈(一抹の不安)

誤字脱字報告ありがとうございます。


不意打ち

「いや冗談キツいて」

 

 Q. 両手の指では数えきれないくらいの駆逐級の群れが片付いたと思ったら後ろに面倒くさい強敵が複数居た時の一般的な感想を答えよ。

 ただし後方で別の艦隊が接敵、交戦している為撤退はできないものとする。

 

 A. ふざけやがって。

 控えめに言ってクソでしょコレ。この世界にセーブ&ロードの機能は無いんだぞ?

 

「装填中だからちょっ~と待ってね。次で全部ブッ飛ばすから」

 

「流石北上様! 期待してます」

 

 挨拶代わりの魚雷斉射で敵を半壊させるような人の言う言葉には力がある。

 

 敵とはまだ離れてるから付かず離れずを維持しつつ北上さんの魚雷を撃ち込んで行けば殆ど被害を出さずに勝てそうだな。

 もっとも、相手の空母ヲ級と戦艦レ級の艦載機をどうにか出来ればって前提条件があるけど、味方(こっち)に空母が居ないんだよなぁ……一応俺も霰も対空攻撃は出来るんだけど、風雲はまだ来ないし……問題は空母ヲ級をどうするかってところか。

 

「あ、ダメっぽい。もう撃つね」

 

 そう言うなり魚雷を撃ち始めた北上さんに驚く。

 気が付いたらレ級がこちらに向かってきていた。

 ちょっと待ってくれよ。脳内作戦会議中に襲ってくるなんて敵キャラの風上にも置けないぞ恥ずかしくないのかよ。

 

『嘘っ、ヤバッ! ……早くアレ何とかして!』

 

 どうやら魚雷のオマケ付きらしく、伊168(イムヤ)からヘルプが来た。そう言えば潜水艦も居るんだっけ? だとすると伊168の負担が大きすぎるな。

 

「霰。伊168と敵潜水艦、駆逐艦の対処をお願いします」

 

「ん」

 

 霰は通信を受けた時から既に準備をしてたのか、声を掛けた時には魚雷を発射していた。

 とにかく、これで敵潜水艦の事は考えなくて済む。

 

 

 でも潜水艦が片付くまでの間だけでもレ級には海の上に集中してもらわないと困るな。

 レ級の尻尾から放たれた強烈な一撃が北上さんに直接当たらないように庇いつつ引っ張って避ける。

 

「うむ。苦しゅうない」

 

「……余裕そうですね?」

 

「ゴメンって、冗談だよ」

 

 まぁ北上さんも中破してるし、余裕は無いよね。

 でも余裕そうに振る舞ってるってことは自分が被弾しないって言う自信からか、それとも俺を和ませようとしてるか……気を遣わせちゃったかな?

 

「じゃあ青葉さんと一緒にレ級とやり合っててください。あの笑顔を歪めるくらい楽勝ですよね?」

 

 別に沈めてくれても構いませんよ? と言うと、楽勝楽勝と言いながら左手をヒラヒラさせて応えた。

 同時に右手の砲から放たれた牽制も何気に精度高いのよね。今も動き回るレ級の顔面に砲弾が吸い込まれていったし。

 

「近付いてきたって事は、大量の魚雷を喰らう覚悟があるって事でしょ? 後悔させてあげるよ。んじゃ青葉さん、一緒に大物狩り始めますか」

 

『えっ、私ですかぁ!? レ級を相手に!?』

 

 青葉さんの言葉は弱気だけど、何だかんだで器用に何でもこなす人だからレ級相手に一方的にやられるなんてことはないだろう。今も軽巡複数から囲まれてもピンピンしてるみたいだし。魚雷避けるの上手いんだよねあの人。

 それにレ級と言えど砲撃戦メインに調整された艤装群の青葉さんを相手をしながら北上様の猛攻を凌げるとは思えないし。

 

「北上さんをしっかり守ってくださいね。ではポジション交代です。3、2、1、ハイッ!」

 

 俺は俺でやらなきゃいけないことがあるんでね。

 悪いけど、有無を言わさずにレ級を押し付けさせてもらおう!

 

「あーっ! もう、恨みますよ!」

 

 存分に恨んでくれて構わない。ただし全部終わってからで頼むと心の中で呟きながら、軽巡ト級を尻尾で持ち上げ肉盾にして北上さんの魚雷を凌ぎながら接近しているレ級(モンスター)から視線を外す。

 そして遠くで艦載機を展開し始めたヲ級に目を向ける。

 俺の相手はアイツだ。

 

 

 

「霰、潜水艦が終わったらこっちを手伝ってください」

 

『ん。もう少し』

 

 よし。

 

 他の人も頑張ってるんだし、俺も頑張らないと。

 

 艦載機から鉄の雨が降ってくるので盾を上に構える。

 やっぱり空母は個人()じゃなくて複数()を攻撃してくる癖にやろうと思えば集中砲火してくるのが嫌らしい。

 だけど空母ヲ級は艦娘程賢く無いから、1人で相手にするだけでこうやって集中砲火してくれる。

 攻撃力自体も一航戦の2人と比べればまだまだって感じだし、落ち着いて対処すれば問題なく倒せそうかな?

