全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
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<佐藤美和子side>
私は高木君と一緒に偵光から、脅迫状の詳細を聞きにきて護衛をする為に彼が入院している病院内で彼を見つけた後、病室で話を聞いた。
「それで偵光の所に届いた脅迫状に心当たりはあるの?」
「ぶっちゃけ全然無い」
「そんなあっさりと!?」
「高木刑事もすみません。美和子の我儘に付き合ってもらって。こいつといると大変でしょう」
「いえ、自分はそんな・・・」
「ちょっとどういうことかしら?」
「そのまんまの意味だ。お前って昔から鉄砲玉みたいな性格してんだろうが。そのせいでどれだけ振り回されたことか」
「あ・ん・たの方がとんでもなかったでしょうが! いつも私達の方が巻き込まれてたのよ!」
「そうだっけ?」
「そうだったのよ!」
「ははは、仲が良いですね、お二人は」
「腐れ縁だからな」
「何よ、その言い方は! 幼馴染って言いなさいよ! どうしてコイツのこと・・・」
「ん、どうした?」
「別に何でもないわよ! それで脅迫状の話に戻すけど、心当たり無いって本当なの?」
私はもう一度偵光に確かめた。長い付き合いでずっと彼のことを見てきたから分かるわ。何か心当たりがあってそれを誤魔化す為に私に絡んできたのだろう。
ホント、昔から分かりやすいんだから・・・
「だから心当たり無いって言ってるだろ。探偵業の関係で恨まれた可能性がありそうかなと思ったが、ぶっちゃけここまで恨まれるようなことをしてきたつもりはないな。
脅迫状が送られてくる時点で俺が恨まれているのは間違いないだろうが」
「爆薬というと犯人は何が目的なんでしょう? 放火は連続で起こっているみたいですが・・・」
「爆薬盗んだ時点で、何かを爆発させようとしてるのは間違いないかと思いますよ。盗まれた火薬で、プラスチック爆弾大量に作れますからね。
東京都内の人が多い場所が狙われ始めるんじゃないかと予想しています」
「そんな! もし、そうなら早いこと捜査員を増やして爆弾見つけないと、大変ですよ佐藤さん!」
「落ち着きなさい、高木君。今捜査員を増やせば、犯人がどう動くか分からないわ」
「それには同感だ。少数で動くことをお勧めしますよ」
「そんな、どうしたら・・・」
「手っ取り早い方法は、俺が警察と一緒に動けば犯人も釣れますよ?」
「ダメよ!」
私は偵光の考えに大声をだして反対した。それだけは絶対ダメよ。爆弾関係で、彼の身にまた何かあったら・・・
「佐藤さん、急に大声だしてどうしたんですか!?」
「それだけは絶対ダメなのよ・・・今回の件に関しては大人しくしていて。お願い」
「お前まだ、三年前のこと気にしてるのか?」
「そうよ、悪い!? 貴方が爆弾事件に巻き込まれて大けがして、あの時は結果的に助かったけど次はどうなるかが分からないじゃない! 次爆弾事件に巻き込まれたら死んじゃうのかもしれないのよ!?」
私は、ショッピングモールの観覧車で起きた爆弾事件のことを今でも覚えている。彼が爆弾の対処をするのを手伝うこともできず、彼とクリスさんが爆発に巻き込まれ、血を流していた偵光の手を握り泣くことしかできなかった・・・。
私が、もっと早く爆弾に気づいて観覧車を封鎖していれば偵光達は観覧車に乗らず、怪我しなかったかもしれないという後悔が押し寄せた。
それ以外にも、彼が事件に巻き込まれるたびにいつも私がもっとしっかりとしていればと思うことばかりだった。
三年前の爆弾事件は特にトラウマになっており、彼が爆弾事件の巻き込まれそうになるととても不安になってしまう。ふらっと、私の前から消えてしまいそうで・・・
「ったく、あの事件は犯人が捕まっただろうが。それに爆弾事件に巻き込まれても死ぬつもりなんかねえよ。
死ぬのは老人になって寿命が来てからって決めてるからな」
「でも・・・・・」
「ああ、もう。そうやって泣くの昔から変わんねえな。俺が無茶しないように美和子や高木刑事達が護衛に来てくれたんだろ?
