全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
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<安室透side>
俺は今単独で行動していた。今回組織から宮野明美殺害の指令が出てジンとウオッカが動いているのは知っている。どうにかして先生の娘さんを助けようとして公安の部下に指示を出したが情報があがってきていない。
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それに偵光と山川さんが行方不明になっている件もある。広田雅美という宮野明美の変装の姿の写真を持っていたから、彼女を追う為に姿を消したと考えられるが、その理由はなんだ? まさか、組織のことを知っている?
いや、組織に関係する情報をアイツが知らないように俺もベルモットも行動してもみ消している。
だから、アイツが知り得ることはないはずだ。なら、なぜ彼女を追っている? 彼女の背後に何かあることを感じとったか? それとも彼女が宮野明美
だと気づいたから助けだす為に行動を起こした? もし、そうならアイツの場合、すぐにジン達を突き止めるはずだ! ってことは、マズイ! 偵光達をジン達と接触させたら助からない! ちいっ!
着信は風見か?
「風見! 匿名でリークを流してきた奴の正体が分かったのか?」
「すみません、それはまだ分かりませんが、犯人の所持品を調べたら不思議なメモが入っていました。bear&rabbit presents、クマとうさぎのプレゼントと。降谷さんなら何か知っているのかと思い連絡しました」
クマと兎のプレゼント・・・・まさか、奴も乱入してくるのか!?
「風見! それは本当か!?」
「は、はい。間違いありません」
「不味いことになる。ジンとやり合い、スコッチを消した組織の裏切り者でクマの着ぐるみを着た奴がいたのは覚えているな?」
「はい・・・・まさか!?」
「そのまさかだ。お前は増員を呼んで警戒に当たってくれ。何かあったらまた連絡しろ」
「分かりました。降谷さんもお気をつけて」
「ああ」
そう言って電話をきると、またすぐに電話がかかってきた。今度はベルモット?
「はい、もしもし」
「Hi、バーボン。ジン達の取引場所が分かったわよ。廃倉庫の中でやるみたい。そこで彼女の最後を見ましょう」
「ベルモット、残念ですがそうはいかないようです。そこに偵光が向かってます。おそらく、宮野明美を助け出す為にね」
「なんですって!? それは本当なの!? 偵光をジン達と接触させたら不味いことになるわ!」
「それともう一つ悪いニュースです。例のクマも今回は仲間を連れて動いてるみたいです。もし倉庫内でジン達と戦闘が起こりようものなら・・・・・」
「・・・・急ぐわよ」
「了解しました」
俺は急いでベルモットと合流し、取引場所へと向かった。
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「ここですか?」
「ええ、間違いないはずよ。まだ誰も来てないみたいね」
「そうですね・・・となると離れた方が良いですね。ジン達と遭遇しても厄介ですし」
「念の為、中の様子も調べてみましょう・・・!?」
ベルモットが入り口のドアに近づき調べようとした瞬間、カーンと音がドアの取っ手から響いた。あれは銃弾!? どこから!? 近くにはいないとなると狙撃か!
「ベルモット! 伏せて物陰に隠れてください! スナイプです!」
「分かってるわ! いったい、どこから? 場所が分かれば双眼鏡で確認できるのに・・・・」
俺とベルモットは急いでもの影に隠れた。いったいどこから狙撃されている? 近くに狙撃できるポイントなど、遠目にみえる高台ぐらいしかないが、距離がありすぎる。あの位置からスナイプできるなど、組織のカルバドス、キャンティ、コルンぐらいしかいないぞ。いや、あともう一人FBIの赤井秀一がいたな。
俺達を狙撃するとなると赤井か? 今回の事件FBIでも介入してるのか? 今はそんなことを考えてる場合ではないか。さっき撃たれた条件はなんだ? ベルモットがドアに手をかけようとした所で・・・そうか! これが確かなら、狙撃手の場所があぶりだせる!
