沢山の誤字脱字報告、ありがとうございます。
日頃の感想もありがとうございます。
お陰様で100話が見えてくるってところまで続けられました。これからものんびり頑張るので、拙文をお楽しみください。
「それでは各自、荷物を部屋に置いたら、そうだな……ヒトフタサンマルに食堂に集まってくれ」
「「「了解!」」」
警備府に戻って提督が全員に指示を出す。今が十二時前だから、一息入れるくらいは時間があるな。
寮の中でも入り口に近い俺の部屋に行きよりも体積の増えたバッグを放り投げ、最初から荷物なんて無かったと言わんばかりに提督の後ろを着いていった。どうせ食堂に行く前に呼ばれるのは分かりきってる。
「……えっ? お、おはようございます! 松田提督」
執務室には鹿島さんの姿があった。秘書艦業務の教官としての矜持なのか、近くにはいつでもコーヒーが出せるようにポッドとコーヒーサーバーが置かれていて、手を止めた鹿島さんがカップを用意してコーヒーを淹れている。
「留守の間、私で処理できる書類は整理しておきましたので後でご確認ください。今、コーヒーを用意してますので、もうしばらくお待ちください♪」
「ああ……ありがとう」
「流石は鹿島教官……」
俺が呟くと、提督からは見られない位置でキッと睨まれた。普段から笑顔を絶やさないだけに鹿島さんの笑ってない視線の攻撃力は高い。
「……引継ぎや、松田提督ともお話ししたいことがあるので、スチュワートさんは席を外して貰えませんか?」
「分かりました」
返事をするだけして執務室から出て聞き耳を立てる。
「こんなに早く戻ってきたのはやっぱりアレですか? ハワイの……」
「はい。スチュワートと大淀からも急かされまして……」
「えっと……ご愁傷様です? ……ところで、スチュワートさんの普段の様子や仕事ぶりはどうですか?」
「……普段は謹慎処分で退屈なのか雑事を進んでやってるみたいで、これと言った問題は起こしてません。仕事はとても速く、お陰で午後は艦娘と交流する時間や、プライベートな時間が取れるくらいです」
「……全然聴こえねぇ……」
この人達忍者かよ……
「仕事の速さは相変わらずみたいですけど……それは良い事ですね♪ 当然、その交流する艦娘の中にはスチュワートさんも居るんですよね? 過去が過去だけに除け者なんてことは……」
「とんでもない! ……ですが、いつも探しても居ないんですよ……避けられてるんでしょうか……」
なんだなんだ? 提督がとんでもないって……そんな意外なことを言われたのか? ……気になるけど、曙とは違って小声で話してるのか、何かを言ってるのは分かるけど聴き取れない! 畜生!
「…………。……提督には慣れましたか? 急に決まったものですけど……」
「はい。スチュワートや大淀が相談に乗ってくれているので……まだまだ慣れているとは言えませんが……付いてきてくれるのは嬉しいですね」
「それは良かったです♪」
「……ッ!」
足音―――! 壁に寄りかかって知らんぷりだ!
「スチュワートさんは後でお話があります♪」
あっ、待って! 提督と何を話したのかは知らないけど、香取さんを思わせるそのSっ気溢れる笑顔はヤメテ!
コッテリと叱られた。内容は……提督とコミュニケーションをしろってことで、大本営で鹿島さんから耳に
「~~―――だったら提督と……聴いてますか?」
「はい……」
もういいよ……。提督とお喋りするくらいなら望月のパシリごっこしてた方がまだ有意義だ。少なくともちょっとは楽しめる。
チラリと時計を見たら……嘘やん。何で五分しか経ってないの……?
「でも……」
ん? どうかしました?
「なんだかスチュワートさんは以前より他人行儀ではなくなった気がします」
「鹿島教官の特訓の成果と、アドバイスのお陰ですね」
「そうやって軽口を言うようになったところとかですよ……問題も起こしていないようなので、これからも頑張ってくださいね♪」
「善処します」
睨まれた。おかしいな……善処するって言ったのに……。
時間になり食堂。皆が集まり、時間だということもあって料理が並ぶ。
「Oh……」
厨房からは料理を持って間宮さんが出て来た。……なんで?
