お待たせしました。
Q.戦艦が来た途端レ級弱体化してない?
A.戦艦が来るまでは実質無敵。所謂負けイベを考えてました。
「大丈夫ですか!?」
遠くから来た団体様の先頭に居て、声を掛けて来たのは大淀さんだった。
後ろにはしっかりと整列された艦隊を引き連れていた。ところどころ服が煤けてたりちょっと穴が空いてたりする人が混ざってることが、あっちでも激しい戦いになったことを想像させる。
「そっちも大丈夫だったんですか?」
こっちみたいに戦艦が援軍で……なんてね。
そうなると資材が……ウッ 頭が……。
俺の純粋に聞こえる質問に対して「ええ」と答えた大淀さんが続ける。
「数は多かったですけど、対処しきれない程ではありませんでした。そちらも……無事で良かったです」
言い方からして苦戦とかはしなかったらしい。
無限湧きする雑魚を○○体撃破せよ! みたいな面倒くさい作業って感じだろうか?
それと、後ろに居る戦艦二人が来てくれたから大丈夫なだけであって、もし援軍が来なかったら
・艦載機の処理が遅れる
→ 俺とレ級の追い駆けっこで俺が捕まる
→ 俺が死ぬまでにレ級に与えたダメージが足りない
→ 暴れ足りないレ級のタゲが摩耶様に移る
ってなるのは確定的に明らか。そうなる前に逃げの一手を打つか、摩耶様が体を張って俺を逃がそうとするのは間違いない。そしてそのまま警備府のすぐそこまで追い込まれるところまではありありと想像できるぞ……。
……そう考えると相当危険な綱渡りだと思うんですが!? あのレ級何故か俺ばっかり狙うし……何回危ない場面があった事か……「無事で良かった」じゃないんスよ大淀さん。
……そう言えば大淀さん。あの戦艦の二人、
「ややっ! 戦艦のお方じゃありませんか! ちょっとお話を聴かせていただけませんか!? ささっ、こちらへ……」
「……青葉さんにインタビューを受けてるあの二人……伊勢さんと金剛さんが?」
そうだよ。
「驚きますよね? 提督はこんな時に建造したらしいですよ? 結果的に戦艦の人が来てくれたから助かったものの、そうじゃなかったら……」
「ま、まぁまぁスチュワートさん……助かったなら今は良いじゃないですか……」
「そうそう! 終わったってンなら嬉しそうにすれば良いのさ! イェーイ!」
いきなり後ろから肩を組まれて体勢が崩れた。オマケに耳元で大声を出されたから頭が痛くなった。
……ちょっとイラっとしたし、ひとつやり返してもいいだろう。
「……お風呂に入ってて出遅れたらしい江風さんじゃありませんかぁ!」
「う゛……ンなこと言うなよ~! 不可抗力じゃンかさ! ……え?」
ちょっと江風を揶揄ったら変な声を出してから言い返し、俺を三度見してから固まった。オモシロ挙動過ぎて噴き出しそうになったね。
「スチュワート!?」
「はいはいスチュワートさんですよ?」
驚かれるのは……もう飽きたわ。
人をビックリさせるのは本当に楽しいけど、普段はなかなかそういった機会が無いからそう思うのであって、こんなにポンポン驚かれると有難みが無い……。
傍でアレコレ訊いてくる江風をまるっと無視してそのまま村雨さんに押し付けつつ、大淀さんに話しかける。
「終わったのならそろそろ戻りましょうか? わざわざ戦艦まで建造までしてくれたせっかちで心配性な提督が待ってますよ」
「そうですね……皆さん、警備府へ帰投しましょう」
なんかの機械に向かってそう言った大淀さん。
すると大きな声でもないのにそれなりの数の艦娘たちが一斉に警備府の方へ進み始めた。ヘッドホンっぽいのにマイクが付いてて……なんかSFチックな機械に見えなくも無い。カッコいいぜ。
なるほど……アレを使って全体に指示を出してたって訳だ。
大淀さんみたいな頭脳派にあんなものを持たせたヤツは誰だ? 戦場の支配者って感じで黒幕っぽさが半端じゃない。大淀さんが提督の椅子に座る日もきっと、遠くないかもしれない ――― なんてね。
と、そんなことはどうでも良くて……。
初雪さんや、非番だったのに~なんて嘆かないでおくれ……。そのうち埋め合わせってことで何処かに休みの日を捻じ込んでやるから……。
「青葉さん? インタビューも良いですけど、二人も困ってるみたいですし、戻りますよ~」
「おや、いつの間にそんなことに……それではお二人とも、警備府に着いたら、またじっくりと話を聴かせてもらいますからね!」
このままでは梃子でも動かなそうな青葉さんに声を掛ける。
青葉さんはもう少し我慢してよ……警備府に着けば好きなだけインタビュー出来るんだから……。
「助かったわ……」
「デース……」
「……」
……ここに来た時にはやる気全開! って感じだった戦艦の二人が短時間でこんなにゲッソリと……。やっぱり青葉さんの取材はグイグイ来るから体力がゴッソリ持ってかれるよね……分かるわ〜。
「――― 以上で報告を終わります」
警備府に戻って、場所は執務室。
提督を前に大淀さんが報告を終え、俺はその横で空気との同化を試みていた。
面倒だし、あたしよりスチュワートの方がしっかりやれそうだから……任せた!」なんていい笑顔の摩耶様から報告する義務をプレゼントされた。嬉しさのあまり涙が……。
そんな俺だって、今までの遠征や出撃が終わった時の報告に居合わせたことが殆ど無いから実はどう言ったらいいか分からないんだよね。……という訳で、大淀さんに全部任せた。任せて良かった……。
「なるほど……スチュワートは?」
「えっ? ……え~っと……?」
俺に振られた!? 大淀さんが全部報告してくれたんじゃないの!?
