光り輝く呪いの歌 作:光子大爆発
わたし、白金燐子には宇田川あこという友達がいる。
はじめはNFOのフレンドだったけれど、オフ会で初めて直接話してリアルの友達になりました。
『えへへー。りんりん! 今日ね友希那さんに褒められたんだー♪」
最近、あこちゃんはバンド活動を始めました。
ライブハウスで見つけた友希那さんの歌を好きになって、その友希那さんがバンドを結成しようとしていることを知ったあこちゃんは何度もお願いとドラムの練習を繰り返していました。
その努力が実ってバンドに加入するとあこちゃんの話のほとんどがそのバンドに関わるものになりました。
「本当に楽しそうに、話すんだね……」
チャットに書かず、ひとりごちる。
わたしは笑っているあこちゃんが好きだ。あこちゃんをずっと笑顔にしているそのバンドはとてもすごいと思います。
『わたしも聞いてみたいな。あこちゃんの演奏』
そう返信すると、映像ファイルが転送されてきました。
おそるおそるファイルを開くと、そこにはバンドの演奏が入っています。
友希那さんと涼さんのツインボーカル。
氷川さんのギター。
今井さんのベース。
あこちゃんのドラム。
その五つが重なって複雑かつ繊細な世界観をファイルの中に作り上げていました。
「凄い……」
すごすぎて思わず、声を漏らしてしまいます。
『これがみんなで一つの音楽を作り上げるってことなんだね。ありがとう、あこちゃん』
そうわたしは返信したけど、あこちゃんの反応がありません。もしかしたら疲れて寝てしまってるのかもしれないです。少し寂しいけれど、最近のあこちゃんはすごく頑張っているから仕方のないことでしょう。
それにしても涼さん、か。
なんだか随分昔の名前を聞いた気がします。中学以来コンクールで見かけなくなったけど小学生の頃は本当にすごいピアニストでした。
ふとパソコンから目を離してピアノを見る。
「今までずっと一人で弾き続けてきたけど、誰かと一緒に弾くなんて考えたことがなかった……」
コンクールの時はいつだって一人だった。緊張感に包まれたホールに淡々とこちらを見てくる審査員。頼れるのは今まで積み重ねた練習だけ。そんな中、ピアノを弾いてきた。ピアノは好きだったけれどこの孤独だけはあまり好きにはなれなかった。
パソコンに視線を戻す。そこにはあこちゃんたちの演奏が絶えずリピート再生されていた。
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あこちゃんとリサがバンドに入った次の日の昼休み。たまたまリサと出くわした。
「リサ、はりきってるね」
「うん! 空いてた期間もないし、みんなと比べて下手だから頑張らないとね」
確かにリサの腕は拙かった。茶髪のこのギャルは見た目とは真逆で真面目で背負い込みやすい。だから、気負っているのはわかる。けれど、それだけの動機ではりきっているわけじゃないのはわかっていた。
「友希那のこと、頼むね。いいや、紗夜もあこちゃんもお願い。言っちゃ悪いけどあの三人はみんな、なんかしら危ないところがあるから」
「わかってるってー。けど、アタシは涼のことも心配だなー、だって涼。かなり抱え込んでるでしょ」
言われた時、心臓がどきりとした。
やっぱり長い付き合いだから、見破られちゃうか。ただ、何を抱え込んでるかだけはまだ秘密にしておかないと。
「んじゃ、私はこれで……⁈」
言って踵を返そうとした時、足がぐらついた。
「ちょっと大丈夫⁉︎」
「あはは、大丈夫。んー、昨日夜更かしし過ぎたか〜」
そう笑って足を整えまた歩く。
やっぱり最近急ぎ過ぎてるかもしれない。
運良くバンドメンバーが集まり過ぎてことがトントン拍子に進んでいる。
友希那も紗夜も時間があればあるほど働くタイプだからやっぱり全体的に根を詰め過ぎてるように思うのだ。
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バンドの名前はRoseliaになった。
バラのroseに椿のCamellia。具体的なイメージは青薔薇で花言葉は不可能を成し遂げる。
私たちらしいバンド名だと思った。
バンド名が決まったことで熱が入ったのか、今日の練習はかなり厳しかった。それこそ家に帰ったら寝落ちするだろうと判断して今日の日記をスタジオで書いてしまうぐらいには。
二〇一七年五月二十八日
追記:けれど、慣れないことはするものじゃないね。日記をスタジオに忘れてきてしまった。紗夜が届けて来てくれたから良かったけど。
字数がやけに少ないと思った貴方へ。
だいじょーぶです。作為的に一話分を二話に分けただけなので。
だいたい一時間後に後編を投稿します。