私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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81話です。

展開どうしよう……

シナリオのメモ(予定表)に書いてないこと(レ級の出現)やってるから私のアドリブ(ちから)が試されますよ今回……


超ド級の問題児

 戦艦レ級

 

 『艦これ』未プレイの俺も良~く知ってる。

 キチガイ染みた笑顔が特徴的な深海棲艦の一種類。

 

 多くの「提督(プレイヤー)」曰く

 

「ボスより危険」「イベント出禁もやむなし」

「ぼくのかんがえたさいきょうのせんかん」

「飛ばない宇宙戦艦ヤマト」

 

 なんて、どう考えてもそこらのマップに出てくるイベントボスでもないキャラには不釣り合いなとんでもない評価を受けていた。

 

 そして人間っぽい見た目も合わさり人気が高い。俺の目に入って「ちょっと調べてみるか」なんて思わせるくらいにはインパクトがあった。

 だからちょっと調べてみたらたら、提督達がレ級に付けた評価が過剰なものじゃないと文字だけで分からせられる記事ばかり。そりゃあ一ターンに高火力の敵が複数回、しかもボスより多い回数行動してくる故に事故率が高いなんて嫌われるわ……。

 

 そんなヤベー相手が今、目の前にいる。

 

「……」

 

「~~♥」

 

 あぁ、これはダメだ……。レ級の目線が俺にガッチリ固定されてる。

 まるで新しい玩具を発見した犬みたいな……

 

 スクリーン越し(二次元)目の前にいる(リアルの)レ級に違いがあんまり無いってのもおかしな話だと思う。可愛く描かれたイラストとは似ても似つかないマジキチな笑顔が滅茶苦茶怖い。

 長波たちが相当頑張ったんだろう。レ級の合羽みたいな服も随分ボロボロだし、足っぽいところと顔も血で赤くなってるのも恐ろしさに拍車を掛けている。

 

「ヘヘッ……ヘヘヘへ……」

 

 怖すぎて苦笑いしか出てこない。

 だけど、後ろには重症の二人が居るからレ級を通す訳にはいかない。

 空母、軽空母、軽巡と駆逐艦二人の五人を撤退まで追い込んだレ級を相手に駆逐艦が単騎で挑むなんて自殺行為以外の何者でもないんだろうけど、男にはやらなきゃいけない時がある。

 

「お前なんて……お前なんて恐くねぇ! ぶっ殺してやるぁ!

 

「―――! 

 

 

 

 

 

 提督達の間で蛇蝎の如く嫌われる強敵、戦艦レ級を駆逐艦の俺が相手をするにはやらなきゃいけないことが沢山あるけど……まず最初に距離を取る!

 

「という訳で死ねぇ!

 

 魚雷を一発発射、オマケに一本ブン投げてから後ろに全速力で移動。相手は戦艦だから香取さんの教えに従って移動速度で勝負する。移動速度が低いなら引き撃ちだよ引き撃ち。

 

 水飛沫が晴れてレ級が現れた。

 

「チッ……」

 

 こんなので倒せ訳が無いと分かっていても舌打ちが抑えられない。ケロッとしやがって……キチガイスマイルの所為でダメージが入ってるかどうかも分からない。

 

「~♥ ケヒヒッ」

 

 一層凶悪な笑顔を浮かべてレ級の尻尾が口を開けて ――― ヤバイ!

 

「ぅおっ……っぶねぇ~」

 

 滑るように横に回避したから奇跡的に当たらなかった。

 「アレ? おかしいな……」って顔をしてるレ級に砲を撃つが、(みぞれ)が鬱陶しいと言わんばかりに目の辺りを腕でカバーするレ級。その間にも尻尾は気持ち悪く蠢いている。

 

シュオォォォーーー

 

 レ級の周りに黒い点が出て来たと思ったらさっき聞いたような音が聞こえてくる。

 

「あっ」

 

 そういえば艦載機飛ばしてたのアイツじゃん! 何で距離取ったんだ俺。

 赤城さん程では無いにしても艦載機の中を近づくのは簡単じゃない。どうして盾を持ってこなかったんだ俺……。

 

「―――?」

 

 何か……来る? って違う! コレ魚雷じゃねーか! 

 

 またしても横に回避。派手に水飛沫を上げた後、俺がさっきまで居た場所の海面が細かく波撃っている。

 チラリと上を見て見れば艦載機が飛んでいる。波打つ範囲が徐々に俺の方に寄ってきて……

 

「クソッ!」

 

 体勢を何とかして艦載機の攻撃範囲に入らないように左へ右へ動き続けながらレ級の周りを円を描くように移動し続ける。後ろに下がり続けたらこっちの攻撃も当たらないし、艦載機がある以上距離を開けるのは非常に宜しくない。

 

 どうする……投擲物投げちゃおうかな……。でもレ級が更に切り札とか持ってた時の為に取っておきたいし……。

 でもこのまま逃げ続けててもジリ貧だ。だって攻撃させてくれないんだもんレ級。

 

「腹立つぅ……」

 

