「鬼滅の刃」世界のあの世が「鬼灯の冷徹」世界だったら   作:淵深 真夜

33 / 46

ネタというか微笑ましい程度ですが、割とがっつり鬼灯キャラ←鬼滅キャラの片思い恋愛描写があります。しかもコソコソ噂話に載せたようなモブ同士ではなく、主要キャラ。
苦手な方は申し訳ありませんので、気分を害する前にブラウザバッグ推奨です。
それでも読んでみたいと思ってくだされば、この上なく光栄です。ありがとうございます。



「あれが育てたら、悪人にはならなくても真人間には育たない」

 その日、本来なら胡蝶 しのぶは休みで当然、職場である閻魔庁に出向く予定などなかった。

 むしろ、たまには引きこもって趣味に没頭しようと考えていたくらいで、実際に前日は鬼灯から借りた現世のホラー映画を見て夜更かししていた。

 

 それでも真面目な性格と日ごろの習慣が根付いているからか、いつもの起床時間に起きてしまい、二度寝もせずあくびしながら居間へとやってきた。

 

「えぇ、大丈夫よ桃太郎君。すぐに向かうから。

 謝らなくていいのよ。悪いのは遊郭から帰ってこない白澤様だから。日輪刀もちゃんと持って行くから、安心して! え? いらない? あ、そっか。木刀ならお店に置いてあったもんね」

 

 居間では、同じく休みであった姉が電話をしていた。

 その内容から、どうやら納期が迫っている薬があるのに白澤が遊郭から帰ってこず、桃太郎がカナエに泣きついているようだ。

 姉はもちろん弟弟子を責めるようなことを言わず、いつも通りおっとり快く了承しつつ、元凶の白澤には同じテンションで容赦ない。

 

「大変ね、姉さん。手伝おうか?」

 

 眠気覚ましに最近嗜むようになったコーヒーを飲みながらしのぶが訊くと、カナエは微笑んで「大丈夫よ」と答えたが、ふと思いついたのかテーブルの上に載っていた小さな風呂敷包みを妹に手渡して、別の頼みごとを口にする。

 

「あ、それじゃあ悪いけどしのぶには、こっちをお願いしてもいいかしら?

 これ、閻魔庁の座敷童ちゃんに渡してほしいの。お店から出て行く時に、お詫びにお赤飯をご馳走するって約束してたから」

 

 自分から桃源郷での薬作りを手伝う提案をしたくらいなので、もちろんその程度の頼みは了承し、ついでに鬼灯から借りていたDVDを返却して、許可がもらえたら別の物を借りようと、地獄のNo,2をナチュラルにレンタルショップ扱いし、しのぶは休日に私事で職場に向かった。

 

 そこで道行く同僚に、「あれ? しのぶさん、今日は休みじゃなかったっけ?」と訊かれながら、鬼灯と座敷童の居場所を尋ねて、鬼灯の仕事部屋に向かって行き、彼女は見た。

 

「うあああぁぁぁっっん!! あたしの方が先に鬼灯と出会ったもおぉぉんっっ!!」

「「私たちの方がずっと鬼灯様と一緒にいる」」

 

 泣きわめきながら鬼灯の右足にしがみつく幼女の亡者と、無表情だが禍々しいオーラを放ちながら、鬼灯の背中や肩に登って相手を睨み付ける座敷童に挟まれて、途方にくれた顔をしている上司を。

 そんな鬼灯と目が合って、しのぶは困惑しきった顔でとりあえず言った。

 

「……も、モテますね。鬼灯様」

「このモテ方は、私がお巡りさん案件になりかねないので嫌なんですが」

 

 * * *

 

 鬼灯から至極真っ当な返答をされて、しのぶは曖昧に笑って誤魔化しながら、彼の足にしがみついて大泣きしている女の子をもう一度よく見てみた。

 

 座敷童と違って、見覚えのない子供だった。見覚えがないと言いきれた。

 何故ならその子は、顔を真っ赤にさせて涙どころか鼻水まで駄々洩れの大泣き状態なのに、それでも美しかった。

 年齢は座敷童と同じくらい、小さくて5歳、大きくても8歳程度の外見なのに、それでも彼女は可愛らしい、愛らしいではなく美しいと評すべき美貌であり、その泣き顔は幼女とは思えないぞっとするほどの色気さえあるので、一度でも見たことがあるのなら絶対に覚えている。

 

 しかし、もはや人外じみた美しさを持つ白髪の美幼女だというのに、泣きながら叫んでいるのが「あたしの方が鬼灯のこと好きだし、鬼灯もあたしのことが好きだもん!!」という趣旨の発言である。

 これだけ幼くとも間違いなく「女」であるという嫉妬による癇癪なのだが、それでもそのストレートすぎる感情の発露は微笑ましくて、可愛く思えた。

 それは、彼女はしゃくりあげながら泣きわめいているのだが、決してその嫉妬の対象である座敷童をバカにしたり、蔑むような発言をしていないというのも大きい。

 

「胡蝶? 今日は休みじゃなかったのか?」

「あぁ……申し訳ない、狛治。鬼灯様。この子に気を取られ過ぎて、気付けなかった」

 

 そんな風に、しのぶが驚愕から微笑ましいという感情を変化させていたら、実は同じ部屋にいたらしい狛治に驚かれながら訊かれ、そして同じく何故かいる悲鳴嶼が狛治と鬼灯に謝罪する。

 その謝罪内容が、どうも自分の来訪に気付けなかったことに対してであるとしのぶは察するが、それよりもまた更に気になる人物を見つけてしまう。

 

「おぉい、そろそろ落ち着けぇ。ほら、そんなに泣きわめいたら、べっぴんが台無しだろぉ」

 

 しのぶからは見えにくい悲鳴嶼の傍らに立っていたもう一人が、ひょこひょこと鬼灯に向かって行き、泣きじゃくる幼女に声を掛ける。

 その人物を目にして、思わずしのぶはギョッと目を見開いた。

 

 それは座敷童や号泣美幼女よりは年上っぽいが、それでも精々10歳くらいの男の子だった。

 それだけなら、「何で子供がこんなにいるの?」程度の疑問で、ギョッとなどしない。

 

 その少年は、あまりに醜かった。

 

 顔立ちそのものは、お世辞にも整っているとは言えないが、醜いは言い過ぎと思える程度。

 だが、彼の口からのぞく歯は並びがガタガタで良くない以上に、やすりのようにボロボロで色も黄ばんでいるので、しゃべるたびにその歯がちらちら見えて、知らず知らずのうちに悪い印象を根付かせる。

 それに加え、顔や体にいくつもの黒い痣かシミらしきものが広範囲にあるので、本来なら「中の下」程度であろう容姿が、「怖気がするほど醜い」と評される程、不気味な印象を与えてくる。

 

 だがもちろん、しのぶは相手の容姿が悪いなんて理由で、軽くとはいえ目を剥くほど驚きなどしない。

 彼女が驚いたのは、医療知識があったから。

 その知識が、この子供は妊娠中に母子感染したであろう先天性梅毒であることを告げていたから驚いたのだ。

 

 だが、子供は敏感にしのぶの視線と驚愕を拾い上げるが、彼女が驚いた真の理由は読み取ることが出来ず、今までずっと向けられ続けたものと同じだと判断し、下から睨み付けた。

 

「なぁに見てんだよ、綺麗なねぇちゃん。そんなに、醜い俺が気持ち悪いのかぁ?」

 

 自分の不躾な視線が、相手を傷つける大きな誤解を招いている事にしのぶは気付き、慌てて謝ろうとしたが、その前にコアラのように足まで搦めて鬼灯にしがみついていた幼女の方が顔を上げ、しのぶに言葉で噛みついてきた。

 

「! お兄ちゃんは気持ち悪くなんかないよ!

