レミリア・スカーレットの挑戦   作:Amur

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第六話 『紅霧異変(中編)』

「人間たちよ。私こそ幻想郷……いや、すべての命あるものを食らう者───永遠に紅い幼き月レミリア・スカーレットだ!───なんてどう? フラン」

 

「う~ん、ちょっと極悪過ぎるわね。それに命を食らうっていうのは吸血鬼だから分かるけど、その後の永遠に紅い幼き月との繋がりがないわよ、お姉様」

 

「ならやはり最初に考えていたやつにするか……」

 

 レミリアとフランドールは侵入者と相対したときの口上を考えていた。

 

 

「───ん。来たわよ、フラン」

 

「早いわね。二人とも?」

 

「いや、一人だけだ。別行動のようね」

 

 隠密行動をまったく意識しない激しい足音が廊下から聞こえてきた。

 

 

「ここかーーーっ!」

 

 叫ぶとともに侵入者が玉座の間の扉を開け放った。

 

 

「───これはこれは、凄まじい妖気だな。さすがの私もごくりと喉を鳴らすぜ」

 

 侵入者───霧雨魔理沙はスカーレット姉妹の妖気で満たされた玉座の間に、委縮することなく入ってきた。

 堂々としたその姿は強敵に緊張しながらも、たしかな自信を感じさせるものだった。

 

 その魔理沙の姿をレミリアは無表情で見つめ、フランドールは興味深そうに観察していた。

 

 ───うっは! 生魔理沙!!! このレミリア、感動している!

 

 

「お前たちが紅い霧を発生させている元凶か」

 

「いかにも。私こそ紅魔館当主にして世界のすべてを紅く染める者。永遠に紅い幼き月、レミリア・スカーレットだ」

 

「そして私が悪魔の妹フランドール・スカーレットよ」

 

「私は霧雨魔理沙! 魔法の森の魔女だ」

 

「侵入者は二人と聞いているが、あなただけかしら?」

 

「そうだぜ。もう一人───霊夢は手こずっているらしいな」

 

「あなたは誰とも戦わなかったの?」

 

「道中で蹴散らしたメイド妖精を除けば、パチュリーって魔女を倒したな」

 

「あら? パチェと戦ったの。私は戦わないとか言っていたのに、素直じゃないんだから」

 

「なかなか手強い相手だったが、大魔法使いとも呼ばれる(予定の)私には勝てなかったな」

 

「へえ~。人間がパチュリーに勝つなんて凄いね」

 

「ここまできて大人しく紅い霧を引っ込める気はないんだろ? さあ、勝負だぜ!」

 

「まあ待ちなさい。もう一人の侵入者が来るまで待ちましょう」

 

「ん……? お姉様は咲夜が巫女ってのに負けると思っているの?」

 

「そうよ、フラン。咲夜は優秀だけど、それを乗り越えて博麗の巫女はやってくるわ」

 

「ふ~ん」

 

「霊夢を待つ必要はないぜ。私一人で二人とも相手をしてやる」

 

 魔理沙が強気な発言をするとフランドールが笑って返した。

 

「アハハ! 自信満々ね。いいわ、待ちきれないなら私だけで相手をしてあげる。いいでしょ? お姉様」

 

「う~ん、まあいいわ。じゃあ任せたわよ、フラン」

 

「オッケー♪」

 

「そういうことで私が相手をするわ、魔理沙さん」

 

「まずは妹吸血鬼が相手か。いいぜ───だが、ここじゃあ狭いな」

 

「ええ、広いところに行きましょう」

 

 そう言うと二人は天井を弾幕でブチ破り、開けた穴から外に出て行った。

 

 

「せめて窓から出ていきなさいよ……多忙な咲夜の仕事を増やすんじゃないわよ」

 

 レミリアは呆れながら二人を追って外に出て行った。

 

 

「さて、魔理沙さん。さっき私だけで相手をすると言ったのは本当だけど、厳密に言えばウソでもある」

 

「ん? どういうことだ」

 

