私の名前は「      」   作:捻くれ餅

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87話です。

 タイトル詐欺回

え、前回も……? 今回も、そして次回もです。許して……。


()号作戦③

「死ぬかと思いました……。ヒドイじゃないですか! いくらなんでもやり過ぎですよスチュワートさん!」

 

「すみません……」

 

 流石にこんな反応をされると申し訳なく思う。

 でも流石に死ぬは言い過ぎだと思うんだ。唐揚げに付いてきたレモンを青葉さんの白米にぶっかけただけじゃないか。美味しくないだけで生命活動に支障をきたすようなことじゃないだろう。磯風とは違うのだよ。磯風とは!

 

「でもよー、全部食べたのは普通ににすげぇって!」

 

 そうなのだ。佐渡の言う通り、なんだかんだで罰ゲームみたいなノリで盛り上がったし……全部食べ切って場を盛り上げたのは芸人魂を感じたね。

 

全然嬉しくないです……。ささっ! 良い子は寝る時間ですよー! 青葉はこれから、スチュワートさんと大人の時間を過ごしてきますので! それじゃあ、後は頼みましたよ択捉さん!」

 

「えっ?」

 

 信じられない言葉が聞こえてきて、思わず青葉さんを見ると、人差し指を口に当てて「秘密」のジェスチャーをしてきた。……うぉい!? そんなことされると青葉さんのお誘いを断りたくなっちまうよ……。

 

「はい! お任せください!」

 

 ビシッと敬礼をした択捉を見て、満足そうな顔をした青葉さんに腕を引っ張られて部屋の外に連れ出された。

 

 ……ちょっと待って。 俺も駆逐艦で見た目は比較的チビだし、大人じゃないと思うんだけど……。青葉さんが言う良い子では無いけど、寝ちゃ駄目なの……?

 

「それじゃあ……枕投げしよーぜー!」

 

佐渡ちゃん……あんまり騒ぐと隣の部屋の迷惑になるからやめようよ……

 

 予想通り佐渡が枕投げを提案して、他の人に止められるような声が扉越しに聞こえて来た。

 そして今度は目の前から……。

 

「スチュワートさん、これから “お楽しみ” の時間ですよぉ♪」

 

 舌なめずりをした青葉さんが声を掛けて来た。

 コワイ。

 

 

 

 

 

「……それで、何をしようって言うんですか?」

 

「ふっふっふー……それはこれから説明します」

 

 悪い事企んでる顔だ……絶対碌でもないこと始めるつもりだろ……。

 

「戻って良いですか?」

 

「それは説明を聴いてからにしてもらいましょう!」

 

 連れて来られたのは別の部屋。……靴がスゲェいっぱいあるんだけど。ナニコレ?

 青葉さんがドアにノックをした。

 

どちら様ですか?

 

ウルフ(W o l f)です」

 

「どうぞ」

 

 開けられた扉からは金剛さん、大鳳さん、大淀さん、祥鳳さん、酒匂さん、狭霧、雷がどこかピリピリした雰囲気を漂わせながら俺の方を見て……数舜の後、ホッとしたような雰囲気に変わった。どう考えても大人じゃないのも混ざってるし……何の集まりなんだよ……。

 

「Yes! 青葉~良くやったネー!」

 

「スチュワートさんですか……確かに、期待できますね……」

 

「これなら、作戦はより完璧なものになるわね」

 

「頼りにさせてもらうわ!」

 

「え? 本当に何の集まりですか……?」

 

よくぞ訊いてくれました! これは、提督の寝顔を撮る作戦、ネ号(寝顔)作戦ですっ!」

 

 えぇ……。提督の寝顔とか……物好き過ぎない? 正直ちょっと引くんだけど……。でも、集まってこうやってバカみたいなことするのは嫌いじゃない。むしろ面白そうだから混ぜてくれってお願いするね。なんでもっと早く教えてくれなかったのさ。

 

「乗った」

 

 こう……漫画とかでよくある男子が女子の風呂を覗きに行くってノリに近いかも知れない。対象は野郎()。つまり俺が行ったところでR指定(年齢制限)が付くようなことでもないから、臆せずに参加できるのはチキンの俺には嬉しい。

 

「ありがとうございます。青葉さん、スチュワートさん以外に誘った人は居ませんか?」

 