「戦艦レ級を倒したんじゃないんですか?」
そんなことは分かってるんだけど……主に倒したのは戦艦の二人だし、逃げ回ってただけで貢献度の低い俺が報告するのは出しゃばりってるみたいでちょっと嫌だな~なんて。
やっぱりダメ? ……ええい、ままよ!
「……戦艦レ級の撃破を確認しました。編成は金剛、伊勢、摩耶、スチュワートの四人です。レ級出現以前の報告は、最初期に対応をしていた祥鳳、その援護に向かった大鳳、川内、長波、朝霜に確認してください」
「……分かった」
「それと、戦艦レ級が……交戦中に現れた駆逐イ級、ロ級、軽巡へ級、重巡リ級、空母ヲ級に襲い掛かる場面を目撃しました」
「! ……それは本当に?」
提督が再確認の為の言葉を漏らし、大淀さんも俺の方を見てきたから無言で頷く。
やっぱり疑うよなぁ……マジで意味わかんねぇもんなアレ。俺もポルナレフ状態だったしね。「レ級だけでヤバいのに追加の深海棲艦が現れて、死を悟ったらレ級がそいつらを片付けた」……うん、やっぱりあのレ級がおかしいね!
……それはそうと、アドリブにしては割と上手くいったんじゃなかろうか? 必要なことは多分全部言ったし……言ったよね?
「そうか……」
だから毎度毎度そんな反応だと分からねぇんだよ! もう少し詳しく、だとかさぁ……ダメならダメって言って? 言え。
「報告ご苦労様。ゆっくり休んでくれ」
ヨシ! 報告終わり! 今日はもう良いや……燃え尽き症候群ナリ……
「はい、失礼します」
「失礼しまし 「スチュワートはちょっと残ってくれ」……はい」
ゆっくり休めって言ったじゃん! 何が残ってくれなんだよ……ああっ、大淀さん置いて行かないで!
「……何か用ですか?」
不機嫌なのが全く隠せてないって感じになったけど、まぁええやろ。俺は悪くない筈だ。
それで提督、用事があるんだろう? そうなら早くしてくれ。俺は精神的に死ぬかもしれない目に合って疲れたんだから寝させて?
「スチュワート……無事で良かった……」
何故か悲しそうな、それで居ながらどことなく嬉しそうな顔をして提督が近づいて来て、頭に手を伸ばしてきた。
「えっ……」
触られたくなかったから横に動いて避けた。
頭を撫でられるような歳じゃ無いんだが? しかも野郎から撫でられるホモ的趣味は無ぇ。
「……」
手が空を切って驚くような顔をした提督。
まさかとは思うが、わざわざそのためだけに残したってんならキレても良いよな? 確かに艦娘とコミュニケーションを取れっては言ったけどなんで俺まで対象にするかなぁ……。
「そういうのは大破帰還した人にするべきでしょう?」
それに、無事云々ってのは間違っても俺にかける言葉じゃ無いと思うね。だって死ぬかどうかの綱渡りはしたけど、結果的に被弾は殆どしてないし、『艦これ』的に言ったら精々小破が良いところだろう。
「提督、コミュニケーションを取るのは良いですけど、状況と相手を弁えましょうよ……」
凄く残念そうな顔をされた。解せぬ……。
因みに主人公が気がついてないだけで主人公は結構ボロボロだったりします。
大淀 「レ級相手に
主人公 「
これくらい認識に違いがあったり……
報告に被害報告が無いのは何ででしょうね?
……お待たせした割に内容酷くないかが心配です……