語彙力が欲しいと思うこの頃。
だんだん投稿に慣れてきました。
そのうち前書きでふざけ始めるようになるでしょう。
真面目な雰囲気になった妖精さんはそのまま俺の肩に乗ってきた。
大事な話っていったい何だろうか? 今ここで聞きたい気持ちを抑えつつ、妖精さんに言われた通りに倉庫から出て、案内されるままに進んで海に向かう。
「……」
数歩歩いたところで問題に気付いた。
このまま進んだら俺が今装備してる艤装が一般市民に見られるんじゃない? という大問題だ。艤装って軍事機密とかに含まれる?
そんな機密とかじゃないにしろ、手に銃のようなものを持ってる上に腰に物々しいのくっつけて、暗くなった道を辺りを警戒しながら歩いてる人なんてどう考えても不審者じゃない?
俺は警察に事情徴収なんてされたくないんですけど! 警察とか権力を恐れる一般的な臆病な日本人だぞ俺は!
「あのさぁ……艤装って何処かに仕舞ったりできないの? このままだと最悪海に着く前に刑務所に行くことになりそうなんですけど」
「そこは気にしないでくださ~い。人は近くに居ませんし~近くに来たら教えますので~」
索敵能力高すぎない? やっぱり妖精だけでも深海棲艦に勝てるんじゃないの? でもバレないというなら堂々と、でもやっぱりコソコソしながら海に向かおうじゃないか。
カツ カツ ――と歩くペースに合わせてコンクリートと金属製のブーツが接触し高い音を出す。
小気味のいい音を聞きながら進み、ふと良いことを思いついた。俺の大好きなちょっとした悪ふざけを妖精さんにやってやろう。
そう思いついたのでやるだけやってみようと思う。――やることは単純だけど難しい。歩き方を変える。それだけだ。
身体がこんなに可愛いんだから俺の仕草一つで台無しにするのは勿体ない。
今なら他人に見られずに妖精さんに矯正してもらえるチャンスだし、変なことをすることで緊張しているであろう妖精さんをリラックスさせられるかもしれないしで良いことづくめだ。
まずは肩から力を抜き、歩くペースも遅くする。そして無い胸を張って歩幅を狭くする。最後に道路の白線を踏みながら歩くように一直線を歩く。そして―――
「あの、妖精さん? 歩き方を少し変えてみたんですけど、変じゃないですか?」
これでよい。当然声も変わっているから口調と喋るペース、声量をちょっと変えるだけでまるで別人みたいになるね。……さっきまでが普段の口調だったから違って当然なんだけどね。
やっぱり人をからかったりするのは楽しいなぁ!
「ブフッ」
噴き出した、効果アリだな。妖精さんを見ると腹と口を手で押さえている。すっげぇ笑ってる。今までの……前の人生を含めて今までで一番笑ってくれた人かもしれない。人じゃないけど。
追撃しようかな?
「どこかおかしな所はありませんでしたか?」
さぁどうだ? ……おっとぉ? 体を震わせている。しばらく見てると震えが治まって笑いを堪えるような顔で俺を見る。
「おかしな所は全部ですぅ。もう滅茶苦茶ですぅ」
「そんな……会心の出来だったのに」
「窮屈そうに歩いてるから違和感が凄いですぅ」なんて言葉を聞きながら歩く。どう補正したら良いかを聞きながら歩いて、続けてれば慣れる筈だと言われた頃には海に出た。
……さて、海に着いたから女の子の歩き方講座はお終いだ。
結局一般通行人は居なかったし、心配した俺がバカみたいじゃん。
「海に着きましたぜ妖精の姉御……で、大事な話とは一体なんのことで?」
「まだふざけるんですかぁ? 実はここ、日本じゃないんですよぉ」
「知ってる」
なんだそんなことか。命に係わるような事じゃないのね。でもその情報は確かにすごく大事だ。
「実はここ……スラバヤなんですぅ」
「どこだよ」
スラバヤ。『艦これ』の中で描写されてた気がするから名前は知ってる。だけど場所は知らないんだよな。
自称一般人未満ポンコツの俺にはアメリカ、カナダ、ロシア、オーストラリア、インド、ブラジル、ロンドンしかまともに場所を把握してる国なんて無いんだよ!
マジでどこ? 地図とか無いの? 読めるやつ。
「それでですねぇ……スラバヤってここなんですけど、今から日本の鎮守府に向かって海上を移動してもらう予定ですぅ」
おっ、地図あるじゃん。
うんうん、深海棲艦の影響で消し飛んだ大陸とかは無さそう。見慣れた至って普通の世界地図だ。
妖精さんの指す現在位置は……遠っ! ハァ!?