俺は物陰から飛び出し、倉庫の入り口に近づいた。その瞬間、銃弾が飛んできた。 狙いは俺達を倉庫内に入れないためだな。銃弾が飛んできた方向と当たった角度を考えると、あの高台か! 場所を特定し、再び物陰に隠れてベルモットに伝えた。
「何やってるの、バーボン!?」
「スナイパーの場所が分かりました。あの高台です!」
「分かったわ! さあ、顔を見せてもらうわよ・・・・なんですって!?」
「どうしたんですか、ベルモット!?」
「rabbitよ。着ぐるみを着てライフルを持ったrabbitがいるわ!」
「うさぎの着ぐるみですか!? ちいっ、アイツの仲間か!? どうします? あの高台に行きますか?」
「ええ。あれを捕まえてbearの居場所を吐いてもらいましょう」
「分かりました!」
急いで車に乗り込み高台へと向かった。
高台の屋上へたどり着くとそこには、何も無かった。
「どうやら逃げられたようですね。ここを調べても何も出てこないと思いますが、どうしますか?」
「そうね・・・・偵光達の保護は、大丈夫そうね。bear達の目的は、おそらく邪魔者の介入阻止。つまりジン達か宮野明美以外は目的でないはずよ。私や貴方を殺さなかったのがその証拠よ」
「そうですね。僕らを殺すチャンスはいくらでもあったはずです。ならウサギの後を追いますか?」
「そうしましょう。お願いだから無事に帰ってきなさいよ、偵光・・・・行きましょう、バーボン」
「アイツなら大丈夫ですよ。貴女を残して死ぬような奴ではありません」
「ふふ、そうね」
「ええ」
偵光、お前が何をしているか分かんないが、絶対に帰ってこいよ!
俺とベルモットは、逃げたウサギの後を追った。
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<江戸川コナンside>
「コナン君、しっかりするんだ!」
「おい、何があったボウズ!? しっかりしろ!」
んん、誰か俺をよんでるのか? 俺は確か・・・・・思い出した! 広田雅美さんが殺されるのを止める為にここへ来たんだ!
「コナン君!?」
「ここは・・・って、越水さんに萩原さん?」
「大丈夫そうだな、ボウズ。それで何があったんだ?」
そうだ! あの人は!?
「広田雅美さんは!?」
「あの人はいなかったよ。私達がここに来たときは、コナン君が倒れてた以外もぬけのカラだったよ?」
「ちくしょう! 早くあの人を追わないと殺されてしまう!」
「そういうことか! どうやら嫌な予想が当たったようだな、七槻ちゃん」
「そうだね。早くしないと彼女が危ない! コナン君、彼女がどこに向かったかわかるかい?」
「人目の付かない場所だよ。倉庫とかの」
「空き倉庫なら、もう当たり付けてる場所があるぞ、七槻ちゃん。さっき、松田達もお金が預けられている場所の特定ができたってその場所に向かっている。俺達はその空き倉庫に向かおう!」
「そうだね。コナン君も行こう。どうせ君も付いてくるつもりだったんでしょ?」
「うん!」
「ったく、俺や七槻ちゃんの傍から絶対に離れるんじゃないぞ、ボウズ。それだけは絶対に守れよ。七槻ちゃんもな。ナイトが偵光じゃなくて悪いけどな!」
「萩原さん!? いったい何を言ってるんですか? 僕は偵光君のことなんか・・・・」
「なっ、おもしろいだろ?」
「あはは・・・そうだね」
「萩原さん! いいから急ぐよ!」
雅美さん、頼むから無事でいてくれよ!
俺達は急いでその倉庫へと向かった。
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「あそこに見える倉庫で間違いないの、萩原さん?」
「ああ、間違いない。問題は、倉庫内で銃声が何発も響いてるって所だな」
「ちくしょう、これだと近づけない。中の情報でも分かれば・・・」
ちくしょう、どうする? 俺達三人で突入なんて無謀すぎるし・・・
「そうだね。警察を呼ぶしかないかな? 私達だけで行くと、危険な目にあうし・・・うっ」
「七槻ちゃん、どうした!? 何でテメエが!? かはっ・・・・」
ん? 何!?
