全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
今回主人公は前世で何をしていたのか少し明らかになります。
<偵光side>
俺は観覧車の爆弾事件で大けがして入院してたのだが、無事に怪我も治り夏美ちゃん、零、萩原さんの三人と京都に来ていた。
いやー、入院生活はホント大変だったよ。目が覚めたらみんなに泣かれるし、女性陣からは説教されるし散々だったよ。零や景光、萩原さん、宮野夫妻にもめちゃくちゃ怒られたよ。
生きた心地しなかったし、心のリフレッシュも兼ねて京都に来たわけだ。京都に三泊してその後四国に行く予定だ。何事もなく楽しめたら良いな。
「うわぁ! 凄く綺麗ですよ、先生! 私京都に来るの初めてなんです! 先生は何回か京都来たことあるんですよね?」
「そうだな。ほとんどかるた三昧だったけど」
「カルタですか? 先生ってかるたお強いんですか!?」
「そこんとこどうなの、降谷?」
「飛び入りで大会に参加して優勝するぐらい強かったよ。高校の時に全国大会行くために力を貸してくれって泣いて頼まれてたのを今でも覚えている」
「へー。ホント何でもできるのな、うちの社長。それで、大会には出なかったの?」
「いや、一回だけ出て全国優勝した。それでカルタ界の貴公子登場!って話題になってマスコミにも騒がれた後、かるた部と偵光が佐藤さんと宮本さんにめちゃくちゃ説教されて、それがトラウマになり高校一年以降大会には出なかった」
「お前って奴は・・・」
「先生・・・」
辞めて! そんな可哀想な人を見るような目でみないで! あの件はマジでトラウマになってるんだって!
学校の為に頑張ったのにあの仕打ちですよ!?
名頃先生と紅葉ちゃんが見にくるって言ってたから頑張った結果がこれだよ!
「知り合いが見に来るって言ってたから頑張ったんだよ! その結果があれとかトラウマになるわ!」
「お知り合いですか?」
「女の知り合いだな」
「降谷は白銀に恨みでもあるのか?」
「違うぞ! 男の先生とその弟子さんだよ! 弟子は女の子だったけど」
「ほらみろ」
降谷さん!? さっきから言葉に棘があり俺の身体に刺さってますよ?
「うわぁ、ここまでやさぐれてる降谷って珍しいな」
「ははは。先生にかるたを教えた方って誰なんです?」
「ああ、名頃先生って言うんだけど「本当か!?」 うお! 急に大声だしてどうしたんだ、零?」
「お前名頃先生に習ってたのか!? あの人京都のかるた界だと凄く有名な人だぞ!?」
「そうらしいな。トップの皐月会に並ぶ名頃会って、とこの団体の代表やってた人だし」
ベルモットのやつどうしてそんな人と知り合ってたんだ? アイツの交友関係はマジで分からん。
夏美ちゃん、お願いだからそんなキラキラした目で俺を見ないで! 心が汚れている俺を見ないで!
「先生、すごいですね!」
「夏美ちゃん純粋すぎるだろ。降谷も白銀も見習ったらどうだ?」
「「うるさい」」
「先生! 京都に来たのってその名頃さんに会う為ですか?」
「ああ、そうなんだけど、前から連絡が取れないんだよ」
「連絡が取れないっていつからだ?」
「三ヶ月ぐらい前からか? もしかして先生の身に何かあったのかと思って来たんだよ。亡くなったって連絡は来てないしおかしいなと思ってな」
「それは確かにおかしいな。その先生とやらの安否の確認はどうするんだ、社長?」
「弟子さん達がいるはずだからそっちを当たろうかなと。夏美ちゃん、あれだったら観光してても大丈夫だよ?」
「いえ! 怜子さん達から先生のこと頼まれているので大丈夫です! 先生に付いて周るだけでも充分観光できそうですし」
そうですか。
「何頼まれたかが気になるんだけど、教えてくれない?」
「先生には秘密です♪」
「ですよねー」
「全く。早く荷物を旅館に置いてきて調べるぞ。偵光、萩原! 夏美さんも行きましょう」
「はい!」
「「ああ」」
俺たちは泊まる宿に荷物を預け、一日かけて調査をした。
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調査を始め一日がたって、公園にあるクレープ屋で休憩をしながら調査結果の話合いをしていた。
「んー、おいしい♪ 先生、このクレープ凄く美味しいですよ! 食べてみてください!」
「どれどれ。あ、ホントだ。マジで美味いなこのクレープ。俺のも少し食べてみる? はい、あーん」
「あーん。おいしー♪ 先生が頼んだクレープも凄く美味しいですね!」
「なあ、降谷。こいつらって付き合ってるの?」
「恐ろしいことを言うな。この二人の場合これが普通なんだそうだ。秋庭さんによく愚痴られる。佐藤さん達にこれをもし見られたと考えると恐ろしい」
「確かに見られた瞬間、白銀が殺されそうだな」
おい、聞こえてるぞ! 夏美ちゃん虐めたら許さねえぞ!
