今回は短めです。
しかも難産だったせいで色々とおかしいかも?
何故こんなに遅くなったのか。
自由時間を満喫してるからだろうなぁ……
ああ、どうして。
そんな思いばかりが頭の中で渦巻く。
『 逃がさない! 』
駆逐棲姫の執念としか思えない行動力。
私の砲撃と魚雷が全部命中したのに全く止まらずスチュワート目掛けて突っ込んでくる様子は、鬼気迫ると言うよりも最早絶望そのものだった。
目を背けたくなる現実を飲み込めない。
結果として、沈んでいく彼女をただ眺めていることしか出来なかった。
もっと速く合流していればこの結果は変わったのか。
もっと優秀な艤装で攻撃していたら駆逐棲姫を止める事は出来たのか。
あの時伸ばされた手を掴めていたら。
もし───
「風雲、手が止まってる!」
「っ! ごめんなさい! ……てぇっ!」
私の後悔は珍しく声を荒げた霰に止められた。
スチュワートが沈んだ直後に霰はイムヤに回収するように通信を入れたみたいだけど、イムヤが言うにはスチュワートが交戦地点を完璧過ぎるほど綺麗に分断してた所為で私たちの場所まで時間がかかるらしい。
少しでも速く助けたい今に限って、その完璧さを恨めしく思う。
「砲撃では艦載機狙って」
「分かったわ」
それに、スチュワートを助けるにあたって警戒するべきは駆逐棲姫だけじゃない。
ヲ級だって十分以上に脅威になる。飛ばしてる艦載機には爆雷を投下してくるものが多くて、それらを少しでも減らさないとイムヤがスチュワートを回収出来なくなってしまう。私たちだってそこらじゅうに爆雷をばら撒かれたら動き辛くて仕方ない。
でもやっぱり1番の問題は、スチュワートが沈んだ地点から殆ど動かずに回避行動に専念している駆逐棲姫。
しかもイムヤの存在を感知しているのか魚雷を放ってこない。
私の魚雷は回避に徹した駆逐棲姫にスルスルと避けられ、出来て当然だと言わんばかりに時間を稼がれる。
結局、イムヤから私たちの下に到着したと通信を貰うまで一回も魚雷を撃たせることは出来なかった。
ただ移動していただけ。
何の活躍も出来ていない。
良いところナシだなぁ……なんて思いながら、胸の中に溜まったモヤモヤを振り払うように自分に喝を入れる。
『う……やっぱり気づかれてるわね』
「! イムヤ、私が隙を作るわ」
イムヤの発言に対して、食い気味に言ってしまった。
隙を作る? ……どうしよう。
やっぱり心の何処かで功績を上げようと焦ってたのかも。
「風雲?」
もう正直になろう。私は「お前のせいだ」と指を差されたくない。勿論そんなことは誰もやらないって分かってるけど、このままだと後悔で私が私を許せない。
それに、私は私の言葉を嘘にしたくない。
だからもうやるしかない。
「お返しよ駆逐棲姫。イムヤ、私に合わせて!」
絶対に魚雷を撃たせて見せる!
「はぁあああっ!」
『!』
私の突撃に気づいた駆逐棲姫が砲の照準を霰から私に向ける。霰が強いのは知ってるけど、私だって無視したら痛い目に合わせるくらいは出来るんだから!
砲撃なんて甘んじて受けてあげる。でも絶対に私に魚雷を撃ってもらう。イムヤに対して魚雷は撃たせない!
「うあぁああぁっ!」
どんどん近づいていく駆逐棲姫の顔。
1,2回と撃ち込まれる砲に身体が揺れる。でも止まる訳にはいかない。
怖い。私も沈んだらどうしようかって今になって思い始めた。
でも次に見えたのは、魚雷を私目掛けて発射しようとしてる駆逐棲姫の姿。
『右に避ける!』
その通信を受けて反射的に右に曲がる。
左側の艤装が大きく破損したのが分かった。
『スチュワートを回収したわ!』
イムヤは無事にスチュワートを回収したみたい。
だけど私は大破……でも沈んだりする様子はない。
つまり───私の勝ち。
「ふぅ……諦めなさい。
『ッ! ……。』
私の言葉に硬直した駆逐棲姫に砲撃を叩きこむと、先程まで路傍の石でも見るかのような視線にこれでもかと殺意が込められた。
何かの琴線にでも触れちゃったのかなと思いつつ、流石にこれ以上こんな近距離で攻撃されたらマズいと思って距離を取る。
「……え?」
何故か距離が取れた。攻撃もされなかった。
どういうことだと振り返ると、駆逐棲姫が霰の魚雷を避けている所だった。
「助けられちゃった……」
「すいません、遅くなりました!」
「あたしらの筆頭サマを沈めたのはアイツ? ふ~ん……確かに生意気な顔してるじゃん」
そしてこのタイミングで青葉さんと北上さんが来た。
青葉さんはレ級の相手してたみたいでボロボロになってるし、北上さんも私も大破。
それでも流石に不利だと思ったのか、ヲ級と駆逐棲姫が逃げていく。
「結局逃げるくらいなら、最初から逃げてれば良いのに」
「追撃する」
「霰、気持ちは分かりますけど追撃は止めましょう。最優先はスチュワートさんの安否です」
「……ん」
「イムヤさん。まずはスチュワートさんを海から引き上げましょう」
『了解よ。艤装が重たくなってるから気をつけてね』
青葉さんが指示を出して、イムヤがスチュワートを海中から引き上げた。
その他にも貰いものらしく大事にしていたレーダーと魚雷発射管、盾も回収したけど他の艤装は仕方がないからその場で破棄することになった。
艤装が外れて1番軽くなったスチュワートを受け取る。
ぐったりして力が入って無いから重たく感じる。徹夜明けで力尽きた秋雲で慣れてるからそこまで苦では無いけど……違うのは目を覚まさない可能性があるということ。
すっかり冷たくなったスチュワートに触れていると、私から熱が奪われていくみたいで……もしこのまま目が覚めなかったらどうしようという不安に押し潰されそうだった。
「前線の方は未だ交戦中ですか……」
「加勢できるのなんて霰くらいでしょ。あたしらはみんなボロボロだし、お先に戻らせてもらおうよ。ただでさえ時間が惜しい状況なのに大破でちょっと航行に影響出てる。その上
『私も戻った方が良いと思うわ。これ以上何かあっても絶対に対応出来ないもの』
私もそう思う。
「私も駆逐棲姫が気分を変えて戻ってくる前に撤退した方が良いと思うわ」
窮鼠猫を噛むとも言うし、どうもスチュワートに執着してるらしい駆逐棲姫が再び執念を宿して戻ってくる前に私たちもここから離れた方が良いと思い、撤退を提案した北上さんに賛成する。
それからはボロボロの艤装に鞭を撃ってホテルの方向に急いだ。
まともな速度が出ないから時間が掛かって、ホテルに到着する頃には真っ暗になっちゃったけど、スチュワートがベッドの上で明石さんに診て貰っているのを見て私は安心した。
目が覚めたら提督に報告に行った青葉さんに真っ先に伝えに行こう。
青葉さんも物凄く心配してたし。
……何かを忘れているような?
「まぁいいか」
『提督には沈んだことは秘密に!』と言われていた。
今日の風雲は主人公が沈んだせいで不安定。
主人公がベッドから脱走するまであと10時間───
ネタは沢山あるんですが、文章に起こすのがちょっと……