いくら更新が遅くなっても、完結しないよりはずっと良いって一番言われてるから(開き直り)
『
『ギギィ!』
俺は勝つ為に小鬼達に指示を出し、小鬼はそれに応えてくれる。
だけど戦況は非常に宜しくない。
「球磨たちのこと舐めすぎじゃないクマ?」
『危ねっ! もっとお淑やかに痛っ!? 艦載機ぃ……』
人数が増えた分だけ負担を分散できるから適宜交代することで消耗を抑えつつ安定して戦える──なんてことはなく、頭数と手数を増やして被害が出る前に決着をつけてしまおうなんて考えるのは如何なものか。
絵に描いたような先手必勝戦法ではあるものの艦娘の数が多い事には変わりなく、実際に最後の仕上げだと舐めて掛かってたチンケな艦隊では小細工を弄する前に艦隊の戦力を削がないとどうしようもないという事実。
戦力差が大きすぎてどうこうする前に返り討ちされそうといった『戦力の小出し』による負けフラグがバベルの塔の如く聳え立っていた。だけど折ってくれる神様は居ないという悲しい現実。
完璧なジリ貧。
善戦とかそんなレベルを通り越して一方的でさえあるけど『じゃあ仕方ないね』と諦めたくない。自分から売った喧嘩である以上、相手より先に俺が冷めるのはダメだと思う。
勿論、不利を悟った瞬間に一時撤退しようともしたけど、小鬼たちでは止められなかった島風が無尽に暴れている以上タダでは逃げられそうもない。だからと言って俺一人を逃がすために犠牲になれなんて言うほど非情になれる気もしない。これでも俺を信じて……るかは分からないけど付いて来てくれたから。
氷雨たちには連絡したけどまだ到着しない。この状況をひっくり返すのは無理だと判断して見捨てられた可能性も考えられる。
でも、最低でも小鬼たちは逃がすのが俺の責任ってヤツじゃないか?
『 俺に任せてズラかれ野郎ども! 』
なんと、小鬼達は無事に撤退した。
まさかまさか、本当に艦娘たちのターゲットが俺個人だったとは露程も思わなかった。深海棲艦を一匹でも多く沈めるものとばかり。
そして今は嵐が目の前に居て、俺を逃がさないように二人を囲んだ包囲網を敷かれてしまった。こうなったらもう勝ち目は無いだろう。
海中にはタコがまだ残ってるけど包囲網が駆逐艦中心に構成されてる以上どうにもできない。
漁船は瑞鳳と扶桑さん、海防艦二人と松とピンクと能城さんに護衛された状態で運航を再開し始めた。
完敗である。
『何を間違ったんだろうなぁ』
「意識が戻った時、真っ先に帰って来なかったことだな」
相変わらず嵐はズバッと言ってくれる。
でも帰るも何も、どうせなら何かしらの手土産は欲しいじゃん? 結果として巻き込まれたと言うか余計なことに首を突っ込んだ形になったけど。
『良い勝負になってたら良かったんだけど、どう?』
「流石っつーか……汚すぎるな!」
『ヒドい』
なんて言いながら嵐の魚雷目掛けて一発。
瞬時に魚雷を切り離して誘爆を防いだのは流石だけど、距離を取ることには成功した。
だけどすぐ後ろには天津風が。
「そういうところなんだけど……さっさと降参して、明石と夕張に直して貰いなさい」
頭の中に工具を手に目を輝かせながら悪魔らしい笑みを浮かべる二人が出てきたんだけど。
……絶対に碌な目に遭わないだろ。
貴重なサンプルとか言ってあんな事やこんな事をされて二度と消えないトラウマを植え付けられそうだ。工廠で虚ろな目をして独り言を呟き続ける俺の姿がありありと浮かんでくる。
『くっ、殺せ!』
「なにバカなこと言ってるのよ」
畜生……結局のところ勝手に油断して返り討ちとか、あまりにも恰好が付かないだろ。
だけどタダでは終わるつもりは無いと、ニヤリと笑う。
『ククク、今頃は大湊に深海棲艦の大群が押し寄せているだろうよ。つまり俺は陽動! こんなところまで川内さんを釣った時点で俺の勝ちだぁ!』
言ってやったぜ。
負け犬の遠吠えだけどまぁいいや、スッキリしたし。
あとは盛大に自爆すればパーフェクトだけど、流石にそこまではテンションがアガってない。
最後に、衝撃の事実に慌てる天津風の顔を拝もう。
「ふーん……」
おかしい。まるで些事を聞いた時と同じ反応だ。
他の面子は!? 誰も慌ててねぇじゃねーか。
「なによその顔? まさか提督の指揮下で私たちが敗北すると思ってるの?」
『ッ!』
嘘だろ? 提督めっちゃ信頼されてるじゃん。
いやでも、確かに大本営から課された任務や作戦では失敗らしい失敗はしてないし……もしかして提督ってかなり優秀?
