全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
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<偵光side>
俺はトイレに向かう為に、部屋を出ると床に血の跡が続いているのを発見した。おいおい、マジかよ。原作通りの展開で泣けてくるし、眠気も一気に吹き飛んだわ! 全部の内容が思い出せないのが腹立つが・・・
「幸ちゃん! ヨーコちゃん! すぐに来てくれ! 早く!」
「社長!? どうされましたか!?」
「偵光さん、どうしました!?」
「いいから、早く!」
「社長!」
「偵光さん!」
「血の跡が廊下に付いてやがる。風呂場から玄関側に続いてやがる・・・。ヨーコちゃんは早くお風呂場の様子を見てきてくれ!」
「は、はい!」
「幸ちゃんは・・・・」
「薫!? しっかりして、薫!? 偵光さん! 薫が!」
「ちっ、やっぱりか! 幸ちゃんは、俺のバッグをすぐにお風呂場に持ってきて!」
「分かりました!」
俺が急いでお風呂場に向かうと、首から血を流している薫さんに寄り添っているヨーコちゃんがいた。
「偵光さん、薫が!」
「脈は・・・まだあるな。ヨーコちゃん、早く彼女を浴槽から出して寝かせて!」
「は、はい!」
そう言って彼女を浴槽から出してもらって傷口の状態を確認していると、幸ちゃんがバッグを持ってきてくれた。
「社長、持ってきました!」
「ありがとう! 幸ちゃんはすぐに救急車と警察呼んでくれ! 病院に運べばまだ間に合う!」
「了解しました! もしもし・・・」
「どうしたの、白銀さん!? これは!?」
「おいおい、いったい何なんだよ・・・薫!?」
「ちょっと急に大きな声出してどうしたのよ!?」
「薫!? おい、しっかりしろ!? 薫ぅぅぅぅぅ!」
「離れてろ! 応急処置の邪魔になるからどいてろ!」
「蘭、救急車だ!」
「救急車はもう幸ちゃんが呼んでます! 蘭ちゃんは警察を!」
「は、はい!」
「今から、傷の止血等の応急処置するんで離れててください! クソが、絶対に死なせてたまるかよ!」
俺は周りにそう呼び掛け、救急隊員が来るまでの間、止血などの応急処置を行った。
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「またしても事件現場にいるとはなぁ。毛利君に白銀君」
「嫌ですなぁ、警部。私はヨーコさんに言われて誘われて、たまたまいただけですよ」
「たまたまじゃなくて、またまただろう。白銀君もそうなのか?」
「そうですね。ヨーコちゃんに誘われて幸ちゃんと共にこのパーティーに参加してました」
「なるほどな。それより、君の格好・・・」
「あ、すいません。彼女の応急処置をしていたもので血が付いちゃいました。着替えるのも警部さんの事情聴取を受けて許可が出た後のほうが良いと思いまして」
「そうなんですね。それで被害を受けられた薫さんはどこに?」
「私が応急手当した後に、救急車で杯戸病院に運ばれました。今は彼女のマネージャーの間熊さんが付き添ってます。容態については連絡してもらう手筈になっています」
「そ、そうですか」
「薫死んじゃうのかなぁ、偵光さん・・・」
「彼女を信じよう。俺もできることはしたし、後は病院の先生次第だ」
「しょうがないわね。私が病院に確かめてあげるわ」
「それなら私も付き合うわ。その病院、ウチのパパが糖尿で世話になっているから電話番号も知っているし」
「そう。それなら助かるわ」
ユキさんと輝美さんは、薫さんの容体を確かめる為に部屋を出ていった。
「君たちがいた理由は分かった。それで、犯人に心当たりは?」
「警部殿、それなら玄関の外に落ちていたものがあそこに。コナンの奴が玄関口で見つけて、救急隊員が来る前に部屋の中に入れておきました」
「血の付いている雨合羽に軍手か。犯人が着ていたものと見て間違いないな。わずかだがハンカチに口紅が付いている」
「このビンの中身が麻酔薬なら、首を切る前にハンカチに付けて嗅がせ眠らせたのかもしれません」
「でも・・・いったい誰が薫さんをあんなひどい目に?」
