全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
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今回はアイドル達の秘密エピローグと時計仕掛けの摩天楼編のプロローグです。
25話
<星野輝美side>
「あのー、俺って星野さんに何かしましたでしょうか?」
「あら、私が貴方の見舞いにきたらいけないというのかしら?」
「いえ、そうではないんですが、部屋に入ってきてずっと不機嫌そうな顔をしていらっしゃるので・・・」
「この顔は元からよ」
「そ、そうですか」
何やっているのよ、私は!? おもいっきり怖がられてるじゃない! 大ファンだからって緊張しすぎて何話して良いかが分からないし、ヨーコでも連れてくるべきだったわ。勢いで見舞いに来たのが失敗ね・・・
「あのー? それで、どうして俺なんかの見舞いに?」
「私が来たかったからよ。ヨーコが世話になっているみたいだし、薫達もお世話になるみたいだし、そのお礼も兼ねてよ。リンゴ持って来たから剥いてあげる」
「・・・え!?」
何よ、その失礼な顔は。私だってリンゴ剥くぐらいできるんだから。少なくともこの人よりかは出来るはずよ、ええきっとそうよ。
「何か文句でもあるの・・・? 包丁かナイフはどこにあるの?」
「そこの引き出しの中にありますけど・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、問題ないわ」
「凄く心配になるんですけど・・・輝美さん、料理の経験は?」
「学生の家庭科の授業でやったから問題ないわ」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・何?」
「いえ、何でもないです」
ホント失礼しちゃうわね。料理ぐらい余裕のものよ。普段からしている、ヨーコやユキから褒められたこともあるんだから、大丈夫。この人に、料理できる所を見せて良い部分もあるというとこをアピールしないと・・・・
って、難しいわね。テレビとか人のやってるの見たらあんなに簡単そうなのに意外と難しいわね・・・・・・
「いたっ!」
「大丈夫ですか!? 指見せてください!」
彼に手を取られた。ちょっと待って! 急には心臓に悪いわよ! ってか距離近すぎ! ああ、もうヤバいわ・・・顔が熱いし、テレビとか新聞とか想像上の人物がこんなに近くにいるなんて・・・
「ああ、もう切ってるじゃないですか。すみません、少し染みますよ。消毒して、絆創膏を貼ってっと。これで良し」
「・・・・あ、ありがと」
彼ってホント優しいわね。もうこの絆創膏は一生の宝物にするし、握ってもらった手は絶対に洗わないわ。
「ナイフとリンゴ貸してください。俺が剥くので」
「え、ええ」
彼にナイフとリンゴを渡すと、慣れた手つきで綺麗に剥きウサギの形があっという間にできあがった。
「すごいわね・・・」
「慣れたらこのぐらい出来るようになりますよ。そこで聞かれてるお二人も良かったら一緒にどうですか?」
「え?」
彼がそう言うと、室内に薫とユキが入ってきた。嘘!? もしかして、さっきまでのこと見られてたの!?
「ははは、失礼しまーす」
「輝美がいるとは思わなかったわ。どうして私達がいるって分かったの?」
「人の気配とか察知するのは得意なんで。あと、ドアの隙間からこちらを伺っているのが見えていましたしね。はい、輝美さんが持ってきてくれたリンゴをどうぞ」
「かわいい! 相変わらず凄いね、白銀さん! お店のお菓子みたい!」
「本当ね。私も料理するほうだけど、凄い手慣れてるわね」
「ちょっと、良いかしら? 貴方達、いつから見ていたの?」
「えっとね、輝姉が白銀さんに不機嫌そうな顔って言われてしょげてたあたりからかなー」
「あっ、バカ、薫!」
「へえ。初めから見ていたという訳ね」
「いひゃい、いひゃいよてりゅねえ」
「正直に話しすぎよ、薫ったら。そこは上手いこと誤魔化さないからそうなるのよ。白銀さん、私の命を助けてくれてありがとうございました」
「いえいえ、俺はただ応急処置をしただけにすぎませんし、ユキさんを助けたのは、病院の先生ですよ。それに俺ではなく、コナンや幸ちゃんにお礼言ってあげてください」
「薫と幸さんから全部聞きました。貴方が中心になって助けてくださったと。どうして知らない私の為にそこまで頑張ってくれたんですか?」