 何、あんた! ちょっと……だいぶ綺麗だからって、お兄ちゃんをバカにするな!」

 

 鬼灯から離れて今度は兄にしがみつき、キャンキャンと子犬のように幼女はしのぶに怒鳴りつけるのだが、そのお兄ちゃん大好きっぷりと何故かしのぶの美人さを妙な素直さで認めているのが、またなんか可愛らしくて面白いので、しのぶは誠実に謝りたいのに表情筋が緩んで真面目な顔が取り繕えない。

 

 そんなしのぶが余計に気に入らず、幼女は「何笑ってんのよ!!」とまた更に噛みつくので、悲鳴嶼が兄妹二人の肩を上から押さえつけるように手を置いて、幼女のマシンガントークに割り込んだ。

 

「梅、落ち着きなさい。彼女は医者のようなものだ。だから、妓夫太郎の病気に一目で気付いて驚いただけだ。

 妓夫太郎も、誤解するな。ちゃんとよく見ろ。彼女はお前を見て驚いただけで、嫌そうな顔などしなかっただろう?」

 

 悲鳴嶼の言葉に、幼女はまだ息を荒げているが怒鳴るのをやめ、少年の方は拗ねているようにもふてくされているようにも見える顔でそっぽ向きながら、それでも「……悪かったなぁ」と一応、いきなり喧嘩腰になったことには謝った。

 

「ううん。私の方が悪いの。嫌な思いさせてごめんなさい。

 ……あの、まぁ、この件は私が悪いでいいんですが……、それより悲鳴嶼さん。って言うか、鬼灯様」

 

 しのぶの方もようやく口を挟む隙間が出来たので、二人に視線を合わすようにその場に膝をついて、気味悪がっていない証拠のように兄の頭を撫でて詫びたのは良いが、すぐに彼女は視線を上げて、自分の恩人と上司に訊いた。

 

「……あの、この兄妹の名前、お兄ちゃんの方が凄く聞き覚えあるけど、私の心当たり通りならありえない姿をしてません?」

 

 しのぶの視線に、気まずそうに悲鳴嶼は目を逸らし、鬼灯は両肩に座敷童を乗せたまま、「さて、どうしますか?」と言わんばかりに軽く首を傾げる。

 そんな、ひたすら言いにくいことをどう説明しようか悩む悲鳴嶼と、余計なことを言いそうな鬼灯に代わり、なんかもう色々と諦めた狛治が一度溜息をついてから、しのぶの疑問に答えてくれた。

 

「……胡蝶。もうどうせいつかは話が耳に入るぐらいはしただろうから、改めて紹介する。

 その二人、兄の方は妓夫太郎。妹の方は、梅。……昔の名前は、堕姫。

 お前の心当たり通り、その二人の生前は無惨様の鬼であり、俺と同じ十二鬼月で、二人で上弦の陸だった奴らだよ」

「なるほど」

 

 狛治の紹介と説明に、しのぶは姉とよく似た笑顔を浮かべて立ち上がり、そして言った。

 

「詳しい説明を求めます」

 

 紹介はともかく、説明はされた方が訳が分からなかった

 特に二人が幼児化していること以上に、堕姫だった梅が鬼灯にかなり懐いているのが正直、滅茶苦茶しのぶが気になって仕方がないのは、カナエとは実の姉妹の証拠というべきか、血は争えないというべきか。

 

 * * *

 

 鬼灯の部屋に円陣になるように椅子を置いてそれぞれ座って、しのぶへの説明会が行われた。

 なお、座敷童は椅子を持ってきてくれたが、その椅子を置いたらしのぶからカナエの赤飯をもらってどこかへ行ってしまった。

 感情に乏しい彼女たちが珍しく、ムキになって梅と鬼灯を取り合っていたというのに、あっさり離れてしまうのは子供らしい気まぐれかつ、座敷童らしいドライさだろう。

 

「さて、そもそもしのぶさんはどこまで上弦の陸こと、この二人のことを知っていましたっけ?」

「柱合会議で宇髄さんと炭治郎君たちの戦いについては、それなりに細かく聞きましたが、この二人の人柄はほとんど聞いてませんよ。そんなの、宇髄さん達もほとんどわかってないでしょうし」

 

 鬼灯の確認の問いに対して、しのぶはほんの少しだけ嘘をついた。

 しかしこの嘘は閻魔大王にも咎められず、むしろ優しさとして評価される嘘だ。

 

 しのぶに限らず彼らと戦った当人以外が共用した情報なんて、彼らの血鬼術くらいであるのは本当だが、この兄弟の人柄を全く何も聞いていない訳ではない。

 梅こと堕姫は、美に執着した高慢で嫌な女の典型だったこと。兄の妓夫太郎は、卑屈で嫉妬深く、自分より恵まれていると感じた相手に八つ当たり的な言動をする、悪い意味で人間味が溢れていた程度には、宇髄からも炭治郎たちからも聞いていた。

 

 それを「聞いていない」という嘘をついて話さないのは、本人の前だからというのが第一ではあるが、普通にしのぶは今更だがその評価を疑問に思っているからでもある。

 

 少なくとも、しのぶが見た今さっきまでの梅と妓夫太郎は、普通の子供と言っていい言動しかとっていない。

 梅は癇癪持ちだが、その癇癪は見た目相応程度かつ実に可愛らしい理由で、しかも癇癪真っただ中でも座敷童やしのぶに暴言と言えるようなものは吐かなかった。

 妓夫太郎は卑屈ではあったが、彼が生まれる前から患ってしまった病からして、生前はもちろんあの世でも偏見に満ちた目で見られてきただろう。それならあの反応は自然で、悪いのは自分だとしのぶは譲らない。

 

 二人とも柱合会議で知った性格の片鱗こそはあるが、人間なら誰しも持っている欠点レベルであり、更に子供であることを含めたら、責める方が大人げなしの人でなしだ。

 なのでしのぶは、この時点では累と同じパターン。人間だった記憶を失い、悪い部分ばかりが肥大したのが鬼の頃の人格で、こちらが本来の人格だと解釈していた。

 

「まぁ、そうでしょうね。ならやっぱり、初めから話しますか。

 実はこの二人、狛治さんと並ぶというか、下手したら彼以上に堕獄させていいのかで悩んだ亡者だったんですよ」

 

