全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
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<山川光side>
俺は松田と一緒に、目暮警部に話を聞いた後事務所に戻り、事務仕事をしていた萩原と合流し知人が襲われている事件について情報交換を行っていた。
「まさかこうして立て続けに人が襲われるとはね。共通点は何だと思うよ?」
「共通点はまだ分からないが、事件が続くことだけは確かだな」
「目暮警部、妃さん、阿笠さんの三名か。妃さんは偵光のおかげで未遂に終わったが、まだ狙われるかもしれないということで警察が護衛しているらしい」
「ということは、今の所は安心だな。美樹ちゃんから阿笠さんの容体についての連絡はあったのか?」
「ああ。コナンのおかげでボウガンの刺さった位置もお尻で、怪我が治り次第すぐに退院できるそうだ。
哀ちゃんが心配だから、傍にいるという連絡があったから後で二人でこっちに合流するように言っておいた。その方が二人の身も守れるしな」
「それが一番だな。お嬢ちゃん達が近くにいる方が守りやすい。現場に落ちていた証拠品については何か分かったのか?」
「分かったぞ。偵光に確認したら、トランプの絵柄に書かれている物だというのが分かった。目暮警部の剣がキング、妃さんの花がクイーン、阿笠さんの剣がジャックだ。全部スペードの絵柄のな。
目暮警部の名前には13、妃さんは英語からもじったんだろう。阿笠さんは博士の士を分けると11になる」
「マジかよ・・・・・トランプにスペード? 何か意味があるのか?」
「そっちの意味もアイツに確認しておいた。スペードには死という意味があるらしい。流石に三件も続けば偶然では済まなくなる。
この事件、まだまだ続くぞ。トランプの数字は10以下がまだ残ってるからな」
「そうだな。こうなると犯人の狙いや目的が絞れれば誰が狙われるか動きやすくなるんだが・・・」
「焦りこそ最大のトラップだぜ。落ち着いて考えてみよう。目暮警部、妃さん、阿笠さんがどうして狙われたのか」
「そうだな。3人に共通点は無い。誰かの関係者とかか? 共通の知り合いがいるとか」
「もしそうなら当てはまる人物が一人だけ心当たりがあるが・・・・・」
「もしかして所長のことか?」
「白銀? いやいや、もしそうだとしたら白銀の関係者を狙う理由は何だ? 復讐にしては悪手すぎるだろ」
「萩原の言うとおりで、偵光を狙うには回り道しすぎなぐらいだ。直接的に事務所の関係者を狙う方がもっと効率的だ。それに阿笠さんと妃さんとの関わりは、事務所や会社の人間を除いて一部の人しか知らないことだ。
その中に犯人がいるとは考えにくい。他の人物の関係者が狙われてる可能性が一番有力になってくる」
「あの3人の関係者か・・・目暮警部と妃さんなら、毛利さんが一番当てはまるが、阿笠さんとは知り合い程度って感じたったよな?」
「そうだな。だが今はあのおっさんの関係者が狙われている可能性が高そうだな・・・おっさんと行動して次の動きがあればビンゴだな。
所長の方から何か指示はあったのか?」
「ああ。秋庭さんの仕事関係で動けないから、俺達に任せるそうだ。好きに動いて良いと指示ももらったしな。困った時とかはもちろん相談するつもりだ」
「なるほどな。それでどう動くよ、副所長?」
「そうだな・・・・・」
さて、どうするかな。今回、偵光、透、越水さんの三人は動けない。ベルモットの奴は偵光の傍にいるようにするだろうからアイツの身は心配ない。アクアクリスタル内で何か起きたとしても四人なら対処できるし秋庭さんの身も大丈夫だ。
あとは、残りのメンバーをどのように動かすかだな。俺、萩原、松田、灰原さんの四人か。灰原さんが動くなら、哀ちゃんの方も一緒についてくる可能性が高いな。
