明久達のSAO (凍結)   作:セイイチ

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今回はいつもより長くなりました。

万は超えてないのにちょっと疲れました。
いつも1話あたり万を超える量で投稿している方を尊敬した作者であります。

それでは本編をどうぞ!


第十話

 今僕の目には僕の部屋でくつろいでいる皆が映っている。

 僕が女性3人に引きずられて僕が泊まる予定だった部屋を借りた後女性3人は交代で風呂を使いこの部屋を借りた時の利点の一つである。飲み放題のミルクを飲んでいる。

 「‥‥‥なんでこうなったんだろう?」

 「そりゃお前、こんな広い部屋一人で住むのは勿体ないし皆で使えば宿代を節約できるからだろう?」

 なんだその理由? 普通は自分の泊まる部屋位自分で確保する物じゃないだろうか? あれだけMobを狩ってたら皆それなりにコルつまり金は貯まってるいるはずなのに‥‥‥

 「ならこの部屋借りるのに払ったコルは皆で割り勘してくれても良かったじゃない」

 「そんな事したら節約にならないだろう? それにどうせお前が一番コル貯まってるんだろう? たまにはおごれ」

 まぁ確かに多分僕が一番持っているだろう。Mobを狩った量は僕が一番多いわけだし、それに僕はポーションをあまり使っていないのでポーション補充を行う必要はない。そして僕は武器については欲しい物があるから未だに初期装備の”スモールソード”を使っているため武器の変更を行っていない。これらの状況を考慮すると僕が一番持ってるのは間違いないんだろうけど‥‥‥

 「まぁ今回はいいけどさ、次の町でもとかは嫌だよ? せめて割り勘にしてよ?」

 「その心配は無用だぞ? 今回は皆と話しておきたい事があったから丁度いいと思ってこうしただけだ。最も女性3人は風呂つきの部屋を教えてやらないとまたこうなると思うがな」

 絶対に次の町では風呂つきの部屋を何個か探してやる! ‥‥‥でも次の町にある部屋、僕は一つしか知らない。ベータの時は部屋なんて気にしてなかったからな~‥‥‥アルゴ探してフレンド登録しておけばアルゴなら知ってたかもしれないのに‥‥‥どうにかして連絡つかないかな? 

 アルゴとはベータの時に知り合った人で情報屋、通称鼠のアルゴ。彼女は売れる情報なら何でも売る。例えそれが自分のステータスであってもだ。ベータをやっていた位だからデスゲームと化したこの世界にもいると思うんだけど、まだ僕はアルゴに会っていない為フレンド登録できずにいる。

 「まぁ部屋についてはまた後で考える事にするよ。とりあえず今は自由時間なんだよね? ムッツリーニと秀吉もいないみたいだし」

 「ああ。自由時間だ。どっか行くのか?」

 「うん。ちょっと欲しい剣があるんだ。入手するにはクエスト受けなきゃいけないから今からクエストを受けるつもり」

 「お? ついに武器変えるのか? お前が前欲しい剣があるって言ってたのはそのクエストで手に入る剣なのか?」

 「うん。その剣だと3層の迷宮区まで使えるからね。片手剣を使う者としてはぜひとも手に入れておきたいんだ」

 「そうか。手伝うか? どうせ暇だし構わんぞ?」

 「嘘だね。今僕についてこなかったら女子3人と雄二だけになる。そしてその中に翔子がいる。雄二、本当は僕についてきたいだけじゃないの?」

 「分かってるなら言うなバカ。というかお前バカなくせに良く俺の思考を読めたな?」

 「バカ、バカうるさいな! 僕はバカなんかじゃないよ!! ちょっと人より考えるのが遅いだけだよ!」

 「考えた結果が理解できない、思いつかないっていうのはバカって事だ」

 や、やだな。泣いてなんかいないよ? ただちょっと目から汗が流れてきただけだよ!

