ーーーー2014年 "蓬莱肛門科" 3777号室
窓の外には、キャキャと走り回る子供達の姿。
…もう、KISが眠ってから半年が過ぎる。
…まだ肌寒かった頃、仕事から帰っていた私のケータイに見知らぬ病院から連絡が入った。
"KISが何者かに襲われ、意識不明の状態である"、と。
信じられなかった。
ちょっとだけ内気だけど、笑顔が綺麗だった、大好きだった妹、KIS…。
…もう、そんな笑顔を見ることはできない。
…もう二度と、永遠に。
…かけがえの無いものを失う悲しみ。
…生きているのに、笑い合えない苦しみ。
嗚呼、神よ。私がいけないのでしょうか?
外から女の子の声がこの病室に響き渡る。
…窓を開けているからだろうか?
…彼女たちがうるさいのだろうか?
…何故彼女たちは笑顔を作れて、
…私の妹、KISは作ることができないのか、
不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等… 不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等… 不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…不平等…
嗚呼…
ー妬ましい…
…妬ましい、なんで、なんで
…なんで他の子が笑えて、うちのKISは笑えないの?
ー憎い…憎いよ。
キャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ
うるさい…うるさい!…私の妹を返せ…返せ!
…ピタリと、
笑い声が聞こえなくなった。
キャキャという声も、うるさく遊ぶ少女たちも、何もかもが止まっていた。
「…なにこれ。」
「……………YYSショッピングのお時間です!」
私とKISしかいないはずの病室に…誰かいる。
振り向くと、少し小さめの少女。
「ええっと、誰ですか?」
「…妹が、意識不明でどうしようもない。そゆこと、よくありますよねぇ?」
「えっ…あなた何言ってるの…?」
「そんな方に紹介するのは〜これっ!」
鬼の角みたいなものをつけた少女が、差し出したのは、たまごっちみたいなにか…。
「これすっごいんですよ〜見ててください!」
ーjoker!ー
彼女は、私の人差し指で、そのたまごっちみたいなものを起動する。
「なんと、これを使えば、妹さんを助けられるかもしれないのです。すっごいでしょ!?さらに、なんと、なんと、今なら無料でお譲りします!」
…妹を…助けられる…?
ニヤニヤ顔をしながら、差し出してくる手を、強く、握りしめる。
「それ…本当…?本当なら私に頂戴!私には…私にはKISが必要なの!」
「ええ、勿論です。このウォッチ、あなたに無料でお譲りします!
…ただし、化物になってもらうけどねぇ!ギャハハ」
私の体に、その、ウォッチとやらが突っ込まれる。
ー鬼…彼女が笑う顔は鬼、そのものだった。
…意識が誰かに殴られたように、朦朧とする。
「これからよろしくぅ〜joker…。」
…視界が定まった頃、気づく。
私は化物になっていた。長い耳を持った、骸骨。
「さぁ、嫉妬の心を解放してぇ…他の人の記憶を奪ってきてよ、アナザーjoker。
そしたら、妹も助かるよ!きっと!」
何故だろう…わかる…力が湧いてくる…。
この力が正しい力でなくても、
醜い姿になっても、鬼に魂を売ってでも、成し遂げてやる。大切な人のためなら、なんでもできる。
待ってて…KIS…すぐに終わらせるからね…。
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ーーーー2014年 "蓬莱肛門科" 外
おにぃさんゆるして!ゆるし…ああああああああ
…少女の悲鳴が聞こえる。
「出たわね。探したわよ、アナザーjoker。」
アナザーjokerが5歳くらいの女の子の頭を掴んで、投げた。
女の子はぐったりとして動かない。
(やはりヤバイ…)
投げ出された少女に、もう一人の少女が近寄る。
他の少女は、蛇に睨まれたように、震えて、動くことすらできていない。
「このままいたらあなた達も殺されるわ!
早く逃げなさい。」
ー変身ー
アクター↑タ淫夢!
