ロストエンパイア創造記   作:メアリィ・スーザン・ふ美雄

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ネコ三匹目




童話【ネコとネズミとおともだち】

 

 むかしむかしあるところで、ネコとネズミが向き合いました。

 ネズミはネコに食べられないよう、必死に媚びて命乞いすると、勘違いしたネコは言いました。

 

「ぼく、すっかりきみのことが好きになっちゃった。

 きみを守ってやりたいし、友達になりたいな。

 いいだろ?」

 

 押しの強いネコの勢いに、ネズミはしどろもどろ頷いて、ネコと一緒に暮らし、家事をすることを承知しました。

 もし断ったら、どんな目に合わされるか分かりませんからね。

 

「冬に備えなくてはいけないね。

 そうしないとひもじい思いをするよ。

 でも、鼠はおうちに居たほうがいい。

 なんたって、みんな鼠を捕まえようと罠を用意しているから」

「そうなんだ。

 万事きみに任せるね。

 おいらは家事を頑張るよ」

 

 ねずみはオドオド言いました。逆らったら、どんな目に合わさせるか分かりませんからね。

 

 ネコは寝るときネズミが寒くないように、まあるく抱え込んで眠りました。

 ネズミはいつネコが自分を食べてしまうかと思うと、気が気ではありませんでした。

 

 そのうちネコは冬に備えて、ラードの壺を用意して、寂れた教会の椅子の下に隠しました。

 

「もしものときは、こいつを食えば、餓えはきっと凌げるさ」

 

 ネコはそう言いましたけど、それを聞いたネズミはというと、きっと自分は食べられないなと思いました。

 しばらく一緒に暮らしていると、ある日ネコは言いました。

 

「友だちが出産するんだ。

 ぼくはちょっと行ってくる」

「行ってらっしゃい猫さん」

 

 ネズミはきっと、ネコはこっそりラードを食べるだろうと思いましたから、ネコが出かけたそのあとに、寂れた教会に行きました。ネコが勝手にラードを食べたら、愛想をつかしたと言ってやり、別れてしまうつもりでした。

 

 でも、寂れた教会にはネコは来ませんでした。

 

 ネズミはお腹が空いてきて、ラードを一欠食べました。

 

 おうちに帰って家事をしていると、そのうちネコが帰ってきました。

 

「ただいま」

「おかえり」

「赤ちゃんみゃーみゃー可愛かったよ」

「そうなんだ。なんて名前になったのさ?」

「ひとかじりって名前だよ」

 

 ネズミはすっかり驚いて、ビクビクしてしまいました。

 見られた、見られた、見られた見られた見られた! 

 

「どうしたの?」

 

 とネコが聞いても、ネズミはブルブルだんまりでした。

 きっとおうちが寒いのだろうと、ネコは寝るときネズミをまあるく抱え込んで眠りました。

 ネズミはいつネコが自分を食べてしまうかと思うと、気が気ではありませんでした。

 しばらく怯えて暮らしていると、ある日ネコが言いました。

 

「別の友だちが出産するんだ。

 ぼくはまた行ってくる」

「……行ってらっしゃい猫さん」

 

 ネズミはきっと、今度こそネコはこっそりラードを食べるだろうなと思いましたから、ネコが出かけたそのあとに、寂れた教会に行きました。ネコが勝手にラードを食べたら、愛想をつかしたと言ってやり、別れてしまうつもりでした。

 

 でも、寂れた教会にはネコは来ませんでした。

 

 ネズミはお腹がイライラしてきて、ラードをがっつり食べました。

 

 それから帰って家事をしていると、そのうちネコが帰ってきました。

 

「ただいま」

「おかえり」

「赤ちゃんみゃーみゃー可愛かったよ」

「そうなんだ。今度はなんて名前になったのさ?」

「半分終わりって名前だよ」

 

 ネズミはすっかり驚いて、ビクビクしてしまいました。

 見られた、見られた、見られた見られた見られた! 

 

「どうしたの?」

 

 とネコが聞いても、ネズミはブルブルだんまりでした。

 きっとおうちが寒いのだろうと、ネコは寝るときネズミをまあるく抱え込んで眠りました。

 ネズミはいつネコが自分を告発するかと思うと、気が気ではありませんでした。

 罪を怖れて暮らしていると、ある日ネコが言いました。

 

「友だちの友だちが出産するんだ。

 ぼくはまたまた行ってくる」

「…………おいらは、家で、待ってるね」

 

 ネズミはすごく、美味しいラードが食べたくなりましたから、ネコが出かけたそのあとに、寂れた教会に行きました。

そこではネコが待ち構えていました。

 

「やあ、やっぱりここに来てたんだ。

 こっそりこそこそ、冬の備蓄を食ってたな?」

 

 ネコは中身が半分くらい無くなった、ラードの壷を見せながら言いました。

 もう我慢できなくなって、ネズミは逆ギレして言いました。

 

「うっせーばか! 

 そもそもお前がいつまでたっても壷の中身を食べないから悪いんじゃないか! 

 おいらは筋書きがおかしくなるから仕方なく食べてただけだ! 

 おいらは悪くない!」

「筋書きってなに? 

 それにぼくは……」

「うわあ食い殺される! 

 "全部無し"にされる! 

 殺られる前に、殺ってやる! 

 助けて! 助けて!」

 

 すっかり錯乱したネズミは、窮鼠の如くネコを一噛み! 

 それからぢゅうぢゅう喚きながら、昔の住処に逃げました。

 でもネズミの昔の住処には、友だちのネズミが入り込んでいて、群れがゆったり過ごしていました。

 友だちネズミは、鼻を抑えて言いました。

 

「くさいぞ、くさいぞ、ネコくさいぞ。

 なんだおまえはネコくさい。

 きっと裏切り者だろう。

 みんなでバリバリ食ってやる」

 

 すっかりネコの臭いがしみついたネズミは、友だちネズミご率いる群れに囲まれて、バリバリと食べられてしまいましたとさ。

 

 

 

「にゃー……ぼくはただ、備蓄を食べるなら一声かけてって言おうとしただけなんだけどなあ」

 

 ネズミに噛まれて逃げられたネコは、鼻を抑えて痛みを堪え、途方にくれながら言いました。

 すると寂れた教会に、蒼い鳥がやってきました。

 

「そこな猫さん。ちょっと良いかね?」

「なんだい鳥さん。きみはずいぶん大きいね」

「このあたりに、ラードの入った壺を同居人に黙ってこっそり食べる、性悪猫がいたと思うんだが」

「そんにゃやつ知らないにゃ。冬の備蓄は確かにぼくもラードだけど」

「おまえかっ!」

 

 半分ほどまでラードを無くした壺を見せつけたネコの言葉に、青い鳥はすばやく動いて、鋭い鉤爪でネコを掴まえると、空気に溶けるようにして消えていきました。

 

 蒼い鳥は神様の言う通りに、童話の波長に馴染みそうで馴染まないネコを、あっちこっちから拐っていました。

 

 創造神メアリィ・スーは、いよいよ類似存在多重積層改変テクニックの練習として、馴染む馴染まないに関係なく、ネコにネコを重ね合わせようとしていましたとさ。

 

 

 

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