霊夢は珍しくパチュリーに呼ばれて紅魔館にやってきていた。地震を起こした犯人がわかったと咲夜を連絡係として博麗神社に寄こしたのだ。
神社を壊した責任を取らせる気だった霊夢にはまさに朗報といえる。
ついでに、たまたま一緒にいた魔理沙だが、こんな面白そうな話を逃すはずもなく、霊夢について一緒にきていた。
「天界? そこに天気を変化させて、最後には地震まで起こしたやつがいるの?」
「そうよ。先日、私や咲夜が天界に行ったときに神社が倒壊すると言ってたやつがいたのよ。そいつが黒幕と見て間違いないわ」
「そのときに懲らしめなかったのか?」
「あのときはまだ地震が起こってなかったから、確証がなかったのよ」
「私はある程度懲らしめたのですが、地震を起こしたことを見ると足りなかったようです」
「……まあいいわ。自分の手でお灸を据える方がスッキリするしね」
「あいにくだけど、行くのは霊夢だけじゃないわ」
「私も行くからな」
「魔理沙のことじゃなく、私と咲夜――それ以外にも暇そうなやつらに声をかけたわ」
幽々子、妖夢、アリス、鈴仙、小町……そして紫。
パチュリーが声をかけた連中が紅魔館に勢ぞろいした。
「ずいぶんと来たわね。暇人の多いこと」
「別に普段は暇じゃないわよ。私はたまたま休みだったから来ただけ」
「私も暇ではないけど、地震を起こしたやつにはお灸が必要と思ってたしね」
鈴仙とアリスが暇人扱いを否定するも、参加はしてくれるようだ。
「私は面白いものが斬れると聞いたので」
「私は天界でご馳走してくれると聞いて~」
妖夢と幽々子は黒幕を懲らしめるためでなく、わかりやすい欲でやってきていた。
「私は暇だったけどね」
「あなたはもっと仕事しなさい。閻魔様に言いますよ」
明らかに仕事中の死神――小野塚小町に紫がツッコミを入れる。
「それは勘弁してくれよ」
「しかし、凄いメンバーだな。天界にはそれほどのやつがいるのか?」
「場合によっては鬼と天人の二人が敵に回るわ」
「……そりゃ強敵だぜ」
「萃香が天人に協力しているのですか?」
「この間、天界に行ったときは黒幕らしき天人と一緒にいたわね」
「そうですか……お仕置きが必要のようですね」
扇子で口元を隠しながら言う紫だが、目は明らかに怒っていた。
幻想郷の要たる博麗神社を壊されて、やはり彼女もご立腹らしい。
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天界には妖怪の山の頂上から行くことが出来る。立ちふさがる烏天狗や竜宮の使いを蹴散らして、一行は無人の野を行くが如く進撃した。仕事として怒れる巫女を筆頭にしたメンバーの妨害をしなければいけない者たちは気の毒であった。
そして天界に辿り着いた霊夢たちは黒幕の居城らしきものを発見することとなる。
それは幻想郷では珍しい西洋風の屋敷だった。
建物の大きさはそれほどでもないが、敷地はかなり広く、中庭は大人数で宴会が出来そうな広さだ。
そして何よりも特徴的なのがその色――屋敷の壁も門から中庭までの道も赤一色で統一されている。
その屋敷を見たとき、一行の顔から表情がなくなった。