3/11は例の日でした。もう9年、まだ9年。どっちでしょう……
新型コロナはそろそろパンデミック宣言じゃないですかね……
嗚呼、不謹慎……
――ガンガンッ!
盾に弾かれた砲弾が大きな音を響かせる。俺の前には重巡ネ級? と駆逐級が複数体。チラリと後ろを見ると後方に居た駆逐級を撃破したのか離れて行く他の5人が見えた。そろそろ流れ弾も気にせず回避しても問題ないだろ。
「ここらが潮時かな……」
でも、
「これは高角砲の出番かなぁ……」
俺は投擲物と高角砲の使い分けを決めていた。最近投擲物が便利過ぎてて腰の艤装をほとんど使ってない気がしたから、自分の持つリソースを無駄なく発揮するにはどうしたらいいのか考えた結果、相手や状況によって使い分けるという結論に至った。
赤城を始めとする空母や軽空母などの艦載機を沢山飛ばしてくる相手には高角砲は勿論のこと、スタングレネードや音響手榴弾といった範囲攻撃は一網打尽って言葉が似合うくらい有効打になるから投擲物を積極的に使っていく。
だけど今の相手の艦載機は数が少ない。そんな時には確実に落とすためにも腰の艤装の高角砲を使っていくつもりだ。
命中力を犠牲に範囲攻撃力に優れた投擲物と、威力は控えめだけど艦載機に対しての命中率の良い高角砲。う~ん、手札の整理で選択肢が広がるって気持ちいいな。
「狙って狙って~……そぉい! ……あっ」
……。
――バンッバンッ!
当たってたら落ちていくんだろうけど、フラフラすらしてないからまた外れたんだろう。あぁ、こんな時に防空駆逐艦である初月が居れば……。まぁ、まだ数回外しただけだし。最悪スタングレネード投げればいいだけだし……。
――バンッバンッバンッ!
「ええぃこうなったら……。おっ、当たった」
偵察機の撃墜を確認! なんでこう諦めかけた時に限って成功するんだ……。
まぁ、役目は果たしたしさっさと逃げますかね。
「お疲れ様です」
「噂には聞いていたけど本当に防御に優れてるね」
「その代わりに攻撃力はほとんどありませんけど……今みたいな殿には恐らく私は最適ですよ」
「ホンマやで、ネ級出て来て挟まれた時はどーなるかと思ったわ。でもその盾えらい頑丈やんか。ウチらが離れるまではずっと避けないで受け流しきってたしなぁ」
「スチュワートさんは、私達神風型駆逐艦よりも旧いのに……凄いです」
「?」
旧い……? 新人だけど……。
「軍艦だったころの話だよ~。それにしたって神風型より旧いってマジぃ?」
あぁ、
「う~ん……その辺はあんまり気にしたこと無いんですよねぇ」
取り敢えずやんわりと適当吐いてこの場を誤魔化そう。そうなの? って感じで一応納得はしてくれたみたいだから情報収集を休日に……出来ないか。出会い頭に遠征に行かせるようなヤツだし、多分休日なんて来ないだろう……困ったなぁ……。
「あぁそうだ。旗風?」
「はい、何でしょうか?」
「強くなりたいの?」
「護ることも強さなら……はい……」
うわ。めっちゃカッコいい事言ってる……。見た目美少女からこんな言葉が聞けるなんてリアルならまず無理なんじゃねぇかな……。だったら俺もカッコつけてみますかね。
「旗風。現状維持とは緩やかな衰退を意味します。一歩戻ることも後ろに進んだって成長の証です。ちょっとだけ後退して、ちょっと違う道を進む。すると
そう言って盾を持ち上げて揺らす。旗風の目が盾に吸い寄せられて上下に揺れる。
「まぁ、他人の受け売りな上にこういった機会が無いと忘れてしまう、ぼんやりとした言葉ですけど」
「……」
「何が言いたいかっていうと、強さを求める過程でちょっとの間弱くなったとしても、それよりも強くなれば問題はないってことです。弱くなることを恐れて何もしないのが一番ダメってことで」
「でも、弱くなったまま強くなれなかったらどうすれば……いえ、何でもないです」
何でもないって言うヤツはだいたい何かあるんだよね。でも弱いままならどうしようなんて心配事はあるよね。
「そんな時は元に戻せば良いんです。一番簡単で手っ取り早い解決法ですよ」
因みに俺は、防御を固め過ぎた弊害として、攻撃面が疎かになり決定打に欠けるっていう明確な弱点が存在する。使い切りの切り札で解決はしてるけど、長期戦になって切り札を使い切ったら攻撃力がカスみたいになる。
だけど、他の艦や攻撃力の高い艦を守り、戦闘を安定して継続させることで総合火力は伸びるんじゃないかって発想が無いこともなかった。結果として、防御とサポートには優れるだろうけど、火力は無いなんていう
つまり、俺みたいに予めデメリットを決めておいて、それを
「艦娘はかつて
「なりたい自分……。ありがとうございます」
そう言って頭を下げて離れて行く旗風。……ちょっと説教っぽくなったか?
