今回は地雷がたっぷりだからよぉ~……
『覚悟』して読むことだッ!!
↑読者を篩に掛ける作者の屑。
『“ あっち側 ”で集会があるみたいです』
『それはまた』
深海棲艦の集会だって?
そんなの、話題に上がった時から参加したいとは思っていた。だけど……早いんだよ!
一応沈んだ事実があるし、先輩深海棲艦の氷雨が言うには既に深海棲艦のカテゴリーに属しているらしい俺が集会に参加するのは問題ないにしても、今はまだ深海棲艦にしては
それを聞いて思いついたのがヘ級とかチ級みたいなお面を被って『おっ、新入りか?』みたいな感じで行く方法。
だけど何事にも準備は必要な必要な訳で。
『どこで集会するか分かる?』
『割と近くみたい』
『マジか』
出来れば遠くの方であって欲しかった。そしたら行き掛けの駄賃ってことで
『じゃあ時期は分かる?』
集会ってくらいだし主催者の名前には中枢って付いてる以上、相当広い範囲から多くの深海棲艦が集まってくると思う。
だけど、だけどまだ希望はある。時間さえあれば準備は出来るから……
『ちょっと先かも?』
かなりフワッとした答えが返ってきた。
だけど考えてみたらどうだろう。太陽が出て沈んだら一日! みたいなクソ時間感覚の持ち主である深海棲艦相手に細かい時間の指定なんて難しいよなぁ。
でも出来ることはやらないといけない。
例えばそう、俺とこのタコを少しでも深海棲艦らしくすることとかね。
じゃあ深海棲艦らしさとは何かと考えた時、現状で分かるのは外見的特徴くらいしかない。
全体的に病的な白さなのは、俺の場合露出を限界まで減らせば誤魔化せるから良いとして、だ。
艦娘が女の子+艤装 なのに対して、深海棲艦は艤装のお化け+
だって俺、沈んだからって「艦娘を沈める。それだけが存在理由……」なんてなってないし。
『だからお前が頑張る必要がある。OK?』
どうせならクラーケンみたいなデカさを目指そうぜ。
男ならデカさと強さに憧れるだろ? 同じだよ同じ。
明らかに生物としてのサイズを凌駕している深海棲艦とか食べさせてみるか?
なんか深海棲艦の因子みたいなのがあるかもしれないし。それを取り込むことでワンチャンあるかもしれない。
『なぁ。イ級って食べられるらしいんだよ』
そう言って懐からイ級の肉を取り出す。
ハ級から連装砲を強奪した時に試し打ちで仕留めたイ級のものだ。
!!
運が悪かったか
『お前も生物を辞めて深海棲艦になるんだよ~ッ!』
イ級の肉をタコに押し付ける。
意外と強いパワーで拒否されるけど、このままだと絶対に俺が嘴に肉を捻じ込むことになるから早いところ諦めてほしい。
『……かわいそうに』
俺に寄生虫の沸いた魚を食べさせようとした氷雨の言える事じゃないからな?
『やっぱり駄目か……』
ぐったりしているタコを見て呟く。
当然、イ級の肉を食べたからと言って突如として巨大化はしなかった訳で、だけど明らかに力を失って真っ白になってる様はまさに深海棲艦を思わせる。
これはこれで成功なのかもしれない。
特に大きくもないタコには連装砲を持って漂ってもらうしかない。某機動戦士のファ〇ネルみたいな格好良さが出そうだからな。
まぁ、新人深海棲艦だから艤装が貧弱でも特に問題は無いのかもしれない。
それはそれとして俺は俺で、露出を極力減らす工夫を考えないといけない。
▼――――――――――
それから時間は進み、オーストラリア周辺の海溝にて深海棲艦の集会が開かれた。
数多の深海棲艦、それも鬼級や姫級が集まった集会所の隅の方に駆逐棲姫の姿があった。
姫級と言っても比較的新参の部類で元から注目はされておらず、他の深海棲艦よりも小柄で視界から消えやすく、存在感もやや薄く、駆逐棲姫自身も全力で気配を消しているにも関わらず、今は集会所の視線を一身に浴びていた。
主に隣に居る珍妙な“配下”の所為で。
『俺について何か言われても氷雨の手下ってことで進めてくれよな!』
こんな言葉に対して『えっうん……』などといった返事をしてしまったのが運の尽きだと、駆逐棲姫はハッキリと自覚していた。
『アナタ、見ない顔ね。名前はあるの?』
駆逐棲姫を心配してか、隣に居た配下──顔の部分に蟹の甲が付けた見慣れない深海棲艦に駆逐古姫が声を掛けた。
『ウエッ……オエッ』
しかしその配下からの返答は一切の要領を得ず、人型だから会話は可能だと思っていたのにと呆れ果てた駆逐古姫は溜息を吐いてから駆逐棲姫に話かけた。
