私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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64話です。

4章幕間です。
うん。5章じゃないんだ……済まない……

金週だからたくさん投稿したいけど……なんでゲームも揃ってイベントやるん?




4章 ~幕間~

・会議 黒幕と主人公

 

▼――――――――――

 

 とある部屋には人が集まっていた。それなりに広い部屋で椅子の数も十分なのに “何故か” 部屋の両側の人口密度が高く、逆に間の空間には誰も座っていない。

 

 そんな二つの集団が睨み合っているような剣呑な空気の中、一人の男 ――― 司会役が口を開く。

 

「皆様、忙しい中お集まりいただき有難う御座います。失礼ながら、前置きは省略させて頂きます」

 

 実に簡潔な挨拶と共に議題に入ろうとする司会役の男は、手元の資料を見たまま顔を上げずに話し続ける。

 

 部屋の中に集まっていた人の中で彼の立場や地位は低く、彼自身も今の役割を誰かに押し付けられたのだろう、緊張からか額から冷や汗や脂汗を滲ませながら喋る彼の 「出来るだけ早く終わらせてしまいたい」 といった願いが感じられる実に素早く、どこか投げやりな進行に……ついに文句は飛んでこなかった。

 

「……皆様の耳にも既に入っていることでしょうが、今回の議題は、『佐世保鎮守府に配属された黒川提督が、艦娘の手によって殺害されたこと』となります。お手元の資料をご覧ください」

 

 そう司会役が言う前、既に資料を捲る音が部屋に満ちていた。あちらこちらから感心するような呟きが漏れるのは、資料の準備もさせられていた司会役の男の資料が上手く纏められていたのか、それとも別の理由があるのか、司会役の男には分からなかった。

 だが、それだけでも彼の思考を乱すには十分過ぎたようで、

 

 それでも男は司会をしなければいけない。それなりの室温だというのに震えが止まらない唇から、言葉を出し続ける。

 

「先日―――……」

 

 

 

 

 

「……―――以上です。質問や意見はございませんか?」

 

 三十分くらい経ち、彼の手元の資料(カンペ)が手汗でふやけて来た時、佐世保鎮守府に行った憲兵と不知火の話から纏めた情報が出尽くしたことで区切りのような雰囲気になった。

 

 ここまで大きな失敗をしていなかった彼からは安堵している様子が窺える。既に殆どの人が彼への興味を失くし、反対側の集団へと穏やかではない視線を送りつけている。

 彼は「一区切りした時にはだいたい仲間割れし始める」という “心優しい” 同僚からのヒントをを信じ、必要最低限の質疑応答の資料しか用意していなかった。用意する時間が無く、これしか用意出来なかっただけかもしれないが。

 

「ふぅむ……この艦娘、スチュワートと言ったな?」

 

 一つの質問が司会役の男に飛んでくる。

 

「はい、アメリカの旧式の駆逐艦の艦娘であるようです。現在は、この大本営で謹慎しているとのことです」

 

何だと!?今すぐ解体処分するべきだ!

 

 質問をした男が返答を聴いた瞬間、勢いよく椅子から立ち上がり、顔を赤くしながら反対側の集団に向かってそう怒鳴り散らした。

 予想外の反応だったのだろう、司会役の彼は自分に向けられているものではないと感じながらも、怯んで動けなくなってしまっていた。

 

「……全く、司会進行の話や手元の資料を見たら黒川提督に問題があったことなど一目瞭然でしょう。貴方は一体何を見てたんですか? 寝てたとでも?」

 

 反対側の集団からはこのような言葉が出てくる。非常に冷静にそう答える男からは、解体処分と言った茹蛸のように真っ赤な男とは対照的に、白イカのような涼やかな印象を感じられる。

 

 司会役の彼は、このやり取りが引き金となって口論が始まり、徐々にヒートアップしていくにつれて存在感が薄くなっていき、遂には誰の視界にも入っていないと確信できてしまっていた。

 

どうしよう……

 

 確かに彼の目の前に広がる光景は、艦娘と黒川提督のどちらに今回の一件の責任があるかを、両陣営が互いに押し付け合っているように彼の目には映っていた。

 それは正に彼が聴いていた「仲間割れ」という言葉にピッタリで、彼よりも遥かに偉い立場の人たちの矛先が、間違っても自分に向けられないよう、彼は艦娘を擁護する側の後ろの隅に移動し始めた。

 

ふぅ……

 

 本来ならばやってはいけない司会進行の放棄。だが、忘れられているならば落ち着くまでは休めるだろうというのが彼の考えのようだ。

 

 

 口論は終わりが見えないまま、両陣営の意見は平行線のまま続いていく。

 

……君。司会進行だよね?