まずは、分担して事件を追うのが一番だな。後のことは偵光と相談しながら決めよう。
「よし、決まったぞ。松田と萩原は警察関係者から毛利さんの交友関係を洗ってくれ。今回の事件に関する情報を得ることが出来るかもしれないからな。
俺は灰原さん達と合流して、毛利さんの所へと向かう。絶対に次の動きがあるだろうからな。所長の方から指示があればすぐに連絡する。二人ともよろしく頼む」
「分かった。行くぞ、萩原」
「書類仕事終わるまで待ってくれよ! 事務所みんな出払ってて手伝ってくれる人がいなくて大変なんだよ!」
「ったく何やってんだよ。手伝うから半分貸せ。山川、俺と萩原は仕事片付けてから動く。お前は先に行け」
「分かった」
松田からそう言われ、事務所から出て灰原さんに連絡し、灰原さん達がいる場所へと向かった。
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<安室透side>
秋庭さんの仕事の打ち合わせの為、偵光と七槻さんと一緒にアクアクリスタルへと来ていた。
「それにしても凄い建物だね! モノレールからの景色も海が見えて綺麗だったし! この水槽も水族館みたいで凄いよ安室さん!」
「そうですね。内装もこれほどのものとは思いませんでした。それにフェラーリF40ですか。レストラン内にあるにしては違和感がありますね。高級感は出ますが」
「うーん。確かに。車好きの人なら嬉しいだろうけど、詳しくない私とかはどうして車が?って感じだよ。
それにしてもこの施設すごくお金かかってそうだよね」
「そうですね。製作費だけでも相当なものでしょうね。ここのオーナーの旭さんは相当な実業家ですからね。資産も充分すぎるほどあるはずですよ」
「そうなんだ。お金持ちって凄いんだね。こんな施設ポンと建てれるものじゃないよ」
「ええ。これだけの施設ですからレストランの金額も結構な値段にしないと元が取れませんね。デートスポットとかで人気は出てたくさんの人が集まりそうではありますが」
「そうだね。こんな所で秋庭さんが歌うんだから、もっと人が集まりそうだよね。
確か最初のプレオープンの時だけの契約なんだっけ? 人気がでたら期間延長を申しこまれるんじゃないの?」
「そうですよ。期間延長することはまず無いでしょう。
秋庭さんの場合、ソプラノ歌手としてのツアーやコンサートの仕事の方が忙しいでしょうから、本人も延長はしないって言ってましたし偵光もその方向で話をまとめるつもりらしいですしね」
「そうなんだ。なら大丈夫かな」
「ええ・・・・・おや? お帰りなさい、二人とも」
「全く、何なのよ、あのおじさんは。思いだしても腹立つわね! しつこすぎなのよ」
「まぁまぁ。落ち着いてくださいよ怜子さん。期間はプレオープンのみでってことでまとめることができたんだから良しとしましょうよ」
「どうしたの、二人とも? 怜子さんは凄く怒ってるみたいだし何かあったの?」
「二人ともちょっと聞いてもらえるかしら? あの旭って人、契約した時と違う話を言いだしたのよ。
期間延長しろだとか、ステージで歌ってくれって言うわりに準備は全然してないし、挙句の果て、仕事終わったら飲みに行くのに付き合えって今思い出しても腹立つわ」
「それはまた、偵光の前で命知らずなことをしますね」
「うわぁ、久しぶりに凄いタイプの人間が来たね。しかもそれを偵光君の前で言いだすんだから命知らずというか。それを聞いてどう対処したの?」
「それは偵光が上手くやってくれたわ・・・・・ちゃんと私のこと守ってくれたしね」
「いったいどのようにしたんですか?」
「そりゃあもちろん、何をしたか分からせる為に容赦なく論破したよ。怜子さんにふざけたこと言ったんだ。それくらい当然だろ?