『ねぇ、手下はもう少し選んだ方が良いと思うわ』
『ハイ……ソウオモイマス』
顔から火が出そうな思いで駆逐棲姫が応えると、蟹面の深海棲艦が駆逐古姫の肩を叩いた。
『テシタオェッ……ゴボッゴボボッ』
『何を言っているか全く分からないわ』
そう言われた蟹面の深海棲艦は舌打ちするような音を立ててから蟹の甲を外した。しかしそこにあったのは、駆逐古姫を含めてこの奇妙な深海棲艦に視線を向けていた深海棲艦の予想とは違った貌だった。
確かに隠したくなるのも納得の今にも死にそうな顔をしているのは深海棲艦でも珍しい。だけど予想していたような醜さは何処にも無かったので、駆逐古姫は目をパチリと見開いた。
『あら、意外とちゃんとしてるじゃない』
『超生臭い……最近駆逐棲姫サマに拾われた者です』
ヨロシク、と手を差し出した駆逐棲姫の配下に流されるように握手をした駆逐古姫は、何か話題は無いものかと近くに浮いていた白いタコについて訊こうと思った。しかしその時には再び蟹の甲を顔に着けて吐き気に喘ぎ始めた異常な新人深海棲艦に呆れ直した。
深海棲艦の中でも比較的社交的な駆逐古姫でさえ手に負えないイカレっぷりを披露した超ド級の新人を配下にしたということもあって、駆逐棲姫に降り注ぐ視線は止まなかった。
───主催者が現れるまでは。
『皆、よく集まってくれた』
ザワついていた会場がその一言で静まり、視線は奇妙な存在から禍々しくも神々しい存在へと移る。
『最早我々に硬い挨拶は不要だろう。本題から話そう……知っている者は知っているだろうが、最も艦娘の多い国である日本に新たな鎮守府が出来たらしい』
その一言で再び会場がざわつき始める。
しかし中枢棲姫が手を挙げて再び場を静かにさせる。
『これは我々にとって大きな痛手だが、それだけではない。世界中で新たな艦娘が建造されているのも事実だ。これらは我々の不利、そして敗北が近づいていることに他ならない。
そんな現状、より効果的に艦娘を沈める為に我々が出来ることは今まで以上に互いに協力し合うことだ!』
中枢棲姫による演説が始まってから、密かに蟹の面を外した珍妙な深海棲艦はジッと話を聞いていた。
何故深海棲艦は艦娘と戦うのか。
全ては、この疑問を解消する為に。
そして集会が始まってから時間が進み、遂にその瞬間がやってきた。
『我々は人間を必ずや打倒しなければならない』
『全ては我々の戦ってきた海を、世界を、人間の好きにはさせない為に!』
『『『 全ては海を、世界を守る為に! 』』』
『─── なるほど』
▲――――――――――
『お前たち精鋭を集めたのは他でもない───』
集会も終わりに近づいた頃、鬼級と姫級ばっかりの如何にもなスペースが設けられて、そこに氷雨が呼ばれたから付いていった。
重巡棲姫や潜水棲姫みたいな見覚えのあるのは勿論、やけに長い帽子被ってるのとか、
集会でこれでもかと集まった深海棲艦にビビったけど、姫級とかヤバいレベルの強敵たちがこんなに沢山……と戦慄する。
『日本に新しく出来た鎮守府は大湊警備府というらしい───』
知ってる。っていうか話題に挙げるの遅くね? 設立されたの去年だぞ?
でも微妙にポンコツ臭するこの面子も、中枢棲姫の言葉からして『海と世界を守る』為に戦っているのは間違いない。
ここで問題だ。
艦娘は『平和な海と世界を守る為』に戦いを。
深海棲艦は『海と世界を守る為』に戦っている。
互いに守る物は海と世界。じゃあなんでこの両者は争っているのか。
『ふむぅ……』
何かが引っかるんだけどピンとこない。
頭の中でもう一度だけ整理するために顎に手を当てて考える。
この時の一連の行動を、後に俺は後悔することになる。
中枢棲姫の切り出した話題は「大湊の偵察」だった。
『まぁいざとなったら他所から応援もらうだろうし
会議の輪から抜けて俺の方に向かってきていた深海棲艦に道を譲った時、不意に体当たりされてバランスを崩した。
『えっ』
マズいと思った時にはもう遅く、軍人然とした深海棲艦から腕を押さえられていた。
『確保完了』
・蟹の面
主人公が露出を減らすために思いついた苦肉の策。
露出は確かに減ったが、それ以上に注目を集めた。
滅茶苦茶生臭い。
・深海棲艦
『海と世界を守る為』に戦う。
なんだこのオリジナル設定は……こんなの出したから後戻りできなくなっちゃったじゃないか……
展開が奇天烈にも程があるんだよなぁ……