「ストーカーだよ。最近薫につきまとっていたな。脅迫状などの酷いいたずらもあったからな。絶対にそいつの仕業だ」
「鍵の方は?」
「開いていたよ」
「となると、鍵が開いているのに気付いたストーカーが風呂からでた薫さんがばったりと出くわし、顔を見られたので薬を嗅がせ刃物で切りつけた。そして人目に付く血まみれの雨合羽や軍手を玄関の外で脱ぎ捨て逃げたのやもしれんということか・・・」
「よーし、高木君! こにマンション周辺の聞き込みを始めろ! 雨が降っていないのに雨合羽を着ている人物を見たら、誰か覚えている可能性が高い」
「はい!」
「うーん、この周辺を探しても見つからないと思うよ? だって、血の跡を踏まないようにして逃げた用心深い犯人だから。そうだよね、白銀さん?」
くそう、コナンの奴、あまり関わらないようにして黙ってたのに・・・
介入しすぎてあんまり引っ掻き回したくないんだが、後味の悪い終わり方にはしたくないんだよな。それにヨーコちゃん泣いてるし・・・
はあ、仕方ない。あの人に変な行動させない為にも、行動するしかないか。
「そうですね。コナンが言うように外部犯の可能性は低いかと。幸ちゃんに頼んで、このマンションの管理会社に連絡して監視カメラの映像を確認してもらい、この数時間の間、マンションに入った人物はいても、マンションから出た人物はいなかったそうですから」
「はい、間違いありません。刑事さん達も確認してみてください」
「高木君!」
「はい! すぐに確認してきます!」
「へえ、流石だね白銀さん!」
「となると・・・」
「警部の想像通りだと思いますよ? 内部にいた・・・」
「私達の中に犯人がいるかもしれない。そういうことでしょう、白銀さん?」
「て、輝美・・・」
「確かにそうね。私達が着替えに使ったトイレは、みんながいたリビングと風呂場の中間。こっそり殺そうと思えばできなくもないわ」
「ユキまで・・・」
「そうだとしてもヨーコさんは犯人じゃありませんよ」
「着替えてる間、私達がトイレの前で待っていましたし、その後ずっとリビングにいたから」
「じゃあ、俺もシロだ。薫を見つけた時にこのボウズといたからな」
「うん、そうだね。最初薫さんがお風呂に付いて行ったお兄さんが犯人な訳ないもん」
「いや、ここにいる全員刑事に話を聞いてもらうべきでしょう。この中にいる誰もが犯行のチャンスはあった訳ですから」
「そうですね。社長のいう通りかと思います。私や社長も彼女を助ける為に行動していたとはいえ、容疑者になりえると言えるでしょう」
「偵光さん、幸さん・・・・そうですね。私も毛利さん達といたからと言って犯人では無いと言い切れませんしね」
「「ヨーコさん!?」」
「相変わらず、君は肝がすわってるな。自分も犯人の可能性があるから調べろと言うのは、君達ぐらいだぞ」
「よく、分かってるじゃないですか、目暮警部」
「その前に・・・見つけるものがあるんじゃないのかしら、警部さん?」
「え?」
「凶器よ。薫の首を切り裂いたその刃物が私達の持ち物や室内から見つかったら内部犯、見つからなければ外部犯。わざわざ凶器を隠して逃げる犯人なんていないだろうし、知っているのは、たとえふき取ったとしても
血液中のヘモグロビンが残って、それが微量でもルミノール反応は出るそうじゃない? 隠しきれるものじゃないんでしょう?」
「え、ええ・・・・」
「へえ、よくご存じですね、輝美さん。ルミノール反応はふき取っても隠しきれるものじゃないです」
「あら、現役の凄腕探偵から褒められるなんて光栄ね」
「そこまで大した腕じゃないですけどね。それにしても随分とお詳しいですね?」
「ちょっとある人の影響でミステリーにはまっていて知ったのよ。貴方だって随分と知識豊富なんでしょう? 別におかしいことでは無いわよね?」
やっぱり、新一君の影響か? それにしてもすげえ詳しいな、おい。ファンだからってここまでやるとは。新一君の真似してめっちゃ探偵みたいになってるし・・・
ってか、俺ってこの人になんかしたか? ちょいちょい視線感じるし、俺が発言した後に突っかかってきてる気がするんだよな。気のせいか?