「んー、そうですね。俺の考えですけど、目の前に助けれる命があるなら全力で助けようと思ってるだけですよ。たとえ、悪いことをしている人だとしてもね。生きていればどんなことでも出来るじゃないですか。悪いことをしたなら反省して償ったり、やり残したことがあるならやってとかね。
そりゃあ、人間ですから寿命が来るのは分かります。ただ、故意に命を奪ったり、奪われたりってのを無くしたいだけなんですよ。後に残るのは虚しさだけですし。
まあ、目の届く所の範囲でだけですけどね。俺はスーパーマンでは無いので、事件が未然に防げるわけでもなく、間に合わないことの方が多いです。
それでも、子供の頃に目の前で助けれる命があるなら、どんなことがあっても助けようと誓ったんですよ。それと同時に、自分が無茶して怪我しようが、寿命以外で絶対に死ぬことは無いようにしようってのも誓ったんですけどね。
そっちの方は、いつも事件に巻き込まれて、ボロボロになることが多いので、よく怒られてます。今回も無理がたたって、ユキさんの手当終わった後、倒れちゃいましたし」
「・・・・・そうなのね。そんな生き方してきて辛いと思ったこと無かったですか?」
「うーん。辛いって思ったことは無いですね。こんな俺にたくさんの人が付いてきてくれていますから。その人達の笑顔見るだけで辛さなんて吹き飛びますよ。
まあ、しょっちゅう怒られて怖いことの方が多いんですけどね。会社や探偵事務所の皆は俺の家族みたいなもんですね。だから何があっても全力で護りますってクサいセリフ言いすぎましたね。忘れてください」
「家族みたいね・・・面白いこと言うじゃない。私やユキ、薫達が危ない目に合っても助けてくれるのかしら?」
「そりゃあ、もちろん。もう知り合いになりましたし、ヨーコちゃんや薫ちゃん、間熊さんの大事な友人達ですからね」
「・・・そ、そうなのね」
「うわあ、こういうこと平然と言える人っているんだ・・・間熊君も見習って欲しいかも」
「あっははははは! こんな面白いこと言う人初めて見たわ!」
「ユキ姉?」
「ユキ?」
「ごめんなさい。ここまで正直に言われたこと少なかったから新鮮で。うん、白銀さんのこと気に入ったわ。貴方の会社に入ったら、本当に楽しそうね。私も退院したら貴方の会社で雇ってくれないかしら? 芸能活動も良いんだけど、薫やヨーコのマネージャーするのも楽しそうだし、マネージャーが足りてないんでしょ?
マネジメントの知識もあるし、問題無いんじゃないのかしら?」
「本当ですか!? それは助かります!」
「え、ええ・・・凄いくいつきね」
「いやあ、ホントマネージャーできる人雇わなかったら分かるわよね? って、ウチの事務所の人達に脅されてたんですよ・・・一般応募でも雇えって言われてたんですけど、ずっと俺が人を雇わずほとんどこなしてたので。
今回の件で余計に怒られまくって大変だったんですよ。今から募集しても人が来るか分からなかったですし、間熊さんに続いて、ユキさんもマネージャーになってくれるのでしたら大歓迎です。条件もできるだけ希望に沿うようにします」
「そ、そうなの」
私も言ったら喜んでくれるかしら・・・いや、怖がられてるから無いわね。それに私は女優以外できそうにないし、きっと歓迎されないわね・・・
「言わなくて良いの、輝姉?」
「何が?」
「白銀さんの事務所に入れてくれって・・・いひゃい」
「変なことを言うのは、この口かしら?」
「いひゃいよ、てりゅねえ」
「だいたいどうして、私が彼の事務所に移らないといけないのよ」
「うう、痛かった・・・・え、ファンなんじゃないの?」
「ヨーコ姉にやたら白銀さんのこと聞いてたし」
「・・・・違うわよ」
「間があったね。ユキ姉みたいにやりたいと思ったことは言わないと後悔するよ?」
「・・・そんなこと、言われなくても分かってるわよ」
「うーん、素直じゃないなぁ。しょうがない、私が人肌脱いでしんぜよう! 白銀さーん!」
「どうした、薫ちゃん?」
「芸能関係の仕事でクリスさんが休業した影響で、オファーきてた仕事どうするかって言ってたよね?」
「ああ、CMのオファーのことね。お客さんの要望だと、クール系の似合う女の人ってのがあったんだけど、クリスが休業して裏方にまわったし、ウチだと可愛い系の人が多いからイメージと合わないんだよなぁ」