 しのぶの嘘を察しているだろうが、鬼灯の方もそこは突っ込まずに大前提をまず話すのだが、しのぶは「は?」と声を上げて、しばし固まる。

 そんな彼女の反応に、狛治と悲鳴嶼は苦笑い。妓夫太郎の方も、何か困ったような途方に暮れているような顔をして、梅は話を聞いていないのか、まだ赤い目で頬を膨らませたまましのぶを睨み付けていた。

 

「そんな反応もなりますよね。けど、実際に彼らの裁判には本当に困りました。

 この二人、はっきり言いまして褒められるような行いを鬼の頃はもちろん、人間の頃もほとんど行っていません。ですが、そもそも彼らの環境があまりに悪い。真っ当な道徳が育つ訳がない、むしろそんなものを持っていたら、利用されて骨までしゃぶられるような苦界にいたんですよ」

 

 しのぶの呆気は予想通りだったので、鬼灯は彼女の再起動を待たずに話を進める。

 そしてしのぶは、鬼灯の話が進むにつれて呆気に取られていた顔がどんどん険しくなり、膝の上に置いていた手を強く強く、掌に自分の爪が食い込むほど強く握りしめた。

 

 梅毒に犯されていた貧しい、夜鷹かそれとさほど変わらぬ最下層の遊女である母から生まれ、父を知らず、母に愛されるどころか気味悪がられ、周囲からも利用されるか虐げられるかだった、ただお互いだけを頼りに生きてきた兄妹の話。

 

 酷い話だった。

 けれど当時の価値観などを考慮すると、さほど珍しくもない悲劇だ。

 

 彼らと同じような境遇の子供は、きっと数えきれないほどいただろう。

 彼らよりも悲惨な目に遭った者もいたはずだ。

 同じような境遇でも誰も恨まず、真っ直ぐに生きた者もいたかもしれない。

 

 けれどそれは、二人の悲劇や不幸を軽んじていい理由にはならない。

 

 時代によって出来ること出来ないことがあるのは当然で、価値観も違うのは仕方ない。当時の普通が、現代では陰惨悲惨というべき環境なのは珍しくない。

 だから、現代ほど優遇されて守られないのも、逆に加害者が不当なほど優遇されているように思えるのもしょうがないことだが、それでもこれだけはどの時代でも「仕方がないこと」と諦めて、「悪」であることを否定してはならない。

 

 生まれてきた子供を、醜いから、気味が悪い髪色だからなんて理由で殺そうとすることも。

 まったく世話をしないで、ただ痛めつけたことも。

 善悪ではなく、ただ自分たちにとって都合のいいことだけを教えてやらせた挙句に、それが一転して都合悪いものになったら責めたて、奪い、殺そうとすることを、少なくともあの世はいつの時代であっても許さない。

 

「悪」と断じ続けてきた。

 

 だからしのぶだけではなく、狛治も悲鳴嶼も同じように、自分の掌から血がにじみ出る程に強く握りしめていたのだが、当の本人たちはどちらもしらっとした顔で鬼灯の話を聞き流していた。

 それを救いと取るべきか、それとも嘆くべきなのかは、しのぶにはわからなかった。

 

「こういった事情から、この二人が真っ当な道徳や倫理観を求める方が残酷だと十王は初めから判断して、裁判を行っていたんですが……、ここで問題なのは二人とも、ああいう経緯で鬼になったので、人間不信が酷くて、十王や亡者の獄卒への反抗が酷すぎました。

 ……そしてまた更にややこしいのは、二人とも、鬼に対してはわりと素直だったんですよ。

 基本的に自分たちがしてきたことを反省してない、する気なしなのに、鬼の指示には割と素直に従って、反論して納得しませんでしたが、鬼からの話なら十王と同じ内容でも聞く耳を持ったので、情状酌量や更生の余地があるのかないのかサッパリだったんですよ」

 

 自分たちの人間だった頃の過去に関しては他人事のように流していたが、死後の話となると彼らにとっては割と最近に思えるのか、兄妹は全く似てない顔立ちなのに、よく似ていると思わせる表情で拗ねたようにそっぽ向く。

 

 前半は痛ましい理由だったが、後半の「鬼には素直」という情報は、現在の二人の行動と相まって微笑ましく思え、しのぶの表情が苦笑ではあるが少し緩んだ。

 

「なるほど。確かにそれは、どんな判決にしたらいいかわからない裁判になりますね。

 けれど、今を見る限りこの子達は人に対してそんな悪感情を懐いているようには見えませんが、結局どういった判決になったんですか?」

 

 苦笑しながら、最初の呆気にとられた情報に関しては納得できたが、それ以外の謎が深まった。

 特に、二人の性格は鬼の頃と人間の頃とでさほど変わっていなかったことが判明すれば、今の良い子とはまだ言えないが、苦笑いで済ますことができる程度の悪ガキぐらいに更生しているのが気になりすぎる。

 あと、二人が子供になっている理由も未だ明かされていないので、しのぶは話を進める為に尋ねた。

 

「そこは逆ですね。判決の結果、更生したのではなく、あるきっかけで人への不信が和らいだおかげで、十王たちは彼らには情状酌量と更生の余地ありと判断したからこその現在です」

「きっかけ?」

 

 しのぶの疑問は前提条件がそもそも間違っていたので、鬼灯がまずそこを正す。

 修正された情報を、小首を傾げてしのぶがオウム返しすれば、答えたのはそっぽ向いていた梅だった。

 彼女はふてくれた顔をして、ボソリと呟くように言った。

 

「……鬼灯があたしを。お兄ちゃんはあの女が助けてくれたの」

「あの女? 助けた?」

 

 しかし梅の答えは、しのぶの疑問の数を増やしただけだった。

 その情報でわかることは、梅が泣きじゃくってしがみつくほどに、鬼灯に懐いていた訳だ。そこが正直言って一番気になっていた所だが、そもそも「助ける」とはどのような状況だったのかが、しのぶにはさっぱりだ。

 

 なので更なる説明を求めるように、他の者に視線をやると、いつの間にか悲鳴嶼が静かに号泣しており、久々の光景にしのぶは相手が恩人であることを忘れて本気で引いた。

 狛治はそんな悲鳴嶼に、自分とは逆に慣れた様子で手ぬぐいを無言かつ、奇妙なほど硬質な無表情で渡しており、子供二人はというと、率直に「うぜぇな」と言わんばかりの顔だった。口には出さないだけ、偉いかもしれない。

 

 そして鬼灯も悲鳴嶼の奇行はいつものことかつ、彼なら泣いて当然の話だと分かっていたので、無視して話を進める。

 

「これは私達あの世側の失態なので、助けたという認識はないんですが……。

 宋帝庁から五官庁への死出の旅の道中に、漢さんのジャブを食らっても反省皆無な亡者がいたんですよ。で、その亡者と文句は言いつつも二人で協力し合い、五官庁へ向かっていたこの兄妹がかち合ってしまい……」

 

 漢のジャブで反省皆無という時点で察したしのぶは、目を見開いて唇を強く噛みしめた。そうしていないと、口汚い罵倒がとめどなく溢れ出そうだったから。

 狛治のやたらと「作った」無表情は、悲鳴嶼に対して何らかの感情を隠していたのではなく、しのぶと同じものを我慢していたからだということも、理解できた。

 