警察や俺の部下達が、頑張ってるんだから俺はのんびりさせてもらうつもりだ。情報提供とかだけはするけどな」
「ホント・・・?」
「ああ、だから泣くのは辞めろって」
「うん・・・」
そう言って彼は私の頭を撫でてくれた。彼に頭を撫でられる心が落ち着きとても安心する。きっと、だらしない顔してるわね、私。
こうやって優しくしてくれるのだって昔から変わんないじゃないのよ、バカ。
「・・・こほん。二人とも僕がいること忘れてませんかね? うう、白銀さんが羨ましいですし、白銀さんの前だと佐藤さんってあんなになるんですね・・・」
「すいません、高木刑事。美和子落ち着かせないと話できなかったもので。んでまだ撫でたほうが良いか? 話の続きをそろそろしたいんだが・・・」
「・・・! ちょ、も、もう大丈夫よ! ご、ごめんね高木君」
「はあ・・・佐藤さん、顔真っ赤ですね」
「こ、これは部屋の中がちょっと暑いからよ!」
「窓全開で涼しい風入ってきてるけどな・・・いってえ!」
私は余計なことをいう奴を抓り、笑顔で問いかけた。
「何か言ったかしら、偵光?」
「高木刑事、美和子を怒らすのだけは辞めた方が良いですよ。怒るとこんなに面倒くさくなる上に怖いですから」
「は、はい。肝に銘じておきます」
「な・に・を・は・な・し・て・る・の・か・し・ら?」
「いえ、何でもありません。ね、高木刑事」
「は、はい! 何でもありません!」
「そう。話を戻すけど現在連続で起きている放火事件の犯人と爆薬を盗んだ犯人って同一人物って思ってるんじゃないの、偵光?」
「え、そうなんですか!?」
「ああ。八割がたそうじゃないかと睨んでいる。萩原さん達には、放火があった建物関係で調べてもらってるよ。
透達もおそらくそれに気づいて動いてる頃だろうな。透達の方からはいっさい連絡ないけど」
「越水さんには刑事と透君が付いてるから心配は無さそうね」
「ああ。アイツがいる限り彼女の身は安全だ。七槻ちゃんが暴走しなければ大丈夫だと思う」
「アンタがここにいて事件に巻き込まれない限り、彼女が暴走することは無いわよ」
「そうですね・・・」
「建物関係で調べられてるって白銀さんが言いましたけど、何か理由があるんですか?」
「建物ってか邸宅のデザインのみが似通っていた為、建築家か業者関係で絞れるかなと思い調べてもらってます」
「高木君!」
「はい! そっち方面で当たってみます!」
「高木刑事も忙しないな。それでお前はどうするんだ?」
「私は貴方の護衛任されてるから、近くにいるわよ」
「そうかよ・・・外に出ろっていったらドアの前で待機するんだろうな」
「当然よ」
「はあ、分かったよ。ちょっと調べものに付き合ってくれ」
「これはファイル?」
「俺の事務所のメンツが関わった今までの事件をまとめたものだ。まだ数冊しか調べれてなくてな。建築物、都市開発関係で調べてんだよ。一人で調べるのに限界があってな。調べていたらお前が来たわけだ。
詳細な個人情報とかは載ってないし、刑事のお前が捜査で見る分には問題ないだろう」
「なるほどね。それにしても凄い量ね。これだけの量ってなると二人でも2~3日ぐらいかかるわよ?」
「覚悟の上だ。それに俺のことを近くで護衛できる良い理由になっただろ?」
「ホントに、もう・・・。分かったわよ、協力するわ」
「ありがとな。それじゃあ、調べもの開始しますか」
「そうね」
私は偵光と協力して、大量にあるファイルの調べていくのだった。
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<宮本由美side>
私は偵光の見舞いと、美和子への差し入れを兼ねて米花中央病院へと来ていた。えっと、アイツの病室はここね。
「おーい、来てやったわよ、二人とも・・・・」
「あ? 由美か。どうしたんだ? ふぁーあ」
「すぅ、すぅ、すぅ」
「何してんのよ、アンタは。凄く眠そうじゃない。それに美和子の奴は、アンタの身体枕にして座りながら寝てるし」
「夜遅くまで調べものに付き合ってもらってたからな。悪いが寝かせてやってくれ」
私はイスに座りながら偵光に確認した。あ、眼鏡かけてるの久しぶりに見たわね。
美和子の奴、幸せそうな顔してるわね。羨ましい・・・って今はそんなこと思っている場合じゃないわね。
「二人で何調べてたのよ? ってかどうしてファイル見てんの? パソコンとかにデータ無いの?」
「病院への配慮だよ。待合室ならパソコン使えるんだが、夜遅くまでは使えないしな。