「ウサギだと!? てめえ、越水さんと萩原さんに何をしやがった! うっ・・・」
俺の目の前にウサギが現れ、気を失った越水さんや萩原さんを横目にして、俺の意識も途切れた。
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<宮野明美side>
私はジン達との取引場所の倉庫に来ていた。
「どこにいるの? 出てきなさい!」
「ご苦労だった、広田雅美いや宮野明美」
「一つ聞いていいかしら、どうしてあの人達を殺したの?」
「ひひひひひひひひひひひ」
「それが我々のやり方だからだ。さあ、金を渡してもらおうか」
「ここにはないわ。ある所に預けてあるの」
「なにぃ!?」
「その前に妹よ! 妹を連れてきなさい。約束したはずよ、この仕事が終わったら、私と妹を組織から抜けさせてくれるって」
「ふっ。そいつはできねえ相談だ。奴は組織の中でも有数の頭脳だからな。妹はお前と違って組織に必要な人間なんだよ」
「じゃあ、アナタたち最初から!」
「ふふふふふふふふ」
「さあ、最後のチャンスだ。金の在処を言え」
やっぱりそうなるわよね・・・。ごめん、偵光君、妹のことお願いね。貴方と一緒に生きたかったな。助けてくれるって約束してくれたのに私から破ってしまってごめんなさい
「甘いわね。私を殺せば永遠に分からなくなるわよ」
「甘いのはお前の方だ。コインロッカーのカギを持ってることは分かっているんだ。それに言っただろ? 最後のチャンスだと」
「ホント笑えるよねー。ドヤ顔でコインロッカーのカギを持ってるのは分かってるだってさ! おかしすぎてお腹痛くなっちゃうよ!」
「「「!?」」」
「何もんだ!? ちっ!」
「アニキ!?」
ジンが可愛らしい声のする方向に銃を向けた瞬間、彼の銃がはじかれた。その後、こちらにトテトテという音が近づいてきてる。
「やれやれ。ジン君も学ばないね。自分が絶対だって確信してるんだから。自分が組み立てたゲーム盤がひっくり返されるのってどんな気持ち? ねえ、どんな気持ち?」
「・・・・てめえは・・・会いたかったぜ。ようやくそのツラを見せやがったな」
「クマに向かって何を言ってるんだい、君は? それに僕は君に会いたくなんかなかったよ? だって、ジン君たち弱すぎて面白くないんだもん。ベルモット、バーボン、ラム辺りでも来てくれたら楽しいことになるのに!」
そんな!? ここで、組織に最重要ターゲットにされている者が出てくるというの? クマの着ぐるみの形状が変わってるけど同じ人物が入っているはず。いったい何者なの? 組織でも相当な実力があるジンが弱いって・・・それにここで私が狙われたら逃げ場が無いわ。
いや逃げても同じね。もう私には死ぬ運命しか残ってないだろうし、諦めた方が身の為ね。ごめんなさい、志保、偵光君。
「・・・その減らず口を黙らせてやる」
「黙らすことができるのかな?」
「テメエ、アニキをバカにするのもいい加減にしろ!」
「んー、実際バカだと思うよ。二人とも僕に注意が向きすぎてターゲットががら空きだもん」
「・・・・え?」
そう言い、クマは私に銃を向けてきて撃ってきた。私の意識はそこで真っ暗闇に飲み込まれた。
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<偵光side>
んー、ゴム弾って分かっていても知り合いを撃つのは心が痛むな・・・・まあ、明美ちゃんを助けるためだ。絶対に助け出すからな。ジン達は、俺が先に手を下したから騒然としているな。パワーアップしたクマちゃんスーツの性能を見せてやるぞ! しゃべるようになったし、相手の話し声がちゃんと聞こえるようになったんだぞ!
山川さんが来るまでは時間稼がないといけないから煽りまくってたんだが、こうも乗ってくれるとはね。楽しいからもっと煽ってやろう! 明美ちゃんを殺そうとした罰だ! よーし、がんばるぞー!
