全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
このお話も早くもに20話目になります。
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今回は、名家連続変死事件編の完結と、哀ちゃん登場回です。
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<偵光side>
幸ちゃんがようやく落ち着いて、会長の部屋に、探偵陣が集まっており説明を要求された。光明さんは、警察呼んで引き取ってもらった。俺達や幸ちゃんは後で警察に顔を出すことになっている。幸ちゃんは計画を立てたが、
実際には何も行っていないので注意だけですみそうだ。俺の方は間違いなく説教コースだな・・・
「んで、そろそろ教えてもらえへんか? アンタが何知ってたんかをのう?」
「偵光君、全部話してくれるよな?」
「白銀さん、僕も知りたーい」
「お兄ちゃん、教えてくれるよね?」
「白銀君、ワシからも頼む」
「偵光さん、どうして秀臣さんに変装してたんですか? 私も知りたいです・・・」
「あーもう、ちゃんと説明するので皆さん落ち着いてください! 今回の件ですが・・・・」
俺は自殺しようとしていた秀臣さんを止めてから、さっきまでのことを全部説明した。
「・・・という訳です。秀臣さんが狙われるのは予測できたので、今までの経験でどうにでもできるなと思い変装してました」
「あの変装術ってどこでなろうたんや?」
「知り合いに少し習ったんだよ。俺の変装術はその人の足元には及ばないし、使う機会が無いと思ってたんだが、まさかこういう形で使うことになるとは思わなかったよ。正直、同じことをもう一度やれって言われても、できるかどうか分からん」
「なるほどのう。そっちの兄ちゃんは?」
「俺も所長にしてもらったんだよ。変装に関してはさっぱりだ。所長もああ言ってたし、変装する機会ももう必要ないだろう」
「そ、そうなんか」
「ねえ、お兄ちゃん気になったんだけど幸さんとはどういう関係なの? 知り合いなのは分かったんだけど、何かキッカケがあったのかなぁって」
「それは・・・・」
「両親が亡くなった火事の時に、近くを通りかかった偵光さんが私を火の中から助け出してくれたんです。身よりがなくて、孤独だった私の面倒を見てくれて、凄く助けられたんです」
「そうなんですね! 凄いね、お兄ちゃんって!」
「結局、幸ちゃんを悲しませたことには変わらないけどな」
「もう良いんです・・・また助けてくれましたから。私こそ、ちゃんと事情があったのに偵光さんにあんなに酷いことを言ってごめんなさい」
「大丈夫だよ、幸ちゃん。すみません、道三さん」
「いいんじゃよ。賑やかで良いことじゃし、君が好かれておるのがよく分かった。さてと日向君、君はどうしたい?」
「私は・・・偵光さんの所に行けるのでしたら行きたいです。今までお世話になった長門会長には申し訳ないですが・・・」
「良いんじゃよ。偵光君の隣で笑う君の表情は、家にいる時には見なかったものじゃ。それにワシの我儘のせいで君に悲しい思いをさせてしまい追い詰めてしまった。本当に申し訳なかった」
「会長! 頭を上げてください!」
「偵光君、幸ちゃんのことをよろしく頼む」
「もちろんですよ。彼女と約束してましたからね。もう一回約束破ると怒られます」
「偵光さん・・・」
「ということで、幸ちゃんにはウチで働いてもらうからよろしくね。歳の近い人達が多いし、良い人ばかりだからすぐに仲良くなれるはずだ」
「はい! よろしくお願いします!」
「ほっほっほ。話もまとまったようじゃし、今回の件は長門家の良い教訓になった。息子たちが起こした事件については家族みんなで取り組み償っていくつもりじゃ。
それとワシの初恋の人も誰か分かったしの。偵光君、毛利さん、服部君、ありがとうございました」
「初恋の人が誰か分かったんですか、会長!?」
「そうや、誰なんや!?」
「ああ、やっぱり。道三さんの行動で予想はついてました」
「白銀は誰か分かってたのか?」
「偵光君、分かってたの?」
「誰なんや!?」
「幸ちゃんのお母さんだよ」
「え? 私のお母さん?」
「うん、そう。幸ちゃんが、道三さんの初恋の人に似てるって言っていたのと、幸ちゃんが持ってる万年筆を見てた時の道三さんの態度が気になったんだよ。それを見た時凝視してたしな」
