私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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32話です。

これで終わりなんて宣言したけど…あれは嘘だ。


休日の過ごし方 〜二日目〜

 朝、カーテンの隙間から日差しを受けて目が覚める。

 天気は今日も晴れ。季節に合わない爽やかな日だ。

 

 俺は窓を開けて朝の爽やかな風を浴びていた。

 

「……あり得ないだろ常識的に考えて」

 

 そう。この世界の天気はいまいち前世とリンクしていない。今の時期は梅雨で、ここ九州では台風やらの影響で毎年のように凄い雨が降るイメージあったんだけど……一週間の間、ほぼ毎日快晴である。

 これも『艦これ』の世界の常識なのかな? 確かに日本は台風や地震、噴火とかの自然災害だけで毎年いっぱいいっぱいな感じなのに、そこに深海棲艦まで追加ってなるとハードすぎるけども。

 

世界がバランス調整している可能性が微レ存?

 

「よう、気持ちよさそうだな」

 

「ふぉっ!?」

 

 ビックリしたぁ……。部屋が1階だから、窓開けたら近くを通りがかった人から話しかけられるってことをすっかり忘れてた。

 

「え~っと、木曾さんも休み……ですね」

 

 木曾は今日休みのようだ。断言できる。何せ如何にもこれから釣りしますって格好してんだもん。こんなんで出撃なんてしないだろう。……『艦これ』の季節、イベントのグラフィックって間違ってもあの格好で出撃してるなんてことは無いよね? ……無いよね?

 

 それはそうと、俺も久しぶりに釣りしてみるかなぁ~。

 

「私もご一緒しても良いですか?」

 

「あぁ、良いぜ」

 

 了承を貰ったから急いで準備をする。早速、昨日買った動きやすい普段着を身に着けていく。

 準備に5分も掛かった。待たせ過ぎて怒られんかなぁ……

 

「おっ、来たな」

 

「お待たせしました。あ、工廠に寄ってって良いですか? そっちに釣り竿あるので……」

 

「あぁ」

 

「すぐに取って来ますね」

 

 

 釣竿を取りに工廠へ向かうと、工廠の一角には何故かまだ解体されてない使わなくなった砲と、アランさんから貰った古びた釣り竿が纏めて置いてあった。

 砲も釣竿も、駆逐棲姫に自爆特攻した時に奇跡的に壊れていなかったらしく、糸は交換してあるみたいで綺麗になってるけど、他のところは以前と変わらない見た目で安心した。

 

「随分使い込まれてるな。お前もよく釣りするのか?」

 

「これは貰いものでして……私自身はあんまりって感じです」

 

「そうか……ま、楽しい釣りにしようぜ」

 

 一瞬だけ残念そうな顔をしたけど、直ぐに元に戻った。肩でトントンしている釣り竿がやけに様になってた。超カッコいい。

 やっぱり彼女の4人や5人くらいは居そうだなぁ……。

 

 待って! 言葉にしてないじゃん! 何で睨むの!? 眼帯の奥に心が読める第2の目でも入ってんの!? 

 

 

 

 

 

「……」

 

「フフッ、またかよ! 鈍くせぇなぁ」

 

「ぐぬぬ……」

 

 そんな会話をしている俺の目の前には、錆びた空き缶が針に掛かって揺れている。

 端っこの方を指先で摘まんで椅子の隣に置くと、プルタブや空き缶、靴の紐? などのゴミで出来た山がまた少し成長した。

 潜水艦の皆さんにはポイ捨てされたゴミを少しずつでいいから拾って欲しい。簡単にホイホイ釣れていいゴミの量じゃないって。

 すぐ隣では、木曾がまた青魚を釣り上げていた。何が違うというんだ……。やっぱり経験? それとも運?

 

「……にしたって、昨日のアレはちょっと良くねぇな。」

 

「アレ?」

 

 アレ……どれだ? 心当たりが温かった風呂を熱くしたことくらいしかないぞ?

 

「すいません。心当たりが……」

 

「マジかよ……。提督の送別会の話し合い。途中退室はいただけねぇな」

 

「あ~……ハイ」

 

「ま、話し合いが進む切っ掛けになったし、長門がフォローを入れてくれた。あとは、提督の様子を伝えに戻ってきたのは助かったな。駆逐艦のチビ共には夜更かしさせられねぇからな」

 

「はぁ」

 

「だからそんなに落ち込むこたぁないってことだ。そう悪くは思われてねぇ筈だ。ただ、気にするヤツは気にするってことを覚えておけよ」

 

「ハイ」

 

 マジかぁ……他の人と比べて提督と思い出なんてほとんど無い俺が居ても邪魔じゃね? って思ったのと純粋に眠かったのと、息苦しかったから早く出たいってことで食堂から出たら機嫌損ねるってなんだよ……。そんなヤツがうたた寝しててもキレない訳が――ッ!

