全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく   作:クリス&シェリー全力投球

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※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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23話

<ベルモットside>

 

 私はピスコの後を追い、彼が逃げ込んだ部屋で対峙した。ジン達はもう来ていると連絡あったし、彼のことだからもう既に待機してるはず。後は、どうやってピスコをジン達の所へ連れて行くかよね・・・

ボスにも確認取ったし、彼の処刑はもう決まっている。偵光が来るまでに時間が無いわね・・・・・

 

「おやおや、ベルモットじゃないか。わざわざこんな所まで出迎えてくれたのかね?」

 

「出迎え? 笑わせないでちょうだい。私達に手を出した報いを受けてもらう為に来たのよ」

 

「ほう・・・白銀偵光、彼のことを言っているのかな? 彼を始末できれば万々歳だったのだが、予想以上に運が良いらしい。全く、恐ろしい男だよ」

 

 ピスコの言葉に私は腹がたち、拳銃を取り出し彼に向けた。

 

「おや、良いのかい? 私を殺せば愛する彼といることができなくなるぞ? 殺しはしないと決めたんじゃなかったのか?」

 

「くっ・・・」

 

「あのベルモットが男一人の存在だけで随分と甘くなったものだ。彼はそこまでの存在なのかい?」

 

「シルバーブレット・・・いいえ、マイヒーローよ」

 

「銀の弾丸に英雄か・・・なるほど。面白い例えをする。ますます彼に興味が出てきたが、彼は危険過ぎるので消えてもらおう。この会場で見つけた彼女と一緒にな」

 

「彼女ですって・・・?」

 

「おや、君も気づいているのではないかい? 組織から脱走した彼女のことだよ。どうやってあの姿になったは知らないがな」

 

「・・・シェリーね」

 

「そうだ。どういう縁か知らないが、彼女は君がご執心の彼の傍にいる。実に面白い。私のターゲットが二人も揃っているんだからな」

 

「彼だけは絶対に殺させないわ」

 

「彼の近くにいるシェリーは良いのかい? 彼が護ると決めた人物の中に入っているかもしれないのではないか?」

 

「シェリーは組織を裏切った。それに、彼女には私の個人的な因縁もあるから好きにしなさい。それで殺せなかったら、私が殺すわ。たとえ、偵光にその件で嫌われようともこれだけは絶対よ」

 

「ますます面白い。殺しをしていなかった君が、愛する者に嫌われてしまおうとシェリーだけは殺すというのか。君の因縁とやらが気になるし、君にシェリーを殺させて彼がどんな顔をするか見てみるのも良いな」

 

「・・・・相変わらず、趣味が悪いわね」

 

「あの男に執着する君程ではないがね。彼は恐ろしい男だ。あのお方が彼の動向を気にしているし、ラムも興味を持っている。組織に引き込めないかと画策しているが、ことごとく失敗しているらしい。そのうえ、こちらの情報を掴み喰らいついてこようとするとは・・・」

 

「・・・どういうこと? ボスが偵光が勧誘しようとしているですって?」

 

「君は知らなくて当然だ。彼の身近にいるからな。あのお方も君から嫌われたくないから黙っていたんだろう」

 

「ふざけないで! 彼は私達裏の人間とは違うわ! 彼は絶対裏側にはきてはいけない人間よ!」

 

「おお、怖い怖い。君が知らない所で裏の世界を既に知っていたとしたらどうする? 勘の良い君も薄々気づいているのではないかね?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 そう、私も気づいてはいた。偵光がおそらく私達の存在を掴んでいるということを。彼の能力なら気づいてもおかしくないはずだし、絶対に私のことは調べているはずだ。それでも、彼は私の傍から離れないと言ってくれた。その彼の言葉が私の救いとなった。

 なら私は彼の為を思い行動するだけだ。彼を悪という存在から守る。ただ、それだけだ。悪の世界に首を突っ込んでいようが関係ない。

 

「沈黙は肯定とみなすぞ。彼は私の正体にも気づいていたしどの道、彼が生きるという選択肢は無い。もし私の邪魔をしたら分かっているな?」

 

「あら? 先に手を出してきたのは貴方じゃない。こちらからもやり返しても文句は無いわよね、ピスコ?」

 

