ロストエンパイア創造記   作:メアリィ・スーザン・ふ美雄

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繋ぎ回は短い(確信)


童話【猟師ときこり】

 

 

 むかしむかし、勇気のない猟師が、ライオンの跡を追い掛けていました。村の掟で、ライオンを狩れなければ、一人前とは認めないと言われたからです。

 

 そんな時、とある森できこりに出会った猟師は、ライオンの足跡を見ていなかったか尋ねました。

 するときこりは

 

「ならば今からライオンのところへと連れていこうか?」

 

 と答えました。

 とたんに猟師は、ぶるぶると身を震わせ、

 

「いや、いいんだ。

 実は私が探しているのは、ライオンじゃなくてライオンの足跡なんだ……」

 

 と答えました。

 それではお話になりませんから、きこりは続けて言いました。

 

「臆病なのは、猟師として優れているね」

 

 猟師は意気地無しだのなんだのと言われながら育っていましたから、誉められるのは初めてでした。なんだかすごく嬉しくて、思わず照れてしまいました。

 

「あと一歩、踏み込む勇気を持つがいい。きみは自分が思っているより、蛮勇ではないだろうからね」

 

 心暖まるその言葉に、猟師はふつふつと勇気が湧いてきました。

 だから猟師は、やっぱりライオンの居所を知っているなら教えてくれといいました。

 

「いま、君の真後ろにいるよ」

「えっ」

「ガオーッ!」

 

 あわれ猟師はきこりに騙され、ライオンに食べられてしまいました。勇猛果敢で賢きライオンと心豊かで冷徹無比なきこりは、実はグルでした。二人は奮い立った勇気と心臓を仲良くわけあうと、それぞれ食べてしまいましたとさ。

 

 

 

「なんっか、こう、違うんだよなぁ~。

 またスランプになっちゃったかな……参っちゃうよ! 

 それもこれも糞つまんない信仰心のせいだねっ。

 ホントもう! うざったらしいったらありゃしない! 

 もっとこう、劇的に悲劇的で、どうしようもなくどうにもならない、ドロッドロのバッドエンドにしたいんだけどなあ」

 

 創造神メアリィ・スーは、しょっぱい出来の短編を虚空に片付けて言いました。

 なんだか最近、マンネリです。

 狂霊騒ぎこそ面白かったですが、どこもかしこも比較的順調に進んでいることが、どうにも退屈なのでした。もっと遊び心が欲しいところでした。

 

「うざったい悪夢霊もしょーじきたいした事ないし。

 こりゃ魔姫が揃えられたらそのままおしまいだねっ」

 

 メアリィはかんぺきすけじゅーる帳を出そうとして、やっぱりそれは止めました。予定外のことこそを面白おかしくする方が、何倍も楽しそうだからです。

 

 例えば、どこかの誰かが命を賭して集めた狂信者の街を、全部台無しにしてしまうとか。

 

「きゃひひっ♪ 

 こいつを使ったら、面白くなりそうかなっ♪」

 

 呟きながら彼女が虚空から取り出したのは、童話【フランダースの犬】でした。それをちゃちゃちゃっと改訂して、童話【エリクシールの犬】に書き換えました。

 

 メアリィは、現実改変の現能一つで地下墓地に広がった花畑をみんな穢れ沼の崖の向こうにやってしまうと、街を舞台にエリクシールの犬を状況再現させました。

 

 仕込みがちゃんと仕上がるまでに、ロストエンパイア歴で何年かかかりますが、そのうち面白いことになるでしょう。

 

「あっそーだ。良いこと思い付いたっ♪ 

 童話【秘密の花園】もつーかおっと」

 

 彼女はまた別の童話を取り出して、幸福の御殿を改変すると、そこにもギミックを仕込みました。あとはそれらが人間に、どんな化学反応を起こすかを、文字通り天井から見下ろすだけ……と言いたいところですが、エリクシールと崖向こうの秘密の花園は地続きではないので干渉しあいそうに有りません。

 

「こんなこともあろうかと~♪ 

 ロンドン橋は落ちそうで落ちないよっと!」

 

 更なる童話【ロンドン橋落ちた】を配置すると、エリクシールの街と秘密の花園を繋げました。

 

 もうやりたい放題です。

 

 でも、細々としたことをこねくりまわしているときより、よっぽど生き生きしていましたとさ。

 

 

 

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