「あれれー? ターゲットの暗殺失敗しちゃったね、ジン君?」
「・・・てめえ、何が目的だ?」
「目的? そうだねー、一つは宮野明美の殺害だね。そして、もう一つは、ジン君たちを殺害することかな!」
俺はそう言いながらマシンガンを取り出し撃ちまくった。
「ちっ!」
「なあっ!?」
二人はこっちに向けて反撃してきたので、明美ちゃんに流れ弾が当たらない位置に移動して撃った。ちっ、まだ銃を持ってやがったか。ならまだまだ楽しめそうだな。
「ははっ、楽しくなってきたねぇ! もっと楽しもうよ、レッツパーティー!」
俺は山川さんが合流するまで、明美ちゃんを守りながら戦闘を行った。10分ぐらいたち、窓が割れて中に飛び込んでくる白い影が見えた。ようやくお出ましですか!
「手伝いに来たよ、ベアー君!」
「ありがとう、ラビット君! 早くジン君達を捕まえて、組織のボスに喧嘩売ろう!」
「もちろんさ!」
喋る声が違うのと見た目の動物が変わってるだけで、性能がほぼ同じスーツだから生身の人間に負ける心配はない。防弾・防刃性能もバッチリだ。そんなファンシーな見た目の奴らと、黒ずくめの奴らが戦ってるってホントシュールだよなぁ。
「ちっ! 新手か! 次から次へと!」
「アニキ! どうしやすかい?」
おっと、隙発見!
「ラビット君!」
「了解!」
ラビット君に援護射撃してもらいながら一瞬でジン達と距離を詰めて。意識を刈り取るために肉弾戦を仕掛けた。
「ちいっ!」
「アニキ!? もう一匹が邪魔で兄貴の援護ができねえ」
「動きが遅いよ!」
「はっ、クマが格闘戦までできるとはますます面白い!」
「君もなかなかだね。だけど、遅い」
「・・! かはっ!」
「アニキ! うおっ!」
ジンの腹に蹴りを入れて吹き飛ばし、距離をとった。ウオッカの方もラビット君に武器を吹き飛ばされたようだ。さあ、どうする?
・・・!? おいおい、ここで乱入してくるのかよ! 俺はとっさにガード体勢を取った。その瞬間、小さい衝撃がきた。
「やれやれ、急にきたらビックリするじゃないか、ベルモットちゃん」
「あら。組織の仲間がピンチだったから駆け付けてきただけよ。それとスコッチの件についてお礼したかったの。ジン、ウオッカ、私達が時間を稼ぐから早く逃げなさい! ターゲットの死亡は確認できたでしょ!?」
ったく、一番やりにくい相手と戦う為になるとはね。となるとあっちは・・・やっぱりな。こりゃあ、ちょっと骨が折れそうだわ。
「ベルモットの言うとおりですよ。ジン、ウオッカ、二人とも撤退してください。貴方たち二人まで失うのは痛すぎる」
「バーボン! ベルモット!」
「ふざけるな、ベルモット、バーボン。そいつは俺の獲物だ」
「悪いわね、ジン。私もバーボンもあのクマには因縁があるの。分かってもらえるかしら?」
こわっ! ベルモットさんマジ切れモードじゃないですか。やばっ、体震えてきた・・・・
「アニキ! ここは二人の言うとおりにしやしょう!」
「ちっ・・・クマぁ・・・そのツラと俺様をコケにしたこと二度と忘れねえからな。行くぞ、ウオッカ。ベルモット、バーボン、礼は言わねえぞ」
そういいジンとウオッカは撤退していった。さて、やっかいな二人組をどうにかしないとな。
「ラビット君はバーボン君のお相手してあげてくれるかな? 僕はベルモットちゃんの相手するから」
「うん、分かったよ。次の仕事もあるし、早いとこ終わらせよう」
「あら、随分舐められたものね」
「同感です」
「そんなゆっくり話してて良いのかな?」
俺はそう言い、ベルモットに一気に近づいて蹴りを放った。
「速い!?」
「ベルモット!?」
「君の相手は僕だよ、バーボン君」
「ちいっ!」
ここで二組の戦いが始まり、数分があっという間にたった。
ちっ、流石にそろそろマズイな。これ以上時間かけると警察がきちまう。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ベルモットの奴だいぶ消耗してるな。となるとたたみかけるか。ベルモットの本音も聞きたいしチャンスだな。
「だいぶお疲れのようだね」
「うるさいわね。はぁ、はぁ」