 そして梅は当時のことを鮮明に思い出したのか、やや顔色を悪くして隣の兄に座ったまましがみつき、妓夫太郎は妹を宥めるように背中をポンポン軽く叩きながら、ボソボソと鬼灯の話に補足を加える。

 

「……人間の頃から、腕っぷしに自信はあったがなぁ。相手がそこの岩坊主ほどじゃあねぇけど、俺よりずっと体格がいい奴で……、しかも俺は鬼の頃の戦い方に慣れ切ってたからぁ……、ぶん殴られて、梅を奪われたんだ……」

 

 死出の旅の道にも獄卒が見張り、試練としての仕掛けの調整などはもちろん行われているが、地獄の刑場でも監視の目が行きとどいているとは言えない人手不足なので、当然こちらもどこかしら隙や死角は存在する。

 その死角を脳みそ下半身な性犯罪者は突き、妓夫太郎から梅を奪い、下劣や下種という表現でも上等な行為に及ぼうとしたのだろう。

 

 しのぶも、「カナヲや蝶屋敷の子達を悲しませた」という罰の一環で死出の旅は経験した為、逃げることや罪の隠蔽といった後先を考えなければ、それは可能なことだと理解できた。

 

 そんな最悪の状況を救ったのは、仕事の都合で宋帝庁に朧車(タクシー)で向かい、その付近上空にいた鬼灯と……、加害者の男同様たまたまそこに、同じペースで死出の旅を行っていた、二人とは縁もゆかりもない、完全に赤の他人だった女だと妓夫太郎は淡々と語る。

 

 その女が、泣き叫ぶ梅を何とか取り戻そうともがく妓夫太郎と、彼を蹴り飛ばそうとしていた男の間に飛び込み、妓夫太郎を庇いながら大声を上げて助けを求めた。

 その声に気付いた鬼灯が、朧車に指示を飛ばして現場に向かい、飛び降りて男を処理(物理)した。

 ……鬼灯が来るまで、その女は男に何度蹴られようが、妓夫太郎を庇い、そして梅を逃がそうと彼女を担ぎ上げていた男の腕に飛びつき、噛みつき、ひっかいた。

 

 だから、妓夫太郎の怪我は最小限で、梅は着物もほとんど乱されていない無傷で済んだ。

 最悪の展開が一転して最善の結果を迎えた訳だが、ことが終わってある程度の時間がたっても、妓夫太郎と梅は状況が理解できなかった。

 

 人間不信であることを抜いても、彼らにはできなかったのだ。

 見知らぬ他人が、血みどろになりながらも自分たちを守ってくれたことが。

 

 しのぶも、彼らほどではないがその女性に対し「善人過ぎない?」と思い、理解が追い付いてなかったが、妓夫太郎にしがみつきながら梅が呟くように加えた、彼女の特徴で全てを察することができた。

 

「…………あの女、鼻がなかったの」

 

 鼻に膿が溜まり、壊死して捥げ取れる。

 重度の梅毒患者に見られる特徴だ。吉原に潜伏していた二人なら、おそらくは見慣れたものだったはず。

 

 だからこそ、信じられず、理解できないものだった。

 そんな状態になった者に、他人を助ける余裕などあるはずないことを二人はよく知っていたから。

 そんな状態になった者は、自分にその病を移した者、治してくれなかった者、健康な者を妬み、逆恨みし続けるものだと思っていたから。

 

「……あの女は、全然綺麗じゃなかった。気持ち悪いくらいだった」

 

 自分たちが見下し続けていた存在に、助けられ、そして自分たちが無事だったことを笑って喜ぶ人間など、いなかった。

 

「……でも――――」

 

 だから、信じられなかった。

 

 だから、信じたいと思えた。

 

「あの人が母親だったら良かったのにって……思ったわ」

 

 * * *

 

 女性がどうして身を挺にして兄妹を助けたのか、明確な理由を誰も話はしなかった。

 だがしのぶは後日、鬼灯からその女性は嫉妬深く陰険な遊女で、何人ものライバルを貶め、後輩遊女を自殺に追い込むほどイビリ倒した、良くて餓鬼道、悪いと等活の多苦処堕ちだったことを教えてもらった。

 

 決して生前から、犯罪を見逃せない善人ではなかった。むしろ環境の所為というもあるが、悪人よりの人間だった。

 

 だが……それでも彼女が二人を庇ったのは、助けた事実は変わらない。

 

 きっと彼女は良心とかそういった善性のものではなく、ただの自己満足で行っただけ。

 そう、例えば先天性とはいえ自分と同じ病を患っている妓夫太郎に、誰かの面影を見たとか。

 だから、生前の彼女なら嫉妬の対象でもおかしくない梅も、妓夫太郎を「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と呼び慕って離れなかったから、助けようと思ったのかもしれない。

 

 助けたいと、思ったのだろう。

 助けられなかった、その腕から取りこぼした「誰か」の代わりに。

 

 その行いは彼女を地獄落ちから、簡易地獄を経ての転生という恩赦を与えられると同時に、兄妹の未来も救い上げた。

 

獄卒(わたしたち)にとっては、恥ずべき事件ですが、このおかげで二人は人間も信じてみようかと思うきっかけとなり、それ以降の裁判の態度はマシになりました。

 それでも反省はやはりしてないというか、二人にとっては本心から何が悪いのかがわからなかった、自分たちが悪いのなら、他のものはどうなんだ? という心境だったんでしょう。

 そこら辺の言い分は、割と正当です。鬼になってからも、吉原というか遊郭という、非常に狭くて偏った世界に居続けたのですから、修正が効かなかったのは本人たちのみの非ではない。

 

 なので、出された判決は執行猶予というか保護観察で、賽の河原行き。

 そこから徐々に常識や道徳を身につけてゆき、真人間と言えるようになったら転生。それが出来ずまた新たな罪を犯したら、生前すべての罪を含めて、それに見合った地獄へ堕ちるというものになりました」

 

 ようやく、二人に下された判決内容が明らかになり、しのぶは納得する。

 確かにこれは、狛治よりも「地獄に堕としていいのかこいつ」案件だ。

 

 狛治は自ら贖罪を求めていたので、ある意味話は早かったのだが、この二人の場合は無罪に出来る訳がない程の犠牲を出し、その理由も身勝手極まりない。

 だが、そもそも環境が悪くて認知が歪んでいるのだから、一概にすべて二人の自己責任という方が無責任だろう。

 

 賽の河原に送られるのは子供だけだが、「環境や周囲の所為で、年齢相応の情緒が育たなかった者」は、例外的にその精神年齢に見合った姿にまで若返らせて、賽の河原送りにすることが稀にあることを、悲鳴嶼が本当にそこの獄卒で業務が出来るか心配して、結構詳しく調べた過去があるしのぶは知っていた。

 だからその例外扱いで、彼らはこの姿なんだと己に言い聞かせた。

 

