私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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57話です。

4章が色々付け足したら長くなって焦ってます。
短いとは一体……うごごごごご

……まるゆは出ないと言ったな。―――アレは嘘だ。
……次の投稿は明日の筈? ……残念だったな。トリックだよ。


突撃! 佐世保の駆逐艦

 香取さん、神州丸さん(師匠)、鹿島さんの三人からの教育が始まって早くも一週間が経とうとしている。

 

 相変わらず香取さんの目標には僅かに届かず、一部の人達が喜びそうな顔で「うふふ♪ 惜しかったわね♪」なんて素晴らしい激励の言葉を貰い続けている。一応目標の十五回は達成したことは何回かあるけど、そしたら弾数を減らされた(難易度を上げられた)。それからはさっきの通りだ。

 

 神州丸さんの背は遥か彼方で、先日「一週間で達人に成れる訳無いじゃないですか~」なんて言ったら無言でぶん投げられて滅茶苦茶痛い思いをした。

 冗談ですよ神州丸さん……一週間で達人とか精神と時の部屋じゃあるまいし。

 

 秘書艦仕事は……合格を貰えた。鹿島さんはチョロかったぜ。

 だけど気を遣いに遣って……クソ大変だった。接客でもないのにあんなに気を遣ってまでゆっくり作業する意味がどうしても解らなかったから鹿島さんに質問したら提督さん提督さんと言っていたので納得した。

 『艦これ』の世界だもんなぁ……艦娘がまともな提督に好意を持つのは当たり前……なのか? ゆっくり作業するのは好感度……もとい好意からなる何とやらで、一緒に居たいってヤツか? 雑談しながら仕事をしてストレスや退屈を紛らわすのは分かる。だからと言って仕事をゆっくりしても良い理由にはならない筈だ。

 

 

 

 そして今日は休み……って言うか、元々何もなかった所に教育が捻じ込まれただけで本来何も無いから元に戻っただけなのか。

 

 偉い人から呼び出しが掛かったから教育が無くなったってのが理由で、指定された時間まではぶっちゃけ暇なのである。

 

「目覚まし時計が有ったならなぁ……」

 

 溜息を吐きながら呟く。

 

 海の上で動き回り()を乱射し、数時間は達人と柔道だか空手だか合気道なんだか分からないもので気を張らせ、椅子に座れば笑顔を顔に張り付けてコミュ力お化けの鹿島さんとお喋りしながら書類(課題)を捌く。

 こんな生活が一週間も続けばいくら艦娘の体と言えども相当な疲労が溜まるもので……ぶっちゃけ疲れを取る為に二度寝……ないし昼寝したい気分だ。だけど約束の時間に遅れるのが怖くて寝れないとか、遠足前のガキかよ……。

 

―――ドンドン

 

「はっ!?」

 

 こんなに乱暴にドアを叩く人知り合いに居ないし……勿論新聞配達や宅配便ではないだろう。

 クッソ怪しいけど覗き窓なんて無いしなぁ……。 

 

お邪魔します! ―――ぽいっ!

 

 仕方ねぇなぁ……って感じでドアノブに手を掛けた途端にナニコレ? 

 ドアが開け放たれ、直後飛び込んできたのは大声を上げでダイナミックお邪魔しますしてくる侵入者。

 

「は?」

 

 頭が事態に付いていけずに―――衝撃―――ッ!

 尋常じゃないくらい痛かった。まるで大型犬のハグくらい。

 不意打ちを喰らって無様に吹き飛ばされた。

 

「グェッ」

 

 神州丸さんからの教育の成果か、良い感じに受け身を取ることが出来たから、後頭部の痛みは思ったより少ない。……これだけでも護身としてはかなり有用だと思うんだけど、神州丸さんはまだ合格をくれない辛口判定。……嫌いじゃないけど、一体俺に何を目指せと言うのか……。

 

「ご、ごめんなさい……っぽい?」

 

 ……ぽくない。もっとしっかりゴメンナサイして。自動車は相手に怪我が無くてもぶつかっただけで大問題なんだぞ。

 

「はい。大丈夫です……夕立さん? 入る部屋間違えてませんか?」

 

