「鬼滅の刃」世界のあの世が「鬼灯の冷徹」世界だったら   作:淵深 真夜

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鬼灯の冷徹13巻、102話の「体験一日獄卒」の前日譚みたいなもんだと思ってください。



「お館様も爆笑する派だから! むしろ筆頭だから!!」

「来月あたりに、マキさんとミキさんに一日獄卒体験をしてもらうことになりました。

 あなた方4人はこの二人に地獄の案内や拷問の手伝い、そして万が一亡者が襲い掛かってきた時、撃退する護衛役をやってもらいます」

 

 閻魔庁の小会議室に集めた4人へ、集めた理由とその業務内容を鬼灯が説明すると、その集められたうちの一人が手を上げて、発言の許可を求めた。

 

「はい、どうぞ。しのぶさん」

「業務内容はわかりましたが、どうしてこのメンバーなのか、訳があるなら説明をお願いします」

 

 許可をもらってしのぶは最初からの疑問で、業務内容を聞かされても晴れなかった為、端的に問いながら改めて集められたメンバーを見渡す。

 

 そこにいるのは全員亡者。そして顔見知りどころか、個人的にも親しい者達ばかり。

 生前から同僚である、蜜璃と伊黒。そして生前は敵だったが、今ではすっかり確執など一切ない狛治。

 関連性は一応あるのだが、それは生前での話。以前行った、無惨や鬼殺隊の歴史に関しての講習という仕事ならば、このメンバーに疑問は特にない。

 

 だが先ほどの鬼灯が説明した業務内容では、何も聞かされていなかった最初以上に疑問が沸く。

 この4人は同じ業務が任されるのは不自然なくらい、今はそれぞれ部署が違うからだ。

 

 伊黒と蜜璃は同じ衆合地獄かつほぼペア扱いで業務を行っているから、この二人がセットなのはまだわかるが、狛治は鬼灯の補佐役なので、業務は事務から現場の拷問まで幅広過ぎるのに対し、しのぶは逆に、元は鬼殺隊の剣士に向かなかったくらい非力なので、現在は現場の業務はほとんど行わない薬物研究オンリーだ。

 

 なので自分達4人をわざわざ選んだのかが普通に疑問だったが、鬼灯もそう思われるのは想定内だったからか、さっさと答えてくれた。

 

「あなた方を選出した理由は二つですね。

 一つ目は、単純に獄卒体験するのが女性アイドルなので、傍にいて世話を焼く役目は同性の方がいいと思っただけです。

 ただ、女性獄卒は現場に出ないデスクワーク担当か衆合の囮役がほとんどで、『刑場の罪人に襲われる』という事態が発生した場合、とっさに迎撃できない可能性が高いので、それがまずないであろうしのぶさんと甘露寺さんを選出しました」

 

 まずしのぶと蜜璃が選ばれた理由を説明され、それは普通に納得できた。蜜璃はもちろん、インドアの研究職となっているしのぶも、童磨が万が一脱獄しても、人間に戻っているあいつなら瞬殺できるようにと思い、未だに呼吸や剣術の鍛錬は続けているので、鬼灯の期待に応える自信はある。

 

 しかしその説明では男二人の存在意義がないのだが、もちろんそれもちゃんと鬼灯は説明してくれた。

 

「あと、私としては獄卒じゃない奴、弱そうな奴を人質に取って脱獄を企てるど阿呆な亡者がいるのなら、いい機会なので一掃してしまいたいんですよ。

 だからあえて少数ですがいる、拷問も行う鬼女ではなく亡者のあなた方を選びましたし、そして反省ゼロのアホ亡者の数が多ければ、さすがにお二人でも厳しいでしょうが、男の鬼の獄卒が側にいたら警戒されて意味がないので、やはり亡者が舐めてかかりそうな二人を付けた結果がこのメンバーです」

「俺達はともかく、アイドルを囮に使うな!!」

 

 二つ目の理由に伊黒が突っ込み、そのまま相手が上司だということを無視して説教開始。

 同じ突っ込みをしそうな地獄の良心は、遠い目で苦笑している。おそらく狛治だけは鬼灯の側近という立場上、事前に自分たちが選出された理由を聞いて、既に突っ込み済みなのだろう。