「君がこんな仕事をしてると知ったら、君の家族である彼はどう思うのかな?」
「黙りなさい!」
「おやおや凄い怒りようだね。それだけ彼が大事なんだね」
「黙りなさい! あの子に手を出すのだけは絶対に許さない!」
「それだけ大事ならどうして真実を話さないんだい? 楽になれるだろうし、彼なら君の味方になってくれるんじゃないのかな?」
「・・・彼の何を知っているというの? アナタが彼を語るのは辞めなさい! あの子は絶対にこちら側に巻き込まないと決めたの。闇の中で生きてきた私と、光の中にいるあの子が住む世界が違いすぎてるのはもう分かってるの。それでも一緒にいたいの・・・ただの私の我儘よ。もし組織のターゲットに彼がなったなら、私は組織に
敵対してでも守るわ。絶対にあの子を死なせる訳にはいかないの」
なるほどな・・・・・・
「なら君はどうして彼に助けを求めない? 君が彼を助けたいと思うのと反対に彼が君を助けたいと思っているのではないのかな?」
「それは・・・・こんな悪者でも助けてくれるかしらね・・・・内心では救ってもらいたいし、助けてもらえると凄く嬉しいわ」
「なら、なぜ助けを求めないんだい?」
「求めれる訳ないじゃない! 私が彼に助けを求めたら、絶対に彼は無茶をする! 私のせいで愛してる彼を傷つけたくないし、死んでほしくないのよ! 組織はそれだけ強大なのよ! だから・・・・言える訳ないじゃない・・・彼に死なれたら私は・・・。
だからこそ、あの子に手を出させるわけにはいかないのよ!」
そう言ってベルモットは蹴りをはなってきた。ったく感情が高ぶるといつもその蹴り方だったよな。どれだけ見たと思ってるんだよ。俺は彼女の蹴りを避けて彼女の背後にまわり手刀で気絶させた。
「君の気持ちはよく分かったよ」
「・・・そんな・・・・」
彼女を抱きとめ、同じく戦いが終わっていた仲間に話しかけた。
「ラビット君の方も終わったようだね」
「ベアー君の方も終わったみたいだな」
「くそっ、ベルモット」
「さて、バーボン君にお願いがあるんだ。この子を連れて逃げると良い」
「どういうつもりだ?」
「この子の本音に共感したって所かな。白銀偵光には手を出すつもりなど無いから安心するといい」
「そんなこと信じれると思うのか?」
「約束しよう。この子には恨まれたくないし、君にも恨まれたくないからね。まあ、スコッチ君の件があるから難しいと思うが、この子のことだけは頼む」
「お前はいったい何者なんだ・・・・? そこまでしてベルモットにこだわる理由は?」
「そうだね。彼女の為と組織に無理やり入れられ助けを求めれない者達の為に組織に敵対したって所かな」
「・・・・分かった。スコッチや明美さんの為に、お前は俺が絶対に正体を暴いて捕まえる。それまで殺されるな。約束しろ。そっちのウサギの奴も同様だ」
「「もちろん死ぬつもりは無いよ」」
俺は、ベルモットをバーボンに渡した。
「もうすぐしたら警察も来る。早く行くんだ。宮野明美の死体はこちらで処理しておく。ちゃんと埋葬するつもりだから悪いようにはしないよ」
「・・・・礼は言わないぞ・・・・」
バーボンはそう言い、ベルモットを抱えて去っていった。ふう、予想外のアクシデントがあったが何とかなったか。知り合いと敵対すんのはやっぱりキツイな・・・
「お互いキツかったな。早いとこ彼女を連れて撤退しよう。それと大丈夫か」
「ああ、大丈夫だ。ベルモットの本音も聞けたし余計やる気出てきたよ。今回は明美ちゃんを救えたことを喜ぼう。それで俺達を追ってきた、七槻ちゃん達は?」
「気絶させた後、司さんに回収してもらって安全な場所に運んだよ。そろそろ目を覚ます頃だな。起きてからの対処は水口さんと松田に伝えてあるから大丈夫だろう」
「流石だね。それじゃあ、あと片付けしてアジトに戻ろう」
「ああ」
俺達は倉庫に細工をして、明美ちゃんを連れてその場から立ち去った。
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俺達はアジトについて彼女が目を覚ますまで会話をしていた。ここには、俺と山川さん、野山夫妻がいる。
「事件についてはどうなってます?」