「流石じゃのう、偵光君。そうじゃ、日向君のご両親の形見として持っている万年筆は、ワシが小学生の頃に、転校してしまう君のお母さんにあげたものなんじゃ」
「そうだったんですね・・・」
「ワシが言えた義理ではないが、君はお母さんの分までも長生きして幸せになるべきじゃ」
「・・・はい!」
「道三さん、今度は、他の仲間も連れて来ますので美味しい料理とお酒を楽しみにしてますね」
「そりゃあ、気合入れて準備しておかないといけんのう!」
「これで心配ないだろ、幸ちゃん?」
「・・・はい!」
こうして、幸ちゃんの事件は未然に防ぐことができ、彼女の心からの笑顔を見て、俺は安心するのだった。
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<日向幸side>
私が偵光さんの所へ来て一ヶ月がたった。私は偵光さんの会社に就職し彼の秘書をしている。会社側のスケジュール調整は私がやり、探偵事務所側のスケジュール管理は美樹さんが行っている。そうやって、分担しなければいけないほど、彼のスケジュールはハードだ。
みんな優秀でなんとか会社をまわしている状況だ。近いうちに人材募集をかけるみたいだ。彼は現状をよく理解して行動するし、自分で抱え込むことが多いので、私達がしっかり管理しないと彼は働きすぎてしまうので注意している。
ホントに、偵光さんは昔から自分のことより人のことを優先するんだから・・・
ここに来て、驚いたことがもう一つある。彼を好いている女性が多いということだ。私を含め九人はいることが分かった。彼が意図的にやってるならみんな文句も言えるのだが、無自覚で行動した結果そうなってるのがたちが悪い。自分から女の子にナンパしたりなど言いよっていくことが無いのだ。彼に助けられて、その人柄に惹かれた人ばかりなのだ。
「ホント、質が悪いですね」
「急にどうしたんですか、幸さん?」
「いえ、偵光さんの無自覚な行動はどうにかならないかと思いまして」
「先生のあれは、しょうがないですよ。私達の好意に気づいてるんでしょうけど、困った人は放っておけないから助けちゃうって感じの人なんですよ。でもしっかり私達のことは大事にしてくれてるのが分かるから余計に困るんですよね」
私は会社の寮で、夏美さんと出くわしお互い休みということでカフェにお茶を飲みに来て話していた。
「そういえばお聞きしたいのですが、夏美さんは偵光さんのことをどうして先生と呼んでいるんですか?」
「私のお菓子作りの先生なんですよ。先生のお菓子を食べてからファンになっちゃって、弟子入りしたんです。
先生のおかげで店も出せたし、色んなことで助けてもらったので感謝しています」
「そうなんですね。夏美さんは偵光さんのことが好きなのですか? その・・・異性としてです」
「はい、好きですよ♪ 幸さんも同じですよね?」
「・・・はい。私を助けてくれて、隣で夢を応援し続けてくれたあの人を愛しています」
「私も同じです♪ 先生って凄くモテるんで大変なんですよ。強力なライバルが多いので大変です」
「そうですね・・・皆さんお綺麗な方ばかりで自信ないです」
「私もそうですよ。けど絶対に負けたくないって気持ちだけは持って頑張ってます。私以外の皆さんもたぶん同じ気持ちだと思います。幸さんはどうなんですか?」
「私は・・・負けたくないです。あの人を思う気持ちは、誰にも負けないつもりです」
「ならそれで良いじゃないですか。その気持ちだけで充分だと私は思います。皆さん、先生を巡るライバルなんですけど、それと同時に仲良くやっていけたら良いなと私は思っているんです。皆さん良い人ばかりですから。
もちろん、幸さんとも仲良くなりたいと思ってます」
「そうですね・・・・私もそう思います。改めてよろしくお願いします、夏美さん」
「こちらこそ仲良くしてくださいね、幸さん。そういえば、今日、先生は探偵事務所でしたっけ?」
「はい。コナン君と会う予定があると言ってました。お休みも当分取れそうに無かったので、明日から連休を取ってもらうようにしています」
「先生、コナン君と仲が良いですからね。そんなにお忙しくなるんですか?」
「そうですね。会社側のスケジュールでは、杯戸ホテルでの映画監督の追悼式に参加、ヨーコさんからアースレディースのパーティへの招待、建築家森谷帝二様からパーティーの招待がありましてスケジュールがだいぶ立て込んでます。探偵側の方の仕事は美樹さんにお願いして、その間は