「す、すみません。先生。私ったらついはしゃぎすぎちゃいました」
「大丈夫。ああ、もう。口にクリーム付いてるぞ。これで良しと」
夏美ちゃんの口元にクリームが付いていたのでハンカチで拭ってあげた。こういう所があるから妹みたいに思えてついつい世話やいちまうんだよなー。同じ歳だけど。
「あ、ありがとうございます・・・」
「なあ、降谷。ブラックのコーヒー飲んでるはずなのにめちゃくちゃ甘いんだけど」
「もう一杯ブラックコーヒー準備していて正解だったな」
「何言ってんだよお前らは」
「「お前がイチャイチャしだすからだろ」」
「イチャイチャ・・・」
二人が変な事言いだすから、夏美ちゃんが顔を紅くして怒ったじゃないか!
「イチャイチャしてないぞ。話変わるけど、まさか先生が行方不明だとは思わなかったな。弟子さんに聞いても先生の行方分からないって言うし、最後に聞いた行先が分かっている弟子さんは海外にいるときたもんだ。どうすっかな?」
「他に誰か知ってそうな人はいないんですか?」
「いないなー。警察関係者に聞くのが早いか?」
「警察関係者に知り合いがいるのですか?」
「社長の人脈が怖いんだが」
「零はいないか?」
「京都、大阪には知り合いいないですね」
「ってことは俺が当たるしかないか。アポとれるかな? この人と会う場合は零と俺だけで行かないと流石に難しいか?」
「俺と偵光だけってことは余程偉い人物か?」
「私たちは一緒に行けないんでしょうか?」
「警察のお偉いさんだと難しいだろうな、諦めな夏美ちゃん」
「そんなぁ」
「いや、頼みこめばいけるか? うん、ちょっと交渉してくるわ」
「一体誰なんです? 相手によっては無理な交渉はマズイですよ?」
「大阪府警本部長 服部平蔵さんだよ。借りも作ってるし、たぶん大丈夫なはずだ。ちょっと交渉してくる」
「はあっ!? 大阪府警本部長っていったら大阪府警のトップだぞ!?」
「ははは。俺ヤバい会社に就職したかなー」
「警察の偉い方ともお知り合いなんて凄いです、先生!」
やっぱ賑やかになるよね。うん。絶対後から零に問いつめられるな。今は逃げよう。
「文句は後で聞くから! 連絡してくる」
俺はみんなにそう言い休憩場所から離れて電話をかけた。
「はい、もしもし?」
「白銀です。お久しぶりです、平蔵さん。お元気でしたか?」
「おお、白銀くんか! 久しぶりやな。そっちこそ元気にしとるかいな? 色々とヤンチャもしとるみたいやけど」
「ええ、元気です。その言いぶりからして爆弾事件のことについて知ってるみたいですね。実はお願いがありまして」
「白銀くんがお願いとは珍しいの。何や?」
「名頃鹿雄という人物について知っていたら教えていただけないかなーと思いまして。名頃先生は僕のかるたの先生でして、三ヶ月ぐらい前に弟子のことについて話がしたいから会いたいって連絡があって、昨日から京都に来て会いに来たんですけどどうも行方が分かってないみたいで」
「ああ、名頃か。弟子から捜索願いが出されて捜索しても見つからん人やったけん、よお覚えとるわ。ちょっと待ってな」
「はい・・・・・」
「待たせたのお。白銀くん、明日の午前中時間とれそうか?」
「はい、大丈夫です」
「大滝に捜査資料準備させ、話聞かせたるわ。一緒に来とる人らと来んさい。ワシは忙しくて時間取れんくてすまんのう」
「ありがとうございます。そこまでしてもらって良いんですか?