「血迷ったか、ベルモット・・・仕方ない、組織への反逆者として君をあのお方の元に突き出そう」

 

 そう言い合って私達はお互いににらみ合っていると、二人の携帯が鳴った。

 

「全く、こんな時に誰なんだ・・・アイリッシュ? すまない、連絡を終えたら再開しよう。君も電話が鳴っているようだしな」

 

「ええ、そうね・・・ジン? どうしたの?」

 

「ベルモット、今どこにいる?」

 

「まだホテル内にいるわよ」

 

「撤退だ。ホテルに向かう途中で予想外の邪魔が入った」

 

「どういうことなの!?」

 

「例のクマ御一行と、おそらくFBIだ。それにホテル周辺にやたらサツが集まっていて、俺らでも侵入できそうにない。それぐらいの警官が集まっていやがる。おそらく、クマ野郎の仕業なんだろうが面倒くさいことをしてくれやがる」

 

「FBIもですって!? 任務でヘマをやらかした、彼はどうするの?」

 

「サツに捕まえさせ、その護送中を狙う。スナイパーも用意した」

 

「そうなのね。また邪魔が入る可能性は?」

 

「その可能性は無い。クマ野郎の目的は、俺達をホテルに近づけさせないことだ」

 

「なるほどね。それで、貴方がご執心の彼女のことはどうするの? 毎回逃げられてたけど」

 

「うるせえ。シェリーをそのホテルで殺してもメリットが無い。次の機会で、アイツを真っ赤に染め上げて、空へと昇らせてやるさ」

 

「・・・・・そう」

 

「だからお前も早く撤退しろ。おそらく、クマの奴はピスコ確保の為に最善の手を既に打っているはずだ。お前までヘマするなよ、ベルモット」

 

「ええ、分かったわ。それじゃあ」

 

 私が電話を切ると、ちょうどピスコも電話を終えたようで彼の顔が苦痛に歪んでいた。

 

「おのれぇ・・・」

 

「あら、貴方も似たような報告を受けたのかしら?」

 

「ああ、例のクマの妨害をな。あのクマは白銀偵光と読んでいたのだが、彼は会場内にいる。勘が鈍ったか? いや、しかし彼に誰か変装していれば辻褄が合うか・・・・」

 

「それは無いわね。彼が変装していないことは確かめてるわ。病院でも確認したし間違いないわ。となると貴方の予想は外れたことになるわね」

 

「ちっ・・・ここからどうにかして逃げださなければ」

 

「そうね。でもそれは無理じゃないかしら?」

 

 私は気配を消して、彼の背後から近寄って来ている人物を確認しながら答えた。相変わらず、とんでもないわね。普通、煙突から入ってくるかしら? 電話中に見つけた時は、驚いて声が出そうになったじゃない。

 

「何?」

 

「だって、貴方が警戒していた人物にこれから捕まるんですもの」

 

「まさか!? がはっ!」

 

「気づくの遅すぎんだろ、このじいさん。電話で話すのに夢中になりすぎだろ。怪我は無いか、クリス?」

 

「ええ、大丈夫よ。煙突から入ってくるなんてね・・・よくここが分かったわね?」

 

「当り前だ。ドアのカギが閉まってたからな。おかげで煙突から入るようになるとは思わなかったぞ。さてと、こいつをロープで縛って、あとは警部達に言って逮捕してもらうか」

 

「そうね。そう言えば、偵光と一緒にいたお嬢ちゃんはどうしたの?」

 

「ああ、一緒にいたボウズ見つけたからソイツに渡してきた。離れないってごねられたが、そこは無視して逃げ出してきた」

 

「相変わらずね・・・」

 

「お前は行かなくて良いのか? この後、用事あるんじゃないのか? あとは俺だけでも大丈夫だが・・・」

 

「いいえ。彼を警察に引き渡すまでは私も付いて行くわ。用事は無いから大丈夫よ」

 

 こうやって分かっていて、私のことを逃がそうとするから大したものよね。

 

「へいへい、そうかよ。とっとと、行くぞ。

 ただでさえ、今後の予定がびっちりなんだ。今日は早く帰って休みたい」

 

「私も色々あって疲れたわ。その意見には賛成ね。それじゃあ、行きましょう」

 

 彼にそう言い、ピスコを引き連れて警察の元へと向かうのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

<山川光side>

 