 「明久泣いてないで行くなら早く行くぞ」

 「何で雄二が仕切ってるのさ?」

 「ほら行くぞ」

 「だから何で‥‥‥まぁ良いけどさ」

 「なら早く道案内しろ」

 「へいへい」

 僕と雄二はクエストを受けに行く事を女子3人に伝えクエストを受けられるNPCの民家に向かった。優子と翔子は一緒に行くって言ってきたんだけど雄二がそれを拒否。で結局僕と雄二の2人だけでクエストを受ける事になった。

 「ここだよ。雄二」

 「なら行くか」

 僕と雄二が民家に入ると台所で鍋をかき回していた、《村のおかみさん》といった感じのNPCが振り向き僕等を見て言った。

 「こんにちは旅の剣士さん達、今は食事を出せないの、一杯の水くらいならだせるのだけど水でいいかしら?」

 「はい。ありがとうございます」

 ここで礼儀良く「お構いなく」なんて言ったら本当に本当に何も出てこないから、ここはストレートに肯定の意志を見せなければいけない。

 NPCは古びたカップに水を入れ僕等の前においてくれた。椅子に座り僕等は水を一息に飲み干す。しばらくして隣の部屋から子どもが咳き込む声が聞こえてくる。おかみさんはそれを聞き肩を落とす。

 更に数秒してからおかみさんの頭の上に金色のクエッションマークが点灯する。クエスト発生の証だ。

 「何かお困りですか?」

 NPCクエストの受諾フレーズを聞きおかみさんはゆっくり後ろを振り向く。その頭の上でクエッションマークがピコピコ点滅し始める。

 「旅の剣士さん達、実は‥‥‥」

 おかみさんの話は娘が病に苦しめられてる事、直すには森に生息する捕食植物の花から取れる薬を飲ませるしかないが、花つきは滅多に出ずおかみさんには取りに行く事は不可能な事、花を取ってくれば先祖代々伝わる片手直剣をくれるという事だった。

 話を聞きえ終えた僕と雄二はおかみさんに僕達が花を取りに行く事を伝え民家を後にする。

 

 

 

 「雄二、先に言っとくけど今から狩るMobは花つきの他に実つきがいるんだけど、実つきを倒す時は実を破壊しないように注意してね。実を破壊すると周囲からMobが集まってくるから」

 「了解した。因みに花つきの出現率はどれ位なんだ?」

 「多分だけど1パーセント未満かな? 普通の奴を狩ると出現率は上がるけど」

 「そんなに低いのか‥‥‥」

 「僕は手伝ってとは一言も言ってないからね?」

 興味のない事には無関心のコイツの事だ。雄二には関係ないクエストだからそろそろ面倒臭がる頃だろう。先に雄二の逃げ道を塞いでおかないと

 「‥‥‥わーってるよ。ほら、さっさと狩って帰るぞ?」

 「了解」

 僕と雄二は僕の索敵スキルをフル活用して、Mobに不意打ち気味に攻撃をしかけほぼ無傷で50体ほど狩りつくした。

 このMobは攻撃力は高いけど防御力は極端に低いMobだから不意打ちで襲う僕等はダメージを負う事はほとんどない。それにMobを倒してる内に僕は1回、雄二は2回レベルが上がった事を示す光を体が包んでいる。

 あれからレベルが上がっている分普通の奴を狩るのも早くなっていたせいか僕は油断し背後に誰かいる事に気がつかなかった。

 「お疲れさん」

 その声に反応して僕は今更ながらに警戒態勢を取ったが僕の目の前にいたのは1人のプレイヤーだった。

 「ありがとう。君も”森のクエ”受けに来たの?」

 「ああ。けど正直驚いたな。”森のクエ”をこんなに早くからしてる人がいたなんて」

 「まぁ、僕はベータ上がりだからね最初の方に必要な物位はしっかり覚えてるだけだよ。あ、そういえば自己紹介はまだだったね。僕は明久。でこっちが」

 「雄二だ。見たところアンタもベータ上がりみたいだな」

 雄二のベータ上がりの言葉を聞いて若干苦笑いをみせる男。まぁ確かにベータ経験者はベータ出身だというのを隠したい気持ちは分かるけど、隠してもしょうがないし正直に告白しても問題ないと思うんだけどな。

 「僕はコぺルって言うんだ。察しの通り僕もベータ上がりだよ。見たところ君の武器は片手棍みたいだから”アニールブレード”は必要なさそうだし君は手伝いってところかい?」

 「まぁそうだな。暇つぶしに手伝ってやってるだけだけどな」

 あれ? コイツ翔子から離れるために僕についてきただけじゃなかったけ?