「どうやら公安警察が動いているようだ。彼女の死を偽装(ぎそう)した者がいるんだろうね」
「なるほど。動いた人物には心当たりがありますね」
「俺もそうですね」
「まさか明美まで消されそうになるとは思わなかったよ。娘を助け出してくれた君達にはなんとお礼を言っていいか」
「そうね。私達の宝物を助けてくれてありがとう、二人とも」
「いえいえ、こちらとしても明美ちゃんを救いたかったですからね。次は志保ちゃんですね」
「そうだな。だが今回の件で俺達は完全に組織のブラックリストに載ったな。着ぐるみだけど」
「ぷふっ。あの組織が着ぐるみをブラックリストに載せるとかめちゃくちゃシュールだな。それより今回も結構無茶したんですけどスーツ大丈夫ですかね?」
「メンテナンスして修理するつもりだから気にしなくても大丈夫だよ。それより君達はそのスーツ脱がないのかい?」
「脱いだら彼女の驚く顔が見れないので、このままでいようかなと」
「だから彼女が起きるまで脱ぐなって言ったのか。全くお前という奴は・・・すみません、野山さん」
「いや、良いんだよ」
「ううん・・・」
どうやらお姫様のお目覚めのようだ。
「ここは・・・? 確か私は、クマに撃たれたはず・・・どうして生きてるの・・・?」
「それは貴女が、そこにいるクマちゃんに運ばれてきたからよ。ねえ、アナタ」
「ああ、そうだよ。そこにいるクマとウサギが君を運んできたんだ」
俺と山川さんはコクっと頷いた。最初は家族で話すのが一番だろう。ここで素顔出すには問題ないからな。
「貴方たちは・・・?」
「そうだね。私達がそこにいるクマに君を助けて欲しいと依頼していたんだ。だいぶ昔にね。今回、その依頼を実行してくれた訳だ」
「そうね。ホント感謝してもしきれないわね。私たちの命も救ってくれたし」
やめて、親子3人でこっち見ないで。照れちゃいます。ってクマだから表情バレないわ。とりあえず頷いておこう
(こくっ)
「どうして私を助けたんですか・・・? 私より妹の志保を」
「妹さんのこともちゃんと依頼してあるから心配する必要はない」
「どうして・・・? あなた達は誰ですか? 私の知り合いにはいません。みず知らずの私をどうして助けたんですか?」
「知らない人じゃないからだよ、明美」
「そうね、アナタ。私たちの大事な宝物ですもの」
そう言って、野山さん達は変装をとき、その姿を見て明美ちゃんは驚いている。そりゃあ、驚くよなぁ。
「嘘・・? お父さん、お母さん・・・?」
「ああ、そうだよ。明美」
「ごめんなさいね。私達のせいで、明美や志保を辛い目に合わせて」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
これだけでも助けた価値はあったな。俺と山川さんは、親子の再会を優しく見守っていた。
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「そうなんだ。偵光君がお父さんとお母さんを助けてくれてたんだ。感謝しないといけないね」
「そうだね。それで私たちの味方をたくさん作ってくれて、彼にはホント助けられたよ。今回もこんな優秀な人達を明美の救出に参加させてくれたしな」
ちょっと司さん? どうしてニヤニヤしながらこっち見るんですかね? あっ、山川さんは笑ってやがるな。だって、着ぐるみがぴくぴくしてるもん。
「それにしても明美、偵光君って随分親しい呼び方してるじゃない。どうしてなの? お母さんに教えてちょうだい」
「えっ!? それは・・・・」
「あらあら、明美ったら顔が真っ赤よ。どうしたのかしら?」
「エレーナ。あまりいじわるしたらダメだよ」
「ううっ・・・・」
かわええのう。やっぱり明美ちゃんは心のオアシスだなあ。
「アナタだって気になるでしょう? 娘の色恋ですし」
「確かにそうだが・・・」
あっ、これ俺がおったらヤバい奴だわ。メールでもらった内容から俺に好意持ってるのは分かるが、流石に聞くのはまずいだろ。明美ちゃん、俺がいるとは思ってないだろうし。
よし、逃げようってどうして俺の手(クマ)掴んでるんですかね、明美ちゃん?