俺は、萩原、松田、灰原さんの四人で先日のピスコの事件について続報があった為ラボに集まっていた。

 

「それでどうでした、山川さん?」

 

「ダメだな。捕まっていたピスコが殺されたそうだ。情報を聞き出すことはできなかったらしい」

 

「そうなんですね・・・やはり、容赦が無いですね」

 

「護送中も狙われてたから阻止したってのに、やっかいな連中だな。松田の方はどうだったんだ?」

 

「爆弾があれだけ用意されてるとは思わなかったぞ。全部警察の処理班に回収させた」

 

「おいおい、テロでも起こす気だったのかよ・・・」

 

「んで、組織の方は、ピスコさんとやらを捕まえた奴を追ったりしないのか?」

 

「そこは、どうやらベルモットが上手いこと誤魔化しているみたいだな。彼女なら、偵光に影響が出ないように動くはずだ」

 

「クリスさんって偵光が関わると、凄いフットワークになるしな。でも、今回は所長から疑惑の目を反らせたから結果オーライじゃないか? 捕獲したターゲットを消されたのは痛いが・・・」

 

「まさか、この俺が着ぐるみ着て戦う羽目になるとは思わなかったぞ・・・」

 

「松田のクマが一番似合ってたな。所長が着た時よりおもしろい動きしてたぞ」

 

「うるせえ。お前ら二人も、ウサギとシロクマだったじゃねーか。似たようなもんだろ」

 

「三人とも可愛かったですよ? 私が着た犬ちゃんスーツも可愛かったですし」

 

「いやいや、美樹ちゃんが着れば似合うだろうが、こんなむさ苦しい野郎共があんなファンシーなもの着てもなぁ」

 

「お前にむさ苦しいと言われる筋合いはない」

 

「同感だ。まあ、何にしても当分は探偵事務所の本来の仕事を偵光から優先してくれと言われているから、それで頼む」

 

「ああ」

 

「了解。それで、所長は今日アイドルのパーティー&お宅訪問だっけ?」

 

「そう聞いてます。ただ連日のごたごたで寝ていなかったそうなので心配ですけど、幸さんとヨーコさんが付いているので心配ないでしょう。何も起こらなければですが・・・」

 

「美樹ちゃん、怖いこと言うなよ・・・・なぁ、絶対何か起こるよな?」

 

「良くも悪くも事件に巻き込まれるな・・・」

 

「笑えないな。そういや、お嬢ちゃんの方は大丈夫だったのか?」

 

「ええ。所長と一緒にピスコの所に行くつもりだったそうですけど、偵光さんがコナン君の所に預けて上手いこと逃げ出したそうです。

 全部終わってから怒られて、今度キャンプ行くことを約束させられたって言ってましたよ?」

 

「相変わらず、どんどんスケジュールが埋まっていくね、うちの所長は。たまには家で大人しくして欲しいもんだが・・・」

 

「無理だな」

 

「無理だと思います」

 

「偵光が大人しくしていたら病気だ」

 

「容赦ないね、君達!」

 

「まあ、何にしてもアイツのことだから心配はしていない。どんな怪我をしようが帰ってくる奴だ」

 

「確かにそうだな」

 

「そうですね。私達は本来の仕事をしましょう」

 

「ああ」

 

 俺達は各自自分の仕事へと取り掛かっていくのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

「大丈夫ですか、偵光さん?」

 

「うーん、少し眠たいけど大丈夫。数時間仮眠取れたしね。それより今回のパーティー終わったら少し休みもらって良い、幸ちゃん?」

 

「大丈夫ですよ。もともと休んでもらうつもりでしたし、森谷様のパーティーまでは少し日にちがありますので、ゆっくりしてください。その間、会社と事務所は他の方でまわしますので」

 

「ありがとね。優秀な部下達を持って俺は嬉しいよ」

 

「いえ。それより余り無理をなさらないでくださいね。しんどいようでしたら、私から皆さんにお伝えして休めるようにしますので」

 

「ありがと、幸ちゃん。無理なようだったらちゃんと言うから。それよりも、ヨーコちゃんの友人の婚約パーティーとはめでたいね。それなのに俺のせいで遅刻するとは悪いことしたなあ」

 