「いえ、おかしく無いですよ。輝美さんに影響を与えた人物にはぜひお会いしてみたいですね。その人とは美味しいお酒が飲めそうです」
「それは無理じゃないかしら?」
「・・・・?」
「いいえ、何でもないわ。忘れてちょうだい」
「はぁ・・・・」
「おほん。高木は男性陣、婦警は女性陣の身体チェックを! それ以外の者は、室内に凶器がないか探せ!」
「「はっ!」」
俺達は会話を中断し、警察の身体チェックを受けた。
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<日向幸side>
私は警察の身体チェックを受け終わった後、関係者に話を聞いて情報を集め偵光さんに話した。
「私が集めた情報は以上になります」
「ありがと、幸ちゃん。うーん、凶器が見つからなかったか・・・」
「やはり外部犯の仕業なのでしょうか?」
「それは無いよ。薫さんがお風呂入ってるって知らないと今回の犯行は難しいんじゃないかな? 外部から入って犯行する為に、人が多い時を選ぶにはリスクが高い」
「でも彼女の寝室には盗聴器とかが仕掛けられてましたし、部屋も荒らされていたんですよ?」
「盗聴器の場所と荒らされていた箇所はどこだったの?」
「盗聴器はぬいぐるみの中で、荒らされていたのは、ペンやはさみ等が入っていた棚だけですね・・・あれ、おかしいですね?」
「おっ、幸ちゃんも気づいた? そう、全体が荒らされてないことがおかしいんだ。まるで物がどこにあるかを分かっていたみたいな荒らされ方をしている」
「外部犯の可能性はほぼ無いですね。内部の人間が外部犯に見せかけるように細工したとしか考えられません」
「その通り。あと、内部犯だと確信した理由はもう一つあるんだよ。彼女の傷の状態が、とどめを刺す寸前でやめたような感じだったんだよ。あと、数センチ傷が深ければ、彼女は息を引き取っていた」
「となると、彼女の身近な者が何かのキッカケで殺そうとしたが、途中で情が湧いて辞めた可能性が一番ありそうですね。動機と凶器さえ見つかれば犯人が絞れるのですが・・・」
「動機は、おそらく今回の婚約パーティーが理由じゃないかな?」
婚約パーティーが原因? 薫さん達の・・・そういうことですか。どちらかが想い人で、手の届かない人になってしまうとしたら。
いえ、薫さんを取られると思ったのなら、剣崎さんを襲うはずですし、犯人が間熊さんしか居なくなるが、彼の態度からその可能性は低そうです。それに、剣崎さんより、間熊さんの方が、病院に付き添ったり、彼女の血を流している状態を見て、すぐに駈け寄ったりして薫さんの恋人らしい行動をしているような気がしますね。
もしかして、剣崎さんと薫さんの婚約パーティーが、嘘だとしたら? それなら二人の男性の態度の差にも納得できますね。そうなると、犯人はユキさん、輝美さんの二人に絞れます。剣崎さんの方が想い人で、取られたと思った彼女達どちらかが犯行に及んだとしたら、薫さんを襲った動機にもなりますし、傷の状態にも納得できます。
「あとは、凶器さえ分かれば犯人が絞れます」
「幸ちゃんもだいぶこっち側に染まってきたね・・・嬉しいのか、悲しいのやら。いや、犯人はもう絞れてるんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。今回の婚約パーティーが原因だとしたら一人しか考えられないからね。探偵左文字シリーズの製作背景を考えれば、あの人しかいない」
「ユキさんですね・・・。彼女が凶器にどのような物を使ったかですよね刃物は見つかりませんでしたし、今も隠し持っているとは考えにくいですし」
「そこなんだよな。あの付け爪が凶器かと思ったんだがルミノール反応は出なかったし・・・ん、待てよ? そういうことか!」
「付け爪? もしかして・・・・・!?」
「幸ちゃんも予想付いたみたいだね。鍛えた甲斐があるよ。薫さんの部屋に爪切りとかあった?」
「いえ、無かったです。そこがずっと気にかかってたんですよ。女性の一人暮らしなのに爪切りが無かったので、どうやって切っているのかと思いまして」
「なるほどね。そうなると、爪切りが無いことが分かった彼女がどのように爪を切ったかだ。はさみ等を使うと調べられるはずだから、道具を使う可能性は低い。となると咬み千切るしかないな」
「そうですね・・・! そう言えば!」
「ちょっと、幸ちゃん!?」
私は急いで、彼女の寝室へと向かった。そこにはコナン君と輝美さんがいた。
「日向さん、慌ててどうしたの?」
「ちょっと、いったい何なのよ」
「すみません、色紙見せてもらいますね! やっぱり・・・」
彼女の色紙に付いたキスマークを確認してみると、滲んだ跡が付いていた。これが証拠になります! あとは、彼女に話を聞いて・・・そういえば彼女の姿を先ほどから見ませんね、いったいどこに?