他の方に仕事をまわすようにしてもらってます」
「凄く忙しそうですね、先生」
「はい。本人に無理なようなら断ってくださいって言ったんですが、忙しかった時に比べて全然平気だから気にするなと言われまして。私も偵光さんには無茶して欲しくないので、私も充分注意しています」
「それなら大丈夫そうですね。私も先生が無茶しないように注意しておきますね」
「ありがとうございます」
私達は会話をしながら、二人で休日を満喫した。
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<偵光side>
俺は今、事務所の応接室でコナンの相手をしていた。コナンの横には赤みがかかった茶髪の女の子がいる。この子って・・・美樹ちゃんも彼女を見て驚いてたし、間違いないよなぁ。
「それで、今日はどんな用で来たんだコナン? 話があるってことだったが」
「この間、転校してきた僕の友達を紹介したくて来たんだよ」
「なるほどな。この探偵事務所で所長をしている白銀偵光だ。よろしくな」
「・・・灰原哀よ。よろしく」
「よろしく、哀ちゃん。俺のことは好きなように呼んでくれ」
「ええ、分かったわ」
「それで、コナン。用事はそれだけじゃないんだろ?」
「ははは。やっぱり、白銀さんには分かるよね」
「態度でバレバレだ、バカ。それで他の要件はなんだ?」
「うん、白銀さんには灰原を守るのに協力して欲しいんだ」
「ちょっと、何言ってるの!?」
「俺に直接頼みに来るってことは・・・組織関係か? 哀ちゃんの顔見てだいたい予想がついてたが。志保ちゃんだろ、君?」
「つっ!?」
「その反応からしてビンゴだな。コナンと同じ薬飲んで体が縮んだってところか?」
「凄いね、白銀さん。どうして分かったの?」
「彼女の顔見て、志保ちゃんそっくりだったからな。志保ちゃんにはお姉さんしかいないし、娘さんがいるって聞いたことも無かったからな」
「・・・どうして・・・どうしてお姉ちゃんを助けてくれなかったの!? 貴方なら助けられたでしょ!? それにお姉ちゃんは貴方のことが・・・・どうして助けてくれなかったのよ!」
「おい、灰原!」
哀ちゃんは泣いて、俺を責めてきた。美樹ちゃんも辛いだろうし、やっぱり話すべきだな。
コナンの奴にも、明美ちゃんのことを話しておくか。コナンに協力してもらった方が、俺も動きやすくなるし、死ぬ確率も減るだろうからな。
「大丈夫だ、コナン。美樹ちゃん! そこで聞いてるんだろう? 入ってきてもらえるかい?」
「失礼します」
「灰原さん!?」
「・・・え?」
「美樹ちゃんが話したいなら話しても大丈夫だよ。俺からは何も言わないし、君が選択したことなら受け入れるよ」
「良いんですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
「コナン、哀ちゃん。これから見て聞いたことは、俺と野山さん夫妻、山川さん、萩原さん、松田さんしか知らないことだからそれ以外の人には絶対に話さないように他言無用で頼むぜ」
「「・・え?」」
「こっちの姿で貴方達と会うのは、久しぶりね。志保、コナン君」
そう言って彼女は変装をとき、素顔をさらした。
「おいおい、嘘だろ!?」
「嘘・・・お姉ちゃん?」
「そうよ、私は宮野明美よ。偵光君に助けてもらったの。組織で私は既に死んだ者となっているはずよね?」
「・・・え、ええ。本当にお姉ちゃんなの?」
「ええ、そうよ。志保」
「お姉ちゃん!」
「寂しい思いさせてごめんなさいね、志保」
「う、ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
明美ちゃんと志保ちゃんはお互いに抱き合い泣いていた。彼女たちが落ち着くまで俺とコナンは見守り続けた。
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「・・・・・という訳だ」
「相変わらずとんでもねえ人だな。それと、前から聞きたかったんだけど、白銀さんって変装得意だよね?」
「どうしてそう思うんだ?」
「白銀さんが変装できないと誰が彼女を変装させたのか?ってなるからね。白銀さんの部下がここまでの技術を持っていた場合も考えれるかなと思ったんだけど、例の組織の一員だった宮野さんを匿うということは、部下の人達から聞いた話を踏まえて、おそらく貴方しか知らないはずだ。