それで今は名探偵事務所のメンバーが関わった過去の事件をまとめた資料を建築物、都市開発関係で調べてたんだよ。1日かけて全体の5分の1ってとこか」
「だからアンタが眼鏡スタイルになってるのね。それにしても終わるのそれ?」
「5月3日までには終わらせたいんだよな・・・終わる気しないけど」
「3日っていうと明後日じゃない。どう考えても間に合わないでしょう? 何か理由があるの?」
「脅迫状来たのはもう知ってるんだろ? 早いこと解決してGWはゆっくりしたいってのが本音だ」
「ええ、美和子から相談されたし警察内で美和子がそわそわしまくるから、周りの刑事が一体何があったんだ!?って大騒ぎだったわよ。なるほどね」
「なあ、刑事って暇なのか?」
「美和子が関わると暇になるんでしょうね。
それに昨日も高木君がアンタと美和子のやり取りをみんなに泣きながら話してたから、今日は外ですごい数の刑事がはってるわよ。私がここに来るの知った男性陣にも調べてきてくれって言われたし」
「ああ、やっぱ高木刑事って美和子のこと好きなのね・・・」
「人の恋愛事情とかには気づくくせに、自分が関わるとホント鈍いわよね、アンタ。今は昔に比べてだいぶマシになったけど」
「ふつう、この人俺の事好きなのか?って思わないだろうが。とんだナルシストになっちまう」
「そうね。でもあれだけアプローチ受けたりしたら流石に気づくわよね?」
「まあな。俺に好意向けてくれてるってのは分かってるよ、お前や美和子にしろな。ただ・・・」
「今はやるべきことがあるんでしょ? 分かってるわよ、それが終わったらちゃんと私達のこと考えてくれるんでしょ?」
「まあな。それが終わるまでに他に好きな人でも見つかってくれれば構わないんだが、みんなからそれは無理だって言われたしな。
こんな冴えない男のどこに良い所があるのやら」
「私達にはアンタの良さが分かってるから十分よ」
「そうっすか・・・」
「私達の前からいなくなることだけはしないでよ、死んだりとかね・・・」
「分かってるっての。死ぬのは寿命が来てからって決めてるからな」
「それなら良いわ。そういえば美和子の奴は帰ってないの?」
「一回家で風呂入って化粧しなおしてくるって帰った後、戻ってきてからはずっといるな」
「ふーん。他の人には手伝ってもらえないの?」
「会社の人や事務所の人もほとんど出払ってるんだよ。いるのは、七槻ちゃん、透、萩原さんだけで萩原さんには別の頼み事してて、七槻ちゃん達は独自で捜査してるから頼むこともできないしな。
それで一人でやろうとしていた所に、美和子が俺の護衛につくことになったから、ちょうど良い機会だと思って頼んだんだよ」
「なるほどね。それで今の状況になってるって訳ね。よし、決めた。私も手伝うわ! 交通課の仕事も二日ぐらいなら何とかなるしね」
「マジかよ・・・俺としてはありがたいが、良いのか?」
「良いに決まってるじゃない。とりあえず、ここにある束から調べていくわね」
「助かる。ありがとな、由美」
「偵光が作るお菓子で手を打ってやろう」
「はいはい」
「う、ううん・・・・ここは・・・?」
「ありゃりゃ、ようやくお姫様のお目覚めね。ふふっ」
「由美・・・? どうしてここに?」
「美和子達に差し入れ持ってきたのよ。あ、あと私も調べものに付き合うことにしたから、よろしくね」
「良いの?」
「美和子と偵光を二人きりにする方が不安だしね♪」
「何言ってるのよ、もう! 偵光からも何か言ってやって!」
「俺としては手が増えることはありがたいんだが・・・美和子の目も覚めたみたいだし、再開しようぜ」
「偵光の言う通りよ、美和子」
「もう・・・分かったわよ。やっていきましょう」
私達三人は、そうして調べものを行うのだった。
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<越水七槻side>
GWになり、私は安室さんと一緒に偵光君の病室に話しながら向かっていた。
「ねえ、安室さん、最近起こっている放火事件ってどう思う? 例の火薬窃盗事件と関わってるかなって思うんだけどどう思う?」
「僕もそう睨んで調査しましたよ。例の放火事件を調べていたら、面白い共通点が見つかりましたよ」
「何か分かったの?」
、
「今回の放火を受けた建物なんですが、同じ建築家がデザインしたものでした」
「それって森谷帝二かな?」
「おや、どうしてそう思ったのですか?」
「うーん、この間のパーティーの時に偵光君の関係者である私達に執着してる感じがしたからかな?