 優しさなんかではない。正真正銘、自分が胸糞の悪いものを見たくないという、身勝手な理由でしのぶはある可能性から目を逸らす。

 ……無惨の鬼、特に上弦レベルなら姿をかなり自由に変えられること。そして鬼灯は、彼らの人間の頃の年齢を決して言わなかったこと。

 この兄妹の姿は、「精神年齢に見合った姿」ではなく、本当に「人間としての享年」の姿である可能性から、しのぶは逃げた。

 

「それで……この子達がここにいるということは、賽の河原での修業はもう終わりということでしょうか?」

「一応はそうなるな。ただ、この子らは累とは違い、偏って歪んでいるとは言え『大人』として人と関わり、人として過ごしてきた期間が長いからこそ、子供と同程度の常識や道徳を得ただけでは、『真人間として更生』したとはまだみなされない。実際、彼らの言動は子供だから微笑ましいが、大人なら非常識極まりない。

 だから、今度は出来れば『一般家庭』に近い環境で、学校などに通って交友関係を育み、徐々に大人としての責任感などを学んでもらうはずなんだが……」

 

 しのぶの逃避に、当事者以外はきっと気付いていた。しかしはっきりとした答えを出すことを誰も望んでいなかったから、彼女の確認の問いに、涙を止めた悲鳴嶼が隣の妓夫太郎の頭を撫でつつ答える。

 が、最後の方は何も言えず空いている片手で頭を抱えてしまった。

 

「……言っとくけど、俺らの所為じゃねーだろぉ」

「そーよ! 樒に言ったこと、あたし謝らないわよ! 本当のことだもん!!」

「いや、確かにあれは樒さんが全面的に悪いが、言い方ってもんを考えろ。梅も怒鳴りつけられるより、優しく言ってもらえた方が、素直に謝れるだろう?」

 

 妓夫太郎は悲鳴嶼の手を頭からどけながら、鬱陶しそうに彼の苦悩の原因は自分らではないと言い、梅も自分は悪くないと主張する。

 そして狛治も、梅の主張をやんわりと叱責するが、彼でもどうやら梅が樒に言った内容自体は責めないらしい。

 そんな彼らの反応に、またしのぶが困惑。樒の人柄を知っているからこそ、なおさらに「樒が全面的に悪い」事をするとは思えなかった。相手が子供なら、なおさらに。

 

 しのぶの頭部に、?マークの幻が見える程あからさまな困惑だったからか、鬼灯はさすがにもうほぼ真面目な話は終わっているのもあって、やや姿勢を崩して片手で頬杖をついて、その疑問に答えてくれた。

 

「彼らは賽の河原で100年……、これは彼らが更生するまでかかった年月ではなく、累さんと同じく仮に最初から反省していても、犠牲が多すぎるから負うべきペナルティなんですが、まぁそれを終えた後は保護監督の獄卒の家に居候して、賽の河原で学べなかったものを学ぶはずだったんですが……、今、絶賛その保護監督役と居候する家探しが難航しているんですよ。

 

 まず最初は平等王の補佐官、弟切さんが候補でした。彼は子だくさんですから、正直今更一人二人増えた所で負担はそう変わりませんし、家族が多いからこそ学べるものも多いと思ったんですが……土下座で『勘弁してください!』と断られましたよ」

 

 しかし樒に梅が何を言ったか、そもそも樒が何をやらかしたの前に、語るべき情報をまず語る。

 そしてその情報は、初っ端からカオスだった。

 

「……一応、弟切さんは二人の世話や保護監督自体は全く不満なんかない、むしろ受けてやりたいと言ってくれたんだがな……、『もう未申(ひでのぶ)で子供は打ち止めだと公言してるのに、後になってまた子供が増えたら、私の隠し子と思われる! それだけなら私の自業自得なので構わないが……ご近所のママさんが、「迷惑はかけないから私も!!」と言ってくるかもしれないから勘弁してください!』と、土下座で懇願されたんだよ……」

「……それは……断って当然の自衛ですね」

 

 これまた弟切がどういった人物かもしのぶは知っているので、全面的に悪い樒と同じくらい、土下座する程に彼らの保護者を嫌がるのが意外過ぎたが、狛治の非常に遠い目をしながらな補足で、しのぶも同じ目になって納得。

 台詞だけ見れば自意識過剰で気持ち悪い発言だが、彼の顔と腹違いの兄弟31人という実績からして、それは想定して当然の危険性だと理解できるのがまた嫌だ。

 

「二人目は禊萩さんだったんだが……、試しで数日一緒に暮らしてもらって、当初は特に問題なく良好だったんだが……、二人が禊萩さんに『どうしてモテないの?』『モテるコツ教えてやる』と、悪意ゼロ、むしろ気に入って好きになったからこその善意でそういうことを言いまくって、禊萩さんがダウンした」

「……それはさすがに善意でも、叱るべきなんじゃ……」

「「だって猫・漢ちゃんが『禊萩にモテる極意を教えてやれ』って言った!」」

(漢さーーんっっ!!)

 

 そしてそのまま、遠い目も続行させて狛治が二人目について語り、しのぶはコメントに困りながら何とか発言を絞り出したが、兄妹の揃って主張する元凶に頭を抱えた。マジでこれ、誰も悪くないからこそ禊萩が一番可哀そう。

 

「その後も、地獄大夫さんだと1日どころか1時間で、『何言ってるかわからない! 話が通じない!』と、梅さんどころか妓夫太郎さんもマジ泣きするわ、天の御柱様は裁判時の虫がトラウマで、名前を聞いただけで『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』としか言えなくなるわ、輝哉さんはリラックスさせるためにと思って見せようとしたアニメのDVDと、布教用に焼いていた無惨の地獄めぐり動画を間違えて再生させてドン引かれるわといった感じで、保護監督役と住む家が全く見つからないんですよ。

 あ、ちなみに篁さんも保護監督に立候補してくれましたが、こちらで却下しました。あれが育てたら、悪人にはならなくても真人間には育たない」

 

 鬼灯が困っているのか面白がっているのか全くわからないローテンションで、まさかの兄妹は悪くない、むしろ獄卒側に非がある問題で監督役が見つからない実情を語り、もうしのぶは何も言えない。特にお館様のやらかしに関しては、二人に土下座したくなった。

 

 しのぶの方でも、「他に誰か……誰かまともな人!!」と保護監督に向きそうな同僚を脳内検索する。

 そこで実は検索するまでもなく目の前にいた人物を思い出すが、それは口にする前に打ち砕かれた。

 

「……狛治が保護監督という話もでたんだがな……」

『あたし・俺・他人(ひと)のことより、自分の子供をまず作れ』

「余計な世話だ!! っていうか、鬼灯様まで何言ってんですか!!」

 

 その自分で思いついた相手の名を悲鳴嶼が上げ、思いついた瞬間に自分でも突っ込んだことを、保護される当人たちだけではなく鬼灯からも突っ込まれた狛治は、椅子から立ち上がって真っ赤な顔でちょっとキレた。

 兄妹はともかく、鬼灯は全力でセクハラ案件だが……、病気や宗教、または経済的な事情で「子供をつくらない」もしくは「つくれない」なら、余計なお世話すぎる下種発言だが、「恥ずかしいから」で一世紀も白い結婚続けている相手には、もう言っていいと思う。

