私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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48話です。




良いニュースと・・・

 今日も今日とて新聞を広げて市井のアレコレを見る。

 お偉いさんからの事情徴収の後から音沙汰が無い。

 眠気も無いのに寝るのも、どうやって暇を潰すか考えるのも楽じゃない。せめてWi-Fiとスマホがあれば違ったんだけどなぁ……

 

 でもまぁ、提督を撃った危険人物に対してこの扱いは相当マシな方なんだろう。贅沢を言ってはいけない。

 

「ハッ、また汚職事件かよ……」

 

 前世で見たニュースとさして変わらない内容が新聞には書かれていた。○○議員の賄賂を巡っての問題が~なんて、時代や世界が変わったってやる奴はやる。それが分かって逆に安心した。

 その他にも外国との貿易が~とか、新鮮味の無い、いつも通りの新聞を眺める。“ 深海棲艦 ”の文字がちらほら見えるものの、探すつもりが無いと見つからないくらいには存在しなかった。一般市民向けの新聞だからだろう、それならそれで平和ってことで良い事だと思う。

 

「ん?」

【艦娘に対する見方が変わる今】

「へぇ……」

 

【突如として現れた深海棲艦は未だ、私達の生活に大きな影響を与えている。それに対抗できる存在の艦娘に対しての見方がここ最近、変わりつつある。

 近年、国内での深海棲艦の被害は少なく、特に先月は最も多い月の5%を下回っている。昨年からの死者もゼロで、今現在の日本の海は平和だと思われている。

 その影響からか、艦娘に対して良い声が聞こえなくなりつつある――――】

 

 このコラム書いた記者は命知らずだな。

 

【―――もう一度、艦娘に対する見方を考え直してみてはどうだろうか】

 

 まぁ、今年は死者は出てないし、被害も最近は減ってるから、税金を多く割いている鎮守府に、悪い目が行きがちだけど、変に排斥して被害が出るようになってからじゃ遅いから、今も守られてるってありがたみを忘れないようにしようね。って内容だった。

 鎮守府で聞いた話だと、漁師は遠洋まで漁に行けないし、本当に近海でしか漁はしてないって自重してるみたいだからそれもあって一般市民の被害は少ないのかもしれない。戦場に漁船とか場違いにも程があるから遠洋まで漁しに来ないでくれよ……。

 

 でも、海と関連しない人達からしたらまさに対岸の火事だもんな。池とか水溜りから深海棲艦が自然発生する訳ないし、危機感なんて無いのかもしれない。危機感を持たせないように頑張るのが艦娘の仕事とも言えるけど。

 それに一般市民に取材するにしても都心部ばっかりじゃやっぱり偏りそうだ。やっぱり関係者とかにも聞き込んだのかなぁ? 仕事とは言え危ない橋を渡るなぁ…。

 

 それからは、テレビに流れてそうなありきたりな記事ばかりだった。

 ただ目を滑らせて、「ふ~ん」くらいの感想を持って、途中で興味を失くして新しい健康医薬品とか化粧品の広告を見てから新聞を放る。

 

「……」

 

 暇だ。暇が過ぎる。

 まさに生き殺し。退屈過ぎて死にそうだ。まさか俺がこうなることを踏まえて会議がなかなか終わらない?

 

 ――コンコン コンコン

 

 ノックだ。

 

「あ、は~い……っ!?」

 

 俺の口から出て来た声に自分で驚く。なんだこの緊張感のカケラも感じられない返事は! これじゃあまるで俺が謹慎をガッツリ満喫してるみてーじゃねーか!