 ───禁忌「フォーオブアカインド」

 

 フランドールがスペルカードを発動させると、3体の分身が現れた。

 

「なんだ!? 四人に増えたぞ!」

 

「これで四対一になったけど」

「フランドールだけで相手をするのは本当だから」

「許してねー」

「あはははは!」

 

 笑いながら四人のフランドールは魔理沙を囲む。

 

「くっそ! どれが本物だ!?」

 

 本体を見つけ出そうとする魔理沙だが、フランドールは一斉に弾幕を放ってくる。

 

「うおおおお!? 四人とも実体があるとか反則だろ!」

 

 

 ───いきなりフォーオブアカインドとか、我が妹ながら容赦ないわね。

 けど、それだけで墜ちる魔理沙じゃないわ。

 

 レミリアは二人の勝負を離れたところからのんびり観戦していた。

 

「見せてちょうだい、霧雨魔理沙。主人公の片割れの実力を」

 

 

「さあどうする魔理沙―!」

 

「私を甘く見るなよ! そっちが手数ならこっちは火力で勝負だ!」

 

 言うだけあって魔理沙の弾幕はかなりの威力を誇るが、さすがに四人に分かれたフランドールの物量には及ばず、徐々に抑え込まれて逃げ場がなくなっていった。

 

「ちいっ! ならばこっちも使うぜ!」

 

 ───星符「メテオニックシャワー」

 

 魔理沙は星型の弾を大量に打ち出してフランドールの弾幕を相殺していく。

 前方に集中的に放たれたメテオニックシャワーは弾幕の空白地帯を作り、そこを魔理沙は高速で駆け抜けて囲いから抜け出した。

 

「たしかに弾幕の威力は大したものね! けれど私も火力には自信があるわ!」

 

 ───禁忌「レーヴァテイン」

 

 フランドールが大きな───いや、大きすぎる炎の剣を構えた。

 

「なんだ、あのバカでかい剣は!?」

 

「いくよ! 魔理沙ぁ!!」

 

 四人のフランドールがレーヴァテインで攻撃を仕掛ける。

 

「当たるかよ!」

 

 レーヴァテイン四本による同時攻撃だが、速度自体はそれほどでもなく、魔理沙は上手く隙間を見つけてかわすことに成功する。

 しかし、レーヴァテインが振られると剣から火の弾幕が発射された。それが四本分も集中することで、圧倒的な密度となって魔理沙に襲い掛かる。

 

「そうか、こっちが本命か! だが、火力には自信があると言っただろう! それを見せてやる!」

 

 魔理沙がフランドールの弾幕にミニ八卦炉を向ける。

 

「なに? このすごい魔力は───!」

 

 フランドールが放った魔理沙を覆うほどの弾幕が一瞬、魔女の姿を隠した。だが、この一瞬が勝敗を分けた。

 

「弾幕は───パワーだぜーーー!!!」

 

 ───恋符「マスタースパーク」

 

 超弩級の大出力レーザーが弾幕を吹き飛ばしながら迫る。

 わずかの間、魔理沙を見失ったフランドールはマスタースパークの軌道を読み切れなかった。

 

「ああああああっ!?」

 

 分身ごとフランドールを飲み込んだ閃光は天を貫き、紅い空が一瞬だけ明るくなるほどだった。

 

 

 

 ───あれがマスタースパークか! 噂にたがわぬ大迫力!

 

「ふははっ! 人間とは思えぬ規格外の威力! 見事だな! 霧雨魔理沙」

 

 ───けどマスパが直撃したフランは大丈夫かしら? まあ、スペルカード用に威力を調節してるんだから問題ないとは思うけど……。

 

 レミリアが妹の心配をしていると、後ろから声をかけてくるものがあった。

 

「相変わらずふざけた威力よね、あれ」

 

「おや、ようやく来たか。博麗の巫女───」

 

 レミリアが笑いながら振り向くと、そこには静かに吸血鬼を睨みつける博麗霊夢の姿があった。

 

 

 




弾幕はパワーだよ


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