「幸ちゃん!?」
「あ、社長。この色紙見てください。このキスマークの部分です」
「濁ってるな。ってことは決まりか。後は、彼女に話聞かないと。輝美さん、コナン、ユキさんを見なかったか?」
「ううん、見てないよ」
「そう言えば、水を飲みに行ってから10分近く戻ってきてないわね」
「クソが!」
「社長、どこに行かれるのですか!?」
「それ、ホントなの、輝美さん!?」
「え、ええ。彼、急にどうしちゃったのよ」
「すみません。社長がただ事では無かったので、すぐに見てきます」
「僕も行く!」
「私も付いていくわ」
3人で彼女と偵光さんが向かった部屋の前に着くと、彼の叫び声が聞こえた、私達はすぐに部屋の中に入った。そこには倒れているユキさんを介抱している偵光さんがいた。
「はあ、はあ、はあ」
「おい、しっかりしろ!」
「社長、どうしました!?」
「白銀さん、何かあったの!?」
「何なのよ、もう・・・ユキ!?」
「誰か早く救急車を呼んでくれ!」
「わ、分かったわ!」
「社長、手伝えることがありますか?」
「ちょっと待ってくれ。青白い顔にびっしょりと冷や汗・・・脈は早いな。それに手も震えてる」
「白銀さん! この薬じゃないの!?」
コナン君がごみ箱内にあった薬の袋を見つけてきた。
「血糖降下剤か! 幸ちゃん、コナン! 糖分があるものを探してくれ! シュガースティックとかがあればそれが一番良い! 急いでくれ!」
「はい!」
「あったよ!」
「ありがとう、コナン! 幸ちゃんは、彼女の身体支えてもらえる?」
「はい!」
「よし、これで喉に詰まらないようにしながら飲ませてと。こんな勘違いさせたままで絶対に死なせてたまるか」
「僕も手伝うよ!」
「助かる。救急隊員がくるまで付き合ってくれ、二人とも」
「うん!」
「はい!」
私達3人は、救急隊員の人が来るまでの間、彼女の応急処置を行うのだった。
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<岳野ユキside>
「ごめん、薫。本当にごめん、薫・・・!?」
「あっ!」
「気がついた!」
「ここは・・・?」
確か私は、パパの糖尿の薬を飲んで死のうとしたはず・・・・
どうして薫とヨーコがいるのかしら?
「杯戸病院よ。ユキ、まる2日も寝ていたのよ。全くドジなんだから。ビタミン剤と間違えてお父さんの薬飲んじゃうなんて。
じゃあ、私、ユキが気がついたこと輝美に電話してくるから。二人とも、思うことがあるんだったら、ちゃんと話し合わないとダメよ。でないと、今回みたいに行き違いが起こるんだから」
そう言って、ヨーコは病室から出ていった。もしかして、ヨーコも気づいたのかしら。薫にこんなことしたのと、ヨーコ達に迷惑かけたのを謝らないと。
「あちゃあ、ヨーコ姉も完全に気づいてるね。白銀さんから聞いたってとこかな?」
「・・・そうなのね。あのさ・・・・私」
「大丈夫。警察には詳しく言っておいたから。私を風呂場で襲ったのは、太って背の低いおばさんだってねって」
「・・・え?」
「一応おばさんにしといたわよ。変なストーカーおじさんに素っ裸見られたなんて思われたくないし。
まあ、白銀さんには見られたらしいんだけど、あの人の応急処置のおかげで私の命が助かったみたいだし、私が気がついて凄く謝られたから文句は言えないんだけどね」
「・・・でも、あれは私が」
「まあ、この首の傷は、ユキ姉の気持ちを知らずにみんなを騙した罰だと思ってありがたく貰っておくよ」
「騙した?」
「そう。あの婚約パーティーは剣崎さんに協力してもらってでっちあげた真っ赤な嘘。ある人をその気にさせる為のね」
「ほら、私言ってたじゃない? 工藤有紀子みたいに二十歳で電撃結婚するのが夢だって」
「え、ええ」
「そしてそして、その夢は見事叶ったのであった。じゃん! 今日の朝刊よ。やっと彼がその気になってくれたって訳」
彼女の見せてくれた朝刊には、マネージャーの間熊さんと薫が結婚宣言したという記事が書かれていた。
「貴方、まだ好きだったの? あの冴えない男」
「失礼ね。彼は度胸無いだけで良い所は一杯あるのよ。病院に駆け付けたマスコミに私のことを失いたくない大切な人なんですってちゃーんと言ってくれたんだから! ふふっ。
それと、私、間熊君と事務所移ることになったから。白銀さんの所にね。間熊君が、私のことを助けたお礼がしたいから彼の元で働きたいって言いに行ってね? 泣いて喜ばれたのよ。マネジメントできる人が少ないから助かります!ってね。
