全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
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<越水七槻side>
私達は爆弾の解体準備をして萩原さんからの指示を待っていた。こうしている間にも、偵光君はどんどん死に近づいているという不安が押し寄せてきている。哀ちゃんも強がってはいるが、彼の手を祈るように握りながら体が震えている。
蘭ちゃんも私と一緒でさっきから目が潤みっぱなしだ。早く助けたいのに助けることができないというジレンマが私達を襲っている・・・・・大丈夫だよね、偵光君? 僕達の前からいなくならないよね?
いや、ダメだ。僕達が不安がってたら、偵光君に気にされちゃうもんね。今は助かると信じて前に進むだけだ。
「おい、聞こえるか!?」
「聞こえるよ、萩原さん!」
「ええ、聞こえるわ」
「待たせたな。これから解体していくから俺の指示にしたがってそれと同じようにしてくれ」
「分かったよ! 大丈夫、蘭ちゃん?」
「はい、大丈夫です」
「こっちは二人とも準備できているわ。だからお願い!」
「了解。まずは外側のカバーを外してくれ! 上を持ち上げれば外れるはずだ。そーっと外すんだ!」
「分かったよ・・・・外したよ」
「・・・私も外しました」
「よし。一番下の方に見えるコードが何色か教えてもらえるか、二人とも?」
「僕は緑だよ」
「私はオレンジです」
「七槻ちゃんの爆弾がこっちの図面で、蘭ちゃんの爆弾の図面がこっちね。二人とも線切る時は間違えないように気をつけてくれ。間違えた瞬間爆弾が爆発しちまうからな。
まず、七槻ちゃんは、緑、蘭ちゃんはオレンジの線を切ってくれ」
「了解・・・切ったよ」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・切りました」
「大丈夫かい、蘭ちゃん? 無理そうなら僕がやろうか?」
「大丈夫です。あれ?」
「どうしたんだい?」
「いえ、タイマーの数字が減ってるような」
僕も爆弾を確かめると、タイマーの時間が線を切る前に比べ明らかに短くなっていた。嘘でしょ!?
「萩原さん!」
「どうした!?」
「線を切ったらタイマーの時間が短くなった! 爆発まであと15分しかないよ!」
「なんだと!?」
「なんですって!?」
「そんな・・・私のも七槻さんと同じ数字になってます」
「くそっ! 森谷の野郎、解体されると見込んでこんなトラップ仕込んでやがったのか。
全部の解体は・・・いけるな。次の線を切ってもらえるか? 七槻ちゃんは黒色、蘭ちゃんは白色の線だ」
「分かったよ・・・切ったよ!」
「私も切りました!」
「爆弾のタイマーはどうなってる?」
「大丈夫変わってないよ」
「こっちも変わってません」
「よし。となると次は・・・七槻ちゃんは水色、蘭ちゃんは黄緑色の配線だ」
「切ったよ。数字には変化ないね」
「・・・切りました。こっちも大丈夫です」
「分かった。タイマーが変動する心配はしなくて大丈夫だ。次は、七槻ちゃんが紫色、蘭ちゃんが灰色の線だ」
「ふう、大丈夫だよ」
「灰色切りました」
「次は、七槻ちゃんがオレンジ、蘭ちゃんが緑色だ」
「切ったよ」
「切りました」
「よし、順調だ。次は七槻ちゃんがピンク、蘭ちゃんが緑色だ」
「・・・よし、だいぶ減ってきたね」
「切りました。そうですね」
「次は、七槻ちゃんが灰色、蘭ちゃんが紫色の線だ。十分間に合うペースだから落ち着いてな、二人とも」
「分かってるよ。切ったよ」
「はい・・・切りました」
「七槻ちゃんが黄緑色、蘭ちゃんが水色だ」
「大丈夫だよ」
「次お願いします」
「次は、七槻ちゃんが緑色、蘭ちゃんがピンクだ」
「切ったよ」
「切りました」
「よし! 七槻ちゃんが白色、蘭ちゃんが黒色の線を切ればタイマーが止まるはずだ」
「切ったけど、タイマーがまだ動いてるよ? それに線も3本残ってるよ、萩原さん」
「私のも同じです!」
「それは本当か!? 図面には書いてないぞ! わざと書かなかったのか!? 残ってる配線の色とタイマーの残り時間はどのくらいだ?」
「赤、青、黄色の三本だね。タイマーの時間は残り五分三十秒だよ」
「私も赤、青、黄色の三本です。時間は同じです。どうします? 三本とも切りますか?」