それに偵光君本人が森谷さんって誰だよ、状態だったのに招待状送ってきたことも怪しいしね」
「よく見られてますね。正解です。燃えた建物は、全て森谷帝二が設計した建物でした。
さて、ここで放火をしてるのが森谷さんに恨みを持つ者なのか・・・」
「森谷さん自身が建物を壊している可能性もあるよね? シンメトリーにやたらこだわってたし」
「ええ。何にしても調査が更に必要ですね」
「そうだね。それにしても、事務所に届いていた偵光君宛の差出人が無いこの手紙、絶対怪しいよね」
「そうですね。偵光に開けてもらって中身を確認しましょう」
「うん。ああ、ここだね。偵光君見舞いに来たよって・・・」
「ああ、七槻ちゃんに透か。いらっしゃいってこんな状態で言うのもなんだが」
「「すぅ、すぅ、すぅ」」
「何してんの、偵光君?」
「佐藤さんに由美さんは眠っておられるみたいですが・・・」
「徹夜で調べものしてたんだよ。そこに積んであるファイルのな。流石に三日もずっと調べるのは疲れる」
「もう・・・またそんなことしてダメじゃないか」
むー、佐藤刑事や由美さんに頼むんだったら僕でも良かったんじゃないのかな・・・。
だいたい入院してからは全然連絡してきてくれないし・・・
「そうだぞ。お前は入院していても休むことをしないな」
「初めの一日で休むことには飽きたんだよ。それで二人の方は、何か新しい情報でも入ったのか?」
「ああ、うん。偵光君は今回の放火事件って誰が起こしているものだと思う?」
「森谷帝二だな。あのおっさんが建てた建物ばかり焼けてんじゃねえか。初めは恨みを持つ奴の犯行の可能性もあるかと思ってたんだが、その理由はすぐに無くなった」
「へえ」
「どうしてそう思ったの?」
「恨み持つ奴なら、森谷邸放火ってか爆破する方が早いだろ。今回みたいに回りくどいことをするメリットが無いしな。
大方、昔の自分が建てた物が気に食わないって所か? インタビュー記事とか読んだらやたらプライド高そうなおっさんだし、会ったこと無い奴をパーティーに誘う時点でやべー奴だわ」
「相変わらず、そこまでの理由を思いつくよね」
「偵光ですから仕方ないです。あ、そうそう、お前宛に手紙が届いてたぞ。越水さん」
「そうだね。これなんだけど、差出人も無いみたい」
私は偵光君に手紙を渡すと、彼はそれを読み始めると険しい表情になり紙を丸めた。
「何が書いてあったんだ?」
「うーん、とりあえず、おーい起きろ、美和子、由美」
「ううん・・・」
「もう、何よ、うるさいわね・・・」
「偵光君?」
「起きたな。美和子と由美は、病院のスタッフに、ここに爆弾しかけられたって伝達してくれ。透と七槻ちゃんは一緒にこの病院内を探しまわって爆弾見つけてくれ。
爆破予定時間は、11時半だから後40分だな。早くとしないと怪我人が多く出ることになる」
「なんですって!?」
「本当なの!?」
「ちっ!」
「後40分・・・急いで見つけないと大変なことになるね。爆弾仕掛けられたのは本当なんだよね、偵光君?」
私は偵光君の目を見つめながら言った。もしかしたら私達を守る為に嘘を言った可能性もありそうだけど、彼の余裕の無さそうな顔を見ると嘘はついてなさそうだね。
どうやらホントにこの病院に爆弾が仕掛けられたみたいだね。関係ない人達を巻き込もうとするなんて許せない!
「嘘なんか言わねえよ、早く動いてくれ。俺一人だと限界があるからお前らの協力が必要不可欠だ」
「分かったよ! みんなも偵光君の言う通りに行動しよう! 行こう、安室さん!」
「ええ!」
「行くわよ、由美! 他の刑事にも伝えて爆弾探しに協力してもらいましょう!」
「そうね」
私達は偵光君に言われたとおりに、行動を開始するのだった。
次回は明後日更新予定です。
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