 

「なんというか……とりあえずお館様が本当にごめんなさいだけど、話を聞けば聞く程、樒さんしか適役はいないと思うんですが、一体樒さんは何をしたんですか?」

 

 とりあえず土下座はしなかったが謝って、しのぶは未だ解消されていない、むしろ深まる疑問を口にする。

 本人が言った通り、考えれば考える程に樒が保護観察役に相応しい。

 見た目通り母性愛の塊でありながら、現場から叩き上げの獄卒だからこそ、彼らが試し行為的な悪戯をしても、それらを受け止める度量と同時に、厳しく叱りつけることもできる鬼女(ひと)なので、彼女が全面的に悪いことなどするとは思えない。

 

「あー……正直、俺は樒さんとこ気に入ってたけど、梅がなぁ……」

「あ、あたしだって樒のこと、嫌いじゃないわよ! 怒ったら怖いけど、あたしのことをいつも可愛いって言ってくれるし、お兄ちゃんのこともすごく大事にしてくれたし、ご飯も美味しかったし、樒のこともお母さんだったらいいなって思ってるよ!

 でも……でも……!」

 

 実際、やはりお試し期間でしばらく暮らして、関係は良好だったようだ。

 そして妓夫太郎の方には不満がなく、梅の方が樒と何か問題があったらしい。

 だが梅も、樒のことを嫌っていたとは思われたくないのか、慕っていたのがよくわかる弁明をする。

 同時に、そこまで慕っていても許容できなかった、暴言を思わず吐いてしまった樒の唯一にして最大の欠点を、我慢しようと思ったがやっぱり我慢しきれず、本人に言い放った時と同じように叫んだ。

 

「樒のご飯が美味しすぎるのが悪い! そんでもって食べ過ぎを叱らない、お腹がすいたら間食も夜食も全部許して満腹まで食べさせる樒はもっと悪い!!

 あんた含めて養豚してんじゃないわよ!!」

「暴言が正論すぎる!!」

 

 梅の美意識高いソウルシャウトで、しのぶの疑問は完全氷解する。

 梅の言う通り、樒は保護者として、母親として優しさも厳しさも備え合わさった理想形だが、唯一にして最大の欠点は、彼女は食に関しては自他共に甘いところ。

 

 美味しいものが好きだから料理好きになったタイプなので、樒は好き嫌いに関しては厳しいが、カロリー制限などダイエットに関しては激甘、魔の優しさでダメになるしダメにするタイプでもある。

 なので確かにこれは、梅も言い過ぎではあるが発言内容そのものは責められないし、樒が全面的に悪かった。

 

 * * *

 

 最大の謎が解けた所で難題にぶち当たり、しのぶは再び頭を抱える。

 樒がダメなら後は悲鳴嶼くらいしか適任がいないのだが、この保護監督探しは彼らの視野を広げる為、環境を変えるという意味合いが強い。

 

 遊郭ほどではないが、賽の河原に居続けてもやはり「偏った世界」しか知らないことになり、そこだけで常識や道徳を育んでもやはり「真人間」とは言えないだろう。

 そこらは学校に通えば解決するかもしれないが、賽の河原にいる他の子供達からしたら、自分達より自由が許される二人を、羨ましく思うかもしれないのもまた、二人をこれ以上賽の河原に置いておけない理由の一つ。

 

「もう本当に全然見つからないので、いっそのこと座敷童さんみたいに閻魔庁に住んでもらい、獄卒全体が保護監督ということにしようかとも思ったんですが……」

「やだ! あの二人キライ!! 鬼灯とるからキライ! 鬼灯とずっと一緒って自慢してくるからキライ!! やだ! やだ!!

 うわああああぁぁぁぁん! 何で鬼灯、あたしと結婚してくれないのー!!」

「……あなたが大人顔負けの色気を持つ美幼女だからこそ、軽口でも言えませんよ。言ったら即、鴉天狗警察のお世話になってしまう」

 

 鬼灯の大ざっぱだが、「視野を広げる」という点では良い案かもしれないことを語るのだが、梅が「座敷童」に反応してまた泣き出して、鬼灯に再び縋りつく。

 どうやら友達になれるかもと期待して会わせた所、久しぶりに大好きな鬼灯に会えると期待していた梅にとって、鬼灯と親子のように自然体で寄り添う座敷童たちを目の当たりにしたのが、相当ショックだったらしい。

 その結果がしのぶの見た光景であり、現在だ。

 

 ちなみに宇髄たちの報告時点から、相当なシスコンだったと聞いていた妓夫太郎だが、妹が鬼灯にぞっこんであることに不満は特にないらしい。

 相手が妹を救った恩人かつ、元々人間より信頼していた鬼なのと、梅が絶世の美人であることを認めつつ、幼女だからという常識的判断で振っているからも大きいだろう。

 

 きっと、鬼だった頃、そして人間として生きていた頃なら、妓夫太郎は鬼灯を妬み、恨んで、何かを取り立てていただろう。

 自分から妹を奪う存在だと思っていた。そのくせ、梅の相手をしないのなら妹を侮辱したと思って、怒り狂っていた。

 

 そんな被害妄想と言えるほどの嫉妬心が、今はない。

 それは、あの鼻欠けの女のおかげか。それとも悲鳴嶼や他の獄卒達、そして賽の河原の子供達によって育まれたものゆえか。

 それは、しのぶにはわからない。

 

 しのぶは、彼らに会ったことがなかったから。

 

「……なぁ、鬼灯さんよぉ。俺らの暮らす家って、俺らがバラバラならまだ見つけることができるもんなのかぁ?

 あの蛇の姐さんは、寮ってとこで暮らしてるから、梅だけならいいけど俺が無理だって話だったろぅ? なら、俺は衆合地獄の遊郭かどっかで奉公に出るから、梅はその姐さんに任せたらいいんじゃねぇか?」

 

 妓夫太郎にとって、その提案は困り果てている鬼灯たちの為ではなく、全て妹の為だった。

 妹が嫌う、ライバル視している座敷童と暮らさず、けれどなるべく鬼灯の側にいさせてやって、そして女性としての理想形に近いお香が育てたら、きっと妹はいい方向に向かう。真人間に、善良と断言される女性に成長すると思ったから、彼は最愛にして唯一の家族と離れることも選択肢に入れて提案した。

 

「!? やだ! それ、もっとヤダ!! お兄ちゃんと離れない! 別々に暮らすなんてヤダ!!