 

 理由というか鬼灯の目的そのものは相変わらずのぶっ飛び具合だが、選出理由自体は納得できたので、しのぶは狛治と同じように苦笑を浮かべる。

 

 伊黒がいるのは蜜璃とセット扱いかと思ったが、女性的なその容姿と体躯が亡者を警戒させない、むしろ甘く見られるのを利用するつもりなのだろう。

 狛治の方は明らかによく鍛えられた体格をしているが、それでも顔立ちは優男だし、鬼と並べば細身だと錯覚してしまいそうなので、少なくとも鬼灯以上に大柄な悲鳴嶼や、鬼より鬼らしい強面と地獄でも評判の不死川、そして大半の獄卒に牛頭馬頭と同種の妖怪だと思われている伊之助などと比べたら、まぁ直接呵責されたことがない亡者なら警戒心は薄いはず。

 

「皆さんならマキさん達を守り切って、危険因子も殲滅してくれると信頼しているんですよ。

 あとついでに、マキさんたちが巡って体験する地獄と獄卒の仕事を、適当にピックアップしておいてください。しのぶさんと伊黒さん基準であまり力がいらず楽と思える拷問なら、マキさんたちにも負担なくできるでしょうし」

「悪かったな、非力で!!」

 

 伊黒の説教は正論なので暴力で黙らせることはしないが、丸投げの信頼で「別に良いだろ」と鬼灯は受け流し、そのままさらに仕事を命じて、狛治達が伊黒を宥めている隙に会議室から出て行ってしまった。

 

「まったく……あの鬼は無惨の鬼とはまた別の方向で最悪の鬼だな」

「まぁまぁ、伊黒さん。確かに鬼灯様の目的はだいぶどうかと思うけど、あの人は自分の利の為に他人を犠牲にする人じゃない事は知っているでしょう?

 言葉通り、私たちを信頼しているんですよ」

 

 伊黒が鬼灯の愚痴を吐きながら椅子に座り直すと、しのぶが苦笑したまま一応鬼灯をフォロー。しかし「最悪の鬼」という部分は否定しなかった。

 だけど伊黒だって、鬼灯とはすでに100年の付き合いだ。しのぶの言う通り、あれは理不尽な言動は多いが、傲慢ゆえの理不尽ではなく、ただ単に自分が出来るのだから他人も出来るだろうという考えの元でやらかしているだけであることを知っている。

 

 つまり、獄卒である自分たちどころかマキミキも無駄に危険に晒しているというより、たぶん鬼灯はいざとなればマキミキも自力で亡者を撃退できると、これはこれで大問題な思い込みをしている。

 

 その事を理解するとむしろ頭の痛みは増すのだが、鬼灯に悪意は一切ないことに加え、蜜璃も鏑丸も「マキちゃんとミキちゃんに会えるんだー」「楽しみだねー」などと嬉しそうに話しているので、結局伊黒はそれ以上文句も愚痴も言わずに黙り込む。

 

 そんな彼らのやり取りに、狛治は苦笑だが微笑ましさを如実に表しながら、八大地獄とそれぞれの十六小地獄の名前、そして落ちる罪状や刑罰の内容が書かれた紙を配って、話を進めた。

 

 * * *

 

「まだ日にちもはっきりと決まってないから、地理とか拷問内容を考慮してスケジュール計算とかはしなくていい。とりあえず候補だけを上げて欲しいらしい。

 ただ、衆合地獄は全面的になしだ。女性アイドルだからあそこの地獄はさすがに危険すぎるし、……刑罰も女性にさせるものでも、見せるものでないのが多すぎる」

「あの鬼、そういう配慮は出来たのか」

「……俺が指摘して止めた」

「よくやった、狛治」

 

 鬼灯から進行の指示でも受けていたのか、最低限の情報を説明する狛治に、テーブルの上にふてくされたように頬杖をついて伊黒が突っ込む。

 突っ込みというより皮肉だったのかもしれないが、その皮肉はここにはいない鬼灯にはもちろん刺さらず、むしろ狛治が事前の苦労を思い出して遠い目をし出したので、伊黒は頬杖を止めて姿勢を正し、心から狛治のファインプレーを労った。

