光り輝く呪いの歌   作:光子大爆発

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要らぬ時に過剰に要件が舞い込み、要る時には閑古鳥。
これを、物欲センサーという。
私がガルパで星4が出ないのは、まず彼女たちに惚れ込むからであろう。彼女もまたそうであった。

怖いね、物欲センサーって(涙)


第9話 アヤマチ

 

 翌日はなぜかみんなの集まりが悪かった。

 練習の開始時間に間に合ってるのは私と紗夜、リサしかいない。

 

「そろそろ本番も近いというのに……。宇田川さんはともかく、湊さんは何を考えているのでしょうか」

 

「まあまあ、財布とかを忘れて慌ててるかもしれないんだし。今は自主練をしとこうよ、ね?」

 

 憤慨する紗夜をリサが取り成す。

 私はというと、指慣らしに自分で作詞作曲した曲を弾いていた。スタジオでの響き方を確認するいい機会でもある。慣らしといえど妥協はしない。聴覚を最大に高めながら音を確かめる。

 

「今まで聞いたことがない音色……。日陰さん、これは貴女が作った曲ですか?」

 

 すると、紗夜が食いついた。

 紗夜には燐子と練習している時に何度か作曲をしていることを話している。私の夢の主軸だからか、かなりの関心を示していた。

 

「そうそう、タイトルはまだ決めてないけどね。ちょっとポピパ風に青春をテーマにして作ってみたんだ」

 

 私が残す曲は一つじゃ足りない。何曲も残しておく。渾身の一曲だけでは、おそらく夢に挑むには弾数が足りない。

 数打ちゃ当たる、それも全てが渾身の一射だったなら。きっとどれかが夢を撃ち抜けるはずだ。

 

「作曲か〜。ちょっと羨ましいなあ、ロゼリアって結構友希那に頼り切りじゃん? 何かアタシもできたらいいんだけどな〜」

 

「リサには衣装を作ってもらってるからな〜。多分、私にはそんな繊細なことできないよ。だいぶ助かってる」

 

「それはそうだけどさー。もっと音楽で貢献したいっていうか……」

 

 気まずそうにリサは言葉を濁した。

 リサはやはり自分の力不足を負い目に感じている。

 ライブハウスとの交渉とか衣装とかバンドの維持管理にリサはもう欠かせない存在になった。

 私としてはそれで十分だと思ってるけど、リサ自身は音楽で友希那に並び立ちたいのかもしれない。

 ……だからこそ、私の病をリサには決して話せない。

 話したら最後、私のせいでリサはきっと全てを台無しにしてしまう。そこまでしてしまうほどに、リサは利他的に行動できる女の子だった。

 それにしても、友希那たち遅いな……。スタジオ使用開始から15分経ってるし。

 流石にそろそろラインでも飛ばそうかと思った時、友希那がスタジオに現れた。それから15分後にあこもスタジオに現れた。

 

「湊さんに、宇田川さん。30分も遅れるだなんて何を考えているんですか?」

 

「まぁ紗夜。もう怒鳴ってる時間ももったいないから。さっさとやろう?」

 

「日陰さんが言うのなら致し方ありません。確かに勿体無いですし。……始めましょう」

 

 怒る紗夜を宥めて練習を始める。

 しかし、友希那の声に伸びはない。あこちゃんの音もどこか落ち着きはなく、浮き足だっているように思えた。

 聞いているうちになんかイライラしてきてその結果、私は衝動に任せてダンッ! とキーボードに指を叩きつけた。

 当然、不協和音がスタジオ内に鳴り響く。全員の運指も止まった。

 

「日陰さんッ! 何をっ!」

 

 もちろん紗夜がまた怒鳴る。が、それをねじ伏せる。

 

「うるさいッ! しみったれた音を鳴らす友希那とあこが悪いッ! 絶対何かあったでしょ!? もうこの際、練習はいいから腹を割って話して!」

 

「それは……」

 

「えっと……」

 

 私が怒鳴ると友希那は目を伏せ、あこは泳がせる。

 

「わかりました。……あこが見た事を話します」

 