まあ、問題が無いように警察の人間のみ連れていこうかなとは考えてたんですけど」
「そがいなん、気にせんで大丈夫や。
警察関係者に情報渡すってことにしたら大丈夫やろ。
それに、白銀くんには事件解決するのに手伝ってもろうてたからのぉ。今回はそのお礼や」
「もちろんです。ありがとうございます。今度大阪きた時は美味しいお店に連れてってくださいね」
「任しとき。それじゃあの」
「はい、失礼します」
はあ、疲れた。平蔵さんと知り合いって時点で原作回避できないよなー。死神とのエンカウントも最近は、逃げるの無理じゃね? って諦めかけてるんだが、いやまだ原作始まってないから大丈夫! 大丈夫なはずだ! 早く戻って合流しないと怒られてしまうな。
ん? あの着物着てる綺麗な人ボーっとちょうちょ見てるけどどうしたんだ?
「げほっ、げほっ」
その女性はせき込み倒れこんだ。おいおい!?
「すみません! 大丈夫ですか! しっかりしてください! 早く救急車呼ばないと!」
どうして次から次にトラブル起こるんですかね!?
俺は急いで救急車を呼び、零達に連絡するのだった。
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俺達は倒れた女性の家族が来るまで病院で待機し、その人の旦那が来て倒れた女性の病室で話をしていた。
「ありがとう、君にはなんとお礼を言ってええか。私は阿知波研介や。妻の皐月を助けてくれてありがとな」
「いえいえ、たまたま通りかかって良かったです」
皐月さん、もしかして身体が悪いのか? 今もボーっとしてるし、何かあったのか?
それに阿知波? どこかで聞いた気がするんだが・・・
「ああ、妻の状態が気になるかね。妻は病気になって好きなこともできんくなり感情が無くなってしもうたんよ」
「そんなに酷い病気なんですか?」
「日本の医療だと治せんのんや。イギリスの医療なら治せるらしいが伝手もないしのお。金銭ならいくらでも出せるのに不甲斐ないのぉ。妻の病気一つ救えんとは」
「イギリスですか。阿知波さんさえ良ければ信頼できる先生紹介しましょうか? 伝手もありますし」
「ホンマか!?」
うおっ、急に腕掴まれるとビックリするじゃねえか!
「は、はい。うちの会社にイギリスから来た先生がいるのでその人に頼めば何とかなるかと。萩原さん、リサさんに連絡してもらえる?」
「はいはい、了解しましたよ社長」
「ありがと」
萩原さんは、リサさんに連絡する為に病室の外に出て行った。他のメンバーを確認してみると、零は俺の護衛ができる位置で黙って話聞いてるだけだし、夏美ちゃんは皐月さんの前で折り紙折って遊んでいる。いや興味を引こうとしているのか? 後であれ試してみるか。感情が少しでも出ると良いだが。
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「白銀くん、おおきに! 妻の病気が治せる希望が見えてきたよ。あとは感情を少しでも取り戻してくれたらええんやけど」
「ちょっとやってみたいことがあるんで良いですかね?」
俺はバッグからシルクハットを出して夏美ちゃんの隣に座り、皐月さんと向かい合った。
「先生、その帽子どうするんですか?」
「その折り鶴ちょっと借りるよ、夏美ちゃん。ここに入れてと、スリー、ツー、ワン」
「クルッポー」
「うわあ!」
「あ・・・はと・・・」
「相棒のハトソンくんです。ほら、皐月さんに挨拶して」
「クル、クル、クルッポー!」
「よろしくって言ってますよ、皐月さん」
「・・・ふふ、よろしく」
「皐月・・・・!?」
シルクハットに折り鶴を入れて鳩を出した。手品習ってて良かったー。小さい時から叩きこまれたからな。こっちの世界にきても手品習うとは流石に思わなかったが。手品は俺の前職だし自信あるんだよな。
まあ、マジックで無茶して怪我もよくしてたけど。
皐月さんが少し笑って反応したな。夏美ちゃんも目をキラキラさせてるな。零も驚いてるし、よーし、お兄さん頑張っちゃうよ!