 「それなら僕とパーティ組んでくれないか? 3人でやればその分確率ブーストがかかるから早く手に入るし。もちろん最初の一個はそっちに譲る。まぁ僕の分がでるまで君達にも手伝ってもらえるならだけど」

 コぺルの提案は僕達にはどちらでも構わない提案だった。雄二には花は必要ないから僕等は2人でMobを狩り続けるため確率ブーストは既に充分かかっている。仮にコぺルを入れて3人で狩っても大差はない。この提案で得をするのはコぺル1人だけだ。けど

 「別にいいんじゃない? コペルを入れても」

 「分かってるのか明久? 俺達に得になる事は何もないんだぞ?」

 「けど損になる事もないでしょ? だったらコペルが得するだけで僕等に被害はないんだから問題ないんじゃないかな?」

 「‥‥‥分かったよ。好きにしろ。しょうがねえから付き合ってやるよ」

 「といわけでよろしくね? コペル」

 「ああ。ありがとう」

 こうして僕等は3人でMobを狩り続けること1時間弱。ようやく花つきが現れた。が

 「実つきが一緒に2体もいやがるな。‥‥‥どうする?」

 「明久は花つきを頼む。僕と雄二で実つきを1体ずつ狩るって言うのでいこう」

 「分かった。雄二、実を壊さないように気を付けてよ!」

 「分かってるてのバカ」

 「よし、じゃあ行こう!」

 僕等3人は一斉に飛びかかる不意打ちで倒した方がダメージを受けずに済むからできる事なら不意打ちで決めたい。

 Fクラスで学んだ事で少しはこの世界でも役に立つことはあったようだ。Fクラスに入る前はデータが相手でも不意打ちするのは気が引けたかもしれないが、今は何のためらいもなく不意打ちできる。

 不意打ちは見事に成功して花つきを一撃で屠る。

 「不意打ちだけど悪く思わないでね。データに言っても仕方ないかもしれないけど、卑怯汚いは敗者の戯言だからね」

 Fクラスで学んだ数少ない事だ。この言葉はこの世界ではこれからも大いに役立つだろう。

 僕は花つきの落とした花をポーチにしまう。本当はストレージに入れた方が安全なんだけど今は雄二達の援護に行かないといけない。実つきなんて危険なMobを任せてるんだ。早く援護に行くのは当然だろう。

 「雄二、コペル! 大丈夫? 今から僕もそっちに‥‥‥」

 そこで僕の口と足が止まった。戦闘中の雄二ですら思考が止まったかのように一瞬固まってしまいMobの攻撃を受けてしまっていた。

 コペルは本当に申し訳なさそうに

 「ごめん。2人とも‥‥‥」

 コペルが呟く小さな声にかぶさるように大きい音が響いた。

 

 

 パアァァンンン

 

 コペルが実を破壊してしまった音が鳴り響く。

 「どうして?」

 「ごめん。2人とも‥‥‥」

 コペルは先ほどと同じ言葉を先ほどより音量をあげて言い放つ。と同時に雄二がもう一体の実つきを倒して僕と合流した。

 「ごめん。ってお前なんで? こんなことをした? ベータのお前なら実を破壊せずたおせただろう!?」

 「本当にごめん」

 コペルは姿を消した。

 「んな!? あの野郎どこ行きやがった!?」

 「隠蔽スキルで姿を消したんだよ。雄二。つまりあれは事故じゃなくてわざとって事だよ」

 「んだと!?」

 「けどコペルは知らなかったみたいだけどね?」

 「知らないって何をだよ?」

 こんな会話をしてる間にもMob‥‥‥いや正式名称”リトルネペント”はどんどん数を増やし僕等に襲い掛かってくる。僕はその相手をしながら雄二の疑問に答えを返す。

 「隠蔽スキルは万能なように見えて実はそうじゃない。隠蔽スキルは視覚以外の感覚を持ってるモンスターには効果が薄いんだ。‥‥‥隠蔽スキルが低いと視覚以外の感覚を持つモンスターには効果はないのと変わらない。例えばリトルネペントのようなモンスターにはね」