 

「うわっ!? ……は、はいそうです!」

 

 彼に話しかける人が居た。

 

 謝罪しようとした彼を手で制した男は、彼の隣まで椅子を引っ張り腰を下ろした。

 

「……見たところ君は研修生だね?」

 

「そ、その通りです」

 

「この話し合い、君はどちらに責任があると思う?」

 

 一つの質問が彼に投げかけられた。

 

「……自分は、黒川提督のやり方に問題があったと感じます」

 

「理由を訊かせてもらえるかな?」

 

 返答する彼には迷いは見えず、理由を訊いてくる男。

 

「まだ研修中の身ですが……。ええと、今の艦娘は皆知らないだけで、艦娘、ひいては妖精と何かしらの条約のようなものがあって、内容は提督に就いた人に知らされると聴きました。……これは自分の予想ですが、条約の内容は『人として扱うこと』だと思います」

 

「どうしてそう思ったんだい?」

 

「えっと……深海棲艦と言う脅威が世界中にあって、一刻も早くソレを取り除きたいならば、今頃艦娘と言う存在を最大限活用するマニュアルなどが作成され、それに則った運用がされていてもおかしくはないと思いました。

 ですが、実際には横須賀鎮守府の様子や、資料にもある以前の佐世保鎮守府の様子から、艦娘を機械のように扱うような様子は見られませんでした。

 このことから、最も効率の良い深海棲艦撲滅をしようにも出来ない状況であると、以前から予想していました」

 

 彼が自分の考えを男に話す。すると男は嬉しそうな顔をする。

 

「うん。……それに、黒川提督のやり方は、最大限活用するにしても杜撰すぎる。艦娘を道具だとしても、普段からの手入れを怠ったらまともに機能しないのは常識なのにね。今回は見事、手に持った銃が爆発したようなものだと私は思ってる」

 

「……」

 

 黙る彼の手を取って男が立ち上がる。そのまま男は彼の腕を掴んだまま両陣営の間の通路に向かって歩き始めた。

 

「えっ!? あの……」

 

全員、よく聞いて欲しい!

 

 大声で互いに口撃しているんがないかと疑われるくらい白熱し騒がしくなった部屋に、更に大きな声と共に目立つ場所へと躍り出た二人組。

 予想外のことに部屋は先程までの喧騒が噓のように静まり返る。

 

「なっ……何ごと―――

 

今私の隣に居る彼は、実に素晴らしい回答を私にくれた! 艦娘反対派の皆様、忘れているんじゃないですか?

 

 男は艦娘反対派と呼ばれた陣営の方を向く。

 

艦娘というのは! 元々妖精のモノで、我々は指示する権利を与えられているだけだということを!

 

 ちょっと偉そうな男からは、有無を言わせない気迫が発されていた。艦娘反対派の方からも、親艦娘派の方からも、騒めき一つ聞こえてこない。

 

「……隣の彼は、まだ研修生だ。そんな彼でも分かっているのに……いいですか? 艦娘は、内容までは言えませんが、 “条約” によって守られています。そして今回の一件、黒川提督の行いは条約に抵触している可能性が非常に高い。ほぼ百パーセントと言っても良い」

 

「……だが殺すのは良くないだろう」

 

 艦娘反対派の中心に座っていた男、リーダー格だと思われる男が口を開く。

 司会役の男は、もう何が何だか分かっていなかった。所謂パニックだった。

 

「えぇ確かに殺すのは問題があると思います。ですが、そもそも黒川提督を配属させた我々にも問題があると考えませんか?」

 

「ふむ……確かにその通りだな。君達には―――」

 

 再びギスギスしてきた空気の中で、相変わらず話を続ける男に肩を持たれた彼は、混乱のあまり無に帰ろうとしていた。

 そんな彼は「どうしてこうなった」と心の中で叫んでいた。

 

 

 

 

 

 虚空へ消えようとしていた彼の意識が再び部屋に戻ってきたのは、再び腕を引かれたからだ。

 

ほら、司会進行は君だろう?

 

「え……」

 

大丈夫だ、件の艦娘を解体することに賛成の人~って言っておけば何とかなる

 

「え……」

 

 それからは何も言われず、背中を押されて最初に居た位置まで戻ってくる。

 

「で、では……件の艦娘を解体することに賛成の方は、挙手をお願いします」

 

 彼が、言われた通りに採決をとる。

 

 手を上げる人は殆ど居なかった。

 

 これで今回の艦娘の処分についての話し合いが終わった形になったと、確かに何とかなったと、彼は安堵した。

 

「それでは皆様、長時間の討論、お疲れ様でした」

 

 彼がそう言うと、忙しそうにそそくさと出ていくもの、悪態を吐きながら部屋を出ていくものと様々だったものの、そう時間が経たない内に人が居なくなった。

 

「今から後片付けか……」

 

 そんなことを呟き、手際よく椅子と机を元通りに並べていく彼。元はと言えば直感に優れた同僚から押し付けられた仕事であり、本来彼は休日だったのだが。

 

「それでも偉い人相手にイライラした感情を向けるのは違うよね……」

 

 そう彼落ち込みながら最後にスクリーンを片付けているときだ。

 

「君は中々見所があるね。もし良かったら、先日の会議で決定した大湊警備府に提督として配属されてみる気はないか?」

 

「……」

 

 背後から突然声を掛けられた。

 

 突然の事に驚いたからか、それとも内容が突飛過ぎて理解できなかったからか、それとも上手く聞き取れなかったからか、或いは全部かもしれない。彼の口からは呼吸さえも出ていなかった。

 

「ああ、今すぐ答えろとは言わない。それで聴いておきたいんだけど、君の名前は?」

 

「自分は―――」

 

 ここからは次の物語

 

▲――――――――――




・書いてる時
 う~ん……こんな設定出して大丈夫かな……絶対後で後悔するぞ……

・今
 どうせ偉い人達しか関係ないしフレーバーだな! 放っとこ!

二人称って難しいですね!? 出来てるかも分からないけれど……
会議なんてしたこと無いから分からない! (SAN値0)
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