「……貴女がスチュワートちゃんね? 来るのが遅くなってごめんなさい」
「いいえ! 謝らないでください!」
「伊良湖ちゃんから聞いたわ。良く手伝ってくれたんでしょ? コレ、ささやかなお礼の気持ちなのだけれど……」
ちゃん付けされた……
「でもこれからは安心して! これからは補給艦間宮として食堂で面目躍如の仕事を果たすわ!」
間宮さんがそう宣言した瞬間、食堂が湧いた。拍手や指笛まで聞こえる始末だ。
「偶に滅茶苦茶辛いカレーに怯えなくて済む!」 って言ったヤツは後で特定しよう。……一緒に “刺激的な” 担々麵を食べようぜ?
「悪いニュースばかりでは無いということか……。皆、聞いて欲しい。」
提督がみんなが注目するように立ち上がって声を出す。
「皆、聴いていると思うけど、ハワイが深海棲艦に占拠された。ここ大湊警備府が対応に当たることになったが、警備府として―――」
バン!
「ちょっと! 遅おっっそい! いつまで工廠で待たせる気!? 爆撃されたいの!?」
「ちょっ!?」
いきなり食堂の扉が開け放たれたと思ったら物騒な言葉が聞こえて来た。
すわテロリストかと思ったけど、佐世保で見たことがある。瑞鶴さんだ。……待たせられたのは分かるけど食堂で爆発物はマズイって!
結局、瑞鶴さん怒りの抗議は、後ろに般若を召喚した間宮さんによって止められた。
うん、食堂で暴れたらそうなるわな。間宮さん怖ぁ……。
そして、席に着いた瑞鶴さんが言うには工廠にはまだ何人か建造が終了した人新人が残っているらしく、どうせならと提督が迎えに行った。
「こんなに建造するなんて……先を読んでいたのか、それとも考えなしのバカか……どっちだと思いますか? 明石さん」
「アハハ……馬鹿はちょ~っと言い過ぎかな……計画的に貯めるのも大事だけど、大本営から沢山貰ったんだしパーッと使っちゃうのも私はアリだと思うな~」
「……そんなもんですか……」
……『艦これ』では資材が減った状態をグロ画像だなんて言うし、俺はコツコツ貯めた方が良いと思うんだけど……現場では案外こんなもんなのか……いや、曙とかは危機感持ってたっぽいし、明石さんが特別なのかもしれない。
そしてそのまま明石さんと誰が来るんだろうね~? みたいな会話になった。工廠の住人たる明石さんも流石に戻ってきたばっかりでは把握していないらしい。随分と珍しい場面に遭遇したと思う。
―――タタタタッ バン!
「いっちば~ん!」
瑞鶴さんに続いて食堂の扉に優しくない人が現れたと思ったら、食堂に響く声を出した。
右手の人差し指は天を指し、左手は腰に当てる謎ポースを決めてフィーバーしているのは……白露か。
チラリと見ると、姉が来た喜びと、身内の恥を見せつけられた羞恥心から悶えて半泣きの村雨さんが居た……もう泣いて良いよ。……でも、時雨が来るまでは色々と諦めて欲しい。
それから少ししたら、後ろに新人を連れた提督が現れた。
「……瑞鶴と白露は先に来てしまったようだけど、新しい仲間を紹介する」
そう言って提督が横にズレて……って多くない?
「水上機母艦、千歳です!」!
「同じく、千代田です!」
「神風型駆逐艦の一番艦、神風です」
「初春じゃ。よろしく頼むぞ」
「陽炎型駆逐艦、陽炎よ。よろしくね!」
……。
「ハァ……どれだけ建造につぎ込んだのか……」
「……スチュワートも大変ね……」
全くだよ。いきなり七人増えるとか想定外だっつーの……。資材状況の報告書を見たくねぇ……。
昼食前なのにキリキリと痛む胃を押さえる羽目になった。
シスコン(千代田)、村雨の姉(白露)、のじゃロリ、爆撃空母……。濃ゆい面子だなぁ……神風と陽炎が癒し枠(常識人)?
村雨は泣いて良い。