「大丈夫ですよ、ヨーコさんも偵光さんの事情は分かっていますから。っとこの部屋ですね」

 

「助かるよ。ここだね」

 

 俺達は目的の部屋に着きインターホンを押すとヨーコちゃんが出てきた。

 

「あっ、偵光さんに幸さん! お疲れ様です。 偵光さんは体調大丈夫なんですか?」

 

「お疲れ様、ヨーコちゃん。今日は招待してくれてありがとね。体調は大丈夫だ。仮眠も取れたしね」

 

「無理しないでくださいよ? それでは、みんなに紹介しますので来てください!」

 

「失礼します」

 

「お邪魔します」

 

 ヨーコちゃんの後を追うと、集まっていた人物たちの中に見知った顔があった。

 幸ちゃんいる時点で大丈夫かと思ったが、おいおい、やっぱりコナン達もいるのかよ・・・・

 これ絶対事件起こるわ・・・

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

「偵光君!?」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「白銀さん!?」

 

「初めまして、白銀偵光です。私事で遅れてすみませんでした。こっちは、私の秘書の日向幸ちゃんです。毛利さん達もどうも」

 

「初めまして、日向幸です。社長の秘書をやらせていただいております。よろしくお願いします」

 

「二人は私が呼んだのよ! 私の所属している事務所の社長でとてもお世話になっている人達なの!」

 

「・・・・嘘でしょ?」

 

 煙草を咥えている黒髪の女性が、俺の顔を見て驚いていた。ん? 確か会ったことなかったはずだが、何驚いてるんだ、この人・・・・っておい、咥えてるタバコ落とすなよ! 火事になるとこだったぞ!

 

「っと、タバコ落とすと火事の元ですよ。はい、しっかりと咥えておいてくださいね」

 

「え、ええ」

 

「それで毛利さん達やヨーコちゃんのことは知っていますが、他の方とは初めて会うので名前を教えていただきたいのですが・・・」

 

 俺がそう言うと、各自自己紹介してくれた。芸能人ばかりしかいねえ。完全に場違いじゃねーか、俺。ってか、幸ちゃんがアースレディースのファンだとは思わなかったな。サインもらって凄くキラキラした目で今も話聞いてるし。

 

「お兄ちゃん? なんだか凄く眠そうだね」

 

「ああ、蘭ちゃん。ちょっとね。ふぁーあ。コナンと毛利さんに付いてなくて良いのかい?」

 

「お父さんもコナン君もあそこで話が盛り上がってるから大丈夫じゃないかな」

 

「なるほどね。幸ちゃんやヨーコちゃんも楽しそうだし来て良かったよ」

 

 マジで眠たいな・・・あっ、ヤバい、意識飛びそう・・・・・・

 

ーーーーーーーーーー

 

<沖野ヨーコside>

 

 私がアースレディースの衣装に着替えて戻ってくると、蘭ちゃんの肩でいつの間にか寝ていた偵光さんを見て、近寄った。

 

「すぅ、すぅ」

 

「お兄ちゃん・・・? 寝てる」

 

「寝てしまいましたね、偵光さん」

 

「お疲れなんで寝かせてあげてください、蘭さんには悪いんですけど」

 

「そうなんですか、幸さん?」

 

「ええ、ここの所仕事が忙しくて睡眠時間がほとんど取れてないみたいなんですよ。今日もここに来る前に少し寝ていただけですし、ヨーコさんとの約束を破る訳にはいかないって言って、聞かなかったんですよ」

 

「偵光さんってホント無茶しますよね・・・だから周りの私達が見ておかないといけないんですけど、なかなか上手いこといかなくて」

 

「お兄ちゃんって、いつも忙しそうにしてますよね?」

 

「そうですね。探偵業で休みを取ったら会社側が忙しくなったり、会社で休み取れば探偵側の仕事が忙しくなってりといたちごっこになってますね」

 

「そうなんですよね。私達のマネージャーも他の人雇えば良いのに、ほぼこなしてますからね。クリスさん達とは相談して、仕事の量を減らすようにしているんですけど偵光さんから怒られてしまって。最近は、山川さんや安室さん、萩原さん達が交代で来るようになったので

だいぶ負担も減ったとは思うんですけど・・・」

 

