私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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166話です。

う~ん、やはり神風型のキャラデザインは秀逸。
この時期は和傘も似合うだろうし……大正浪漫はいいぞ。



名前、艤装、想像

『じゃあ今度は俺が話をする番だな』

 

『オレ?』

 

『そうそう。天龍さんとか木曽さんも「俺」って言うじゃん? 沈んだのも何かの機会ということで色々とデビューしても良いかなぁって』

 

『そうなの?』

 

 そうだよ……って嘘に決まってんだろ。

 本音としては色々と聞いちゃったし隠し事はしたくないなぁって感じだから緩い理由なのは本当だけど。

 それはそうと───

 

『なんで嬉しそうに口元を動かすの?』

 

『い、いいえ! 似合ってますよ、はい!』

 

 この1週間の無表情と死んだ目は何処へやら。嬉しそうにしたり、何かを誤魔化そうとしたりと表情が忙しなく動く動く。あ、視線も逸らされた。

 やだ、この子分からない……

 

まぁいいや。 で、俺の話だけどそうだなぁ……前世の記憶って信じる?

 

 

 

 

 

『今の話を信じても良いし、作り話だと笑っても良い』

 

『信じます』

 

『ホントに!?』

 

 話終わってから笑われても良いように予防線を張ったらあっさり信じて貰えたから逆に信じられない気持ちになった。

 むしろ自分たちの居るこの世界を遊戯(ゲーム)だって言う俺のことをあっさり信じるとか、逆に心配になるんだけど。

 

『はい。だって“ 普通の ”人間から見たら艦娘と深海棲艦、そしてなにより妖精はオカルトそのものじゃないですか』

 

『確かに』

 

 見える提督たちがおかしいだけで見えない人が大多数の妖精さん、艤装を着ければ非常識的なパワーを出す艦娘、近年まで発見すらされてなかった深海棲艦や主に鎮守府で使われる資材。

 不思議なことだらけじゃないか……そりゃあ誰かが前世の記憶持って艦娘になったりしても「そんなこともあるでしょ」くらいで済みそうだ。

 

『あっそうだ。さっきも言ったけど俺は自分が何の艦娘なのか正確に把握してない。多分スチュワートって(ふね)だとは思うからそれで通してたし、大湊に居る時は一部からはスーちゃんって呼ばれてた。今は好きに呼んで良いよ』

 

『分かった。でも、私のことは春雨って呼ばないで』

 

『はい?』

 

『ソレは既に佐世保の春雨のもので、私のじゃないの』

 

 あ、なるほど。

 

『便宜上春雨って呼んだけど……君は絶対に春雨じゃないから大丈夫だって』

 

 春雨は明らかに食べられない魚を食ベさせようとしないし。

 俺の好みに合わせて激辛麻婆春雨を作ってくれる春雨の優しさはどこに消えたんだ?

 

『出来れば、貴女に名前を貰いたい……です

 

 は?

 実質告白でしょこんなの。しかもどこかの野郎(ていとく)とは違って可愛いし。

 は? は? 可愛いんだが?

 

『よっし任せろ。一番良いヤツをくれてやる』

 

 唸れ頭脳! 轟け語彙力! 来たれ閃きィ! 

 悪雨(わるさめ)は『艦これ』における駆逐棲姫の愛称だし、愛称でも何でもない名前に(ワル)なんて付けるのはちょっとどうかと思う。

 う~ん……名は体を表すならその逆もまぁアリなんじゃないか? でも外見的特徴は白いの一言。でもぱっと見冷たい印象は受けるかも。それに独りで寒かったって言ってたしその方向性で行こう。

 粉雪は吹雪型っぽいし、雹とか霙は朝潮型っぽいし……出来れば白露型らしく〇雨って感じで終わらせたい。でも霧雨とかはなんか居そうなんだよなぁ。

 

『あ、氷雨なんてどう?』

 

 良いじゃん。ぽいじゃん。ぽいぽい。

 

『氷雨……氷雨…… ありがとうございます』

 

『ッ!!』

 

 口元に両手を当てて呟いて嬉しそうに微笑む春雨、改め氷雨。

 同情とかが混ざってないと言ったら嘘になるけど、扶桑型の2人とは違ったベクトルの幸薄さを纏った人が細やかな喜びを表すのは俺の心にストライクだ。

 つまり可愛い。これはもうこれ以上傷付かないように俺が守護(まも)らねばならぬ。そう思わせる辺りやはり山風の姉か……

 

『裏・白露型駆逐艦の1番艦の氷雨様じゃん』

 

『揶揄わないでくださいっ!』

 

 バカ言え、コレは俺なりの照れ隠しだ。

 