 

「きっ、来たぁっ!?」

 

「おっ、引いてる引いてる。よかったじゃないか」

 

 そう茶化され、フラフラしながら少しずつ引き上げていく。ゴミにはない引きだ。木曾みたいにアジとかじゃなくてせめてイワシでも良いからまともなモノを釣りたい。環境保護のお手伝いをする為に釣りしてるわけじゃないんだよ。

 

「おりゃあぁー!」

 

プルプル・・・

 

「えっ」

 

 なんだこのバケモノは!? 掌より少し大きいサイズでペンギンみたいな配色して……ケツ? の方から白い綿? が飛び出たウミウシなんだかナマコなんだかナマモノなんだか分からないモノが釣れた。

 

「木曾さん、これは一体?」

 

「……」

 

 あっ、顔逸らされた。

 困ったときに頼れないじゃん! ちょっと、いや大分困る。だって触りたくないもんコレ。触っていいかも分からない。

 テレビとか本とかでも見たことないもんこんなの。なんだっけこうゆうヤツ……ミュータント? ホラーゲームに出てきても違和感ないぞこんなの。

 

「……うん」

 

 見なかったことにしよう。

 そう思ってそっと、ゆっくり海に向かってナマモノを降ろしていく。

 

「ナシだな」

 

 リリース禁止なの!? まぁ食べられそうにもないけれども……厳重に袋で密封して棄てよう。……これって棄てて良いヤツ?

 ビニール袋で直接触らないようにしながら空き缶にぶち込む。嫌に温かくて柔らかかった。あぁ、夢に出そう。

 

 

 

 時間は昼頃。近海を哨戒していただろう人達がポツポツと戻ってきた辺りで釣りを止めにする。

 俺の釣果は結局、小魚1匹と大量のゴミとUMA(未確認生命体)しか釣れなかった。対して木曾は大量の青魚である。

 

「突然の突風か津波で流されてくれないかなぁ……」

 

「抜かせ。俺が釣ったんだ。このくらい当たり前だろ?」

 

 ホントに隣で釣ってたのか怪しくなってくるくらい釣果の差が激しすぎる。実は潜水艦の艦娘が海中に居て、針にゴミ引っかけてたとかないよね?

 

「さて、この魚は夜に酒と一緒に貰うから俺は鳳翔んとこに寄って来るよ。付き合ってくれてありがとう」

 

 そう言われたからこちらこそと返して部屋に釣り竿を置いて、食堂に向かう。

 気配を殺して列に並び、甘口で作られたカレーに唐辛子を大量にかけた。近くに座っていた暁が親の仇でも見るような目で見てきたので、急ぎつつ、出来るだけ優雅に食べたら何か言いたげな目で見てきた。

 

 

 

 

 

 図書館で「駆逐艦スチュワート」について調べようとしていたけど、本なら沢山ありそうな場所が鎮守府にもあるってことを思い出したから、俺はここに居る。プレートには「伊8」と書いてあるから間違いないと思う。

 ノックをしたらはーいなんて声が聞こえてきたから普通に入っていく。

 

「昨日ぶりです。私の部屋に来てくれて嬉しいです。どんな本をお探しですか?」

 

「どんな本があるのかを見に来ました。今は英和辞典を探してます」

 

「……珍しい。一応あるけど。……はい、どうぞ」

 

 あるの!? じゃあわざわざ鎮守府の外に出て調べる必要なかったじゃん。

 

「ありがとうございます。貸出期間とかは……」

 

「汚したり、失くしたり、鎮守府の外に持ち出したりしないなら無期限です。でも、こまめに返しに来てね? 回収するのも楽じゃないの……」

 

 

 

 英和辞典を受け取って自室に戻る。早速スチュワートの意味でも……

 

「ややっ! どーも、青葉ですぅ。ここに一言、お願いします!」

 

 部屋には何故か青葉がいた。出会い頭で挨拶と共にペンを渡され、色紙に一言書くことになった。

 とは言っても俺はそんなに提督に思い入れが無いし……なんて書こうかな。どれどれ他の人は~……

 

「あたし的には、とっても寂しいです」 滲んでて読みにくい……。ふぅん、阿武隈ね。

「辞めた事後悔させるくらい活躍するからテレビでも見てなさいよこのクソ提督!」うわ。曙のこれは大丈夫なヤツなの?

 

「どんな言葉でもだいじょーぶです! 気にしないで書き込んでください」

 

「そうですか」

 

 じゃあ──

 




・謎のナマモノを見た主人公はSAN値チェック 2/2D3
・主人公が色紙になんて書いたかはご想像にお任せします。
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