淫ク☆↓アクタームギ!
『ほら、さっさとかかってきなさい。
あなたは私が倒しますので。』
「邪魔をするなぁ…!パチュリー、ウッ!」
MGのパンチが、何度も何度も、腹に打ち込まれる。
『容赦はなしなので。無双封印!』
フィニッシュタイム! ムギ!
タイムバ-スト
逃げようとしても、自分の幻影が現れ、それに沿うように時を戻される。あーもう、逃れられない!
『うおおおおおおおおおおおお!』
「せんでえええええええええええええええええ」
爆発に包まれる。炎特有の匂いが鼻をくすぐる。
…私の推測通りなら、2014年にアナザーjokerを倒せば、全て解決するはず…。
するはずなんだけど…
「最後に宣伝なんですけども…(半笑い)」
…ダメでした…(絶望)
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ーーーー2019年 しりしり堂にて
「お待たせ!アイスティーしかなかったんだけどいいかな?」
「あーいいですねぇ!…ん?」
…ほのぼのとしている神社を連想させるような…そんなメロディ。どうやら電話が鳴っているようだ。
「…んっ?」
<やわらかスマホX>
「はい、BBANです。れ、霊夢さん!?どうしたんですか?」
あれ…電話なのか…?カムホワイトの布、もとい、ハンカチにしか見えないのだけれど…。
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ーーーー2019
『兎に角、小悪魔はアナザーアクターを倒す方法を調べて頂戴。』
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「…わかりました。アナザーアクターを倒す方法…ですか…。」
BBANは、通話を切り、やわらかスマホをポケットにしまう。
「倒す方法…ん?…それなら、心当たりがあるのぜ。行ってくる!」
「ちょっと!魔理沙さん?まずいですよ!?」
「大丈夫、ヘーキ、ヘーキ、ヘーキだって、jokerの所に行くだけだから。」
「joker!?でも、彼女は、」
「ああ、手を貸してくれない。だけど、jokerが手掛かりを握っているのは間違いないんだぜ……小悪魔もどうだ。」
「そーですね、ここでウズウズしているわけにもいきませんから、お供します。」
「…よし、決まりだな。それじゃあ、探そう。jokerを!」
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ーーーー2019年 人通りの少ない橋の下で。
問題のTwitterアカウントを開く、例の化物が出てくるというアレだ。
このアカウントを開くのは"初めまして"、ではない。"二度目まして"、だ。
「早く出てきてくれないかなぁ…君、スマホの中から見てるんでしょ?」
スマホの周りが、タイルを一枚、一枚、めくるように、ひっくり返る。
ひっくり返って、何もなかったか空間が一人の少女へと変わる。
「貴方もしつこいわね…joker?」
「貴方に言われたくないわよ。6年間もネチネチ、人の記憶奪ってる貴方にはね。」
「…諦めなさいよ、私はもうあの子達には会わない…前回も言ったはずよ?…もとより、私は嫉妬の化物、昔の私はもういない。変わってしまったのよ。」
「…変わってないわよ。あんたは昔のまま、何も変わってない。妬ましい…あなたには人望があるのに、一人で抱え込む。」
「違う…そんなんじゃない…。」
「何も違わないよ。みんなの記憶が消えても、私はあんたのことを覚えてるだから。あんたは、みんなを巻き込みたくないから、記憶を消した。そうなんでしょう?」
「違うッ!」
「違うなら私を殺してみなさいよ、このメンヘラ女。無理でしょうね、だってあんたは私を殺せず変な空間に閉じ込めることしかできなかった。
…それに、嫉妬に狂った女は私一人で十分なのよ。
もういいじゃない…帰ろう…、私たちの家へ…。」
「無理、無理、そんなの無理なのよ!…どうして!?どうして貴方の記憶は消せないの!?私の邪魔ばかり…!?」
「少しだけ…好きだったのよ。みんなでワイワイするのが…。またやろうよ…鍋。いいじゃない、好きなのよ」
「…ダメなの…その中にKISにはいない!
