失踪したと思った? 残念。
台所の黒いヤツよりもしぶといので帰ってきました。
遅すぎるとは自分でも思ってるんですよ。
でもね? 仕事とか読みたい小説が増えたり、ゲームの周回したり、ドット絵描いてたり、息抜きとしてオリジナル小説の設定考えてたりするとね、自然と時間が無くなるの。
どうしてだろうね?
あ、次は普通に投稿します。
帰還、仕事、未練
飛行機を乗り継いで日本へ、大湊へ帰ってきた。
休暇のようなそうでもなかったような、楽しむ為にもの凄く忙しいスケジュールを熟していた日々が終わり、見慣れた風景が目に入ったことでいつもの日常が戻ってきたんだと思うと少しホッとする。
警備所を超えて敷地の中に入ると、他所から警備の任務で来てもらっていた艦娘たちと留守を買って出た妖精さんたちが出迎えてくれた。
他所の艦娘たちの代表として報告してくれた横須賀鎮守府の霧島によると、特筆すべきことは無かったらしい。
ただ、捕虜の扱いが緩いのではないかと指摘された。
一瞬何のことだと思ってしまったけど、そう言えば港湾棲姫と北方棲姫は一応捕虜ということになってるんだったか。頻繫にあの島から遊びに来るものだからすっかり大湊の一員として馴染んでしまっている。
自分たちの居ない間、やはりと言うべきか北方棲姫はじっとしていられなかったらしい。一応他所の艦娘たちが来ると注意を……待って、何で自分は深海棲艦に優しくしているんだろう?
いや止そう。向こうもトラブルを起こそうという意図は無いのは分かってるし、艦娘たちも仲良くしている上にわざわざ連れてくる子まで居る以上今更だ。
霧島からの報告が終わると、今度は妖精さんたちが自分の帰りを待っていたと主張してきた。
一月近くも警備府から離れている間にまた想像力を掻き立てられることがあったんだろうか、申請書と書かれた紙を沢山持っている。
恐らく新しい艦娘が大湊に増えることになるだろうと思う。もしくは新艤装の提案や強化案だろうか? とにかく今は、不定期に行われるという『魔改造フェス』と呼ばれる資源の無駄遣いが起こらないことを心から願うしかない。
艦娘たちを自室に戻らせて、自分も荷物を片付ける。
明後日からは通常業務が始まるけど、今日と明日くらいはゆっくりしたい。
しかしそうも言ってられないのは『提督』としての辛いところだと思う。
さっき大まかな報告は受けたと言っても詳細は紙面に纏めてあるだろうからその確認。大本営からもきっと細々とした連絡は来てるだろうし、一日だけとは言っても先延ばしにしていると痛い目に遭うのは想像に難くない。
あとは妖精さんから各種設備の点検もやって貰っていたからその報告も受けないといけない。
それに警備に来てもらっている艦娘たちや警備所の職員さん、近隣の住民の方々との交流だって疎かには出来ない。
「……何から手を着ければ良いんだろうね」
こんな時に彼女が居ればと思わずには居られない。
「間宮さんと買い出しに行くついでに警備所の方にお土産を渡してきます。提督から何か渡す物があれば一緒に渡しますが……あぁそれと、時間があったらコレに目を通しておいてください。各設備や備品の点検結果だそうです」
なんて言いながら書類を渡してくるんだろうなと思うと、普段から彼女に助けられていたことに改めて気が付いた。
「やっぱり自分の荷物は後回しかな」
まずはお土産を渡しに行くべきだろうと、バッグの中から出した衣類などをクローゼットの中に押し込める。どうせ普段は使わないから暇な時間を見つけて少しずつ整理すればいい。
彼女の荷物を部屋に残して、警備所に向かい始めた。
「つまらない物ですが、お土産です」
「ご丁寧にどうもありがとうございます」
挨拶やお礼、当たり触りの無い世間話の後にお土産を渡した。
取り敢えずこれで良し。と警備所を出ようとした時、掛けられた一言に身体が固まった。
「今回はスチュワートさんじゃないんですね」
今までお土産などを渡していたのはほぼ毎回彼女で、何かしら客人が来た時もその日の秘書艦の子の「案内してきます!」という言葉に甘えていた。
つまり自分は警備所に何かしらの用事で訪れたことが殆ど無い。だからそう訊いてきた職員さんはきっと悪くない。
でも今は。
今だけはその話題に触れて欲しくなかった。
忘れないにしても折り合いがついてない今は。
「……色々あるんです」
言葉に出して悔しくなった。
ぐっと我慢できたから良いものの本当は、何も知らない癖にと掴みかかりたかった。
子供の癇癪みたいだなと思うけど、最早顔も見たくなかった。
ではこれでと素っ気ない言葉をかけて、行き場のない感情に蓋をしながら警備所を後にする。