「言い残すことは無い? それじゃ、
『 させない! 』
何者かに突き飛ばされて吹き飛んだ天津風は唸る高波に尻餅を付き、砲弾は彼方へ飛んでいった。
そしてなんと、包囲網に突っ込んできたのは氷雨だった。
『どうしてここに』
『勝手に死のうとしないで』
『エッ』
なにそれヤンデレみたい……そういえば微妙に病んでたわこの子。独りは嫌だったんだよね。
ほら、丁度良いところに他所で建造されたから義理とは言え姉の時雨が居るから仲良くしてきなさい。
「スチュワートに執着する駆逐棲姫……なるほどね」
ダメそうだ、なんか怖い事言ってる。
『死にに来たようなモンだ。引き返せ』
『無理!』
『それはどういう』
「疲れた子は補給しておいで! その間は穴埋めするから!」
川内さん居るじゃん! 今まで居なかったのに!?
『まさか』
川内さん相手にここまで逃げてきたのか? いやいや此処に来ても袋の鼠、飛んで火にいる夏の虫だぞ? 逃がされたんだろう。
『
『……そう言うのズルくない?』
『うん』
「あっちの駆逐棲姫は私の獲物だから、盗らないでね!」
殺る気満々の死神含めた艦隊相手に徹底抗戦しろって?
自殺行為だけどやるしかないじゃん。
『そっちこそ勝手に沈むんじゃねーぞ』
多少の被弾は許容する。
『まだまだぁ!』
強風に煽られる霰の方がまだ痛かったぜェーーーッ!
あっ魚雷はダメだって。死んじゃう死んじゃう。
『やれ』
「ひぁっ!?」
『手癖が悪くて済まんな。隙ありだ』
そう言ってビクリと全身を震わせた時津風から砲を取り上げる。
確かに首筋と背中の下ら辺を撫でるように指示したのは俺だけど、姉の弱点を他人に教えるような秋雲も秋雲だ。
そしてなんでタコはタコでご満悦な雰囲気になってるんですかねぇ……ド変態め。
b
これは
「あっ、待って!」
『グアアアアアッ!』
タコ目掛けて放たれた魚雷を体を張って受け止める。
尋常じゃない痛みが駆け抜けるけど、思ってた程じゃない。多分アドレナリンとかで脳ミソがヤバいことになってんだろうなぁなんて思いながら砲を撃とうとすると、左手に持ってた砲が無くなってた。
というか左腕の肘から先が無くなってた。
『は?』
「ちょっと!」
オイオイオイ、見なきゃ良かったわ。
認知したからなのか、今まで感じたとこが無いレベルの痛みが襲いかかってきた。
『 アアアアアアアアアアア! 』
涙でぼやける視界に映る光景を第三者の視点のように冷静に見ると、パニックで真っ白になった頭で身体を勝手に暴れさせているらしい。
ほら、頑張れ頑張れ〜。
死にかけの駆逐艦一人くらい簡単に止めてみろよ。
あぁ! 違う違う、そこは右に避けるんだよ。
はぁっ!? なんだこの神エイム!?
あれ、手加減してるとは言え川内さんと対等ってかなりいい勝負じゃね?
しかし、
後ろから誰かに捕まったらしい、ということが感触で分かった。
『こんなモザイクを、剥がすなんて! なんて嫌らしい人でしょう……』
言葉は碌に聞こえず、意味も分からなかった。
だけど身体は止まり、意識は暗転した。
(作者はまぁまぁ満足できたから)ヨシ!
「あの時は凄かったよ。まるで蛸の艤装を護るような番犬でありながら視界に入った艦娘全てに噛みつく狼でもあった。しかも精巧な硝子細工のような脆さの癖に放っておくと自壊するときた。これを捕まえろだなんて、提督も中々無茶を言うなと思ったね」
戦闘の描写は幕間で出来たら良いなぁ……