 そう思いながらドアを開ける。外には偉そうな人。やっと俺の沙汰が決まったらしい。

 

「会議が終わった。君にとって良いニュースと悪いニュースがある。……続きは私の部屋で話そうか」

 

「はい」

 

 悪いニュースってなんだ? 処刑、解体が決定したとかか? 助かるかもって希望持たせておいて殺すとかだったら人間の所業じゃねぇぞ。

 ワンチャン別の何かだろうけど、そんな何かには心当たりが無い。……だけど、連帯責任で佐世保鎮守府のみんなも解体とかだったら俺は発狂する。自信がある。

 

 

 

 

 

「失礼します」

「掛けてくれ」

「はい」

「……さて、どちらから聴きたい?」

「良いニュースからでお願いします」

 

 良いニュースと悪いニュース、なんて映画に出てきそうな言い回し。もちろん聞くのは良いニュースが先だ。良い事は良い事として素直に喜びたい。悪いニュースが先だと気落ちしてそれどころじゃなくなってしまう。

 

「分かった。……良いニュースだが、再び佐世保に行かせた荻野の報告書では、佐世保鎮守府の出撃していた大部隊が帰還したそうだ。幸いなことに沈んだ者は居ない上、結構な戦果を上げたそうだ」

 

「! それは……良かったです」

 

 どうやら誰も欠けることなく戻ってきたらしい。それに結構な戦果ってことは、佐世保のみんなは見返してやろうって維持で滅茶苦茶に暴れたに違いない。

 

 昔だったら絶対に「あ、そう? 良かったね~」なんて心にも思ってないことを言って適当に流していたに違いない。

 一生懸命……って言えるほど艦娘として艦娘の仕事? に打ち込んではないけど、それでも前世の学生時代のの“ やらされてる ”勉強や部活よりも余程意欲的に取り組んだ。

 だからだろう、まるで自分の事みたいにホッとした。

 

「それで悪いニュースだが……君も予想は付いているだろう。君の罰についてだ」

 

 来たか。良いニュースが俺の処刑の取り消しとかじゃないならこっちに来るだろうなとは思ってたけど、その閥の内容は如何に……。

 解体ならせめて痛くしないで欲しいけどなぁ。

 

「君の罰、解体だが……されない方向で決まった」

「……はい?」

 

 殺さないってこと? それの何が悪いニュースなんだ? 俺を殺したくてしょうがないってことか? でもそれだったら俺にとっては良いニュースになるし……分からん。

 

「うん? 荻野と君の話を聴き、君を見た私からの感想だけど、君は死にたがっているように見えた」

「……はい?」

 

 いや、なんで勝手に死にたがりの不幸少女にジョブチェンジさせられてんの? そんなに死んだ魚の目してないだろ! 勝手に俺の思考を捏造して人格創らないで。

「艦娘が嫌う解体をさせられるかもしれないのに抵抗する素振りも無く、逃げ出す様子もなく、謹慎中に不満も漏らさない。……君は、生きていることに諦めていたんじゃないのか?」

「……」

 

 いや、この人の目に穴でも開いてんじゃねーの? 抵抗したら折角の自由が縛られるじゃん? 逃げたら疚しい事でもあるのか疑われてめんどくさいじゃん? 不満を口から漏らさなかったのは……元々悪いの俺だし、多少のことは我慢するよね?

 それでも生きることを諦めた訳ではない。決して。そう決してだ。ちょっと、いや結構望み薄いな~って諦めてたところはあったけど、それでも助かるかもって餌をチラつかせられたから踏みとどまれた。

 いや、確かに死んだら色々と楽にはなれそうだなぁとは思ったけれども!

 

「……君は、生きたいのか?」

「勿論です」

「そうか……。分かった。君には罰が罰にならないようだ」

 

 当たり前だ。こんなの罰でも何でもない。大本営の偉い人達って結構ユルい?

 

「だから私から君に別の罰を与える」

「……謹んでお受けいたします」

「君には、これから新しく設置される大湊警備府に、初期艦として異動してもらうことにする。解体されることで終わりを迎えることを許さない。国の為に、その土地で暮らしている市民の為に、生きて戦い続けることを罰とする」

 

 その言葉で俺が混乱を極め、エラーを吐いてフリーズしたのは言うまでもない。

 




今日は何の日~? 子日エイプリルフールだよ!

しばらくは基本的に大本営で謹慎です。この小説?(世界)での大本営はこんな感じってのを見せられれば良いなと思ってます。

こんなところで主人公が死ぬわけ無いんだよなぁ……物語が終わってしまう。
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