 先に口を割ったのはあこの方だった。

 あこが言うには、友希那がホテルのロビーみたいなところで、スカウトマンと話をしていたらしい。

 それだけなら、まだ良かった。

 でも、スカウトマンが欲しいのは友希那か私。紗夜たちは一顧だにされていなかった。

 

「だからあこ、怖くなったんです。友希那さんは本当に誰でも良かったんじゃないかって……」

 

 話し終わったあこちゃんはついに泣き出してしまう。

 Roseliaを崩壊させてしまうだけの話を一人で抱えてしまっていたのだから致し方ない。足下がひっくり返ったような衝撃や前途への不安。とてつもない緊張感で苦しかったはずだ。

 

「あこの勘違いだったらいいけど……。友希那、あこちゃんの話はホント?」

 

 最後にリサが友希那に確認を取る。

 

「……っ」

 

 十の視線が友希那を刺す。しかし、友希那はその悉くと目を合わせようとしない。

 

「沈黙は、雄弁ですね。……信じたくはなかった」

 

 ついに答えなかった友希那に紗夜は心底軽蔑したらしい。氷のように冷たい目を友希那に送った。しかし、紗夜の行動はそれだけじゃない。

 友希那の肩をがっしりと掴んで、言い放った。

 

「私の時間を無駄にしたことは腹立たしいです。私たちを騙していたことも腹立たしい。……けれど、それ以上に日陰さんが今まで懸けてきた努力を無碍にしたことが許せない。湊さん、貴女にはわかりますか! 日陰さんがどれだけの愛情をRoseliaに注いでいたのかを! 日陰さんがどれだけRoseliaのために葛藤したのかを! 日陰さんがどれだけRoseliaにその夢を賭けたのかを! 知らないからこそ貴女はそんな真似ができるのよッ!」

 

 最後は泣きながら、紗夜は友希那に叫び続けた。そして叫び終わったら、さめざめと涙を流してスタジオから去っていった。

 残された私たちはただただ茫然自失して立ち尽くすのみ。皆、まるで足が縫い付けられたかのように、スタジオを離れることができない。

 

「……帰るわ」

 

 残された面子の中で、初めに動いたのは友希那だった。

 

「……知らない、ね。そんなつもりはなかったのだけれど。いえ、知っているだけでは、駄目だったようね。ごめんなさい、涼」

 

 悔しげに友希那は呟く。その微かに震える背中を見て、私は察した。

 きっと私もまた焦り過ぎていたんだ。何度か自覚していたけど、寿命が敵の味方についている以上、足を止めることは怖くて出来なかったけども。

 人の歩き方は違う。ましてや先がないが故に生き急がざるを得ない私と、まだ未来がある友希那とでは、それこそチーターと亀ぐらいの差があった筈だ。

 私はそのことを理解せずに過剰な期待を友希那に押し付けたのだ。

 

「私こそ……」

 

「何も言わないで、涼。貴女は悪くない。ただ、私が約束を果たせなかっただけの話なのだから……」

 

 私の言葉を遮った友希那は出口に向かって歩いていく。謝罪を禁じられた私に、その背中にかける言葉は見つけられなかった。

 

 *****

 

 昨日の日記を読んで、今ようやく分かった。

 友希那が疲弊していることに。あの約束を果たせないほどに追い込まれていたんだ。必ず兆候はあった。でも、私はその兆候を昨日の時点で掴んでおきながら軽く流してしまっていた。

 確かに最近は自分のことで大変だった。でも、友希那から見ても最近は大変だったのだと思う。

 いよいよ私が体調を本格的に崩し始めて、約束の時が近づいた。でも、フェスもあって友希那自身にも復讐に関しての葛藤がある。

 もしかしたら友希那の不調は夢と復讐というカラーのまったく違う一大事が一緒に迫ってきたことに由来するのかもしれない。

 2017年6月24日




前書きは実話です。
中華街リサをついぞ取り損ねました。
星4が全部で18枚しか持ってないのに、りんりんだけはなぜか6種類全属性がいます。いや、推しだからいいんだけど、ドリフェスの度に他のキャラ押し除けて来るのはちょっと……。
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