私にはKISが必要なの!」
「んっ…!」
MSRMZNMが、jokerを突き飛ばす。
「…私の邪魔をしないで!」
「邪魔なんてしていないと思う…んだぜ!」
「あんた達、文字頭の…なんで…」
「もう一回、調べさせて貰ったのぜ。
…そして、わかった。あんたの妹、KISさんは少しずつ良くなってるって、はっきりわかんだね。
それってあんたが他の人から記憶を奪っているからだろ?」
「…貴方も私ことを止めようっていうの?しつこいわね。あなた達にはわからないのよ…人の心を捨てた化物の気持ちなんて…」
「…うん、わからない、でも、あんたが本当は優しいことはわかる。」
「…だって、最初は無差別に人を襲っているにも関わらず、今はTwitterアカウントを開いた人だけを襲ってる。」
「無差別に人を襲った方が効率はいいのに…それって、あんた自身が多くの人を手にかけることを嫌がっているからじゃないか?悪いなぁって思う気持ち、人の気持ちを捨てた化物は考えないんだぜ。」
「そして、jokerはそんな彼女を救おうとしてる、そうだろ?」
「なんでわかっちゃうのかな…あーもう、どうでもいいや。」
「だって、似ている人を知っているからね。倒さないといけないのに、救おうとしている人。」
"魔理沙さんがオーマキノウにならないように導きたい!"
「…!?」
「それに、誰かを救おうとしているのはここにいるみんなの共通点なんだよなぁ。」
「あんただってわかってるはずだぜ?他人を犠牲にしてKISさんが喜ぶか考えてみて、どうぞ」
「うるさい、うるさい!こんなことしててもKISは目覚めない…時間がないの!」
再びタイルを捲るように、MSRMZNMのいた空間は何もなかった空間に戻る。
「ちょっと待って…ZNM!」
jokerの手は…届かなかった。
「(jokerが全部を背負う必要)ないです。」
「ZNMのことは私達で解決しないといけないって言ったでしょ?私がしないといけないの。」
「だったら、MSRMZNMのことは頼む!
その代わり、アナザーjokerのことは、この未来の王様に任せてくれよなぁ〜頼むよ〜」
何がおかしかったのか、jokerは顔に手をつき笑い始める。
「フハッ、王様ってwフハハハハハハハハハハハハッ!フフッ…
これがw笑わずにはいられるものですか…
ふぅ…でも、なかなか面白みあるじゃない…。
あなたにならこれをあげてもいいかな。」
jokerがポケットを弄り、取り出す。
「これって…!」
「ウォッチじゃないですか!?」
「私の記憶が消えなかったのってこれのせいかもね。
…これ、必要なんでしょ?助けてきてよ、アナザーjokerを。」
「うん、ありがとう!
アナザーjokerは任せてくれよなぁ〜」
凄いぞ!鍋☆ 編…時系列!
2014:MSRMZNMが、タイムジャッカー YYSと契約…アナザーjokerに。
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2014:MSRMZNMが、鍋☆ のメンバーから自分に関する記憶を抹消する。
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2014:最初こそ無差別に人を怒っていたものの、罪悪感から襲う人を限定し始める(Twitterアカウント作成。そのアカウントを除いた人のみを襲う。)
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2019:何故か記憶の消えなかったjokerが、例のTwitterアカウントを見つけMSRMZNMと接触。口喧嘩となるも、jokerを殺すことは叶わず異空間(謎の橋)に、閉じ込める。
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2019:KN姉貴の前で、Twitterアカウントを見つけたKYNが襲われる。
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2019:KN姉貴達が、MKMK姉貴、jokerと出会う。
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2014:MG姉貴が、介入。
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2019:jokerが、例のTwitterを用いて、再びMSRMZNMと出会う。
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2014:次回
分かりにくスギィ!