「大丈夫っぽい! 夕立、間違えたりなんてしてないっぽい!」

 

 侵入者―――夕立は相変わらずどこの時空(創作や現実)でも賑やかだ。元気一番。白露の姉貴にも引けを取らないとは江風の談だったか。

 

 ……でも間違えてない “っぽい” って……そこはかとなく不安を煽るからちゃんと確認してから凸って来て欲しい。

 

「えっと……じゃあ私に何か用事が……?」

 

「うんっ! 今日は、此処の艦娘達と合同演習っぽい! だからさ、スチュワートさん!」

 

 ええい五月蠅い! 至近距離で大きな声で話すでないわぁ! ……余りある元気な声に一緒にやろ~って副音声が付いてるように聞こえるのはなんでだろうな? ……遊んで欲しい犬みたいな反応しやがって……全く。

 

 あと俺の名前が出て来たってことは間違いなく佐世保の夕立だろう。……まさかワンマンショーなんてするつもりじゃないだろうし、他にも佐世保から何人かは来てると思うけど……誰だよ夕立のリード手放したヤツ。

 

「夕立さん? 独りで行動してはいけません。それに元々此処には来るつもりはありませんでしたし、あまり迷惑を掛けては―――」

 

 噂をすればまた艦娘が来たみたいだ。入口と俺の間に夕立が立っているから誰が来たのか分から―――分かった。夕立の影から顔を出したのは神通さんだった。

 

「スチュワートさん……」

 

「……ちょっ!?」

 

 いきなり俺の名前呟いたかと思ったら真顔で涙流し始めて―――

 

 抱き着かれた。

 

 

 

 ……ちょっといいっスか? まずは一言、ナニコレ? さっきからずっと神通さんが謝ってくるんだけど……助けて夕立ィ!

 

「神通さんは前の人をどうにも出来なくて、スチュワートさんに全部やらせたことを深く後悔してるっぽい。……だからしばらくそのままさせてあげて欲しいっぽい」

 

 ……俺が悪いの!? アイツじゃなくて!?

 ……あ、香取さんも来た。夕立が騒いだから来たんだろうな~。

 

「賑やかで良いわね~♪ なんの騒ぎかしら?

 

「「「……」」」

 

 ハッ!? 気を失ってた……。香取さんが相変わらず怖過ぎるけど言いたいこと言わないと。

 

「香取さん、夕立が私も合同演習に混ざって欲しいみたいなんですけど……駄目ですか?」

 

 ここだ! 喰らえ鹿島さん直伝の何時使うか全く分からなかったおねだりの視線!

 

「……」

 

「……」

 

 自分で使っておきながら嫌になる。ほら見ろ俺の表情筋は既に限界寸前なのに、香取さんは微動だにせず絶対零度の視線で俺を見降ろしている。……鹿島さぁん? どんなヒト(提督)もイチコロって言ってたじゃん。話違くなぁい?

 

「……」

 

「……ハァ、分かりました。」

 

 折れた! もうダメかと思って諦めかけたらOKが出た。疑ってごめんよ鹿島さん……妹直伝だって言うのは多分バレてるだろうし、後で変な事教えたってことで香取さんに怒られてくれ。……俺は見本と使用例を言われただけだし……。

 香取さんの一言を聞いてちょっと安堵した俺、パァアっと花が咲いたように笑顔になっていく夕立、ようやく俺から離れてただ申し訳なさそうな目で俺と香取さんを見てくる神通さん。そしてそれらを確認して小さく溜息を吐いた香取さん。

 

「……スチュワートさんは今日の午後、呼び出しがあった筈です。それに間に合うなら私は演習参加については何も言いません」

 

 おお、これは僥倖。おめでとう夕立、念願の俺との演習が出来るそうだぞ。俺としては『艦これ』の駆逐艦詐欺レベルの火力からタコ殴りにされるの怖いんだけど……。今は盾持ってないからやわらかタンクなんだよ……。

 

「……それでは佐世保鎮守府からは、神通さんと夕立さんを含めた計六人で宜しいですね?」

 

「あの……はい、お願いします……」

 

 立ち直ったのか、会話の主導権が夕立から神通さんに移る。……計六人って結構居るなぁ。他の四人は誰なんだろう?