面白い人よね、白銀さんって」
「そうなの・・・・」
「うん。まあ、色々あったけど輝姉の反対を押し切って、この計画を実行してよかったよ」
「え? 輝美も知っていたの!?」
「あ!実は私と輝姉って実は喧嘩なんかしてないんだ。あの喧嘩は、アースレディースをあのまま続けていると4人ともダメになるって、私と輝姉がつるんでうった芝居なの。続けたがってたユキ姉達に悪くてずっと隠してたけどね」
「そっか・・・それを私達に気づかせない為に仲の悪いふりを・・・じゃあ、色紙のあのご愁傷さまは?」
「ああ、それは計画失敗残念でしたって輝姉のキツイ一言だって、あの人達が言ってたよ」
「あの人達?」
「白銀さんと幸さんとコナン君よ! 凄いわよねー。コナン君は毛利探偵に鍛えられてるって感じ。白銀さんは最初見た時は、何だこの人って感じだったけど、事件や仕事が関わったりすると凄く人が変わるのね。間熊君も彼の会社で働いて、従業員の優秀さに凄く驚いてたし、1日目の時にやりがいがあって楽しいってイキイキしていたのよ。
幸さんも白銀さんに鍛えられてるから何でもできるキャリアウーマンって感じね。白銀さんと幸さんには、剣崎さんと間熊君の態度の差を見てすぐに気づいたって言ってたから、そうとう人をよく見ているのね。
それに、倒れているユキ姉をすぐに、的確な応急処置を指示だして行ったのって白銀さんなんだよ? 幸さんとコナン君は白銀さんのサポートしてたって聞いたよ」
「そうあの人が・・・どうして私のことを助けてくれたのかな? 白銀さんから見たら、赤の他人でしょ?」
「うーん、白銀さんから直接聞いた訳じゃないからどうか分かんないけど、幸さんが言うには、あの人の目の前に救える命があったら何がなんでも救おうとするんですって。
幸さんもそうやって助けられたみたいよ? その反動で無茶するから心配って言ってたけど。今時、そんな人がいるなんてね」
「そうなの・・・それだけの理由で」
「そうね。それだけの理由で十分らしいよ、白銀さんは。もしかして、ユキ姉、白銀さんのこと・・・」
「薫は、私の気持ち知ってるじゃない。ただ、私のことを助けてくれたおかしな人に興味が出ただけよ」
「うーん、何か気になる言い方・・・・。それで剣崎さんのことはどうするの? 早くしないと輝姉に盗られちゃうわよ?」
「どうして?」
「これはコナン君が言ってたんだけど、輝姉がミステリーにハマってるのは、探偵左文字役の剣崎さんが好きだからじゃないかって」
「ふふっ。残念ながらその推理は外れね。剣崎君、前に輝美にこっぴどく振られたみたいだから」
「え、じゃあ輝姉の好きな人って?」
「パーティーの時の輝美の態度見てたら、だいたい予想付くけどね。近いうちに面白い動きあるんじゃないのかしら?」
「えー誰なの? 教えてよ、ユキ姉」
「秘密よ。知りたかったら、輝美に聞きなさい。そういえば、白銀さんにお礼言いたいんだけど、彼の連絡先知ってる?」
「事務所の社長だから教えてもらったよ。でも、連絡するより会いに行くか呼びに行く方がたぶん早いよ?」
「どういうこと?」
「白銀さん、この病院に入院してるから」
「ど、どうして!? 大丈夫なの!?」
「過労がたたって、ユキ姉の応急処置終えて救急車で運ばれた後に倒れたんだって。仕事忙しくて相当寝不足だったみたい。
命に別状はないんだけど、しっかり検査させて休ませる為にも、数日入院することになったらしいよ。間熊君と幸さんから聞いた話だから間違いないわね」
「・・・そう、良かった」
彼の容態を聞き、私は凄く安心した。良かったわ、無事みたいで
「うーん、怪しい」
「何を言っているのよ、薫は」
「好きになったとか? 昔、ユキ姉に聞いたことがあるタイプに白銀さん当てはまるし・・・」
「馬鹿なこと言わないで。私は助けられたぐらいで惚れるそんなに軽い女じゃないわよ。それに彼のことよく知らないし、そんな人を好きになる道理は無いわよ」
「でもそれって、白銀さんのこと知ったら好きになる機会があるかもしれないってことだよね?」
「さてどうかしらね。それは先になってみないと誰も分からないわよ」
「あーもう、どうしてそんな気になる言い方するのさ!」
「私のことは良いから。先生に容態みてもらって動けるようになったら、白銀さんにお礼言いに行くから付いてきなさいよね」
「はーい」
私は薫とそんなやり取りをして、病院の先生が来るのを待つのだった。
今回は幸ちゃんにも頑張ってもらいました。
次回は、木曜日に更新予定です。