 

 女二人もそのやり取りを苦笑して眺めてから、渡された資料をまず一通り目を通す。

 そして目を通し終えたのか、しのぶがボソリと呟いた。

 

「……こうしてみると、本当に意外と鬼舞辻 無惨がストレートに落ちる地獄って、案外少ないんですね」

 

 しのぶの発言に、狛治と蜜璃は何も言えず黙り込む。

 二人の頭の中には、鬼灯が実に生き生きと雑なこじつけで無惨を小地獄に落とす動画の光景がいくつも再生されて、流石に無惨に同情するやら、しかしその罪状はなくても落とされても仕方がない屑っぷりをブレずに披露するからどうでもいいかと思うやらで、何とも複雑な心境だったから何も言えなかった。

 

「そうなのか?」

 

 何も言えずにいる二人とは対称に、伊黒がきょとんとした顔でしのぶに訊き返し、訊かれたしのぶも思わずきょとんとした顔になってしまう。

 互いにきょとんとし合う中、その事に気付いた蜜璃がちょっとおかしげに笑って、しのぶの疑問に答えた。

 

「あぁ、そういえば伊黒さんはあの動画、全然見てないもんね。未だに名前を聞くのも不愉快極まりないって言って、一つも見てないの」

 

 しのぶのきょとん顔の理由は、「無惨がストレートに落ちる地獄が少ない」ことを疑問に思うということは、鬼灯が主催で撮っている表向きは八大地獄の十六小地獄の紹介、本音はただひたすらに昔の鬱憤を無惨に億倍返しにしている動画の内容を知らないということになるので、その事を不思議に思ったからだ。

 しのぶと同じく、伊黒の問いを不思議に思っていた狛治もその答えを聞いて納得し、そのまま苦笑して思い出した雑学と言っていいのかどうかもわからない雑談を口にする。

 

「なるほどな。そういえば、元鬼殺隊はあの動画を見る派か見ない派かできっぱり二つに分かれるらしいな。

 見ない派は主に小芭内と同じ理由で、そして見る派も見た時の感想というか反応がきっぱり二つに分かれるらしい」

「へぇ、どう二つに分かれるんですか?」

 

 以前、無惨の地獄めぐり第1弾を一般公開する前、元鬼殺隊の隊士たちに視聴してもらって気付いたと鬼灯が言っていた話をそのまま語ると、しのぶが興味を持って話を先に促す。

 だが、何故か笑って語っていた狛治の笑みがその瞬間、若干強張ってからしばし固まった。

 

「……? 狛治さん?」

 

 困惑しながらしのぶが呼びかけると、狛治は気まずそうな顔で目をしのぶから逸らしてから、それでも自分が言い出した話なので、責任を持ってちゃんと答えた。

 

「…………無惨様が無関係の地獄に落とされた時、流石にわずかばかりでも同情してしまう派と……爆笑する派で別れるらしい」

 

 狛治の答えで、彼は何に気まずく思っていたかをしのぶだけではなく、同じく狛治の反応に困惑していた伊黒と蜜璃、そして鏑丸も理解して同じく気まずくなる。

 そして気まずくなった元凶が、思わず謝る。

 

「……なんか、すみません。爆笑する派で」

「いや、胡蝶は何も悪くない!」

「気にするな、胡蝶! 悪いのは全部鬼舞辻だ!」

「そうだよ! そ、それにしのぶちゃん、大丈夫よ!! お館様も爆笑する派だから! むしろ筆頭だから!!」

 

 いくら無惨を未だに何度殺しても飽き足らない程憎んでいる鬼殺隊でも、無惨が無関係なのに落とされる地獄は、本当に本当に無関係過ぎるものが多く、そして鬼灯のやらかしも自分たちに囮役を命じた時とは比べ物にならない本物の、悪意たっぷりな理不尽によるものなので、流石に「鬼灯様、それはちょっと……」と引いて、無惨に同情してしまう者の方が割合としては多い。

 初見では爆笑したが、何度か見返すと冷静になって来て鬼灯の理不尽っぷりに引いて無惨に同情する者もいるので、何度見ても爆笑しっぱなしはおそらく1割程度だろう。

 