「ダメだ! 一本が正解で、残る二本はブービートラップだ! くそっ、どうする・・・」
「萩原! 状況はどんなだ!?」
「萩原さん! あと十分ぐらいで救助隊員がここに来るよ!」
「それじゃあ遅い。あと五分で爆弾が爆発しちまう! 解体始めると時間が短縮されるトラップが仕掛けてやがった」
「なんだと!?」
「線はどのくらい残ってるんだ、萩原!」
「あと、一本切れば止まるはずだ。設計図に乗ってない配線が三本残っていやがる。だから切るに切れない状態なんだよ。何かヒントでもあれば・・・」
「くそっ! 森谷が何か言ってなかったか、コナン君」
「ううん。その設計図を持っていただけだよ。くそ、時間がねえ・・・何か・・・」
扉の外から、萩原さん達の切羽詰まった声が聞こえてくるが。蘭ちゃんも哀ちゃんも言葉が出ずに暗い顔になっているせっかく助けがきたのに、もう駄目なのかな、偵光君。
君と死ねるなら本望かな。蘭ちゃんと哀ちゃんだけは助けたかったんだけどなぁ。偵光君がせっかく助けてくれたのに、僕達三人とも助からないし、この周辺にいる人を助けることができないみたい・・・
ごめんね、偵光君。
「ごめんね、蘭ちゃん。こんなことに巻き込んで」
「いえ・・・」
「偵光君ならこんな時どうするかな?」
「お兄ちゃんなら最後まであきらめないと思います」
「そうだよね・・・・・諦めずにやってきたけど正直手詰まりだよ」
「萩原さん達やコナン君がすぐにどの色を切れば良いか教えてくれますよ」
「そうだと良いんだけどね。ホント僕はダメダメだなぁ・・・。ねえ、蘭ちゃん、最後の悪あがきだけど付き合ってくれるかな?」
「はい・・・」
「僕は青色を切るよ。偵光君の好きな色だし、僕も好きな色だからね。蘭ちゃんは?」
「私は赤色を切ります。新一と私が好きな色で今月のラッキーカラーですから」
「そっか。これが吉と出れば良いんだけど」
「何もしないよりは良いかと思います」
「ごめんね、こんな無茶に付き合わせて」
「いえ・・・」
私と蘭ちゃんは覚悟を決めて線を切ろうとしたら、哀ちゃんの叫び声が響いた。
「待ちなさい!」
驚いてそちらを見てみると、偵光君の口に耳を寄せて何かを聞いていた。
偵光君の身体が少し動いている・・・?
「おい、どうした灰原ちゃん!?」
「・・・・・・・! 分かったわ! 二人とも黄色を切りなさい! それが正解よ! それを切れば爆弾が止まるわ!」
「分かったよ! 蘭ちゃん!」
「はい!」
私と蘭ちゃんは同時に黄色の線を切るのだった・・・・
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「おい、大丈夫か!? 時間は・・・過ぎてる!? やったのか?」
「返事をするんだ、越水さん、灰原さん!」
「蘭姉ちゃん! 灰原! 大丈夫か?」
「大丈夫だよ、萩原さん。残り二秒で爆弾のタイマーは止まったよ」
「私も止まりました!」
「そうか! 安室、コナン! すぐに救急隊員を連れてきてもらえるか!」
「ああ!」
「うん!」
「もうすぐ来るから待ってろ。それにしてもよく正解引き当てたな。何色を切ったんだ?」
「黄色だよ。哀ちゃんが教えてくれたんだ」
「私じゃなくて白銀さんよ。自分と工藤君の好きな色ではない黄色を切れってね。私達がピンチの時に目覚めるんだから大したものよね。
今はまた気を失ってるわ。ただ脈も強くなってさっきよりも安定してるからすぐに病院に連れていけば悪いことにはならないはずよ」
「そっかぁ・・・偵光君が助けてくれたのか。凄いなぁ」
「お兄ちゃん・・・・・ありがとう」
「ったく、ホント大した奴だよ。お疲れ様、三人とも。後は俺らに任せてゆっくり休んでくれ」
僕は偵光君が助けてくれたことに安心し、蘭ちゃん達と一緒に偵光君の手を握りながら、救助隊員が来るまで待っていた。
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<偵光side>
俺はずっと暗闇の中を歩いていた。歩いても歩いても景色は変わらずどこに向かっているのかも分からなかった。ここはどこだ? さっきからずっと歩いてるが全然風景が変わらないし。どこに向かえば良いんだ? ん? 俺を呼ぶ声が聞こえるぞ。めちゃくちゃ呼ばれてるな。
とりあえず声がする方面に向かってみるか。歩き出そうとしたら、横から手を掴まれた。おいおい、いったい誰なんだってクリス?
