書くこと無いので、以下本文です。
レ級から逃げてから三十分くらい経った頃、ようやく遠くの方に人影が見えた。うん、凶悪そうな尻尾も奇妙な被り物もないから普通に艦娘だ。良かった良かった。これで追いつかれて即殺される心配はほぼゼロになっただろ。
「助かった~……」
いや~死んだと思ったね。やっぱり『艦これ』に於いて強敵扱いされて、実際に五人も退けた強さは本物だった。
果てには深海棲艦も攻撃し始める上に鎧袖一触ときた。しかもアレで舐めプな上に手負いなんだぜ? 完全にヤムチャ視点ってやつだろ。
「おい! 大丈夫か!?」
遠くから声を掛けられた。この声は摩耶様? ……だね!
「ここに摩耶さんが居て助かりました……」
これに尽きる。
悪く言うつもりは無いし、今は遠征で居ないけど、此処に居たのが暁だったら間違いなく一緒に逃げるように全力で説得ロールをしただろう。
そんなことは置いておいて……
レ級とかいうとびっきりヤベーのから逃げて来たんスよ~。後ろから追いかけて来るかもしれないから気をつけてくださいね~……っと。
長波から聴いてるかもしれないけど一応伝えておこう。
「やっぱり聞き間違いじゃなかったってことか。……にしても、レ級とか冗談キツイぜ……」
俺もそう思います。
そんな強敵はもっと強い鎮守府狙ってくれって感じなんだけど……どうして貧弱な
「なんだ? 怖いのか? だったらあたしの後ろに居な! ……そうだ。どうせなら、近くに居るヤツらを呼んで一気に叩こうぜ!」
か……カッケー! もう……語彙力が死んだ。
「でも呼んできてもどうすっかな……。自慢じゃねーが、あたしは考えるのが苦手でね」
あ~……なんかそれっぽいわー。口より先に手が出そうだもんね。
「摩耶さん、私に考えがあります!」
冗談半分に某ライダーの名台詞を言おうとしたら誰かから肩に手を置かれた。ぬぅ……何奴!?
「一緒に「「一緒に戦いま
あっ、セリフ取られた……。
「あんたらは……」
摩耶様が呟き、俺は振り返る。
「!?」
金剛さん!? と……日向さん? いや、声が違うから伊勢さんだろうな?
「……」
アイエエエ!? 戦艦!? 戦艦ナンデ!?
ゴウランガ! バカナー! オボボーッ!
確かウチには戦艦は居なかった筈……。だからこんな非常事態の中の非常事態に駆けつけてきてくれた人たちの所属先はしっかりと聴いておかないといけない……けど、いつレ級が来るか分からないから、後でも良いか。
「あんたらは、何処所属の艦娘だ?」
……俺が遠慮したら摩耶様が訊いちゃった。流石は直球勝負の摩耶様だと思う。確かに気になるし、後ろや隣は信頼できる仲間に任せたいからね。
「私は大湊警備府所属の超弩級戦艦、伊勢型の一番艦、伊勢よ」
「Me too デース! 金剛型高速戦艦の金剛デース! ヨロシクネー!」
「えっ……よ、よろしくお願いします……」
嘘でしょ? ウチの戦艦ン!? この土壇場に建造……しかも戦艦が二人とか、相当資材ブッ込んだんじゃないか? 駆逐艦とか海防艦が来たら頼りなさ過ぎて目も当てられない事態になるってのに……。ギャンブラーの素質あるぜ提督……。
「……あ、私も大湊警備府の駆逐艦、スチュワートです」
「あたしも同じとこの摩耶ってんだ、よろしくな。……それとスチュワート、アレがあんたの言ってた戦艦レ級で間違いないよな?」
自己紹介もそこそこに、摩耶様が指した先には黒い点。
輪郭も分からないのに特定は出来ないっスよ摩耶様……。
シュオオオオォォ……
……聞き覚えのあるめっちゃ強いガスバーナーみたいな音。
そしてグングン大きくなる点は輪郭が分かるくらい大きくなって……はい、レ級です本当にありがとうございましたぁ!
「レ級です!」
「よっし! この摩耶様相手に艦載機を飛ばしたこと、後悔させてやるぜ!」
「良い感じの初陣にしないとね!」
「Yes! 私の実力、見せてあげるネー!」
めっちゃ頼もしい味方と共に第二ラウンドだ。
本当に俺が何をしたって言うんだ……。
何? 一番
艦載機も摩耶様と伊勢さんが処理して、手の空いた金剛さんは……最初から殆ど何も出来なかった。
それも全部、レ級が異常なまでに俺を追い掛け回しているのが原因だ。レ級を狙ったら俺に当たるかもしれないってことで、今は三人とも手出しが出来ない状態になっている。
「ガアアアァッ!」
「待っ……!」
噛みついてきた尻尾を寸での所で回避する。
凶悪過ぎる牙が恐ろし過ぎる……しかも噛まれたら千切られるならまだマシってやつだろう。
「ゴメン、だねっ! っと……」
方向を変え、スピードを変え、……急に止まって左に避けたら慣性の法則っぽい挙動でレ級が俺の前に飛び出した。回れ右をして魚雷を後ろにポイ捨てしてスピードを上げる。爆発音が響いた。
チラリと後ろを見れば両腕でガードをしたのか、レ級が止まっていた。
引き離した!
「やっと撃てますネー! Fire~!」
「沈みなさいっ!」
「どーだぁ? ぶっ殺されてぇかぁ!?」
ずっと待っててくれたんだろう。レ級との距離が離れた瞬間に威勢のいい声と共に銃声が聞こえてきて……ハンパない数の砲弾がレ級の居た場所に突き刺さった。
……水飛沫でレ級が見えないんですけど……まだやるの? 戦艦二人と重巡からタコ殴りにされて生きてる訳ないだろ。既に海の藻屑になってると思うんだけど……。
「……」
なんか三人が楽しそうだったから俺も砲撃に参加しようと思ったけど、きっと提督が資材をすっからかんにしてるだろうし……今は駆逐艦の弾一つでさえ貴重なんじゃないかと考えて止めた。
どうせ戦艦の背負ってるバカでかい艤装に比べたら、
それよりも……銃弾は大切にして欲しいなぁ……
「……終わりましたか?」
銃声が鳴りやんでから三人に言う。
「「「……」」」
何で黙るんだよ……目を逸らすんだよ……。
「えっと……まさかとは思いますが……」
意味もなく死体蹴りをしたと? 戦艦と重巡が? 意味もなく? 三人で!?
「ちっ……違う! それはアレだ! …………レ級は危険だから、しっかりと止めを刺しておかないと危険だろ?」
「そっ、そうよ!」
「その通りデース……」
いや、だいぶ苦しいよソレ……。
だって見てみろよ、足元のコレ。
もう原型分かんねぇじゃん。血も抜けてるから白い紙粘土と黒い布だったモノがバラバラに浮いてるみたいになってんじゃん。オーバーキルもいいとこだって……。
「……次はもう少し自重してくださいよ?」
伊勢さんと金剛さんは、初陣だったから
レ級が文字通り消えて、辺りを見渡すと遠くから影が沢山来たことに気が付いた。
方角的に警備府の方だから……終わったのか。
「フ~ゥ……疲れましたねぇ……」
大きく息を吐いて独り言を呟く。
長いようで短い警備府の危機は去った……と思う。
ちょっと天然っぽい(?) 伊勢さん
+
お馴染み『艦これ』の華、金剛さん
が
警備府の資材と主人公の胃袋の明日はどっちだ!?
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