でも俺は言いたいことは言った。後悔はしていない。中二病だなんて言われそうだなぁなんて呑気なことを考えてる俺の視線の先には、どこか上の空でみんなに付いていく旗風が居た。
「もう少しで目的地よ! 頑張って!」
「長良、それは本当か? 随分と早いな」
「勿論! 日頃の走り込みのお蔭でペース配分には慣れたのよ」
「……そうか、頼もしいな」
これがガチランナーの本気ってヤツですか……初月も納得してないで何かツッコんでよ。長良はチーム全体の移動速度上昇のパッシブスキルを持ってる、と心のメモ帳に書き込む。覚えておいて損は無いだろう。得になるかは怪しいところだけど……。
そして辿り着いた目的地。海のド真ん中……かは分かんないけど、島も何もないところで止まって周囲を確認する。そして来た道を引き返すことになった。
遠征の折り返し地点という訳か。家……ないし鎮守府に帰るまでが遠征ってか?
「帰還まで何事も無ければ良いんだけどねぇ~」
「おっ、望月ぃ、
「……」
う~ん黒潮、これは……
前方後方共に
夕方に辿り着いた島は小さい島だった。簡単に全方位を見渡せるのは有り難い。皆が寝てるところに戻って焚火に可燃剤を入れる。ちょっと油臭くて、薪みたいにパチパチ爆ぜる音が無いからちょっと寂しいけど、弱まってた火が復活したから良しとしよう。灯りの確保はしておきたいし。……なんでランタンじゃないんだ?
「……あ~そっかぁ。光源じゃなくて熱源としても使うからか」
医療機関なんて無い海の上、小さい島の上。熱を通さないと食べ物なんて怖くて口に運べないだろうし、これで良いのかもしれない。妖精さん謹製の廃材で作られた可燃剤の方がカセットコンロよりも嵩張らないし。
「……」
「暇だ……」
手元には拭き続けて綺麗になった盾がある。布で金属は削れる訳がないのに、心なしか減ったように感じる。
それくらい俺はずっと盾を拭いていた。
ずっと盾って呼ばれるのもアレだし、暇つぶしとして盾に名前でも付けてみようかな……。初月のアレにも長10cm砲ちゃんなんて名前ついてたりするんだし。
「う~ん……無二の盾、
溜息を吐く。友人からも「ネームセンス無ぇな!」って言われるくらいだし、大人しく他の人になんていう名前が良いか訊こう。俺よりもよっぽど良い名前を付けてくれるだろう。
「さて今の時間は……ウヘェ……」
あと1時間もあるのかよ……冗談じゃない。
拙者、何のデメリットも無しにメリットだけを頂くのは許さない侍。
主人公は攻撃力を犠牲にしてます。盾装備時に高角砲以外の砲は装備できません。
よってまともな砲撃戦は出来ません。