「クリス? どうしてここに?」
「こっちで合ってるから早く行きましょう!」
彼女はそう言い、俺の手を引っ張り走り出した。走りはじめて少ししたら、大事な人達が俺の名前を呼びながら集まってるのが見えた。声をかけようとした瞬間、目の前が突然まばゆい光に包まれた。
「おい! なんなんだこれは!?」
「心配しないでも大丈夫よ。また会えるわ」
彼女の言葉を最後に、俺の意識は途切れた。
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目を開けてみると、真っ白な天井が見えた。
「・・・ここは?」
周辺の様子を確認しようとしたら、体に激痛が走った。いってえ! どうしてこんなに身体が痛いんだ? それに、包帯もまかれてるし、口には呼吸器が付いてやがる・・・・・
思いだした! 確か、米花シティービルの爆発で哀ちゃん達を庇って瓦礫の下敷きになったんだ。それで、最後の爆弾の線切る時に目が覚めて、また気失ったのか。
状況確認しようにも身体痛くて動けないし、誰かいないのか? ん? なんか、包帯巻かれてない左手が暖かい気がするな・・・
お前がずっと手握ってくれてたんだな、クリス。目元に涙の跡が残ってるじゃねえか。めちゃくちゃ心配させたみたいだな。
コイツの目が覚めるまでは、寝顔を見ながら待つとしますかね。
「ううん。いけないわ、いつの間にか寝ちゃってたのね」
「・・・ようやくお目覚めか?」
「え?」
「おーい、ぼーっとしてどうした?」
「・・・夢なの?」
「こんなに全身痛いのが夢だったら流石に嫌だぞ」
「偵光! 目が覚めたのね!」
「いってえ! ちょっと今抱き着かれるのは勘弁してもらえませんかね!?」
「ご、ごめんなさい! すぐに先生呼んで来るわ!」
クリスは慌てて先生を呼びに行き、病院の先生に俺の状態を見てもらった。
「・・・・・うん、意識もしっかりして容態も安定しているし、もう大丈夫だと思いますよ。後は怪我と傷の状態を見ながらって所ですね。良かったですね、お大事に」
「ありがとうございました先生」
「いやあ、マジで危ないとこだったんだな・・・・・」
「そうよ。今日が危ないって言われてて病院の先生には覚悟しておいてくださいって言われたんだから・・・」
「ああ、泣くなって。心配かけて悪かったな」
「偵光がいなくなるって思ったら、目の前が真っ暗になって不安に押しつぶされそうになったのよ・・・私には何もすることができないから、貴方の手を握ってずっと神に祈ってたのよ。
まさか、この私が神に頼るなんて思わなかったわ」
「まさか面会できる時間はずっといたのか?」
「ええ。他にも来てた人はいたわよ。会社の人や探偵事務所の人全員ね。毛利さんや刑事さん達もみんな見舞いにきて眠っている貴方にずっと声かけてたのよ。あれだけたくさんの人が一片に来るからビックリしたわよ」
「・・・・・だからか」
「いったいどうしたの?」
「さっき夢で見たんだよ。真っ暗闇な所にいてどこに向かえば良いか分からなくて俺を呼ぶ声が聞こえてな。お前が隣で手を引いてくれて走り出したら、みんながいたんだよ」
「・・・そう」
「その声が無かったら帰ってこれなかっただろうな・・・だから、ありがとな。後でみんなにもお礼言っとかないと」
「そうね。貴方が戻ってきてくれて本当に良かったわ。今はゆっくり休んで身体を治しなさい。偵光が目覚めたことを連絡してくるわね」
「ああ、心配かけてわるかったな」
「元気になったら私の買い物に付き合いなさいよね」
「はいはい」
「それじゃあ、連絡してくるわ」
「あ、忘れてたな。クリス、ただいま」
「・・・!? お帰りなさい、偵光!」
その後、俺の所に来るみんなの顔を見て、生きて戻ってきたことを実感するのだった。
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<秋庭怜子side>
私は米花中央病院に偵光のお見舞いにきており、彼の病室をノックした。
「はーい、どうぞ」
「入るわよ。なんだ、思ったより元気そうじゃない」