 お兄ちゃんが奉公に出るなら、あたしもそこで働く!! 遊女でもしゅーごーの囮役でも何でもやるから、置いてかないでええぇぇぇっっ!!」

「それじゃあ生前と同じで意味がないだろう……」

 

 しかし、兄の身を切るような思いでの提案は、梅が更に大泣きして拒絶。

 またコアラ状態になっていたのに、兄が自分から離れようとしていると理解した瞬間、すぐに鬼灯から離れて妓夫太郎にしがみつき、ぎゃんぎゃん泣きながら一緒が良いと訴える。

 

 梅の号泣懇願に、彼女に激弱な妓夫太郎はもちろんタジタジで、「会えなくなるわけじゃないんだから、我慢しろ」と説得することは出来ない。

 悲鳴嶼も同じく、兄の自己犠牲的な愛情も、妹のワガママだが自分も苦労を背負う覚悟を決めた願いを尊いと思うと同時に、兄妹の悲惨だがそれしか生き方を知らないからこそ、今でも浮かぶ選択肢は「遊郭で働く」であることが痛ましく、感情の振れ幅が酷くてほとんど何も言えない。

 まぁ、どちらにせよ彼の涙腺を崩壊させるには十分すぎたので、いつも通り悲鳴嶼は梅を宥めながらダバダバ涙を流し、兄妹に引かれていた。

 

 そして鬼灯は「衆合の囮役、言質ということで内定させてもいいですかね?」と、人材ハンターの目を輝かせて狛治に言うので、狛治から貼り付けたような笑顔で「鴉天狗警察に通報しますよ?」と言われていた。

 この鬼、美幼女の告白には不器用だが常識と良識を兼ねた返答をしているのに、人材になるとそのどちらも吹っ飛ぶらしい。知ってた。

 

 なので鬼灯への突っ込みは、もはや相方の狛治に任せ、そして悲鳴嶼に関してはそろそろ昔の勘を取り戻したので昔通りスルーして、椅子から立ち上がったしのぶは兄妹に告げた。

 

 

 

「ねぇ、私の家は嫌かしら?」

 

 

 

 しのぶの提案に、悲鳴嶼も狛治も、鬼灯さえも言葉を失った。

 兄妹も、ポカンとしている。

 誰も、彼女が自分でそんな提案をしてくるとは思ってなったのだろう。

 

 当然だ。

 

 獄卒の三人はもちろん、二人だって知っている。

 先ほど、自分たちの過去を鬼灯が話していた時、しのぶがあからさまに反応していたから二人も気づき、そして鬼灯が二人の過去と同じくらい淡々と、端的に告げていたから。

 

 絶望の淵どころかどん底に叩き落されていた二人救った、記憶を失っても、数多の犠牲を出しても、それでも間違いなく救われていた日々をくれた、二人にとっての「恩人」は……、しのぶを絶望させて憎悪に心を染め上げた、姉の仇だったことを知っているから。

 

 だから、しのぶは恩人のいる部署ということでたまに賽の河原に顔を出し、業務を手伝っていたというのに、二人の存在を知らなかった。

 礼儀正しく、アポはちゃんと取る性格だからこそ、隠し通すことができた。

 

 その気遣いには、感謝している。

 きっとこのタイミングでなければしのぶは、この提案をしなかった。

 憎みこそはしなかっただろうが、それでも関わりたいとは思えなかった。関われば嫌なことを思い出して、八つ当たりしてしまいそうなのが怖いからこそ、二人の為にも関わらないという選択を取っていただろう。

 

 けれど、今は──

 

「……何、考えてるんだぁ?」

「……あたし達、童磨のこと今はどうでもいいし、正直昔から嫌いだったけど、流石に拷問の手伝いとかする気はないわよ」

 

 兄妹から童磨関連で何か企み、それに自分たちが利用されると思われ、しのぶは自嘲の苦笑をしたいやら、「あんだけ恩を売っといて、どうでもいいし嫌いって言われる、あいつって一体……」と呆れるやら複雑な感情を懐きつつ、二人に目線を会わせるようにその場にしゃがみこむ。

 

「そんなことはさせないわ。

 そりゃ、私は確かに未だあいつのことは憎いし、気色悪いし、仮に反省して改心しても許せる自信はないというか、もっと気色悪いとしか思えないけど……、それでも、流石にこれだけは認めなくっちゃって思ったの」

 

 梅のボロクソ加減を非難出来ないしのぶの童磨評だが、それでも彼女は一つだけ認める。

 二人の生前の環境は、理不尽と不条理のあまりに惨い地獄だった。その残酷さを直視することからは逃げたが、これだけはもう逃げない。向き合うと決めたものを口にする。

 

「あいつは、間違いなくあなた達を救った……。そして私は、私の家族を殺したのが鬼ではなく強盗とかで、助けに来たのが悲鳴嶼さんじゃなくてあいつだったら……、あいつに縋りついてたと思う。家族が鬼になっても生き返ってくれたのなら、私はあいつに感謝して崇拝してたかもしれない。

 ……あなた達と同じ間違いを犯し、あなた達と同じくらいの罪を重ね、そして反省することが出来なかったかもしれない。

 

 そう考えたらね、放っておけなくなったの。

 たまたま人間と鬼の役割が逆だっただけで、私とあなた達の立場がこんなに違うのは、申し訳なく思ったの。

 ……私は今、すごく幸せだから、その幸せをあなた達にもあげたいって思ってる。……兄妹がバラバラで暮らすなんてして欲しくない、遊郭で働くにしても、学校に通って卒業してから、多くの選択肢の中で自分の意思で選んで欲しいから……どうか、うちの子になってくれませんか?」

 

 生前は、向き合えなかった。

 珠世との交流で彼女を「人」と認めたが、それは向き合ったというより諦めに近いものだった。

 

 向き合えなかった。

 自分が姉の理想を、夢を引き継ごうと誓ったくせに、鬼のことを信じられず、姉が信じていた存在そのものであった禰豆子を殺そうとした、自分の醜さから逃げ続けていた。

 

 あの直前、身勝手で嘘つきな鬼と対峙していたなんて言い訳に過ぎない。

 彼女に言ったことは、贖罪としての行為の提案などではなく、憎悪による八つ当たりに過ぎなかったし、今になって思えば彼女だって鬼になって人格が歪んでいただけで、人間としての彼女は善良ではなくとも普通の人間だったかもしれない。

 

 それなのに、しのぶは鬼の存在そのものを邪悪だと、生かす価値などない害悪そのものだと信じて疑わなかった。

 彼らは元が人間だということを、ほとんどが無惨の被害者であることを知っていたのに、「苦しまずに殺して、鬼という存在から解放してやろう」とすら思わず、「苦しんで死ね!!」とさえも思っていた。

 毒を使っていたのは非力だからで、相手を苦しませる余裕を持つ実力などないからこそ、毒作りにそのような他意はなかったが、あったらそういう意図を持って作っていたかもしれない。

 

 そんな自分の醜さを、自覚したから。自覚させられたから。

 

 自分達の恩人が、しのぶにとっての仇だと知った兄妹の、あまりに悲しげな二人の瞳によって突き付けられ、自覚する。

 二人はカナエの死を、自分たちと重ね合わせて傷つき、悲しみ、恩人を許せないと思ってくれたのに、しのぶは童磨の名が出た瞬間に二人のことを忘れ、自分の恨みを再燃させていた。

 

 成長していないのは自分の方だと思い知ったから。

 

 だから、保護監督なんてほとんど名目だけだ。

 幸せだからこそ、自分の間違いから逃げ続けた事への償いがしたいだけ。

 そして、自分の鏡像だったかもしれない二人を幸せにしてやりたかっただけの提案。

 

 そんな、結局はしのぶの身勝手な自己満足にすぎない提案に、二人は目を丸くしつつもしばし考え、そして同時に言った。

 