「そこで私からの提案なのです。ここにそのイメージピッタリの女優が一人います。この方をウチの事務所に引き抜いてははどうでしょう?」
「ちょっと、薫! 貴方、いったい何言ってるの!? 私なんか・・・」
「あー確かに。輝美さんなら確かにイメージピッタリだな。ウチに入ってもらえるとそっち方面の仕事も持ってこれるけど、流石に本人の都合無視して入れるのは無理かな?」
「私が入るっていったら、雇ってもらえるの?」
「へ?」
「やっぱり輝美って・・・」
「頑張れ、輝姉!」
「そりゃあ、こちらとしては助かりますけど。俺としても輝美さんと仕事できるのは嬉しいですし」
「そう・・・・・なら入るわ。また連絡するので、貴方の連絡先を教えてちょうだい」
「ああ、この番号です。こちらにかけてもらえば、基本的には出ると思いますので」
「プライベートの番号なの?」
「はい。探偵業やってると、携帯分けるの面倒臭くなってくるので・・・」
「そう・・・・今かけたの、私の番号だから」
「はい、登録しました」
「私にも教えてよ。携帯借りるわね」
「あ、ちょっと!」
「なんかユキ姉も面白いことになってるなー。これは将来的にもしかして? まさかね・・・」
「はい、私の番号も入れといたから。退院したらまた連絡するわね。そろそろ戻りましょう、薫」
「はーい。輝姉はどうするの?」
「私ももう帰るわ。やらないといけないこともできたし」
「そうなんだ。それじゃあ、またです、白銀さん」
「こちらこそわざわざ見舞いに来ていただいてありがとうございました、皆さん」
「また、暇になったら来るわね。その時は、白銀さんが今まで解決した事件とかの話聞かせてくださいね」
「お大事に。仕事の合間に、また見舞いに来れそうだったら来るわ。それじゃあ」
私達三人は、彼の病室から出ていった。
「それじゃあ、私は帰るわね。これ渡すの忘れてたわ。二人の見舞い品」
「うわぁ、フルーツだ! 明日、間熊君に切ってもらおうっと。こっちはお菓子?」
「そう、サマーライトのお菓子よ。ユキは好きだったでしょ?」
「ホント!? ありがと、輝美! 私ここのお菓子大好きなのよ! おいしいし、女性に凄く人気のお店なのよ? よく買えたわね」
「朝早くから並んだのよ」
「そっか・・・ありがとう、輝美」
「ああ! このお菓子って、ユキ姉が寝ている時に、夏美さんが作ってきてくれた奴だ! 新作らしくて凄く美味しいんだよ!」
「・・・え?」
「ちょっと待って、薫。夏美さんって誰なの?」
「ああ、夏美さんってサマーライトの店長さん。白銀さんの会社の従業員だよ?」
「・・・・・・・」
「あれどうしたのユキ姉?」
「薫、ユキの代りに聞きたいんだけど、あの店って彼の会社が出してるの?」
「うん、そうだよ。夏美さんのお菓子作りの先生が、白銀さんなんだって。私も間熊君と一緒に初めて聞いた時は驚いたよー。白銀さんの料理スキルって凄いらしくて、あの人が店を手伝う時には、パフェとかの限定メニューが並ぶんだって。今度間熊くんと一緒に来てくれって、白銀さんから招待されて私達甘いもの好きだから凄く楽しみなんだよねーってどうしたの、二人とも?」
「「薫・・・・その話詳しく聞かせてもらえるかな?」」
「何か怖いよ、二人とも? い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
私とユキは、薫からサマーライトの情報について詳しく聞くのだった。
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<偵光side>
「はーくしゅ! ずずっ、誰か噂でもしてんのかな。ユキさんや輝美さんもウチに入ってくれそうで良かった。受け入れ準備は、司さんや幸ちゃんに任せてるし大丈夫だろう。問題は、森谷帝二の方か。まさか招待状が来るとわな・・・。透と七槻ちゃんが代わりに参加してくれているから心配はしてないが・・・」
扉をノックする音が聞こえたので入るよう促すと、萩原さんと哀ちゃんが入ってきた。
「はーい、どうぞ」
「おーっす、元気にしてるか、白銀?」
「失礼するわね。思ったより元気そうじゃない」
「ありゃ、珍しい組み合わせだね。いらっしゃい、萩原さん、哀ちゃん」
「病院の前でたまたま会ったのよ」
「そういうこった」
「なるほどね。いや、病院いても暇だからこうして見舞いに来てくれると助かるよ。さっきも三人きてくれたし」
「誰が来たんだ?」