張り切って観客を楽しませるために、マジックショーを開催した。
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「ありがとう、偵光くん! 何とお礼を言ってええか、感謝してもしきれん。皐月も感情を少し取り戻すことができたし、病気を治すこともできる。ホンマ、ありがとう」
「いえいえ。こちらもショーを楽しんでもらえてやりがいがありました。これ僕の名刺です。何かあったら連絡してください。阿知波さん、皐月さんそれでは」
折り紙の花を皐月の花に変えて皐月さんに挨拶をした。眼に光が戻ったし、これからは大丈夫だろう。
「あり・・がとう。また・・・見せてくださいね」
「おおきに!」
「もちろん。それでは失礼します」
病室を出て外で待っていたメンバーと合流し、追及をのらりくらりと躱して宿に戻りゆっくりと休んだ。
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次の日、大阪府警内で情報を聞き終わり、京都駅に向かっている途中だ。警察に聞いた話だが、俺が助けた皐月さんとかるたをして別れた次の日から行方不明になっているらしい。
皐月さんに負けたショックで失踪したとなっているらしいが違う気がする。
先生、目の病気でかるたが出来なくなるって聞いてたし、弟子のことを可愛がっていたあの人が弟子をほったらかしにして失踪するだろうか?
名頃先生のことについては時間をかけてしっかり調べるべきだな。
「それにしても京都に来てからは驚いてばかりだな。偵光の人外っぷりに。いつの間にマジックなんか覚えてたんだ? 小さい時から見たこと無いぞ」
「俺も気になるな。今日は誤魔化さず教えてくれよ。夏美ちゃんがお前のマジック気に入って昨日なんか夜遅くまでその話に付き合わせれておかげで寝不足なんだよ」
「なんかすみません。クリスに拾われる前にやってたんだよ。それでクリスに拾われてからマジックの先生の所に夏休みの間に預けられたことがあって、弟子として全国各地周りながらマジックと変装術と変声術を叩きこまれたって訳だ。何度か死にかけたけど。
その時に京都きて、クリスの紹介で名頃先生に出会ってかるたも習ってたんだよ」
「白銀の幼少時代が波乱万丈すぎて泣けてくるんだが。俺が会社で今受けているあの死にたくなるような訓練を小さい時から受けてきたって聞いていたがそれ以上に、技術を修得しているとは思わなかったぞ」
「萩原さんが受けている訓練ってまだマシなほうですよ? クリスって俺に対する時はあれの倍以上厳しくなりますから、萩原さんもレベルアップしたら俺と同じぐらいに厳しくなりますよ」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
萩原さんが膝ついて泣いてる。うーん、萩原さんが受けている訓練って全然優しいんだけどな。どうして訓練受けているかって? 俺がベルモットに萩原さんを鍛えてくれって頼んだんだよ。部下が優秀になればなるほど困らないからね。野山さん達は自分で身を守れるように俺がだいたいの技術を叩きこんだよ。
怜子さん、夏美ちゃんは美和子から護身術をちょくちょく習っているみたいだけど。 料理スキルに関しては俺が料理教室開いて女性陣に教えてるんだけど、夏美ちゃん以外毎回絶望した顔で帰っていくんだよなー。どうしてなんだろ?
