ロストエンパイア創造記   作:メアリィ・スーザン・ふ美雄

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 本日二本目。


童話【人魚姫】

 

 深い深い海の底に、サンゴの壁とコハクの窓でできた、立派なお城がありました。女に飢えた船乗りか、はたまた海に夢見る乙女か、それともどこぞの童話作家か……誰かに望まれ生まれてきた人魚姫は、十五歳になると同時に海の上の人間の世界を見に行くことを許されました。

 

 ただし人間に見つかる事だけは禁じられました。人間が人ならざる者に心奪われてしまえば、道を踏み外してしまいますからね。異種姦にドハマリさせるのはマズいだろという配慮です(自分たちが異種姦しないとは言ってない)

 

 人魚姫が海上にあがると、天地を貫く嵐ができていたり、海岸沿いに火事が起こっていたりと不思議なことがいっぱいで、とても楽しそうに見えました。

 

「ほえー。すっごいおっきい竜巻。

 地上ってやりたい放題なのねえ。

 あら? あれは何かしら?」

 

 そんな中、人魚姫が海の方を見ると、沖合いで嵐に巻き込まれ、沈没していく船が一隻ありました。その船から、見た感じ彼女のショタっ気をキュンキュン刺激する可愛い男の子が飛び出しました。

 

 彼はさる国の王子で、その日は十六歳の誕生日でした。あるいは、自分をさる国の王子と思いながら夢を見た誰かか……その正体はとにかく、ここでは王子と呼称します。

 

 王子は船上でお誕生日パーティーをしたかったのですが、現実では叶いませんでしたので、こうして夢の世界で叶えていました。ですが突然夢の世界がメチャクチャことになってしまって、このままでは死んでしまうかもしれません。お誕生日に溺れ死ぬ夢を見るなんて縁起が悪いことこの上ないですから、一縷の望みをかけて海に飛び込んだところでした。

 

 すっかり王子に一目惚れしてしまった人魚姫は、他の乗組員を完全に無視して、王子が荒波に揉まれて気を失うのを待ってから、浜辺へ運んであげました。

 

 人魚姫が介抱という名のドッッッッッスケベ!! を致そうとする直前、船の様子を見にきていた漁師の娘がやってきました。

 

「あっ、いけない」

 

 びっくりした人魚姫が海に潜って隠れると、王子に気付いた漁師の娘は正しい介抱を処置して、そして王子は息を吹き返しました。

 

「あ、ありがとう。あなたがわたしを助けてくれたのですね」

「王子さま……よかった、無事だったのですね。

 さあ、ここは危険です。はやく避難いたしましょう」

 

 逞しい漁師の娘は、王子に自分の肩を貸して、避難先へと連れて行きました。

 ですが動きはぎこちないです。

 どうやら彼女は、夢を夢と認識していないようでした。

 その人間性に従って、無意識のうちに夢の世界での身体が勝手に動いていました。

 人は誰もがいつも明晰夢を見れるわけではないのです。

 

 人魚姫はションボリして城に帰ってきましたが、どうしても王子のことが忘れられません。

 それから人魚姫は毎日のように、海上に浮かんでは王子様のことをチラチラと盗み見ました。

 

 王子様は若き王様になって、命の恩人である漁師の娘を后にし、この荒廃した夢の世界を復興すべく尽力するようです。荒んだ国を建てなおすなんて、夢の中ででもない限りできそうにありませんからね。少なくとも、現実でやりたいことではないでしょう。それに、どうしようもなくなったら、何事もなかったかのようにリセットすればいいのです。夢見がちな人はきっと自由に夢見ることができますから、そういうこともできるのです。

 

 夢と現実。片方にだけ生きる者と、行き来できる者。決して報われない人魚姫の恋心は肥大化し、やがて津波が島国を襲いました。

 

「島一つくらい沈めてもバレないわよね?

 だって北風の神と太陽の神が、あんなに暴れていたんだもの。

 ちょっとくらい好き勝手したってヘーキヘーキっ♪」

 

 果たして平気ではありませんでした。現実世界では、さる国が津波に襲われて沈む悪夢を見たという信心深い人たちが続出し、ちょっとしたパニックが起きてしまったのです。三日連続で天変地異が起きる夢を見たという人も各地にいまして、現実世界はどこか夢見が悪い世の中になりました。

 

 海の神は誰にも断りなく勝手に領土を増やそうとした娘に激怒し、勘当してしまいました。

 

「怒られちゃった……でもこれからはずっとお姉ちゃんと一緒だよ、王子サマ♪」

 

 自分より年上のショタっ子とか最強すぎる! 人魚姫の歪んだ愛欲は、津波に呑まれて溺れ死んだ若き王……もとい、可愛い王子サマを骨の髄までしゃぶりつくしました。

 

 現実の彼がどうなったか?

 そりゃもう異種姦にドハマリです。

 しかも人魚姫おねショタ捕食プレイとかいうジャパニーズ・ヘンタイにしか叶えられそうにないニッチな嗜好に囚われてしまいました。

 

 人魚姫は王子サマを一通り愛でると、懲りずに海の上に浮かんでは、自身のショタっ気を刺激する男の子を海中に引きずりこむようになりました。引きずりこまれた男の子は、彼女が愛の巣と呼ぶ深海で、骨の髄まで愛されましたとさ。

 

 

 

 こうして創造神メアリィ・スーは、とにかくでかい騒ぎを起こして、その間に着々と仕込みを進めていきました。北風と太陽が暴れた痕跡があっさりなかったことになる地域に目をつけ"素材"候補を回収したり、とにかく数が多い神々の動向を『監視する者』でチェックしたり、やることはたくさんありました。でも、戦略シミュレーションは序盤が一番肝心ですから、手を抜くことはありません。

 

 創造神メアリィ・スーは、この箱庭世界を簒奪し、今のところ頭の中にだけその構想がある、ロストエンパイアとして改変するつもりなのでした。

 

 

 

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