金週ブースト!
……【勘違い】タグ付けました。
「応援で来てくださった皆さんは何をして来いとか、具体的に指示されてるんですか?」
時間は昼前、ちょっと早いけど食堂に集まって昼食を食べている。
「そうね、私達は横須賀鎮守府……と言うよりは、大本営からの指示に近いわね。私は置いといて、伊良湖さんは鎮守府の衣食住を支える為にここに来てる感じね」
それはまぁ……何となくで分かった。佐世保でも間宮さんと一緒に厨房に立ってたし、今俺たちが食べている昼食だって伊良湖さんが準備してくれた。
「それで、私達の持ってきた荷物は資材よ」
資材ってあの……臭くてドロドロしたアレとか、滅茶苦茶重たいアレとかでしょ?
「……スチュワートさんが考えてるのは集める時だよね? それとは違うから大丈夫」
長良さんと遠征に行ったときのことを思い出して渋い顔をしてたらしい。長良さんが訂正してくれる。
どうやら遠征で集めた資材はそのまま妖精さんに預けられて、なんやかんやあって精製されるんだとか。なんやかんやって……滅茶苦茶フワッとしてるけど、多分
実際デカいバッグから出された弾薬は錆び付いてるソレではなく、ドラマとかに出てきそうな綺麗な金色になっていた。
「うーちゃんはスチュワートの見張りだぴょん!」
綺麗なモンだな~なんて感心していると、横から卯月が聞き捨てならないことを言ってきた。
「は?」
おっと思わず素が。見張りって何だよ?
「スチュワートが変な無茶をしないようにするために見張ってるぴょん!」
「勝手にこう言ってるだけだから気にしないで。私と一緒に遠征で資材集めよ」
じゃあ何時ものことだろうし放っておこう。あとはアレか、人数少ないから賑やかしも兼ねてそうだな……。
「大鷹さんは近海の見張り役で、私は初期艦としてのいろはを教える為に来ました!」
五月雨が言う。空母、軽空母の見張りは多分テンプレなんだろうな。実際範囲が広いだけあって効果的だし。それと五月雨は言葉で説明するだけで大丈夫だ……頼むから動かないでくれよ? 伊良湖の料理手伝うって言って指切ったの知ってるからな?
「衣笠さんは基本暇かな~。精々漁船の護衛か、みんなが相手するのキツいのが出て来た時に動くくらい」
「じぃー……ハッ!? 巻雲は……遠征か近海の哨戒をフレキシブルに対応します!」
虚空を見つめていた巻雲が衣笠さんに突かれて戻ってくる。アレだな。猫が何も無いところを見つめるアレ。
一通りの紹介が終わった。物凄く貧弱な配置だけど人数が少ないから仕方がない。でも近海での漁は比べ物にならないくらい安全になるだろうし、イムヤと長良、卯月が居るから資材の確保も大丈夫……だろう。でもこの辺は明日来る提督に任せよう。ド素人の俺が軽率に手を出しちゃいけないヤツだ。
「じゃあ五月雨さん。この後何をしたら良いか分かりますか?」
頼られたからか、五月雨が嬉しそうに答える。
「はい! まずは大淀さんと明石さんの建造からですね!」
「その前に食器の片付けをお願いします」
厨房から会話を聴いていたであろう伊良湖から声が掛かる。素早く五月雨の食器を回収した俺は、何食わぬ顔で食器を片付け始めた。
「ええと……どこ行っちゃったんだろう……あった!」
工廠に移動してから、背負っていたバッグを漁り始めた五月雨。横須賀から来た二人が持ってきたデカい荷物は俺が運んできた。……まさか台車に乗っていたとは。気が付かなかったなぁ……。いや、あんなの持てる訳無いって常識的に考えたら分かるだろうに……。バカか俺は。
目的のものを見つけた五月雨が、ソレ―――何かの紙を妖精さんに渡し、確認した妖精さんたちが大量の資材と共に工廠の奥へ消えていった。
工廠の奥にあったシャッターが閉まっていき、完全にシャットダウンされてから五月雨が言う。
「……これで大丈夫です!」
本当か? 信用していいの?
