完全に5章のオマケのような回がもうちょっと続きます。
作戦⑤までには終わらせたい……
到着してから、俺は旅館の中をブラブラと歩き回っていた。
五人部屋の数が多いなぁ。
でもこれが警備府の艦娘たちで埋め尽くされるのか。それでも部屋が余ってたり、他の利用者に影響が出そうにないとか流石だなぁ。
警備府の艦娘だって既に五十近く居ると言うのに……そんなに収容出来る大きさは素直に凄いと思った。むしろここまで来ると温泉施設に旅館風のホテルが併設されてるようにも感じる。
「大きな旅館だなぁ……」
知能指数を溶かしたような陳腐な感想を呟く。
艦娘たちは部屋割りが始まるとアレコレ揉め始めて、面倒くさいことになる波動を感じ取った俺は余った部屋に入るとだけ言ってその場を離れた。俺だっていつも仲裁とかはしたくないしね。面倒くさいし……
それに、こういった下らない揉め事はいい思い出になるだろうから、茶々は出来るだけ入れたくはない。
因みに提督は個室だった。本音を言うなら俺だって五人部屋なんて気まずいから個室が良かったんだけど、みんなで楽しもうって感じの
「……流石にそろそろ終わったよな」
意外と駄々っ子なところがある
「あっ、スチュワートさん! 今までどこに居たんですか?」
「……ちょっと歩いてただけですよ」
元の場所に戻ると、そこには吹雪だけが居た。
無事に揉め事が決着したみたいで良かったと一安心したのも束の間、次の吹雪の一言で儚い安堵は打ち砕かれた。
「実は……まだ揉めてましてぇ……アハハ……スチュワートさんに止めてもらおうかと……」
「……」
揉めてるのは誰だ? 吹雪で止められないとなると海防艦とかじゃないってこと……?
「まさか……」
「その……川内さんと那珂さんが……」
やっぱり軽巡かぁ……重巡と空母と戦艦の人は人数も少ないし揉めそうな人は居ないと思ったけど、やっぱりかぁ……。
広い旅館の中を吹雪に連れられて歩く。
「そう言えば、私の荷物はどこへ……?」
「同じ部屋の人が持っていきました! 確か……」
俺が泊まる部屋の人たちを言おうとする吹雪を手で制する。そういうのはお楽しみにしておきたいんだ……。
「楽しみにしてるので、ネタバラシだけはやめてくださいよ?」
「すっ、すみません! ……あ、ここですね」
吹雪が止まったのは廊下の端の部屋。外には数人の駆逐艦が居た。主に吹雪型が中心か……相変わらず叢雲以外は見分けのつきにくい事で……。
「スチュワートさんを連れてきましたよ!」
「でかした吹雪! ささ、やっちまってください!」
「ちょっと、でかした! じゃないでしょ! 私たちは頼む側なの! ……スチュワート、悪いけど……片付けてくれないかしら?」
……俺はいつから便利屋にジョブチェンジしたんだ? まぁ……頼まれたからには一応やるけど……。
「しょうがないですねぇ……」
それじゃあ……と、扉に手を掛けたら中から声が聞こえてきた。
「だーかーらー! 西側に窓があるこの部屋が一番良いんだって!」
「こういった時くらいは夜に拘らない方が良いと思うよ〜? 夜更かしは美容の天敵だよ♪」
「よ……夜更かしなんてし、しないし……」
「……」
「「「……」」」
アホくさ……。川内さんの持病の発作じゃん。
那珂ちゃんさんとの喧嘩かと思ったらこれかよ……萎えたわ。
「……戻って良いですか?」
「待 ち な さ い よ !……一度頷いたからには最後までやってもらうわよ! 私たちじゃあ那珂さん
「あっ……」
叢雲が川内さんの召喚魔法を唱えてしまった……壁一枚挟んだところに川内さんが居るから……間違いなく
しまった! って顔で叢雲が口を抑えるけど……遅かったみたいだ。
「夜戦!? 今夜戦って言った!? うんうん分かるよ〜! やっぱり常在夜戦場な心構えは大事だよね!」
扉をぶち破るかのような勢いで現れて騒ぎ立てるのは……やっぱり川内さんだった。
ここは警備府じゃないから一般人居るってことを完全に忘れてるな……。凄まじく五月蠅くて迷惑だ。ほら見ろ、後ろの親子が固まってるじゃないか……。
こらボク! 見ちゃいけません! 夜戦が感染るよ?
「すみません! すみませんっ!」
白雪……川内さんの代わりに頭を下げるなんて……なんて良い子なのッ!
