とある転生者の番外図書(アウターズブック) 作:変色柘榴石
俺は時々、不思議な夢を見る。
――例えば、光を纏って空を飛んでいたり。
――例えば、壊せない物などない拳の持ち主であったり。
――例えば、民族衣装の少年が怪物ワタアメと相討ちになってたり。
――……これは、俺が小学三年生の時に経験した事件。
『
魔法少女リリカルなのは
家に家族はいない。
俺が学校言ってる間に『仕事中の事故』……、ということらしい。
形見らしい形見と言えば、この住んでる家と右腕にずっと嵌めている二重の腕輪くらいのもの。
俺以外の家族が死んだことを伝えに来た女の人は、すごく悲しそうな顔をしながら無理に笑顔を作っていたのを、今でも憶えてる。
同級生の家族からは『家族にならないか』と誘われたが、それを遠慮したのも憶えてる。
流石にそこまでは迷惑を掛けられないし、この家から離れるという気は欠片もない。
それを伝えた時の、向こうの両親の残念そうな笑顔も全部、憶えている。
それから二年。
ご近所の
俺こと『日野ひなた』は今日を生きる。
――なーんて物々しいモノローグはさておき。
『私立聖祥大学付属小学校』、それが俺の通っている小学校。
……なのだが、両親がいない今は自宅学習を申請し、一日のほとんどを家か図書館で過ごしている。
……小学三年生にして半ニート生活か――爛れてんなぁ、おい。
財産は結構――否、かなり在る。
それこそ、一人で普通に生活、大学卒業までの費用が賄えるほどだ。
でも、何故か……そこまで使う気にはなれなかった。
理由までは憶えていない。でも、小二の始めまで一緒だった奴は放課後に来ることはある。
やれ「宿題が出たぞ!お前にもな!」、やれ「私は珈琲でも貰おうか」
やれ「お茶よろしく」、やれ「卒業まで借りてくぜー」とかなんとか色々。
――ん? シリアスはどこ行った。
この二年で、
『こいつらウチを休憩所か何かと勘違いしてるんじゃなかろうか』
と思うこともしばしば。
右向かいの家の娘は身体的状況で休学しているらしく、ウチに来るやつは何を思ったのかそちらにも顔を出すようになった。
そんな中でも特に濃いキャラを持つのが、この七人。
「ほれ、そこ間違いじゃ。ポチッとな」
「ダニィ!? ってあばばばばばば!?」
古臭い口調の『自称』日本人形系女子――
メグリ曰く『転生系残念男』らしい
なにやら師弟関係らしい?
「ぬれせんには麦茶でしょ
「プーアルに決まってんだろフォルァ」
「「まぁ、どっちでも茶色んですけどねっ」」
麦茶を持ってる茶髪の女の子――
プーアル茶片手にドヤ顔してる男の子――
この二人は双子で、三言目には必ずハモる。
「アンタらあれか。私にツッコミ入れさせない気?」
海鳴の金持ちツートップの片割れ、活発お嬢様――アリサ・バニングス。
大丈夫だバニングス。俺はもう放棄した。
「巡ちゃーん、電流抑えて抑えて!」
メグリを抑え? に行ってる海鳴金持ちツートップの片割れ、深窓お嬢様――月村すずか。
いや、それを聞いたらさらに――
「あびゃばばばば」
あちゃー……
「か、漢字が……回って、なのぉ……」
その後ろでいい感じに狂っちゃった(?)いい子・頑固・理数の子な
んでもって……
「おおぅ、なのはちゃんの背中が煤けて見える……
――三倍頑張れるように肩を赤く塗ったろうかな?」
「貴様! 塗りたいのか!?」
「へっ、冗談や……」
「むせる?」
「あくむ?」
「「現状のなのはですねわかります」」
「何このやり取り!?」
このノリがいい関西弁こそ、先程の右向かいの娘さん。
――八神はやて、である。
もはや七通り越して八人なわけだが、ほぼ毎日がこんな状態で、
更にこの八人を除いた他の同級生が、色んな意味で曲者揃いなのは、後のお話にて。