 俺が必死こいて艦載機から逃げてるのに忘れた頃に魚雷が襲ってくるこの厭らしさよ。

 それで魚雷を避けたら艦載機からの銃弾に掠ったりしてして、少しづつダメージを受けているのが現状だ。少しでも余裕が出来たら砲は撃ってるんだけど……ダメージを与えてる気にならないのもストレスの原因になってる。

 

「ああああっ! 腹立(はら゛だ)づぅっ!」

 

 それに加えて、上ばっかりじゃ駄目ですよ~? って煽ってるのかと言いたくなるような笑顔なのが腹立つ。

 しかもこれでまだ砲撃をしてこないどころかレ級本体は動いてすらない辺り完全に舐めプされてるのが分かるから尚更イライラする。だけど砲撃までされたら避けることすら碌に出来ないままボロ雑巾にされるのは間違いない。レ級が動いたら? そんなの考えたくない。

 

「ああああっ! おっ?」

 

 視界に影が映った。

 

 

 

 やったぜ。救援だ。助かった……。

 

 

 

 

 

「ん? ……ハァッ!? 冗談じゃねぇぞ!

 

 よく見て見たらカラーリングが黒と白。……深海棲艦だ!?

 アレは……駆逐イ、ロ級と軽巡ホ……いや、ヘ級だな。あとは重巡リ級と空母ヲ級も……?

 ただでさえ舐めプしてるレ級相手に逃げ回るのにいっぱいいっぱいなのに追加とか無理。

 

「死んだわコレ」

 

 時間稼ぎも出来ないと悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガアアアアアアッ!

 

 今まで艦載機、時々魚雷のレ級がいきなり吼えた。そして移動を始めた。

 

 やって来た深海棲艦たちの方に。

 

「えっ?」

 

 え? 意味が分かんないんだけど……。

 

 レ級の行動がサッパリ理解できない。それは俺だけじゃないみたいで、深海棲艦たちも完全にフリーズしてる。やっぱり俺は間違ってないよね。レ級がおかしいだけだよね!?

 

 レ級が出した艦載機も急旋回して深海棲艦の方に向かっていったみたいで、固まっていた深海棲艦たちにしばらく弾を浴びせたと思ったら、そのままイ級に突っ込んで爆発を起こした。余った艦載機が同じようにロ級に突っ込んで爆発した。

 やだ、何アレ怖い……。

 

 その間にも本体は深海棲艦たちに近づいていて、距離を離そうとしていたヲ級と、迫りくるレ級の間に立ち塞がるヘ級 & リ級という図が出来上がっていた。

 そしてレ級がスピードを緩め……ない!? そのまま突っ込んで ――― ヘ級がなんか爆発した。多分ゼロ距離で魚雷でもブッ放しんだと思う。

 それにしてもワンパンとかヤベェよ……。軽巡でアレなら俺なんて木端微塵になるわ。

 

 リ級の脇をすり抜けたレ級がヲ級に近付いて……尻尾で噛みついた。

 そのまま空中まで持ち上げられたヲ級が爆発した。デカイ穴が開いた ――― どころじゃない。胴体とか千切れるとかどんだけ火力あんの……?

 

 

 

 目の前で爆発が多いスプラッターな仲間割れを見せられた俺の頬がピクピクと引き攣っているのが分かる。今も視線の先でリ級がレ級と撃ち合って……やっぱり負けた。

 

「ハハ……」

 

 鎧袖一触、一騎当千。そんな言葉が頭に浮かぶ。そしてすぐに諦念に塗りつぶされた。

 砲撃は強い、魚雷もヤバい、それらを何とか掻い潜って近づいたとしても近距離だと尻尾に捕まる。そしてこれらの攻撃がほぼ全て即死級ときた。逃げようにも艦載機がある以上逃げ切れはしないだろう。

 

「……」

 

 もう無理だと俯いた視怪にレ級の脚が入り込む。

 

「~♪」

 

 視線を上げると食後のデザートと言わんばかりの顔をしているレ級が居た。

 

「……ふざけんなよ……

 

 レ級の顔を見て、諦念の中に僅かに残った反骨心が燃え上がる。

 誰がお前なんかのおやつになるか。

 

お前のおやつ程度で終わってやるかよ!

 

 腰に下げた投擲物 ――― 赤い缶を叩きつける。

 銃弾も、魚雷も今まで碌にガードをしてこなかったレ級は、果たして今回も真正面から受けて燃え上がった。

 

「ガアアアッ!!」

 

 苦し気に呻くような声を上げるレ級に、次は黄色い缶を投げつける。

 投げた直後に振り返って全速力で移動を始める。耳を塞いでおくのも忘れない。

 雷が落ちたかのように光って、耳を塞いでも分かる音が聞こえた。

 

 チラリと後ろを見て見ると、火を消そうと滅茶苦茶に暴れるレ級の姿があった。

 

「もうやだ……」

 

 取り敢えず今は、味方の居る場所まで……

 




主人公にトラウマを植え付けたレ級先輩はやり過ぎです……。
レ級の強さとヤバさを表せた(つもり)で満足してます。
次:ちょっと忙しいので4日後です。
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