「そんなに厳しいのか・・・? 萩原が本気で泣いているんだが」
「零も受けてみる? クリスの訓練受けたらだいたいのことは出来るようになるぞ。あとほとんどのことが怖くなくなる」
「え、遠慮しておくよ」
「そうか。受けたくなったらいつでも教えてくれ」
「あ、ああ」
おっと、夏美ちゃんを置いて長話しすぎたな。
夏美ちゃんは・・・
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「「「!!」」」
夏美ちゃんの悲鳴が聞こえそちらを見てみると、バイクスーツにフルフェイスのヘルメットで顔を隠した集団の一人が夏美ちゃんを捕まえており銃を彼女に向けていた。周りの人物たちは俺達に対して銃を向けていた。
「うるせえ! 静かにしろ! お前は依頼主の命令で俺達に付いてきてもらうぞ」
「ひっ! せ、せんせぇ・・・」
「男たちには死んでもらおう。おい、お前達!」
「「「「はっ!」」」
「や、やめてください! 先生達は関係ないはずです! 貴方たちの狙いは私でしょう! 先生達には手を出さないでください」
「お嬢ちゃん、残念だがそれは聞けねえ。依頼主から、お嬢ちゃん以外は皆殺しとの命を受けている」
「そんな・・・」
「あーあ、アンタ達知らねえぞ」
「そうですね。爆発させてはいけない爆弾を起爆させましたね。抑えるのがこちらとしては大変なんですよ。どうしてくれるんです?」
「何を言ってやがる? お前たちはここで死ぬんだよ!」
「・・・・おい」
「!?」
「誰に許可取って、俺の大事な妹分泣かせてるんだ?
覚悟はできてるんだろうなぁ?」
「・・・撃て!」
「クルッポー!」
「「「「なっ!?」」」」
「ナイスタイミング、ハトソンくん! おせえよ!」
「ぐふっ!」
俺はハトソンくんが作った隙の間に、夏美ちゃんを捕まえている奴に一瞬で距離を詰め蹴飛ばして気絶させ夏美ちゃんを自由にさせ、すぐに両隣の犯人を制圧にかかった。拳銃をこちらに向かって撃ってきたので、夏美ちゃんに当たらないように避けて腕にかすったが、すぐに二人の気を失わせた。
残りの二人はどうしたかって? そんなの仲間が制圧しているよ。
「やれやれ。一瞬で三人を制圧するとは見事だな。怪我の方は大丈夫そうだな。警察に連絡してくる。萩原、このバカが何かやらかさないように見張っててくれ」
「了解。うちの社長いたら犯人の方が可哀想に見えるぐらいだな。まあ、今回は夏美ちゃんに手を出した犯人が悪いわな」
「そう言いながら、二人とも制圧してるじゃねえか。ああ、掠っただけで血が少し出てるだけだ。悪いが頼む。それより、おっと」
「先生! 怖かったです、ひっぐ」
夏美ちゃんが胸に飛び込んできた。震えて泣いていたので、優しく頭を撫でながら
「もう、大丈夫だ。怖い思いさせてごめんね」
「先生!? 血が・・・」
「ああ、掠っただけだから大丈夫、布かタオルで縛っておけばすぐ止まるだろうから心配しなくても大丈夫だ」
「でも・・・!?」
泣いて焦っている夏美ちゃんの頬をムニっと掴んだ。
「しぇ、しぇんしぇい、にゃにを?」
「はーい、笑って笑って。夏美ちゃんは笑っている顔が一番可愛いんだから、笑わないと可愛い顔が台無しだぞ?」
「・・・・・・ひゃい」
あっ、ごめんね。ほっぺ掴まれたら嫌だよね!? もう離すから、そんな顔を紅くして怒らないでください!
「よろしい。こいつら突き出したら、次は四国だな」
「・・・せ、先生! ダメです! 一応病院で見てもらいますよ! 有無は言わせません! 萩原さん、先生を病院に連れて行ってきますので後で合流しましょう。すみませんが、よろしくお願いします」
「あ、ああ」
「警察はすぐ来るそうだ。萩原、あのバカと夏美さんはどうした?」
「夏美ちゃんが病院に連れて行った。それと、悪い降谷。白銀のやつまたやらかしやがった。俺帰ったら秋庭さん達に殺されるかなぁ・・・」
「・・・は?」
<偵光sideout>
今回は、から紅の恋歌編のフラグと夏美ちゃんとのフラグ建てました。
主人公は夏美ちゃんを妹兼マスコットキャラみたいに思いとても大事にしているので、ぶちぎれてしまいました(笑)
次回は四国旅行の話に入ります。