全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく 作:クリス&シェリー全力投球
1話
<偵光 Side>
えっと、いつの間にか寝ていたのか? やばいな。早く起きて家事をしないと・・・ってここは一体どこなんだ? 俺は確かソファで寝てたはずなんだがどうして外にいるんだ? それに近くがすごく煙たいしそれに身の周りが熱いんだが。
起き上がり周辺を見回してみて状況を確認した。
・・・・・・うん、港の倉庫みたいな所にいるのは分かった。そこでは火事が起こっているようだ。うん、逃げないと間違いなく死ぬね・・・・
「はぁ!? マジでどういう状況だ!? それになんか声が高い気がするし。背も低くなっているし手とか小さいような気がするが、そんなこと言っている場合じゃねえ! とにかく逃げないと!」
ハンカチを口に当て周囲を確認してみると、使えそうなバイクがあった。
ハーレーダビッドソンか?
俺はバイクの状態を確かめた。倒れていたバイクを起こす時がしんどかったが近くに落ちていたパイプや鉄材を使い何とか起こすことができた。
「俺ってこんなに力なかったか? 力だけは自信があったんだが・・・!? すみません、大丈夫ですか!? 腹を撃たれたのか!?」
バイクを動かそうと周囲を確認してみるとフルフェイスのヘルメットにバイクスーツを着た女性が座りこんで血を流していた。俺は急いで駈け寄り脈を確かめた。よし、まだ息はしているな。傷口の状態は・・・腹部を銃で撃たれたのか? 出血量はそこまでじゃないか。止血して処置はしとかないと。俺のポケットに確かハンディタオルがあるな。
あと、テーピング用のテープと包帯もあるな。自分で治療や応急処置できるように知識まで付けていて正解だったな。
ってか、病院に連れて行かないといけないな。救急車呼ぶにしてもこの場所は、火が広がってきてるから、消防も呼ばないといけなくなるし、警察も呼ばないといけないな。
「すみません! 傷の応急処置をしたいので体を見せてもらいますね! セクハラだとかの文句は傷が治ったらしっかり聞きますんで、今は我慢してください! 一刻も争うんで!」
「・・・はぁ、はぁ。坊やはどうしてこんな所にいるの? っつ!」
「痛みますよね。少し我慢してください・・・よし。止血はこれで大丈夫だな。後は病院に連れて行かないと。すみません、支えるので立てますか? あそこにあるバイクで病院に貴女を連れて行きたいと思いますんで」
坊や? やっぱり俺の身体縮んでるよな・・・・・・・
今は気にするのをやめよう! この人を助けるのが優先だ!
「はぁ、はぁ、はぁ。坊やはいったい何者なの・・・・?」
女性を支えながら立たせるとそう聞いてきた。
「あのハーレーで貴女を病院まで運びたいのですが、大丈夫ですか? 俺の身体に掴まっていてください。辛いかもしれませんが運転をお願いできますか? 無理なようなら救急車を呼びますが・・・」
「救急車はちょっとやめて欲しいわね。運転する分には問題無いわ。坊や、あれが私の愛車って分かるの?」
「そうですね。貴方はバイクスーツ着てますし、おそらくそうかなと思ったのですが違いましたか? しんどいと思いますがお願いします」
その人をバイクに乗せ、俺も乗り女性が落ちないように包帯で2人の身体を縛った。近くに転がっていて回収したヘルメットをかぶり、女性に確認した。
「すみません、痛みは大丈夫ですか? あと、そこに落ちているバッグはあなたのですか?」
「え、ええ。私の私物よ。保険証などの身分証明書なども入っているわ。ごめんだけれど、持ってきてもらえるかしら?痛みはそこまで悪化してないわ。それにしても坊やは多才なのね」
「まあ、そうですね。小さいころから学んで技術を修得しないと生きていけませんでしたからねー。このバッグですね。よっこいしょと」
ホントに運が悪すぎて外に出るたび怪我してたからなー。家族に心配かけないため色んな知識を得まくったよ。でないと絶対どこかで死んでたわ。死神さまのお通りだ!っていつも来てたからね。
「・・・・! そうなのね。それは辛かったわね・・・」
おっと女性に心配されたようだ。なんかすごく暗い顔されているような気がするし、まずいぞ!