「「梅・お兄ちゃんを守ってくれる・のかぁ?」」

 

 互いに、最優先で「守って」と望んだのは相手のことだった。

 しのぶはその問いに、まばゆいものを見るような笑顔で即答した。

 

「もちろん。だって私は、あなた達のお姉ちゃんなんだから」

 

 どちらを優先して守るかなんてない。どちらも同じくらい、全力で守る。

 それが、姉としての矜持だとしのぶは笑って答えた。

 

 姉と同じ答えを、姉に似ているが姉の真似ではない、間違いなくしのぶ自身の笑顔で。

 

 

 

 * * *

 

 

 

「えっと、勝手に言い出してしまいましたが、いいでしょうか鬼灯様?」

「私よりご家族に許可を求めるべきでしょう。こちらとしてはむしろ助かります」

 

 しのぶが気まずそうに事後承諾を得ようとしたら、鬼灯はさっさと必要書類の準備を狛治に命じていた。

 

「うちは大丈夫ですよ。なんせ、座敷童の可愛さだけを目当てに連れて帰ろうとした姉と、そんな人を育てた両親ですよ?」

 

 鬼灯の仕事の速さに感謝しつつ、言われて当然の突っ込みに苦笑しながらしのぶは返答し、微笑ましげな優しい目で「4人」を眺めた。

 

「ごめんね。意地悪言って」

「梅ちゃんが来た時は、鬼灯様から離れておくね」

「あ、あたしも……いきなり嫌いって言って……ごめん」

「えらいなぁ、梅は。ちゃんと謝れてぇ」

「その代わり、妓夫おにいちゃんと遊ぶ」

「二人っきりにさせてあげる」

「え!? それは、えっと、それもヤダけど、でも嬉しいけど、えっと、ど、どうしようお兄ちゃん! どうしよう!!」

「へっ!? お、俺もどうしよう! ど、どうしたらいい、累!?」

「「誰に助言求めてるの?」」

 

 しのぶの視線の先には、妓夫太郎と梅、そして双子の座敷童の4人でお赤飯を食べながら、実に微笑ましい会話が繰り広げられていた。

 

 しのぶの話が終わった途端、どこかに行ったのではなく実は天井に潜んでいたらしい座敷童たちが、「話し終わった?」と言って降ってきた時は、心底驚いた。

 だが、その後からはしのぶだけではなく、悲鳴嶼も狛治も胸が射貫かれる程に可愛らしい子供同士のやり取りだった。

 

 座敷童は、梅に謝った。

 天井で梅の過去や現在の境遇、鬼灯を好きになった訳も知ったことで、自分たちのムキになって張り合った言動を反省したらしい。

 

 座敷童たちも鬼灯が好きだからこそ、100年間も大好きでい続けているのに、滅多に会えなかった梅がどれほど今日を、鬼灯に会える日を、その時間を楽しみにしていたかは想像がついた。

 そんな彼女にとって、好きな時に好きなだけ会える自分たちが妬ましく思うのは、当然だと理解した。

 

 ……それでも、「嫌い」こそは言っても、座敷童をブスだの不気味だのといった悪口は決して口にしなかったのは、しなかった事こそが、鬼灯に会えなかった日々で育んだ彼女の成果だということも知ったのだろう。

 

 妹の為に泣き止ませようと宥めこそはしても、自分たちを鬼灯から力づくで引き離さなかった兄も同じ。

 

 だから座敷童は謝り、友達になりたいと言った。

 そして梅と妓夫太郎は戸惑い、照れ、それでも頷いた。

 

 そんな子供たちの交流を、悲鳴嶼は泣きながら「ありがとうございます、ありがとうございます……」となんか妙なオタクみたいに拝みながら礼を呟き続け、それをしのぶは「どうしよう……」と思いつつどうしようもないことを知っているので、やはりスルーを続行して呟いた。

 

「……本当に、仲がいい兄妹ですよね」

 

 座敷童に「鬼灯と二人っきりにしてあげる」と言われて、「え、なんでお兄ちゃんをあたしから引き離すの!?」と言わんばかりの顔になった梅を見つめ、呟く。

 

 その呟きに込められたのは、まだ遠いが必ず訪れると確信している未来への心配。

 二人が十王から「真人間になった」と断言された時に訪れる、転生という別れの時。

 

 妓夫太郎は妹の為なら、一人で地獄に堕ちる覚悟もあったが、梅は兄と離れるくらいなら地獄に堕ちたかった。

 何度生まれ変わっても彼の妹になると叫び、願うほどにその存在は、彼女の全てだから。

 

 だから、「真人間」と判断されるくらい成長したのなら、その別れも受け入れられるかもしれないが、きっと本音は別。

 本音を我慢できず、外聞を投げ捨てて泣きじゃくられるのも困るが、我慢された方がきっと彼女たちを見守ってきた者達が耐えられない。

 

 そんな、まだ遠い未来を先走って心配しているしのぶに、鬼灯は言った。

 

「しのぶさん。あの二人は便宜上は、『地獄道』に堕ちた扱いなんですよ」

 

 鬼灯は子供たちのやり取りを見ても、表情は全く変わらない。むしろ限界オタク状態の悲鳴嶼を見た時の方が、表情豊かだった。ただのドン引きだったけど。

 そんな彼が、淡々と告げる。

 

「六道は全て、極楽へ至る為の徳を積む修行の場です。だから……地獄でも徳を積んで積んで積みまくれば、転生ではなくそのまま極楽行きになる場合もありますよ。

 ……前例は、『まだ』ありませんが」

 

 淡々と告げる。

 必要書類を用意しに行った、狛治が出て行った扉を見ながら。

 

 表情はやっぱり、1ミリたりとも変わっていない。

 けれど、その眼は姉が自分やカナヲを見る時とよく似ていた。

 とても優しい光を帯びた目だった。

 

「……じゃあ、なおさら私は頑張らなくちゃいけませんね」

 

 しのぶは同じ光をその眼に宿して、答えた。

 新しい、今度こそずっと一緒にいたい弟と妹を見つめて答えた。

 





二人のコソコソ噂話は、次回の更新と同時に追記します。今年中にもう一本、更新出来たらいいなぁ。


上陸兄妹の人間としての享年は、わざと曖昧にしています。
原作でも「13歳の頃」とは妓夫太郎のことか梅のことかが不明ですし、それよりも私が気になっているのは、あれは現代での歳の数え方である実年齢か、それとも数え年なのかです。

数え年って生まれた時点で1歳、歳が明けたら一斉に1歳プラスするので、12月生まれとかだと実年齢がマイナス2歳ということになるんですよね……。
なので梅が実年齢で13歳だとしてもえぐい「遊女」という職が、妓夫太郎が数え年で13だとしたら更にえぐいことになるので……。
無いと思う。原作の梅の姿からしてそこまで幼くはないはずだけど……妓夫太郎の数え年なら、妓夫太郎がある程度の子育てができるくらい、歳の離れた兄妹のはずだから、作中の梅の「小さくて」という推定年齢でもおかしくないんだよ……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。