「全身包帯だらけのこの身体見てそれを言うなら、眼科行くことをオススメしますよ、怜子さん?」
「あら、何か言ったかしら?」
「いいえ、なんでもございません」
まったく、この男は。どれだけ心配させたと思ってるのよ・・・・・米花シティービルの爆破事件に巻き込まれ、一週間も目覚めなくてみんな凄く心配してたってのを分かってるのかしらね。
目覚めてからは凄く元気そうで安心したけど。
「身体は大丈夫なの?」
「順調に回復してるってさ。一月ぐらいで怪我も治るってさ。病院の先生には君は人間か?って驚かれたんだけどな。ひどいと思わないか?」
「先生の反応が普通よ、バカ。あれだけの大けがを負って、一月で治る方がおかしいわよ」
「そこまで言わなくても良いんじゃないでしょうか・・・」
「アンタには良いクスリよ。他のみんなも見舞いに来たんでしょ?」
「まあな。見舞いに来るたび怒られてばかりだよ。検査入院して脱走してたのがやっぱまずかったかな」
「あ・た・り・ま・え・よ! 病院抜け出して、意識不明の大けがして帰ってくるんだから怒られるに決まってるでしょ!」
「ですよねー。すごく反省しております」
「アンタの自業自得のせいで、警察の警備も凄い状態になってるわよ。佐藤さんとか特に中心になって動いてるみたいよ」
「あー、うん。美和子には散々泣かれたからなぁ。他の人にも泣かれたんだけど・・・。透と山川さん、野山さん達からはずっと怒られるし、起きてからの俺のメンタルがガリガリ削られてったよ。
そういえば、怜子さんもめちゃくちゃ泣きながら怒ってきたよね・・・いひゃい」
「おかしなことを言うのはこの口かしら? そんなの当り前じゃない。
他県でコンサートしていたら、アンタが大けがして意識不明の重体って聞いて、松田さんと飛んで帰ってきてみれば一週間は目覚めないし、死んじゃうかじゃないかと不安だったんだから・・・」
「心配かけてごめんなさい。だから泣くのだけはホント勘弁してください」
「心配するこっちの身も考えなさいよ、バカ・・・・」
「はい・・・・・・」
「・・・・・はあ。まあ、今回の件は反省しているようだし良いわ。アンタが元気になって美味しいスイーツ作ってくれたら許してあげるわ」
「分かったよ。そういえば仕事の方は大丈夫なの?」
「コンサートもこの間終わったし、今はレッスンのみでのんびりしてるのよ。
あ、そうそう二ヶ月後にアクアクリスタルって娯楽施設がオープンするらしくて、旭って人が私にレストランのステージで歌って欲しいらしいのよ。ちょうどコンサートも無いしその仕事受けようかと思うんだけどどうかしら?」
「・・・・・アクアクリスタル? そういや海にそんな建物作ってたな。え、マジで、そんなオファー来たの?」
「ほらこれよ。これが書類よ。読んでみて」
「・・・・・・・・・・ホントだな。受けるのは問題ないと思うけど、これって誰が付いて行く予定で考えてるの?」
「そんなの決まってるじゃない。偵光のつもりで考えてたんだけどダメかしら? その仕事する頃にはアンタの怪我もよくなってるでしょうし、アンタが嫌なら受けないつもりよ」
「そうか・・・うん、俺としては問題ないかな。リハビリと身体の状態にもよるだろうけど、たぶん大丈夫だろうし。怜子さんの仕事にも最近は付き添えてなかったしね」
「良いの・・・?」
「もちろん。怜子さんの歌も久しぶりに聞けるし俺としては断る理由が無いな」
「そっか・・・ふん。アンタの怪我が早く治るように歌ってあげるわよ! 何かリクエストはある?」
「マジで!? それじゃあ、アメイジングレイスで!」
「その歌好きよね、アンタ」
「怜子さんの歌で初めて聞いた歌で一番気にいってるんだよ」
「聞き逃さないようにしなさいよ。ありがとね・・・。 ~♪♪♪♪」
私は偵光とまた仕事ができることに喜びと嬉しさを感じ、その気持ちを込めながらリクエストされた曲を看護婦さんに注意されるまで口ずさみ続けるのだった。
今回で時計仕掛けの摩天楼編は終わりです。次回からは14番目の標的編に入ります。
次の更新は明後日です。