「あらあら♪ クマちゃんの手掴んで離さないのね」
「あっ、すみません! なんか安心しちゃって。ごめんなさい」
「気にしなくて大丈夫よ。掴んでても問題無いって言ってるわ♪」
「そ、そうなんですか? すみません、迷惑ですよね」
くそう、エレーナさん絶対楽しんでやがるな。明美ちゃんも悲しそうな顔しないの! 厚司さんと山川さんは笑いすぎだぞ!
(ふるふる)
「あ・・・ありがとうございます」
「あらあら。愛しの偵光君ではなくクマちゃんに浮気なの?」
「愛しのってお母さん!? いったい何いってるのかしら! それに浮気って違うわよ!?」
明美ちゃん顔真っ赤で、わたわたしてかわええのう。癒されるー。
「焦ってると認めてるようなものだぞ、明美」
「そうね♪ で、本当のところはどうなの?」
「・・う、うう・・・す・好きな人です」
「あら♪ 告白はしないの?」
「もう死ぬと思い、メールでしました・・・・」
「なら返事貰わないといけないわね、アナタ」
「そうだね。それで彼に直接告白はしないのかい明美?」
おーい、誰か助けてくださーい。これってクマの着ぐるみ余計に脱げないよね? 脱いだ瞬間、明美ちゃんのトラウマ確定するよ? 山川さん、助けてくださいよー。あっ、あの人ら絶対助ける気ねえわ。明美ちゃんと俺の反応見て楽しんでるわ。
よし、現実逃避してなるべく聞かないようにっしておこう。らんらんるー
「・・・無理よ。だいたい勢いでメールで告白したからどんな顔をして会えば良いか分からないもの。それに志保にも悪いし」
「あらあら、もしかして志保もなの?」
「私はそう思うかな。偵光君にはよく突っかかってたんだよね。基本他人に興味がない志保があの反応ってすごく珍しかったわ。本人は認めないだろうけど、私はそう思うわ」
「そうなのか。しかし凄いなあ、偵光君は。色んな女性に人気じゃないか」
「彼カッコいいし、女の子からしたら、自分のことを背一杯助けてくれる男性の人だったら好きになっちゃうわよね。明美もそうなんでしょ?」
「・・・うん」
「明美の随分かわいい顔も見れたし、この辺にしておきましょうかアナタ」
「これはまた大変なことになるよ。彼の周りが。君もそう思うだろう、山川君?」
「ええ、そうですね。今から考えると胃が痛いですが、先ほどのことはそこにいる奴の反応が面白かったので楽しめました」
「え、ウサギの中に山川さん・・・?」
「ああ、俺も素顔を曝そうか。こちらの顔なら君と一緒に何度か仕事しているから知っているだろう?」
「スコッチさんも生きていたんですか・・・?」
「ああ。そこにいるバカのおかげでな。おい、お前もいい加減着ぐるみ脱げ」
「・・・・まさか?」
もう話し終わったの? ふう、これで着ぐるみ脱げるな! よいしょっと。
「久しぶりだね、明美ちゃん」
「・・・・・きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺の顔を見た瞬間、顔を真っ赤にした彼女の悲鳴が部屋中に響き渡った。
ジンが完全にクマに逆恨みしている変な奴にしかみえない(笑)
明美ちゃんがいじられている(笑)
大きくなった明美ちゃんと再会したら、こんなやり取りありそうだなあと思い書きました。
次回で10億円強盗事件編は完結です。
次の次ぐらいで哀ちゃんだせると良いなぁ。
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