『そう言えば、俺を沈めた時に周りに居た深海棲艦は何処に居るの?』

 

 駆逐級は沢山居たし、空母ヲ級とか戦艦レ級とか居たような気がするけど。

 

『す、スーちゃんを沈めた時にお別れしちゃいました』

 

『この辺の海域を任されたとか言ってなかったっけ?』

 

 そんな氷雨がこんな現状なのはヤバいじゃん。

 

『だからまた1から仲間を集めないといけないです。はい……』

 

『俺は仲間の内に入らないのか?』

 

『それはその……艤装を壊しちゃったのでスーちゃんは戦力外と言うか、あっ、別に弱いと言ってる訳じゃありませんよ、はい!』

 

 弱い云々は置いておいて、艤装壊したのは自業自得でしょ。

 せめて見つからない場所に隠しておくくらいにしろよ……行動が極端なんだよ。

 

 

 

 

 

 真っ暗な時間、フワフワと漂って揺れるように海底に着地した駆逐ハ級。

 俺が付いてきていることも知らずにそのまま寝始めた。

 ……バカなヤツめ。

 

ハァ~イ、調子良い?

 

 うん。口角も上がってるしゴキゲンじゃねーか。

 だから尊い犠牲になっても笑顔で許してくれるよな?

 

 錆びた鉄パイプを目の位置に思いきり突き立てた。

 

 

『と、手に入れたのがこちらの連装砲でございます』

 

 所々に白い肉片の付着した艤装を氷雨に見せつける。

 これで戦えないなんて言わせねぇぞオイ。

 

『あと、タコ捕まえたんだけど食べる?』

 

 ハ級の解体中に勝手に近寄って来たタコを見せつける。

 色も白いし、逃げなかったし。絶対にコイツ生物としての本能をどこかに忘れてきてるぞ。

 

『食べませんよ……。むしろ、懐いてるみたいなのでその蛸を艤装にしてしまえば良いんじゃないですか?』

 

『は? そんなこと出来るの!?』

 

 氷雨から飛び出た言葉に驚く。

 いくら深海棲艦が艤装オンリーのロボットじゃなくてどこか生物チックな所があると思ったらまさかそんな事が出来るなんて……やっぱり深海棲艦も謎だらけじゃないか。

 

 でもそう言えば、アメリカの資料室で見たバタビア沖棲姫はオウムガイみたいな艤装だったっけ? なら氷雨が言ってたことも出来る……いや無理だろ。

 

『ねぇ、ぼくと契約して、深海棲艦の艤装になってよ』

 

 流石にこれは騙されてるだろなんて思いながら某白い侵略者をイメージしながら言うと、タコは触手を2本持ち上げた。

 

 

『わぁ、器用ですね!』

 

 言葉が通じたことに突っ込みを入れろよ。

 

 

 

 

 

 自由度の高い育成ゲームは根強い人気がある。

 俺が思うにその手のゲームで一番楽しいのは『どうすれば自分の満足のいく形で最も強くなれるか考える時間』だと思う。

 机上の空論や皮算用に想いを馳せて、希望を込めて祈りながら育成する。

 

 つまり何が言いたいかと言うと、最強を目指す過程で常識すら敵に回すヤツは一定数存在するということ。

 

『折角脚が8本もあるんだから有効活用しないとダメだと思う』

 

 ×! ×! ×!

『どんなものにも限界はあります』

 

 だけど悲しいかな、タコからは猛反対されて氷雨からは呆れられた。

 何? 連装砲を8つも斉射したら反動で吹き飛ぶって? タコは軟体だから伸びるだけで吹き飛ばないって。そもそも重量で動けない? 

 ならその分大きく育てれば良いだけじゃん。

 それはもう駆逐艦じゃない? ……それもそうか。

 

『じゃあ4つならどう?』

 

 半分ならどうだと聞いたら答えは。 5つでになったから4つと考えよう。

 

『艤装4つで最も隙の少ない組み合わせは……その場合の仲間の装備や編成のバランス、相手によって戦術を変えられる柔軟さ……フフフ。ん、氷雨どうかしたの?』

 

『中枢棲姫から連絡がありました。……“ あっち側 ”で集会があるみたいです』

 




・主人公
 色々とバラしちゃったポンコツ。最後まで我慢しろよ。
 相変わらずスーちゃんと呼ばれる。
 髪は大分色を失い、肌もうっすらと白くなってきた。

・氷雨
 オリキャラと化した駆逐棲姫。こんな筈じゃなかったのに
 ポンコツ化が進む。

・タコ
 海産物系艤装の新たな刺客。カブトガニと迷った。
 主人?の選択を間違えたかな? と後悔し始めた。
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