 その数少ない1割であることをしのぶは理解して、自分の恨みと闇の深さにドン引きながら謝ったら、全員がいい人過ぎて即行でフォローを入れてくれた。

 だが、蜜璃のフォローで入れた蜜璃自身も含めて全員がゲンドウのポーズになる。

 

 言ってから気付いたらしい。自分たちが敬愛するお館様、産屋敷 耀哉は無惨が理不尽な目に遭えば遭うほど腹を抱えて爆笑し、ガチで笑い死にしたくらいに笑った爆笑する派筆頭どころか、過激派と言っていいレベルであることを。

 ちなみに、爆笑しすぎて死んだ人はお館様以外にもいる。珠世である。死んでも生き返るあの世で良かった。

 

 * * *

 

「あの……そういえばあの動画を見てて気になった所があったので、訊いていいですか?」

 

 敬愛しているお館様が楽しそうで何よりだと言い聞かせつつも、知れば知るほど笑えない闇の深さから目を逸らしたくて、しのぶは話を変える。

 他の者もこの話題は一刻も早く忘れたいのだろう。狛治は「どうぞ」と先に促し、蜜璃も伊黒も顔を上げて話を聞く体勢に入る。

 

「あの動画、小地獄から他の小地獄への移動はカットしてるけど、それ以外はほぼ編集なしでぶっ続けに撮ってる感じですよね?

 ということは、無惨の元鬼である他の亡者と地獄で再会とかはしてないんですか?」

 

 しのぶの疑問に蜜璃は「あ、そうだね。確かに」と納得し、同じ疑問を懐いて狛治を見る。

 

「あぁ。そうだな。再会してないというか、意図的に再会しないようにしている」

「なんでわざわざ?」

 

 そして狛治は「なんだ、その事か」と言わんばかりの顔で即答し、伊黒はさらにその理由を問うとこれまた困ったような、気まずそうな顔をして答える。

 

「周りが不快になるだけだって、わかりきっているからだ。

 反省してたり気の弱い亡者なら、無惨様が一方的に罵倒するだけだし、逆ならどっちもどっちな責任転嫁の罵り合いが始まるだけ。そのシーンは編集でカットするにしても、時間を無駄にして撮影する者がただただ不快になるのは最悪だろう? だから再会してしまわないように、なるべく刑場内の離れた所で呵責を行うか、複数の罪で他の小地獄にも堕獄している奴は、無惨様がそこで呵責されている間は、他の小地獄に落としてるんだよ」

 

 今度こそ全員が心から納得し、ついでに無惨の歪みない屑っぷりに心の底から呆れる。

 そして狛治の方も、この話題で思い出したのでついでに話題に上げた。

 

「俺の方もついでに訊きたいことがあるんだが、ちょっといいか?」

「? どうぞ」

 

 しのぶと同じく許可をもらってから、先ほどの話題で思い出し、意見を聞きたい話の前提の説明をまず始める。

 

「次、無惨様が巡る地獄は大叫喚地獄なんだ」

「あぁ、芥子ちゃんがいる所だよね」

「最近、芥子さんがトレーニングと芥子味噌の研究に気合いが入っているのは、その所為ですか……」

「……その動画、今までとは別の意味で見たくないな。もはや見る前から、したくもない同情をしそうになる」

 

 狛治の言葉に、蜜璃は生前ウサギを飼っていたこともあって親しくさせてもらっている、獄卒としての先輩の名を上げると、毛の生えた動物は苦手だが、彼女は瓜子姫の時と同じく会った瞬間にシンパシーを感じ、同じように親しく付き合っているしのぶが、遠い目でここ最近の芥子の様子を思い出す。

 そして伊黒も蜜璃経由で芥子とはそこそこ付き合いがある為、彼女と鬼灯の容赦なさはありありと想像がついてしまったので、正直な感想を零す。

 

「小芭内の感想には激しく同意するが、そこはひとまず横に置いといてくれ。

 で、大叫喚地獄は端的に言えば嘘つきが落ちる地獄で……、だから……そこにいるんだよ」

「誰が?」

 