暫くは警備所に近寄りたくも無いと思った。
足音を荒くしたまま彼女の荷物を部屋まで運ぼうとして彼女の部屋の前まで来た時、アンティークな木製の扉が出迎えてくれた。
しかしドアノブを捻ってもガチガチという音がするばかりで一向に回らない。どうやら鍵が掛かっているらしい。
そう言えば彼女は自室を妖精さんから改装してもらっていたんだったか。
入ったことがあるなんて話もほとんど聞かないが故に、入ったことがある極一部が内装を自慢げに語っていたことを思い出した。
当然自分も当然入ったことは無いけど、だからこそ少しワクワクしてしまう。
「……」
しかし入る為の鍵は恐らく彼女の鞄の中。
だからと言って鞄を漁るのは流石にデリカシーが……と頭を抱えたくなった時に声が掛けられた。
『探し物はコレですか?』
「 !? 」
突然声が聞こえたと思ったら、彼女専属だと妖精さんの間でも有名になりつつあった妖精さんが持っていたバッグの上に座っていた。その手には鍵を持っている。
「それはここの?」
『……』
頷いた。合ってるらしい。
差し出されたこれまたアンティークな鍵を受け取ってドアノブを捻る。
そして彼女の部屋に入った。
コーヒーの香りが微かに漂う、落ち着いた雰囲気のキレイな部屋だと思った。木製のテーブルや椅子、コーヒーを淹れるような器具が並んでいるシステムキッチンとまるで狭いカフェの様にも思える。1人部屋にしてはかなり広い部屋だ。
「あれ?」
「
何と言うか、この部屋はまるで誰に入られても問題ない部屋のように感じられた。普通の家で例えるとまるでリビングキッチンのような……。
『こちらをどうぞ』
妖精さんは椅子に座って彼女の部屋を見回していた自分に、小さな箱を渡してきた。
受け取ってみると間違いない。自分が彼女にあげた
『一度も身に着けて無いそうです』
「え……」
少し、いやかなりショックな内容が妖精さんから告げられる。
曰く、普段から彼女は『
それはそれで、自分は彼女から慕われてないということになるけど……ここ最近の艦娘たちとのデートを思い出して想像してみると、どうもスチュワートが彼女たちのように接してくると考えられない。
一歩近づけば一歩離れる。
二歩近づけば二歩離れる。
三歩近づけば牽制される。
思い返してみると、彼女とは薄い壁で隔たれたような付き合い方しかしてない。
彼女がいつも言っていたビジネスライクのようだった。
「あぁ、成る程」
最初から叶わなかったのか……
「ケッコン指輪には、艦娘をちょっとだけ強くしてくれる効果があるのです。『戦艦のような戦術の要になる方に着けさせて艦隊を勝利に導くのが提督の仕事だろうに……』とも言ってましたよ」
妖精さんから知らなかった指輪の秘密と共に、目の前の妖精さんだから知ってる彼女が零した愚痴を話された。
如何にも彼女らしい考え方だと思った。
大事な事は絶対に感情よりも利益を優先する辺りが特に。
「それに、スチュワートさんは沈んでしまいましたが消えてしまった訳ではありません。次に会った時は今度は “勝負” するのでしょう?」
頷いて続きを促す。
「恐らく深海棲艦となるであろうスチュワートさんですが、倒しても沈めずにあの島に居る深海棲艦のように扱えば良いとは思いませんか?」
「なっ!?」
とんでもない提案に目を見開く。
確かに、かつての如月の話は再度沈めたところで毎回話が終わってしまっていた。
もう一度建造されたのか、海から艦娘として戻って来たのかは分からないけど、自分は彼女が建造されるとはどうしても思えなかった。
だからこそ、ならいっそ深海棲艦のままで良いのではないかという妖精さんの提案には目から鱗が落ちる思いだった。
「少しでも勝率を上げるために、
「……それも、そうだね」
実はかなり負けず嫌いな彼女が勝負しましょうなんて言うくらいだ。
そう簡単には勝たせてはくれないだろうと思っている。
こう考えてしまった時点で、彼女に対して相当執着しているんだなぁと自覚した。
だけど、妖精さんの話を聞いて沈んでいた心に火が付いたようだった。
「ありがとう。お陰でスッキリしたよ」
そう言って席を立つ。
彼女との勝負に絶対に負けない為にも、やらないといけないことは沢山ある。
そう、休んでいる暇は無いんだ。
主人公「提督を説得して指輪返却してもらえる?」
妖精 「OK!(ズドン)」
妖精「沈めて建造よりそのままゲットしちゃいなよユー」
提督「その手があったかー!」
深海棲艦になってもいいとか
なお、駆逐棲姫とかいう最大のライバルが生えてる模様。
次回からまた深海主人公がお送りいたします。
次回は明日。