 大鳳さんが青葉さんに問いかけて、青葉さんが首を横に振る。

 それを確認した大淀さんが立ち上がり、全員に向かって言った。

 

「それでは皆さん。全体の指揮は私、大淀が執らせていただきます。作戦の概要は ―――」

 

 提督の顔を撮りたいという謎の欲望を見せた艦娘たちによる、面白おかしい悪ふざけのような作戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

『こちらエレキテル(E l e c t e l)、異常なしよ』

 

『こちらマグナム(M a g n u m)、異常無しです』

 

『こちらサッカー(S o c c e r)。異常ナ ぴゃああああああっ!

 

 グワーッ! 頭が割れるぅ!

 右耳に着けたイヤホンのような機械から酒匂さんの悲鳴が聞こえ、反射的に身体が左に傾いて壁に頭を打ちそうになった。

 

『こちらオペレーター(O p e r a t o r)、何がありましたか』

 

後ろから伊勢さんに声を掛けられちゃって……ゴメンね~……

 

『っ! ピストル(P i s t o l)です! 対象を発見しました。食堂に居ます!』

 

『分かりました。ダイアモンド(D i a m o n d)と合流し、それとなくお酒を勧めてください。くれぐれも酔わないように、それと、耳の機械に気付かれないように気を付けてくださいね』

 

『了解だヨー』

 

 なんかスパイごっこしてるみたいで楽しいじゃねーか……。大人数の中で俺たちだけが秘密(作戦)を共有する絶妙な背徳感、なんちゃってコードネームで呼び合う子供らしさ。良いじゃん……控えめに言って最高だぜ。

 

 俺と狭霧と青葉さんは金剛さんの泊まる部屋(秘密基地)で待機していた。

 目の前ではノートに何かのメモを取りながら指示をだす大淀さんが居る。

 

 祥鳳さんが言うには提督は現在食堂に居るらしい。大淀さんの指示で祥鳳さんと金剛さんが提督とお酒をするらしいから、あの提督の事だ。断らない、もしくは断り切れないことは間違いない。つまりしばらくの間は食堂に釘付けに出来るだろう。

 

『こちらミスト(M i s t)、食堂前に到着しました』

 

 青葉さんの役割は言わずもがな、提督の寝顔をベストショットすること。狭霧は提督が部屋に居た時に部屋の外に連れ出すこと。提督が部屋に居ない今はパターンBで狭霧は補欠になったが、食堂前で金剛さんと祥鳳さんに代わって大淀さんに状況を報告する為に出ていった。

 そして俺は提督の部屋に青葉さんを入れること……つまり鍵開けだった。

 ……出来ないんだけど!? 一般人がピッキングなんて出来る訳ないだろいい加減にしろ! って怒鳴りたかったけど、大淀さんがこんなこともあろうかと明石さんに作らせたらしいピッキングツールを取り出したのを見てドン引き……勢いに押されて頷いてしまった。便利屋じゃ無い筈なんだけどなぁ……。

 

 でも、今の状況からそんな犯罪者めいた道具を使わなくてもスマートに入れる方法を思いついたから、ピッキングツールは置いていくことにした。フッ……俺の提督に対する理解度は残念なことにかなり高い。部屋に入るだけならこんなものは必要ない筈だ。

 

「大淀さん、コレ借りていきますね」

 

「どうぞ……?」

 

「それじゃあ行きますか……青葉さん。」

 

「了解ですっ!」

 

 大淀さんが持って来ていたノートを持って部屋から出る。

 

「こちらサプライズ(S u r p r i s e)ウルフ(W o l f)と行動を開始します」

 

 

 さぁ、楽しい時間の始まりだ。

 

 




どうせならと、楽しんだモン勝ちだ。

雷   エレキテル  電気の英語?
酒匂  サッカー   alcohol(アルコール)と迷った。酒匂のさか
大鳳  マグナム   大鳳 → 大砲から
祥鳳  ピストル   祥鳳 → 小砲から
金剛  ダイアモンド そのまんま
大淀  オペレーター 無線通信士 頭文字も同じ
狭霧  ミスト    霧(F o g)じゃない不思議
青葉  ウルフ    異名「ソロモンの狼」から
主人公 サプライズ  なんとなく
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