正直に言うと、確信できる理由がある。俺の知り合いに連絡して聞いたんだよ。変装術習った時に、貴方もいたってね。貴方の才能は師匠に負けず劣らずだったそうですね」
「有紀子さんか・・・やれやれ、コナンには隠し事はできないな」
「やっぱりそうでしたか。
白銀さん、この間は貴方を責めてしまってごめんなさい。俺も余裕が無くて貴方に当たってしまい、すみません」
「別に気にしてないから、良いさ。それに俺も騙していてすまない」
「お互いさまでしょう。それで灰原の奴のことはどうするつもりなんです?」
「阿笠博士の所にいるのが安全だろう。何かあったらコナンがすぐ駆けつけるつもりなんだろう?」
「ああ。貴方もそのつもりなんだろう?」
「もちろん。頼んだぞ。何かあったらすぐ連絡してくれ。それで組織のことは追うつもりなのか?」
「ああ。絶対にアイツらを引きずり出してやる」
「追うのは良いが、引き際を間違えるなよ。アイツらは容赦が無いから、身近な者まで危険に曝すぞ?」
「分かってるさ。それは白銀さんにも言えるんじゃない?」
「確かにな。ただ、こっちに手出してきた時は容赦なく潰す。ただそれだけだ。今までもそうだったからな」
「組織より白銀さんの方が怖えよ」
「そんなに怖くないとは思うんだが・・・」
「あら、二人で盛り上がって随分楽しそうね」
「本当ね」
「話はもう済んだのかい?」
「ええ、さっきはごめんなさい。貴方のことを責めてしまって・・・」
俺は哀ちゃんの頭をポンポンと撫でると、哀ちゃんの顔が少し紅くなった。
「気にするな」
「・・・・・・・・」
「志保ったら、照れてかわいいわね」
「お姉ちゃん!」
「・・・ははは」
「それで、哀ちゃんは今後どうするつもりなんだ?」
「お姉ちゃんとも話したんだけど、博士の所で引き続き暮らすことにするわ」
「その方が安全だろうな」
「ええ。貴方にお願いがあるの。今後もお姉ちゃんのことをちゃんと守ってあげて」
「当然だ。もちろん志保ちゃんも守るつもりだけどな。明美ちゃんとも約束したしな!」
「・・・バカ」
「偵光さん、それは反則すぎます」
「この人は・・・」
「・・・?」
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コナンと哀ちゃんが帰り、俺は自分のデスクで枡山憲三からの手紙を見ていた。近くでは、山川さんと美樹ちゃんが事務仕事をしている。
「映画監督追悼式の後で、個人的に会いたいか・・・」
「どうするんだ?」
「十中八九、罠だよなあ。ピスコだっけ?」
「ああ。ピスコだ。組織の中でも地位が高い」
「美樹ちゃんは会ったことあるの?」
「お父さん、お母さんと仲が良かったってのは聞きました。小さい頃の私や志保に会ったことがあるそうです」
「なるほどね。野山さん達から聞いた情報通りだな。大手自動車メーカーの会長の裏の顔が、黒の組織の幹部とはね」
「それで行くのはあまりお勧めできないんだが」
「私も山川さんと同じ意見です」
そうだな。俺もそう思うわ。行くと死亡する確率はねあがりそうだもん。ただ、参加者にアイツがいるって本人から聞いてしまったんだよな。
「そうなんだが、参加しなかったらこちらに何か仕掛けてきそうだな。それに参加者の中にクリスがいる。おそらくベルモットとして呼びつけて何かするつもりか、彼女の独断専行を俺を使って足止めするために呼んだってとこだろうな。
とんだ、狸じじいじゃねえか」
「その可能性はありそうだな。だが、今回スーツは使えないぞ? 組織との闘いが始まったら、生身でいかないといけないが・・・さらに改造した防弾チョッキ付けたお前なら大丈夫そうだな。たいていのことでも死にそうにないし」
「そういう問題ですか、山川さん!? 偵光君が危ない目にあうのは反対です・・・」
「そうだな。美樹ちゃんの心配も分かるけど、攻められっぱなしはしょうにあわないからな。こっちからも、たまには攻めよう」
「その考えには同感だな。組織に好き勝手やられすぎるのも我慢ならないしな」
「でも・・・・」
「心配しなくても大丈夫。みんなの所には、絶対帰ってくるから。
美樹ちゃんにも協力して欲しいんだ」
「・・・分かりました」
「それで今回の作戦なんだが・・・・」
俺は、枡山会長への対策を二人に伝えた後、野山夫妻、萩原さん、松田さんに伝え、準備を行い、映画監督追悼式に備えた。
次回は、ようやくあの事件になります。
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