契約書もちゃんとつきつけてお話したら、素直に謝ってきたからな。契約時の仕事の内容からは変更が無いようにしたよ」
「偵光君がお話しただけでそうはならないよね?」
「そうね。コイツ、もの凄いプレッシャー放ちながらニコニコ笑顔で言うもんだから怖くてかなわなかったわよ」
「そんなに怖かったか? 透とクリス参考にしてやってみたんだが・・・・・」
「ほう。面白いことを言うな。誰を参考にしただって?」
偵光が面白いことを口走ったので、ニコニコ笑顔で彼に問いかけると冷や汗をだらだらと流しながら言った。
「その顔だよ・・・・・い、いえ、何でもございません!」
「まあいい。それで今後はどうするんですか?」
「アクアクリスタルに来て、怜子さんの練習に付き合う感じだな。スタッフもいないから俺達三人でサポートしないといけないんだよ」
「スタッフも雇ってないの!? 確か来月からプレオープンだったよね? それって大丈夫なの?」
「そうなのよ! 普通考えられないわよね!? オープニングスタッフなんか早く雇わないと、時間も無いし人も集まらないわよ。
この施設が大丈夫なのか、今日の一件で凄く不安になったわ・・・」
「それは、なかなかのものですね。実業家というわりに、経営のことが分かってない感じですね」
「ああ。管理とか杜撰だよな。さっきこの施設の説明も受けたけど、ぶっちゃけ不安になるレベルだったな。絶対に何か起こるぞ」
「偵光君が言うと洒落にならないね」
「アンタが言うと洒落にならないわ」
「偵光が言うと洒落にならない」
「三人とも息ピッタリですね!? 俺も自分で言ってて、あっ、さっきの発言ヤバかったかもって思ったよ!」
「うるさいわね。今後のことは会社に帰って詰めていきましょう。悪いんだけどちょっとお手洗いに行ってくるわ。
たしかそこ出て右だったわよね?」
「うるさい・・・・・・そんな一言で片づけなくても・・・・・・」
「ええ、そうですよ」
「すみません、私も一緒に行きます!」
「そう、わかったわ・・」
越水さんは部屋からでて、その後秋庭さんがドアを閉める前にこちらを見てきた。正確にはいじけている偵光の方を見ていた。
「・・・・・・偵光、さっきは助けてくれてありがとね。そ、それじゃあ、行ってくるわ! 待ってなさい」
彼にお礼を言い、彼女は慌ててドアを閉めた。素直にお礼を言えばいいものを・・・・・
越水さんも聞いていただろうし、楽しく話をしてる頃だろうな。
やれやれ、誰がこの唐変木を射止めることやら・・・・・・
「どういたしましてってもういねえし・・・・・・そんな呆れた目で見るんじゃねえよ、透」
「実際に呆れてるのですから問題ないでしょう?」
「そうっすか。そういや山川さんから連絡あって、阿笠さんまで襲われたらしい。現場にはトランプのジャックの剣が落ちていたらしい」
「阿笠さんの容体は大丈夫なのか!?」
「コナンのおかげで軽めの怪我で済んだらしい。それでトランプの数字になぞらえて事件が起こっているから、詳しく調べてみるって。
俺達も警戒はしておいてくれってメールが来てたよ」
「数字か・・・・・阿笠さんは名前が博士の士に11があるからか。次は10ってことか?」
「そうだな。問題は誰に関係している人物が襲われてるってとこだ。三人と接点のある人物と言えば・・・」
「お前か毛利探偵だな」
「他にもいるような気はするがな。俺の関係者が狙われてるというのなら二人、危ないのがいる」
「七槻さんに萩原、山川さんか。数字の7と2と1に当てはまるしな」
「そういうことだ。次に狙われる10の人物が誰かによって、俺か毛利さんの関係者が狙われてるのかが絞れるはずだ。
どちらにしろ、この事件が終わるまで七槻ちゃんと萩原さん、山川さんの周囲は警戒しておいた方が良いな」
「その案には賛成だ。あの子が狙われたとしても俺とお前で護りきるぞ。萩原の方は、松田に任せよう」
「ああ。事件の調査については松田さん達に任せておこう。あの人達が動くなら心配はいらないしな」
「元から心配はしていないさ。追加の情報が入ったら教えてくれ」
「もちろんだ」
偵光と事件について整理しながら女性達が戻ってくるのを待つのだった。
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<ベルモットside>
私は今起こっている、連続襲撃事件について調べていた。昼間はずっとその事件についての情報を集めていた。今分かっている情報で、目暮十三、妃英理、阿笠博士の三名が襲撃されている。
その中で、妃英理だけは偵光のおかげで未遂に終わっている。
どうしてあの子は、事件が起こったらその中心に関わっていくのよ・・・・・心配の種が全然減らないわね。あの子がこうして動きだしたのを警戒しておいて正解だったわね。事件に好かれすぎよ、もう・・・。
警察の方は、毛利小五郎の関係者が狙われているという方向で捜査を進めていっているみたいね。