  『艦これ』では戦艦や空母は資材を大量に消費する……らしい。資材が少ないところはグロ画像なんて言われるくらいだし……『艦これ』が現実になってもきっと強力故にコストの重たい艦種は合同演習なんかにホイホイ参加なんてしないだろう。

 

 

 

 

 

 ……そう思っていた時期が私にもありました。

 

 俺の隣には香取さん、鹿島さん、神州丸さん、あきつ丸さん、そして白い水着の誰かさん。

 

 そして対面の列は、神通さん、時雨、夕立、満潮、伊26? さんと……赤城さん。

 

 集合場所? に着いて赤城さんを見た時には目と頭と常識を疑ったね。香取さんの驚き顔なんてスーパーレアまで拝めちゃうなんてよ。……やっぱりおかしいだろコレ。

 そして俺たち側に居るこの白いのは誰だよ。初めて見るんだけど……。

 

「まるゆの予定も空いていて助かったのであります」

 

「いいえ、全然大丈夫ですっ! 頑張りますね!」

 

……どちら様なんです?

 

あの子は陸軍出身の潜水艦よ♪ 仲良くしてあげてね♪

 

 えぇ……何やってんの陸軍。陸上で潜水艦が使える訳ねぇじゃん。それでもマジで潜るってんなら……

 

地中……土竜(モグラ)かな?」

 

「今……今モグラって……グスッ……あんまりですぅ~!」

 

 ……地雷だったの? そんな泣きそうな顔しないでよまるゆ? さん? ……滅茶苦茶語感悪いなぁ……。

 やるからには勝ちたいけど、こんなので勝てるかなぁ……。

 

「スチュワートさん」

 

 そう思って夕立に乗せられたことを若干後悔してたら赤城さんに声を掛けられて、振り向いたら……

 

 視界が真っ黒に染まった。

 

 

 

「はぇ?」

 

「……私が無理を言って合同演習(ここ)に来たのは貴女を打ち倒すためです。……ですから、これを」

 

 黒。それが俺の盾だと理解したのは、盾を突き出した赤城さんが、盾を引っ込めつつ下に降ろして俺の視界が開けてからだった。よく見ると後ろに居る時雨が投擲物を持っていた。

 

「おぉ……ありがとうございます。……おいそれと負ける訳にはいかなくなっちゃいましたね……」

 

 受け取ってから投擲物を腰に、盾を手に……あっ、なんかすっげぇ馴染む……コレだよコレ。そして余った砲は香取さんへ……

 

「……何ですかソレは?」

 

 香取さんが俺の盾を怪訝な目で見てくる。この盾が普通の艦娘から逸脱しているのは重々承知だ。

 

「秘密兵器でも何でもない、ただのとっておきですよ。これが本当の護衛駆逐艦ってね」

 

 盾を持ってちょっと巫山戯る俺と、それを見て空気を張り詰める佐世保の皆。

 まぁ俺もなんと言うかね? 佐世保の皆……って言っても一部だけど、会えてテンション上がってんのよ。

 それに教官たちにも情けない所は見せられねぇし、負けたら後が怖過ぎるし……。

 

 対面して並ぶ十二人、その内俺を含む半分が獰猛な笑みを浮かべていたことが印象的だった。

 

 ……俺はそんなつもりは無いけど、他の人は戦争でもおっ始めるつもりなの?




夕立は出せば強引に場を動かせる便利ポジ。(作者視点)
赤城さんの一方的なリベンジマッチが始まる……

教官No4 ―――まるゆ
 弱すぎる、弱過ぎるからこそ同じ土俵で戦う為に頑張った影の努力家(という設定)
潜水艦としての基礎はマジモンのガチ。潜水艦同士で戦っても引けを取らない。
そんな彼女は、教官として今日も潜水艦の教育をしている。

え? バランスがクソ? ……そんなの気にしてたら負けだよ!
え? ゲームシステム? ……んなもんありゃあしねぇんだよ!
え? シナリオ(文章構成)がクソ? ……。

……次回は4/20 予定です。
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