今回の描写 滅茶苦茶難しかったです。
慣れてないことはやるもんじゃないね。
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暴風と寒さ故に深海棲艦も大人しくなると言われている東北の冬、今まで通りなら船内と海上をこまめに交代しながら寒さに耐えつつ乗組員と世間話をして、時折現れる
「能代、敵を発見したわ」
「雪風、同じくです!」
「あたしもあたしもー!」
「こっちも同じ……待って、これ囲まれてない!?」
しかしそんな任務はこのやり取りを切っ掛けに終わりを告げ、艦娘たちは今まで経験したことのない戦いに飲み込まれていくことになる。
深海棲艦に囲まれた、という事実は艦娘たちに大きな衝撃を与えていた。
安全に漁船を護る為には現在海上に居る4人だけでは駄目だと判断した能代が、確実に護る為に夜間の戦闘に向いている全員を海上に呼び出した。
そして艦娘たちが出揃った頃、まるで見計らったかのようなタイミングで深海棲艦が発砲してきて、その一発を合図に深海棲艦が突撃してくる。
「そんな攻撃、雪風には当たりません!」
『オオォ……ヴァアアア!』
深海棲艦の攻撃は急襲してきた割には随分控えめで動いている限りそうそう当たることは無く、艦娘たちは避けた弾が漁船に向かわないように立ち回ることを意識していた。それでも発生する流れ弾は漁船に穴を開けていくが妖精が迅速に塞いでいた。
深海棲艦も駆逐級ばかりで素早く、その所為で艦娘からの攻撃も中々当たらない。また被弾した深海棲艦が後方に退いてしまう為になかなか深海棲艦の数を減らせないでいた。
互いに決定打に欠ける砲や魚雷の射ち合いが暫く続いた頃、深海棲艦が多少の被弾も気にせず一斉に退いていく。
「こらぁ! 逃げるな!」
「追撃するっす?」
「二人は追いつけないでしょ。それに駆逐級ばかりとは言っても数は多かったから追撃はちょっと危ないかも。暫くは警戒で良いと思う」
「漁船の安全確保を第一に、ですね!」
そう言う秋月の声色は明るい。
一度撃退した深海棲艦の群れは早々戻って来ないという経験則が彼女たちの警戒を僅かに、ほんの僅かに緩めさせていた。
「扶桑さんもありがとうございます!」
「今は灯りで支援するけど危なくなったら言って頂戴。機会は少ないけど夜戦も大丈夫だから」
「一回交代するクマ。色々と補充するついでに暖まってくると良いクマ」
「本当に良いの?」
じゃあお願いね、と言われた球磨の指示で和やかな雰囲気に包まれたまま、海上で警戒するメンバーが交代する。
経験に基づいて今まで通りな行動をした艦娘たちだが、今回の襲撃はスチュワートが主動となっていて、深海棲艦の襲撃がまだ始まったばかりだということを知る由もない。
一難が去ったと認識した漁師たちが船内から再び顔を出して配置につき、もう少しだけ沖に進むもうと漁船が少しずつ方向を変えていく。
その直後。
『グォオオオオッ!』
遠方から、深海棲艦の唸り声が接近してきた。
再び乗組員たちが慌ただしく船内に撤収し、扶桑が飛び出てきて灯りを点ける。
少し遅れて一休みしようとしていた4人が海上に出てきた。
そして開戦。
今回の襲撃も駆逐級ばかりで、威嚇と回避に徹してる癖に艦娘たちが弾を節約しようと慎重に狙いを定めると今度は漁船狙って来るという並の深海棲艦とは一線を画す狡猾さを見せた。
これによって艦娘たちは漁船の安全を確保する上で排除しなければならない脅威として相手取らざるを得なくなり、深刻な消耗を強いられることになる。
しかし艦娘たちも百戦錬磨。やられっぱなしでは終わらない。
巧みに深海棲艦を誘導して爆雷に引っかけたり、殆どノーモーションで一撃を急所に撃ち込んで致命傷を負わせたりと熟練の技を見せた。
『ガアァ……』
漁船を囲むように襲ってきた深海棲艦の包囲網が少しずつ欠けていく。
防戦一方だった戦局が変わろうとしたその時、深海棲艦が再び波が引くように退いていった。
「……追撃する?」
「二度あることは三度あると言うし、まずは漁師さん達に引き上げるように説得かな? そして提督に連絡を入れて貰って。あとは弾とか燃料が心許ない人は船内で補充してきて」
「「 了解 」」
「ちょい待っ……マジ!? もう次の敵来たんだけど!」
「『瑞鳳さん、警備府に連絡をお願いします』 ……桃、騒がない。船内に戻って漁師さんの説得に行ってきて」