 伊黒の感想に心の底から共感しているのがよくわかる顔で、狛治はその話題は関係ないと横に置いて、本題への前置きに入る。

 だが、それだけでは何のことだかわからないので、伊黒は即答で尋ね返す。

 

 狛治は、ゲンドウのポーズでその問いに答えた。

 

「………………半天狗」

 

 狛治は相手の本名を知っているが、他の者はまずわからないので鬼の頃の名前で伝えると、奴と直接戦った蜜璃はもちろん、他の者達も小声で「あいつかー……」と呟きながら、またしてもゲンドウのポーズ。

 

 無惨の鬼と純粋な鬼との一番の違いと言える、血鬼術という異能はその鬼固有の能力なので、同じ能力はまずないと言えるが、それでも強敵であればあるほど、今後の参考になればという意図で柱は柱合会議などで報告し、情報を共有する。

 もちろん上弦の肆であった半天狗は、ある意味では無限城での上弦たちより厄介、運がいくつも味方したからこそ撃破出来た相手なので、蜜璃はちゃんと報告した。

 

 なので伊黒もしのぶも、半天狗の「複数の分身を生み出して子鼠並みに小さい本体を守らせる」という血鬼術を把握している。

 そしてあの世に来て狛治と会い、血鬼術はその鬼が自覚も出来ず忘れ切っているのに手離せない、失えない人間として執着していたもの、その鬼の本質に近いものであることを知らされた事で、彼らは半天狗がどのような人物だったかを理解している。

 

 無惨並にひたすら自分は悪くない、周りが悪いと責任転嫁し続ける、卑屈で卑怯な大ウソつきであることを、面識がない伊黒としのぶでもはっきり確信している。

 

「……皆が想像している通りの人格で、あいつも未だに反省ゼロなんだよ。だから、無惨様とニアミスしたらもう、不愉快極まりないことしか起こらないのはわかり切ってるから、絶対に再会させたくないんだが……、あの動画って想像をいつも下回る無惨様の言動を売りにしてるから、どれくらいで終わるかとか予定立てて撮影してないし、しても絶対に無駄になる。

 で、半天狗の方も反省を全くしてない、隙あらば逃げ出そうとし続けてるから、こいつもこいつで予定通りに行動させるってことがし辛くて、よっぽど緻密な連携が取れてない限り、呵責する刑場の場所を離そうが、他の小地獄に行かせてようが、どっかでニアミスしかねないのをどうにか出来ないかって話を鬼灯様としてたんだが……、あぁ、うん。わかってた。一応、訊いてみただけだから気にしないでくれ」

 

 そこまで言われたら、狛治が何を訊きたかったかもうわかり切っているのだが、顔を上げた全員表情で狛治の方も察して、話をさっさと切り上げる。

 人に不快感しか与えないであろう元上司と部下の誰も望んでいない再会を阻止するのは、それくらいに難問だった。

 

 なので、狛治は苦笑しながら皆に気にするなと言ってから、それでもやはりいいアイディアが出なかったことを残念がって、溜息をついて呟く。

 

「……やっぱり、鬼灯様発案の童磨の孤地獄に一日放り込んでおくしかないのか」

「最適解、既に出てるだろうが」

 

 狛治の呟きに伊黒が鋭く突っ込み、しのぶが気まずげに「……お役に立てるようで何よりです」と微妙に頓珍漢なことを言うので、蜜璃と鏑丸が思わず吹き出す。

 

 今日はそんな平和な、地獄の午後。

 生前では考えられなかった、他愛ない日常の雑談会。





鬼滅キャラの日常回であり、ちょっとした説明回であり、そして実験回でもある今回。

初めは鬼灯原作の「一日体験獄卒」にこの4人を追加した原作沿い回にしようかと思ったけど、特に面白い変化がなかったのでやめて、けど事前にこういう打ちあわせしたんだろうなーという妄想を膨らませた結果がこれ。

そして初めは鬼灯様がずっといたけど、上演会で「別に鬼灯キャラがいなくても話が回りそうだな」と思って、実験的に鬼滅キャラだけにしてみたらマジで話が成立してしまった。
鬼滅……鬼灯と相性が良すぎてまさかの鬼灯側のキャラがいらんって、お前らドンだけキャラが濃いの?
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