犯人の有力候補は村上丈と呼ばれる元賭博ディーラーの男性で、刑務所から出所したばかり。刑事時代の毛利小五郎により逮捕されて、その復讐の為に犯行に及んだと・・・・・
確かに辻褄は合いそうだけど、その可能性は低そうなのよね。出所してから情報を知り得るのが早いし、目暮十三と妃絵里両名との関係は分かるが、阿笠博士との関りがあまり無いのよね。
どちらかと言えば、シルバーブレットの方が関係してるはずなのだけど・・・いえ、もう一人当てはまるのがいたわね、私の身近に・・・。
偵光ならあの三名と関りがあるし、事件にもよく巻き込まれ犯人を捕まえたりしているから逆恨みをされてもおかしく無いわね。
もし、偵光の周囲の人物が、トランプの数字どおりに狙われているとしたら、七槻と萩原君が危ないわね。あの二人は名前に数字が入ってるもの。偵光の光も漢字の一が入ってると言われれば狙われる可能性が高いわね。
おそらく七槻と萩原君の二人の方は、偵光や山川君が対策をしているはずだから、問題は偵光ね。そう言えば、バーボンが彼と仕事を行うと言っていたわね。彼と合流して情報交換しながら動くのが得策のようね。
それと、どうにかしてあの子の傍にいれるようにしておかないといけないわね。違和感なく潜り込むためには、刑事への変装が無難そうね。
そちらの候補も探して、すぐに行動に移すとしましょう。
「あれ? クリスさん、こんな所でどうしたんですか?」
「あら、美和子こそこんな所で何してるの?」
「ちょっと事件の調査をしていまして」
「あらそう。もしかして、連続襲撃事件についてかしら?」
「どうしてそれを!?」
「やっぱりそうなのね。その調査にしては毛利探偵の周辺を探っていないみたいだけど?」
「どこまで調べているんですか!?」
「ふふ、良い反応ね。私の家族が関わって、その周囲の人物が狙われる可能性が高そうだから調べていただけよ」
「そうなんですか。やっぱり・・・」
「やっぱりってことは、美和子もそう思ったのかしら? だからこそ、毛利探偵の周辺ではなく偵光の情報を探っているってとこかしら?」
「・・・はい。クリスさんの言うとおりです。毛利さんの周囲の人物が狙われてるってのがどうにも腑に落ちなくて。毛利さんよりも、偵光の方が当てはまっている気がしたし、独自に調べていたんですよ。妃さんの件についても詳しい話を聞きたかったですし。
先ほど偵光達に話を聞きに行ったんですけど事務所を出払っていて、電話しても出ないんですよ」
「今の時間は、怜子の仕事でアクアクリスタルに行ってるはずよ。偵光と七槻と安室君の三人はね。美樹は確か休みだったわね。
他の子は事務所にいるって聞いてたんだけど、いなかったの?」
「はい、いませんでした」
「そう・・・・・となると私達と同じで調査に乗り出したって所かしら。電話かけても出ないならなおさらね」
他のメンバーも動きだしたとなると、警察関係者の味方も欲しい所ね。それに私も変装して潜り込みやすくなるし・・・・・美和子も協力者としてこちらに引き込みましょう。
偵光達の傍に護衛も付けることができるだろうし、美和子の心配事も減るしね。付き合いが長いから娘みたいに思えて仕方ないのよね。
まあ、偵光を狙うライバル同士でもあるのだけれども。
「アクアクリスタルにいると分かっただけでもありがたいです。私はアクアクリスタルに向かってみようかと思います」
「ちょっと、待ちなさい。毛利探偵の傍につく方が良いわ。刑事が近くにいるのよね? 偵光のことだから、事件のことを聞くとそちらへと向かうはずよ。
すでに事件の詳細を山川君達から聞いて向かってるかもしれないわね」
「え、ええ。目暮警部と白鳥刑事がついていますが。クリスさんの言うとおりですね。
アイツは事件が起こる場所に来るでしょうからその方が確実ですね。私はこれから目暮警部達の元へと向かいます」
「なら私も一緒に連れていってくれないかしら? 偵光達と合流したいし構わないかしら?」
「構いませんよ。すみません、目暮警部に協力を申し出る連絡をして、車を取ってきますので待っててもらえますか?」
「ええ、分かったわ」
「それでは、すぐに戻ってきます」
そういって彼女は少し離れた位置で連絡を始めた。美和子を味方に引き込むこともできたし、今回の事件についてメインで動いている人物も分かった。どちらに変装をするかよね・・・・・バーボンにも協力してもらえば問題なく潜りこめるわね。
ただ、偵光には私の変装をすぐに見破られるから意味はあんまり無いんだけど・・・・・
夕方ぐらいにはバーボンと会えるようにメールを送っておきましょう。
「すみません、お待たせしました。目暮警部達は毛利さんの関係者で、数字の10に当てはまるプロゴルファーの辻さんの所へと向かったそうです」
「辻ね。確かに10が入ってるわね。その人が襲われるとしたらば、偵光、毛利探偵どちらの関係者が狙われてるか絞れるはずよ。行きましょう」
「そうですね。車に乗ってください!」
私は美和子と一緒に、辻という人物がいる場所へと急いで向かうのだった。
次回は三日後ぐらいに更新予定です。