「輝美さんに薫ちゃんとユキさんの三人だよ。うち二人は同じ病院に入院しているが」
「もとアースレディースのメンツばかりじゃねーか。んで、何か話があったからお前のとこ来たんじゃねえのか?」
「ユキさんは謝りにきて、話してたらうちの会社入るって。輝美さんも同じこと言ってたな。薫ちゃんはただの暇つぶしだな」
「変な方向で凄い奴だよな、お前って。うちの会社にアースレディースのメンバー入れて何がしたいんだよ・・・」
「相変わらずね。芸能人で有名な二人と、白銀探偵事務所の所長が、この病院にいたからマスコミが外にいたのも納得できたわ。それより検査とかはどんな感じなの?」
「結果が分かるまで時間かかる奴はまだ分かんないけど、いたって健康体だってよ。今回倒れたのも寝不足が続いて、安心して緊張がとけたんだろうって先生が言ってたしな。おかげでやることが無さすぎて暇すぎる」
「あら、貴方には良いクスリじゃない。良い機会なんだからゆっくりしなさい。お姉ちゃんも凄く心配してたわよ」
「同感だ。お前が休んでるとみんなが安心して行動できるからな」
「酷い言われようだ。それで哀ちゃんの方はあれから大丈夫そうだね」
「ええ、貴方のおかげでね。感謝してるわ」
「お嬢ちゃんが珍しく素直にお礼言ったぞ」
「明日は雨降る可能性が高いぞ」
「何か言ったかしら?」
「「いえ、なにも」」
「まったく、もう」
「あ、そうそう。お前宛にもう一枚手紙が来てたんだよ。こいつだ。ただ・・・」
「差出人が無いな・・・・・」
手紙を開けてみると、内容を読み上げた。
「親愛なる白銀偵光君、私は火薬庫から大量の爆薬を盗み出した。すぐにニュースになるだろう。近いうちに面白いものを見せてやる。また私から連絡するので、首を長くして待っていろ。
君ともう一人とのゲームがどうなるか楽しみだ。私からの挑戦を受けなければ、君の大事な可愛らしい探偵助手さんが死ぬようになるので、くれぐれも選択を間違えないように」
「「!?」」
「おい、それって!?」
「イタズラの可能性は無いの?」
「低いだろうな。可愛らしい探偵助手さんって地点で、七槻ちゃんのことだって確信して言ってやがる。俺の探偵助手って言えば表向きは七槻ちゃんになってるからな」
「となると七槻ちゃんの周りを固めた方が良いか? しかし、仕事の関係で探偵事務所の人間はみんな出払ってるからどうするんだ? 残ってるのは、俺と安室しかいないぞ」
「そうだな。七槻ちゃんは透の奴が付いてるし大丈夫だろう。それに事件が絡むってなるともう一人、絶対に助っ人になる奴が来てくれるはずだ」
「江戸川君のことね」
「正解。コナンと透がいれば、七槻ちゃんは大丈夫。残る問題は俺が動かないと、犯人が何しでかすか分からないってとこだな」
「俺が単独で動くのはダメなのか? お前は入院してるし、体が元気だからって動くのはマズイだろう!」
「そうね。それはお勧めできないわ。私も協力するってことなら、貴方も動かなくて大丈夫よね?」
「おいおい、マジかよ」
「哀ちゃんにはあんまり危険なことをして欲しくないんだが・・・」
「そっくりそのまま返すわ。それに組織が関わるよりマシよ」
「・・・分かった。二人とも無茶しないように。俺の代わりに動いて情報は俺の方に流してくれ。指示を出しやすくするようにするためにな。
ただ、犯人がしびれを切らし暴走するようなら、俺も動き始める。でないと他の大勢の人が巻き込まれるからな。もしそうなったら、病院から抜け出すのに協力してくれよな」
「絶対にそうさせないようにするわ」
「お嬢ちゃんの考えに賛成だ」
「そのお嬢ちゃんていうの辞めてもらえないかしら?」
「じゃあ、灰原ちゃんで」
「・・・仕方ないわね」
「凄く嫌そうだな」
「嫌そうじゃなくて嫌なのよ」
「冷たすぎてお兄さん、泣いちゃうよ!?」
「うるさいわね。白銀さんは大人しくしてること、良いわね? 萩原さん、行くわよ」
「あ、おい! お前は大人しくしてろよ」
「二人とも気をつけて。それと萩原さん、俺の代わりに哀ちゃんのことよろしくね」
「任せろ! 情報が入り次第連絡する!」
「やれやれ。すでに展開がだいぶ逸れてやがるな・・・・頼むぞ、みんな」
俺は二人を見送り、これから何が起こるか読めない展開に不安になるのだった。
次回から本格的に時計仕掛けの摩天楼編に入ります。
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