 

「んじゃあまずは分断っと」

 

 後方に向けて紫色の缶をポイっと投げる。すると途端に煙幕が広がっていくけど……ちょっと風があるか? なら100%の効果は望めないかな。

 でも後ろのレ級は既にヲ級の視線が通らないし、青葉さんだってきっと俺の意図を汲んで、煙幕の向こう側でレ級を処理してくれるだろう。

 

 あとは煙幕が晴れるまで全ての艦載機のターゲットを俺に集中させ続けていれば問題なし!

 投擲物の種類と数量を調整しておけばこんな時の為に追い煙幕出来たのに……スタンダードに各種一本ずつだからなぁ。残りが二つ。黄色(閃光)(音響)か。

 

「もう少し引き付けてから……何っ!?」

 

 突然足元に特大の爆雷が現れた。

 盾を構えつつだから全速力では無いとはいえ、いきなりそんなのが現れて避けられる筈もない。

 直後に足に伝わる衝撃からやっちまったと思いつつ、衝動的に黄色の缶を上に投げて後退する。

 

「やられた。……でも魚雷は無事か」

 

 舌打ちしながら確認する。

 艤装は無事だった。滅多な事では誘爆しないとは言え魚雷着けてて爆雷踏むとか心臓に悪い。

 

「……アレか」

 

 ヲ級が展開した艦載機に見慣れないモノが見つかった。

 メカニックなデザインとタコ焼きみたいな球状とはまた違う、鳥みたいな艦載機が飛んでいた。

 普通のヲ級の艦載機には混ざって無いし、間違いなくさっきの爆雷の犯人だろうが……残念なことに堕とせていない。

 

「……」

 

 普段だったらまた近づいて攻撃を仕掛けるんだけどなぁ……流石に大破しちゃってるしどうしようかなぁ。

 取り敢えず魚雷を発射する。1.2.3.4.5と発射して、半分くらいが途中で爆雷に引っかかって爆発した。ちゃんとヲ級のところまで進んでいった魚雷も流石に距離が空きすぎたのかあっさり回避された。

 

『……』

 

 そしてヲ級引はそのまま特に動きの無いままスゥーっと後退していった。

 後ろのレ級からも、前線の艦隊の方からも離れていく。

 動きが不審過ぎるけど離れてくれるなら大歓迎だ。追撃はしないようにしよう。返り討ちに遭う可能性も高いし。

 

『潜水艦は片付いたわ! 私はレ級の方に向かう』

 

「おっ?」

 

 不穏過ぎる戦場でこれは良いニュース。

 霰が来るならやっぱり2人で一気にヲ級を叩くのもありか? いや、既に大破状態だから突撃は流石に無茶か? でも霰に全部任せちゃうのはちょっと申し訳ないなぁ。

 取り敢えず今は待つだけで霰が来て状況が有利になるから、遠く離れた場所に陣取ったヲ級に最低限警戒しておけばいいかな?

 

「伊168、レ級はどうです?」

 

『知ってたけどバケモノね。ま、こっちは気にしなくて良いわ』

 

『ん。……ッ!

 

 その言葉に安心する。

 なんか俺だけが乱戦の外でポツンとしててサボってる疑惑出そう。やっぱり霰と一緒にヲ級を叩くべきか?

 

 

 

 魚雷でヲ級の方向にまだ沈んでいるであろう爆雷を爆発させながら考えていると、後ろから音がした。

 霰が来たらしい。

 

「霰。あの辺に爆雷が沢山あるので気をつけてください。それで、ヲ級をどうしましょう……」

 

どうしましょう……♪

 

「え?」

 

 振り返ると霰の頭に砲が突きつけられてる。

 犯人は微笑みを浮かべて俺の方を見てる駆逐棲姫。

 レ級とヲ級だけでキツかったからサッパリ忘れてた。

 

『通信したら撃つよ』

 

逃げて……

 

 やべぇ。

 




\ ヤベェ /
Q.駆逐棲姫今まで何処居たの?
A.『自分以外(レ級とヲ級と潜水艦)に目を向けさせたら残りの場所は盲点』

・清霜
大湊のイロモノその④。
よく食べ、よく動き、よく学び、よく眠った結果、
『一気に戦艦になろうとしたのが間違いだった』
と結論を出した。
現在は武蔵のお下がりの試製51cm連装砲を持つ。
遠距離から一式徹甲弾改をブチ込むので大物狩りが得意。
なお、重量過多の為他の武器は無く潜水艦の相手は苦手。

地味に大湊の戦艦が垂涎する良い砲を使っているが、
長門は「清霜のあの姿勢は嫌いでは無い(頑張る姿は微笑ましいな)」と語る。
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