「全体的に人が足りてないですね。マネジメントできる人材が増えれば別なんでしょうが、偵光さんが信頼できると思った人しか雇わないんですよね。

 七槻さんや香奈さんが、だいぶ経営のことを分かって動いてもらっているのでマシにはなりましたが、まだ社長におんぶにだっこ状態な部分が多いです」

 

「そうなんですね。お兄ちゃん、無茶して倒れないと良いけど」

 

「そうですね。無茶は辞めて欲しいんですけどね・・・」

 

「先日もケガして大変だったのよ、蘭ちゃん。ホテルでの事件に巻き込まれて、クリスさんを庇って怪我したらしいんだけど」

 

「大丈夫だったんですか!?」

 

「ホントに軽い怪我で、クリスさんがすぐに病院に連れて行ったみたいなので大丈夫でした。ただ、その後、すぐに事件の捜査に向かったそうで・・・」

 

「・・・もう、お兄ちゃんたら、どうしてそんな無茶をするのよ」

 

「おそらく自分の身内が危険な目に合ったからじゃないですかね、幸さん?」

 

「そうですね。身内にはとことん甘い人ですから」

 

「何か、良いですね・・・皆さんの関係、お互いを想い合っていて、凄く家族みたいな感じがします」

 

「ありがとう、蘭ちゃん」

 

「ありがとうございます」

 

 蘭ちゃんにそう言われて嬉しくなった。家族みたいって言われて、確かに私達は偵光さんの元に集まって、みんな彼やお互いのことを想い合っている。会社や探偵事務所に所属していながら誰も離れていかないのは彼の人徳もあるだろうし、みんな良い人達ばかりだからだ。

 偵光さんが、こういう環境を作ったのは素直に凄いと思う。色んなタイプの人がいるが彼を中心にしてまとまっている。彼に何かあれば、みんなが絶対にフォローする。逆に誰か困っていれば、相談に乗ったり助けてくれる人達ばかりだ。そんな環境だからこそ居心地が良いし、家族みたいと言われ嬉しいと感じたのだろう。

 本当に、私が憧れた人は凄い人ですね・・・。

 

「着替え終わったわよ。ちょっと良いかしら、ヨーコ?」

 

「どうしたの輝美?」

 

「その人疲れてるなら、薫に言ってどこかで休ませた方が良いんじゃないの? 座って寝ていると、そこのお嬢ちゃんと彼の身体が痛くなってくるでしょうし」

 

「私は大丈夫ですよ! ただ、お兄ちゃんの方はちゃんと休ませた方が良いですね。ヨーコさん、寝かせれそうな場所無いですかね?」

 

「輝美の言うとおりね。幸さんに連れて帰ってもらうのも大変でしょうし、偵光さんも私との約束を反故にしたって嫌がりますよね。薫に聞いてみます」

 

「それなら客室があったはずです。あそこで彼を寝かせれば良いのでは無いでしょうか?」

 

「間熊さん? 薫はどうしたんですか?」

 

「それが何度呼び掛けても返事が無くて・・・」

 

「ううん・・・」

 

「あ、お兄ちゃん起こしちゃった?」

 

「社長、大丈夫ですか?」

 

「偵光さん?」

 

「・・・・悪い。いつの間にか寝てたみたいだな。ちょっと顔洗ってくる。ヨーコちゃん、洗面所の場所分かる?」

 

「ええ、ただ薫がまだお風呂に入っているので・・・」

 

「今行くのは不味いか。トイレ行って薫さんが出てきたら、顔洗いに行くか」

 

「あ、トイレは部屋を出て、すぐ右手のドアです」

 

「了解。ありがと。蘭ちゃんもごめんな、重かったろ?」

 

「いえ、私は大丈夫です」

 

「ありがとな。ちょっとトイレ行ってくる」

 

 そう言って、偵光さんは部屋を出ていった。

 

「幸ちゃん! ヨーコちゃん! すぐに来てくれ! 早く!」

 

「社長!? どうされましたか!?」

 

「偵光さん、どうしました!?」

 

「いいから、早く!」

 

 彼の焦った声を聞き、私と幸さんはすぐに部屋を飛び出すのだった。

 

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 アースレディースの話が終わったら、時計仕掛けの摩天楼編に入りたいと思います!
 次回の更新は明後日を予定しております!

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