ロストエンパイア創造記 作:メアリィ・スーザン・ふ美雄
この物語は二次創作です。個人の脳内が生み出した幻想に決まってます。実在する人物、団体、地名、事件などとは関係あるはずもありません。
むかしむかし、太陽が北風に喧嘩を売りました。
「あーさっぶ。
おい北風よぉ、おめー最近調子コイてんのとちゃうか?
寒すぎなんだよマジで。
ぴゅーぴゅー吹くなら俺へのファンファーレでも吹けばよかろうなのだ」
「あ? いきなり何言ってんだ? どこの太陽だよテメー?
アンタそろそろ死ぬ時期っしょ? んーで死んで蘇るんしょ?
だったら文句言わず大人しく死んどけやダボが」
「あ?」
「お?」
「やんのかワレ」
「上等じゃい!」
こんな調子で引っ込みがつかなくなり、力比べをすることになりました。
さてどんな力比べしようか、と考えを巡らせたとき、北風は地上をちょろちょろと歩いている人間が目に付きました。
「おー太陽よぉ。旅人脱がしたほうが勝ちな」
「脱衣対決かよ。このエロスが」
「エロスじゃねーしボレアスだし。てめーどこ
「オリュンポス十二
こうして二人は旅人を的にして、どちらが服を脱がせることができるかという方法で競うことにしました。
先手をとった北風は、不可視にして不可避なる鋭敏な突風で旅人を瞬殺し、動かなくなったところを竜巻で浮かし、全身の肉ごと服をバラバラに引き裂いて脱がせました。それを見た太陽は、ならばと二人組で歩く旅人に熱波を送り込むと、二人は木陰で上着を脱いで休みましたが、やがて急激に上昇する温度に耐え切れず死にました。
「後付け太陽神設定のクセになかなかやるのぉ」
「そっちこそ。さっきの突風は遠矢射るが如きの早業じゃねーか」
二人はムキになって現能を振るいました。北風が発する冷風と太陽が発する熱波が絡みあって、突発的な台風がいくつもできました。北風が太陽を馬鹿にしたように笑うと、怒った太陽はその身を少しばかり削り取って、地上に灼熱の炎を降り注ぎました。冷風が熱風になり、風を操れなくなって途惑う北風を太陽が嘲笑えば、もう戦争の始まりです。
地上は天変地異の大騒ぎとなりました。
その頃になると、どちらもすっかり頭に血が昇ってしまい、ただの力比べであることも、旅人の服を脱がせるという勝負方法も忘れて、人間を的にして喧嘩するかのように、ただただ現能を振るいあいました。はた迷惑なことこの上ありません。それでも世界は回っているというような感じの名台詞があるように、北風と太陽の戦場はぐるりと巡っていきました。
三日三晩、地上の各地では竜巻が乱立し、灼熱が地に降り注ぎ、大寒波が起こり、または大熱波が届き、太陽がぐるりと三度巡った軌跡を沿うようにして、村や町、国は滅びました。その隙に、小さな小さな何かがこの世界に入り込みましたが、みんな天変地異に目が眩んで誰も気付くことはありませんでした。
「お前、強いな」
「お前もな……」
後先考えずに現能を振るい、だんだん疲れてきた二人は、やがて化身の姿で地上に降りて、どちらともなくどこぞの川辺で寝そべりながら、お互いの健闘を称えあいました。片や理想の青年像、片や翼あるアフロ老人。外見年齢の大きく異なる二人でしたが、目と目を合わせれば奇妙な友情すら芽生えてきました。
やがて二人は立ち上がり、拳と拳を打ち合わせ、仲直りの握手をすると、あんなにも荒れ狂っていた大寒波と大熱波は嘘のように収まりましたとさ。めでたしめでたし。
それから二人は、ようやく自分達がやらかしてしまったことにようやく気が付きました。二人は顔を見合わせて、っべーマジっべーと笑いあいながら、人々の夢と神々への祈りが折り重なって形作られ、地球でも屈指の勢力を誇る、神話とひとくくりされた共同幻想世界を巡り謝罪の旅をしました。
北風の同僚である東風、南風、西風の三人は「ちっ、うっせーな。ハンセイシテマース」と口にする北風の様子を許せず、罰を下すことに決めると、その現能の大半を没収し、残りカスを銀の全身鎧に封じ込めました。
太陽の同僚である月と海と大地の三人は「ちっ、うっせーな。ハンセイシテマース」と口にする太陽の様子を許せず、罰を下すことに決めると、その現能の大半を没収し、残りカスを金の全身鎧に封じ込めました。
こうして二人は太陽の騎士アポロンと北風の騎士ボレアスに生まれ変わって、今回の天変地異で悪夢を見た人々の数以上の者に幸せな夢を与えない限り元に戻れない、という誓約を結ばされました。けれどすっかり仲良くなった北風と太陽は、自由気ままに二人そろって、あてもなく世直しの旅をする不死者の旅人になりました。
「よーし潜入成功っ♪ "マーキング"もばっちり!
さーて、どこから改変しちゃおっかなー……まずは"お掃除"かな?」
そんな二人の様子を"監視する者"でこっそり確認し、満足したように頷いた創造神メアリィ・スーは、次元の狭間に隠れてそんなことを呟きましたが、その言葉は誰の耳にも届きませんでした。
ノリと勢いで書いた。今は反芻している。