「嘘でしょ」
なんだよこれ。ほとんどオーストラリアじゃんこれ。しかも海上を移動ってことは飛行機は禁止ってことか? 何キロあると思ってんの? 馬鹿じゃないの? 狂ってるぜこんなの! 嘘だと言ってよバーニー。
「嘘じゃないですぅ。こっちは大真面目ですぅ。そもそも今のあなたパスポートもお金も持ってないじゃないですか。そんな状態でどうやって公共機関を利用するんですか?」
「いや、そこはその……妖精さんの不思議パワーでフワッーって」
「私たち妖精にも出来ることと出来ないことがありますぅ」
御尤もで。そんな都合のいいことが出来るなら今頃テレポートとかして日本に居るだろう。
……艤装を使って海上を移動できるなら理論上は日本に帰ることは出来るのか。だけどこのとんでもない距離を一日二日で易々と移動しきれるとは到底思えない。
艤装を装備している状態で海上をどれくらいの速さで移動できるかが分からない。艦娘の進む速さを教えてくれよ妖精さん。
「艦娘の進むスピードってだいたいどれくらいなの?」
「……どのくらいのパワーで海上を移動するかで変わりますぅ。例えば全力で移動するなら自動車より速く動けるでしょうし、少々遅くなりますが無理せずに移動することも出来ますよぉ。そこらへんは艦娘個人の艦種と匙加減だと思いますぅ」
自動車と同じくらいとか十分早くない? っていうか求めていた答えと違う! 俺は時速が知りたかったんだよ。自動車並みって言っても幅が大きくて何とも言えないんだよね。
艤装で移動してるときに今の時速は何キロか訊いてみよう。そうすれば解決する。
……あとはコンパスがあれば日本へ行くことが出来るんじゃないか?
何はともあれ、まずは――
「それじゃあ、海に向かって進んでください。大丈夫です! 今のあなたは艤装を纏った艦娘! ちゃんと海の上に立てる筈ですぅ!」
いざ海へ!
「海の上に立ってる」
そして海の上を進める。
感動的だ。前世じゃあまず体験できないよなこんなこと。何に捕まるでもなく海の上に立ち、フローリングの上を靴下で滑るような感覚で前に進めるなんて。
移動についてはすぐにコツを掴めた。海に立ってからものの数分といったところだろう。まるで初めから動く方法を知っていたんじゃないかってくらいすぐに。恐ろしくも感じるが、大きな興奮の前じゃあ塵芥と同じよぉ!
……ただ波で結構揺れるのは三半規管に悪いと思った。
サーフィンに慣れてる人は艦娘の適性があると思った。
知らんけど。
「気持ちいいねぇ、風を感じますよ」
「そうですねぇ」
俺が呟くと妖精さんが相槌を打ってくる。海に出た直後に左へ行けと言われたから左へ進んでいる。そちらへ顔を向けると電気の点いた建物が沢山見える。反対側を向くと灯り一つない真っ暗闇が広がっていた。……海に出てから何分経った? 今はどっちに向かってるんだ?
「時計とコンパスってある? あと今の時速どれくらい?」
「時計もコンパスもありますよ~時速は今……55キロメートルくらいですぅ」
「えっ」
意外と速かった。でも耳元で風が思ったより鳴ってない……いや、なんか違うな。鳴っていないんじゃなくて他の音がよく聞こえるようになったのかな?
これも艤装の効果かと思って訊いてみたところやっぱり艤装の効果らしい。艦である以上通信機は必要でしょう? と言われた。そんなぁ、それじゃあこれから独り言とか呟けないじゃん。全部傍受されちゃう。
と、それは置いといてだ。今俺は「普通に」散歩とかと変わらないように動いてるつもりなんだよね。それで時速50キロメートルか……やっぱり艦娘って凄いんだな。
「地図と灯り貸して」
「はいどうぞぉ」
灯りまで普通に出てきた。
どっから出してんのそれ? 妖精さんより大きいよね? ドラえ〇んじゃないんだから四次元に繋がるポッケとか止めてくれない?
「う~ん。一日当たり10時間とすると、日本までざっくり……疲労やトラブルも考えると……?」
俺は日本まで40日もあれば行けるといった答えを出した。
……そりゃあ一日二日では辿り着かないし、寝る場所とかも必要になってくるし、怖いから出来るだけ沖には出たくないし。陸に近い場所を移動し続ける安定を採ったルートだと思う。正直かなり厳しいんじゃないかと思うが、目標を立てた今やることは一つ。突き進むだけだ! 大和魂を見せてやる!!
それから2時間後、俺は呟いた。
「腹減った……」
ペースが速いと急展開になるだろうし、遅いと冗長になるだろうし……
上手な文章を、引き込まれるような展開を構成出来る人は凄いと思いました。