ヘルメットのフェイスを上げて、彼女を笑顔で見ながら言った。
「いや、そうでもないですよ。俺が学んだ知識で貴女の命を救って護ることができるんですから。だから安心して笑っていてください。はやく病院へと向かいましょう!」
俺は女性が笑顔になったのを確認して満足しヘルメットをかぶりなおし、エンジンをかけてバイクを発進させてもらい何とか病院へと向かい数時間後、目を背けていた現状を改めて確認し頭を抱えて後悔するのだった・・・・
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<ベルモット Side>
暖かい日差しと身体に重さを感じ私は目を覚ました。
「ここは・・・? 病院・・・? どうして私はこんな所にいるのかしら? 確か組織の命令で仕事をして不意打ちを喰らって・・・・思い出したわ」
私は、重さを感じる方に目を向けてみると少年が寝ていた。私をここまで運んでくれたのは彼だ。歳は小学生高学年あたりだろうか? 彼は怪我をしていた私に応急処置をして病院まで付き添ってくれたのだ。
普通の子供ならこんなことは間違いなくできるはずがないだろう。彼は何者なのだろうか?
どこかの組織の特殊な訓練を受けており放ってきた刺客かと思い警戒したが、彼と少し話をしてみて、彼の本心を聞きそれは無いと確信した。
「まさかこの私が口説かれて救われるとはね。私みたいな人間の命を救って護ることができるから安心して笑っててくださいねって、そんなこと初めて言われたわよ。小さくてカッコいいヒーローさん?」
私は親友も含め誰にも見せたことのない笑顔で少年の頭を優しく撫でた。彼の言葉は私の心に充分響いた。彼が起きたらお礼をしないとね。何が良いかしら?
考え事をしていると白衣を着た中年の女性が入ってきた。病院の先生のようね。
「良かった。眼を覚ましたみたいね。状態を確認しても良いかしら? 日本語でも大丈夫ですよね? そこにいる少年から大丈夫って聞いていたんだけども」
「ええ、もちろん。救急車で運ばれてこない私をよく治療をしてくれたわね」
「患者を見捨てることはできないし、貴女の身分なら分かってるからね。事故現場から貴方の保険証を持ってきていたそこの少年に感謝するんだよ、クリス・ヴィンヤードさん? 事故の事情聴取にしてもそこの少年が、しっかりと答えてたらしいからその辺は心配しなくても大丈夫よ」
「・・・!? それは本当なの?」
「うん、怪我も順調に治っていってるし大丈夫なはずよ。応急処置が良かったから、貴女は助かったっての覚えておきなさい」
先生は少年の方をちらりと確認して言った。
彼には頭が上がらないわね・・・・
「貴女の側にいる弟さんにしっかり感謝するんだね。なにか事情があるんだろうけど、詳しくは聞かないわね。そこの弟君は、貴女のことを本気で心配してたし、傍から離れず見守っていたからしっかり寝かせてあげなさいな。疲れているだろうしね。他の患者も見ないといけないから失礼するわね」
「そうなの・・・・。色々と助かったわ、先生。ありがとう」
「どんな患者でも助けるのが仕事よ。それじゃあね」
先生はそう言い、退室していった。
さて、彼をどうしましょうか? 私とは初対面のはずなんだけどね。あの場にいたことを上手く誤魔化す為に、私の歳の離れた弟にしたってとこでしょうね。身元は調べても分からない可能性が高そうね、間違いなく訳ありね。私と同じ・・・な訳は無いわね。彼からはそんな感じしなかったもの。
このままだと施設に行くことになるだろうけど、現場を見た可能性が高く組織から目を付けられているかもしれない。私から離れた場合、殺されてしまうわね・・・・
そんなことは絶対にさせないわ。命を助けてくれた恩を返すにはこれが一番ね。彼の返答しだいだけど、反論されないようにしましょう♪
この子関係で忙しくなるでしょうし、ボスにジンと関係を結ぶことは無しにしてもらわないといけないわね。ジンより彼の方が魅力的だし絶対退屈しないわね。
まさかこの私が大人の男性より、小さな男の子に興味を持つとは思わなかったわね。
はたから見たら犯罪者ね・・・・
「んんっ? そういえば寝てたのか? ここは・・・」
どうやら彼が目を覚ましたようね。眼をこすって眠そうな少年に私は満面の笑みで
「ねえ、坊や。私と一緒に暮らさない?」
と言うと彼は驚き
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
新たな表情を見ることが出来て私は満足し、彼に説明をして一緒に暮らすことになるのだった。
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医者はその場限りのオリキャラです