 「うわあああぁぁぁぁああああ!!」

 僕が雄二に解説し終えると同時にコぺルの悲鳴が聞こえてくる。

 おそらくコペルは花つきが出現する可能性の低さに嫌気がさして僕等をMPKつまりモンスターキルを行おうとしたのだろうが、隠蔽スキルを熟知していなかったせいで自分まで被害を受ける事になったようだ。

 「明久!! どうすんだこの量!? とてもじゃないが捌ききれないぞ!!」

 それはそうだろう。ベータ時代に一度実を壊してしまったことがあるがその時のパーティは平均レベル5のパーティだったが6人中4人が死んだ位だ。あの時よりもレベルは上だとしても人数は半分しかいない。危険度はベータの時と大差ない‥‥‥いや、あの時よりも上かもしれない。

 「雄二、泣き言を言っても仕方がない。全力で目の前の敵を倒す! これしかないよ」

 「めちゃくちゃだな。おい」

 「危なくなったら叫んでよ。何とかして助けに行くからさ」

 こうなったのはコペルとパーティを組む事を認めた僕の責任だ。雄二だけはこの死線から無事に生還させなければいけない。それが今の僕の責任だ。

 「はっ! なめるなよ明久! お前俺を守る気か? 冗談じゃねえ!! 俺はお前に守られなきゃいけないほど弱くねえよ。むしろお前を助けてやる側だ」

 「ははは。ならどっちの方が早く倒せるか勝負といこうか雄二?」

 「ああ。いいぜ? どうせ勝つのは俺だしな。ーー死ぬなよ? 相棒」

 「僕の心配より自分心配したら? 雄二こそ死ぬなよ」

 僕と雄二はこれを最後に戦闘中に会話はしなかった。あのバカがそんな簡単に死ぬなんてあるわけない。なら僕は目の前の敵に集中するだけだ。生き残るために全力を尽くす。きっと雄二だって何とかするだろう。

 僕は雄二を信じて目の前の敵を倒す。雄二は僕を信じて目の前の敵に専念する。こうして僕等は戦い続けた。リトルネペントがPOPする限り僕等は永遠と戦い続ける。

 もう何体倒したかも分からなくなっていた時に今までと違うエフェクト音が聞こえてくる。

 

 

 カシャアアァァァァンンン

 

 僕がちらりと確認した所今までコペルが戦っていた場所にポリゴンの破片が宙を舞っているのを確認した。

 どうやら何十匹にも囲まれていたコペルがついに力尽きたようだった。

 僕は気力を振り絞りコペルが狩り残した分のリトルネペントまで今の僕が使えるスキルを行使して全てのリトルネペントを片付ける。

 ほぼ同時に雄二も終わったようで僕に近づいてくる。

 「生きてたかバカ」

 「そっちこそ生きてたみたいだね。けどコペルは‥‥‥」

 僕の視線の先には先ほどまでコペルの使っていたスモールソードと盾が落ちている。

 「まぁ結局俺達はアイツに騙されたわけだが、墓くらい立ててやるか‥‥‥」

 「‥‥‥そうだね」

 僕等はコペルの剣を墓標代わりに立てて雄二がドロップした花を墓に添える。

 プレイヤーの手から離れ地面に落ちているアイテムは耐久度が徐々に減っていくが少しの間なら墓標代わりになるだろう。

 「‥‥‥行くか」

 「‥‥‥そうだね」

 生き残った僕と雄二はクエストを無事に終わらせて僕は”アニールブレード”を手に入れて民家を後にする。

 僕と雄二は僕の借りた部屋に戻るまで終始無言だった。

 この日僕達2人は人の死初めて体感した。一度はパーティまで組んだ仲間の死。これは僕と雄二にこの世界は本当にデスゲームなんだと実感させるには充分な出来事だった。

 

 




初めて人の死に直面した明久と雄二でしたが、明久は剣を手に入れたので
この層ではこれから攻略に向けてひたすら前進あるのみ!
なので次はボスの攻略会議まで飛びます。

アルゴは今回は名前だけでしたが原作と同じように二層にて登場予定ですのでアルゴが好きな方はもうしばらくお待ちください。

それでは今回はこの辺りで

感想、評価お待ちしてます。
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