これ以上周りに迷惑をかける訳にはいかないと悟り、徐にスリッパを拾い上げて叢雲に詰め寄る川内さんの背後に移動した。
「メルヘ~ン……ゲットォ!」
スパァーン ―――
「ハァ……休む前から疲れた……」
あの後、吹雪たちと協力して川内さんをグルグル巻きにして押し入れに放り込んだ。黒い目隠しもしてあるから、今頃吹雪たちに謝ってるか、スリヌケ = ジツで脱出してるか、勝手に夜戦気分になってエクスタシーしてるかのどれかだろう。
後者なら救いようが無いけど……流石にそこまで酷くは無い筈だ。多分……きっと……恐らく……。
「松・虎の間ねぇ……マツ○の部屋? ……ハッ」
隣は
「虫っ!? ヤダッ……」
「うるさいにゃ。これで安心……ティッシュで包まってるから大丈夫にゃ。……どうして逃げるにゃ?」
「それを……それを近づけないで!」
嫌な……事件だったね……。
憐れ狭霧。多摩さんも何やってんのさ……。
「……ん?」
手に掛けた取っ手が動かない。少し強く動かそうとしてもピクリともしない。
あっれ~? おかしいな~? 吹雪が言うには俺の部屋はここであってる筈なんだけどな……。なんで鍵掛かってんの? 嫌がらせか?
「……」
ちょっと!? ぶっちゃけ温泉とかどうでもいいから取り敢えず部屋に入れて! マジでキレるぞおい!
何回かノックしても返事が無かったし、物音一つ聞こえてこないから仕方なく時間を潰す為にフロントに足を運ぶ。
提督が言ってたけど、夕食は食堂で摂るらしい。
つまりそれまでの間フロントで備え付けのテレビでも見て時間を潰していれば、確実に同じ部屋の人達と合流できる。食堂も一階だし、時計もあるから間違いは起こらない。完璧だ……。
喉が渇いてるのに水すら買えないってことを除けばなぁ! 同じ部屋の人が誰だか知らねぇけど、マジでふざけんなよ……。
見たことがある番組をボケーっと眺める。
時間は……おっ、一時間経ってるじゃん。
あ~……次にコイツは「美味しぃ~」って言うな……。
『美味しい! こう……口の中で溶けていくような……つい箸が伸びちゃいますね!』
やっぱりな。宣伝の意味も込めてるだろうし、不味いなんて言えないんだろうけど……毎回美味しいって繰り返してると、なんか馬鹿っぽく映るんだよね……。
「でも食べ物は悪くないからね」
「スチュワートさん」
「ホワィ!? ……松輪ちゃん? どうかしましたか?」
話しかけてきたのは松輪だった。ビックリして心停止したかと思った……。
温泉に入ってきたんだろう。いつもの服ではなく浴衣を着ている。よくそのサイズあったね……。
「ごめんなさい! 松輪達が温泉に入ってる間、部屋に入れなかったんですよね?」
「……気にしてないので大丈夫ですよ」
いきなり謝られた。松輪たちが風呂に入ってると中に入れない……? 温泉は各部屋にあるのか? 確か二階にあった筈……。
と思ったけど、どうやら松輪は同じ部屋だったらしい。やっぱり海防艦が一緒か……。
……くっ、海防艦相手に理不尽にキレ散らかすのはみっともないな……。実際に松輪は謝りに来たんだし……大人しく引き下がろう。どうせもう飯だし……。
「す、すみません……スチュワートさんを待つべきだったのに……」
「同じ部屋の人は他に誰が居ますか?」
「えっと……松輪と……択捉ちゃんと、佐渡ちゃんと、青葉さんです!」
「なるほどなるほどぉ……教えてくれてありがとうございます♪」
俺が部屋に入れなかったのは温泉に行ってて留守だったからか……。
ちゃんととごめんなさいが出来て、しっかりと受け答えをする松輪はう~ん……しっかり者。たしか択捉もかなりしっかりしてたような気がする。その代わりと言ってはアレだけど、佐渡は悪ガキって言葉がピッタリなんだったか……。酷い偏りでバランスが取れてるな……。
松輪から話をを聴いて、ついでにルームメイトを確認すると良い情報が出て来た。
どうせ海防艦三人を温泉に連れてって部屋を閉めたのは青葉さんだろう。
おのれ青葉さん……ゆ゛る゛さ゛ん゛っ!
階段からゾロゾロと艦娘達が降りて来た。時間は夕食十分前。
みんなは既に温泉に入ったのか、同じような白い浴衣を着ている。俺だけが黒い服で滅茶苦茶目立つじゃないか……。
択捉の隣に居た青葉さんが
青葉の夕食が惨劇に変わるまであと十分。
よいこのみんなは たべもので あそばないでね!
趣味とかに突っ走る軽巡、重巡が多いから、相対的に海防艦とか駆逐艦がまともに見える。
軽巡と重巡が全員ヤベーヤツで、駆逐艦が全員まともとは言ってない。
「海防艦が相手か……(´・ω・`)」
「青葉さんです」
「♪」(レ級と同じ反応)