そう言われて桃が船内に引き返した次の瞬間、今度は風に煽られた高波に紛れて高笑いを上げながら小鬼と呼ぶべき小さな深海棲艦が多数で出現した。
ケラケラと笑い続け、時折魚雷に乗ってサーフィンのような恰好を取ってふざける深海棲艦が、
そんな小鬼たちは駆逐級並に素早い上に的が小さいので攻撃が当たらず、しかも荒ぶる鷹や涅槃、幽波紋使いのポーズで攻撃を回避することで艦娘たちの神経を逆撫でしていた。
そして今まで同様、戦闘開始から暫く経った頃に投げキッスをして大きく手を振りながら超スピードで去っていった。
「クマーーッ! アアアアアッ!」
「落ち着いてよ! すぐに次が来るだろうからこんなことでエネルギー使わないで!」
大咆哮を上げた怒れる球磨を数人で宥める。
二人掛かりで羽交い絞めして押さえ込み、正気に戻した時には球磨の足元には小鬼だったものが転がっていた。
「ガルル……ふぅ、ちょっとスッキリしたクマ。大きな被害はまだ出てないクマ?」
「被害は無いけど……このままだと私があと1、2波で弾薬が尽きそうだわ」
「「「 …… 」」」
時津風の答えは、ほぼ全員の現状を表していた。
小鬼の後にも駆逐艦が押し寄せては引いていく波のように何度も襲撃してきて、それに対応するために艦娘たちは弾薬の消費は避けられず、回避に徹した深海棲艦はまだ多く残っている状態のまま今に至る。
「漁船に置いてた予備の弾薬はあとどれくらい残ってるクマ?」
「もう殆ど残ってないわ。使い所を見極めないと厳しいと思う」
「大湊からの援軍は?」
「既に三水戦が出撃してるみたい。島風が先行してるらしいけど……まだ掛かりそう」
このままでは勝てないと全員が悟っていた。
何か手を打たないといけないということも。
「増援が来るまで全力で時間稼ぎするしかない、か……」
「いざとなったらあたしがやりますよ?」
辛気臭くなった艦隊に、朗らかな雰囲気で声を掛ける艦娘が居た。
誰であろうか、雪風である。
「雪風……」
そしてその言葉を吟味して目を瞑り、決意を固めた能代が苦悶の表情を浮かべながら言う。
「今から最低なことを言う。仮にその時が来たら、漁船を護る為に
「了解しました。……安心してください! 雪風は絶対に沈みませんから!」
「はぁ……雪風が言うとひょっこり帰ってきそうだから心配できないわね」
天津風の一言に、堅くなった雰囲気が軟化する。
雪風の言葉が強がりでも何でもないと感じたからだ。
「それにしても、まさか駆逐級相手にここまで手古摺るなんて思わなかったなぁ」
「しゅっしゅっしゅ……この常軌を逸した駆逐級の練度、今までの常識の通用しない深海棲艦の戦い方、そしてわざわざ漁船の護衛を狙ってくるセコさ……この名探偵シームッシュ・ホームズにはお見通しっす!」
「えーなになに? 教えて教えて!」
「敵の
輝いた目を向ける時津風に占守が胸を張って答える。
それを聞いた時津風を除く全員は溜息を吐いた。
その名前は彼女たちにとって『敵に回すと最高に面倒くさいヤツ』という認識で一致しているからだ。
「到着っ! みんな大丈夫!?」
神速の駆逐艦が艦隊の下に駆けつけたのは、全員が消耗しきった後だった。
幾度となく繰り返された襲撃でついに弾薬が切れ、どうしようも無くなった艦娘が出始めて、時間と共に増えていく。
そして遂に、まともな反撃すらされなくなった深海棲艦は、満足げに後方に引き返していった。
「島風、雪風の援護に言って頂戴! あっちの方向よ!」
「オウッ!? 漁船の守りは?」
「私が居ます」
島風の言葉に答えるのはどっしりと構える扶桑。
「私もいるよっ!」
再び海上に出てきた桃。
「あっ連装砲ちゃん、どこ行ってたの!」
島風の後頭部に飛びついた不思議な艤装。
その連装砲と、抱き着かれている島風に声を掛ける艦娘が一人。
「その子は私に届け物があったんだって。ありがとね」
「ふぅ、これからは瑞鳳もご一緒します」
敵の本陣が近づいてくる。
援軍の本隊はまだ来ない。
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・桃
大湊に於いて比較的最近建造された艦娘。
駆逐隊のアイドルとして精進中!(自己申告)
若干ワガママなところがあるが、手綱は握られてるので制御可能。
実力的に発展途上だったので、松から船内に戻るように言われた。
コミュ力お化けな陽の者なので主人公を1時間で灰に出来る。