「……ところで、今妖精さんに渡したのは何ですか?」
「大淀さんと明石さんの設計図です!」
「……」
スゲーよ……誰かの設計図なんてサラッと言えちゃう辺りやっぱり違うわ~……
あまりにもサイコな言動にドン引きしつつ、悟られないように適当なアクションとして咳き込んでおいた。
「……それで次は何をしたら良いんですか?」
「とりあえず食堂に戻りましょう。皆さんも待っている筈です」
―――――
―――
―
布団の中で一日を振り返る。
「どうせ忙しくなるのは明日からだし、今日は早く休みましょう」という提案で割と早い時間からこうして俺を含め、各自適当な部屋で休んでもらっている。
……結局、佐世保鎮守府と舞鶴鎮守府から運ばれてきた資料の片付けは、五月雨と、長良さんが手伝ってくれた。その後は本当にやることが無くなったので、大鷹さんと一緒に海を眺めていた。
話によると、今までは横須賀鎮守府が態々ここ、青森の辺りまでカバーしていたらしい。
素人の俺でも分かる通り、そんなアホくさい問題を偉い人達が見過ごし続ける筈が無く、大湊警備府を~って話らしい。
それでその時にこの辺のカバーをしていた艦娘達の休む場所が何故かここ、大湊警備府だったらしい。
「なんで岩手とかじゃなくて態々青森……」
偉い人達の崇高、且つ深慮極まる考えは俺には分からなかった。
「後は……日記でも書いてみるか?」
これは衣笠さんに言われたことだ。続けられると案外楽しいらしい。正直三日坊主になるのとは予想してるけど……今は時間があるから持ってきていらノートを開く。
―――今日は初期艦として大湊警備府に配属された。特に書くことが思い浮かばない。これを読んでる未来の自分は初心とかを忘れていないだろうな?
「
滅茶苦茶中二臭くて、見返して笑った。でも後で見ると恥ずかしさのあまり首吊りまであるから、このページを破ってからゴミ箱に入れた。
確かに暇潰しには良いかもしれない。
「……寝よう」
窓から見える夜空の星が綺麗だった、まる。
朝、目が覚めて、暫くの間、夢と現の間を揺蕩い、そういえば今日は提督が来るんだったと思い出して飛び起きた。
悲しいかな、すっかり着るのに慣れてしまった服を着て食堂へ向かう。
「おはようございます」
「おはようございます。スチュワートさん、早いですね」
「そうですか?」
そんなことを伊良湖から言われるけど、少なくとも俺より先に食堂に来ていた人には言われたくない。
呉鎮守府から持ち込まれた、それなりに保存の効く食べ物を調理している伊良湖さんの脇で、コーヒーを淹れる。佐世保鎮守府から出発する前、田代提督から給料だと渡されたお金で買ったものだ。鹿島さんから教えて貰ったお洒落な淹れ方を試してみる。ミルクや砂糖の有無しか分からない貧乏舌だからそんな些細な違いが分かるとは思えないけど……。
そんなこんなで伊良湖ともお喋りをして時間を潰す。なんでも、ここで間宮さんや伊良湖が建造されたら帰るんだとか。まぁ、自分とは会いたくは無ぇわな。
長良さんが食堂に入ってきて、それから卯月を除く全員が集まったところで朝食になった。わざわざこんな多い部屋数の中で卯月を探そうとは誰もしなかった。今日から忙しいって言われてたんだ。朝くらいはゆっくりしたい。
♪~「艦娘の皆さん、提督がお見えです」
朝食後、卯月がやっと食堂に現れたときにアナウンスが響いた。時間は八時丁度。他人と待ち合わせるなら早過ぎるけど、業務開始だとすると丁度良いのかもしれない。
「行きましょうか」
俺がそう言うと卯月が急いで朝食を食べ始めた。ちょっとどころかかなり行儀が悪い上に、
ゾロゾロと九人で警備所まで歩く。
そこに立っていたのは見たことのある白い服に身を包んだ、とても若い男だった。歳は三十も行ってないだろう。相当優秀で人が出来てる超人か、俺みたいなヤベーヤツの提督を押し付けられた可哀想な新人かのどっちかだろう。
だけど、しっかりと時間を守る辺り好感が持てる。
「おはよう」
「「「おはようございます!」」」
「……」
「……」
互いに挨拶をして……無言の時間が生まれた。
……滅茶苦茶気まずいんだが? なんて思っていたら後ろから指で突かれる。恐らく俺が何かを言わなきゃいけないんだろうけど……何も思い浮かばねぇ……。
「……提督、お待ちしておりました。どうぞ中へお入りください」
「あ、ああ……ありがとう」
え、何あの反応……俺何かやらかしたか? 日本語がおかしかったとか? ヤベェ……五月雨大先輩に提督お出迎えのデモンストレーションとかやってもらえば良かったなんて思うけど、時すでに時間切れだろうな……。
でも考えてたってしょうがないし……。
取り敢えず新しい提督の持ってた荷物を手に持って「こちらです」なんて言えたのは俺にしては上出来だと、自画自賛しておいた。
この世界では艦娘はドロップしません。故に皆建造で生まれます。
そして一つの鎮守府所属の艦娘は一人まで……
つまり、250回も建造すればみんな揃う!(海外艦除く)
夢のような設定だぁ……