明久達のSAO (凍結)   作:セイイチ

20 / 27
第十八話

僕と優子は約束通り、僕の奢りで夕食を食べ終わり、恐らく優子の最大の目的であろうケーキを食べていた。

「このケーキ美味しいわね。明久はベーターの頃から、このケーキの事知ってたの?」

「まぁね。あの頃はリアルでは、ろくな食事をしてなかったから、コッチでは美味しい物食べようと、色んな店行ったからね」

あの時はSAOβを買ったり、ナーブギアを買ったり、色々買ったせいで塩すら危なくなって、水だけの生活で一週間過ごしたんだよね。

あれは流石に死ぬかと思ったけど‥‥‥

「じゃあ明久は、他の美味しいお店を色々知ってるってことね?」

「え? まぁ、うん。βの時に到達してた層の店ならある程度」

九層までなら美味しいお店の場所もある程度把握してるし、何が美味しいのかも把握している。

「じゃあ、また今度美味しいお店に連れってきてね♡」

「‥‥‥いいけど、あんまり高い所は割勘だからね?」

上の層には、ここなんて比べ物にならない店もある。

それを全部奢らされたら、たまったもんじゃない。

「後βの時から味が変わってたら、僕も美味しいかなんて分からないからね?」

「βの時と味って変わったりするの? そんな細かい所を変更したりしないんじゃないの?」

「そうでもないと思うよ? 味を変える事自体は何も難しい事じゃないはずだし。それに、味はともかく、こんな効果はβの時には間違いなくなかったよ」

そう言って僕は自分の左の上の方に指を指して、優子にもそこを見るように促す。

「何かしらこれ? 四つ葉のクローバー?」

「これは、幸運の状態異常だよ。SAOには、毒や麻痺だけのバッドステータスだけじゃなく、プラス要素の状態異常もあるんだよ」

とはいえ、この幸運はそんなに長くはもたない。

今からフィールドにでてレアアイテムを狙っても、フィールドに出た辺りで効果は切れてしまうだろう。

じゃあ、街でコインでも落ちてないか探すか?

いや、そんなの優子に提案しただけで怒られるに決まってる。

「ねぇ明久、アタシが今幸運なら、今武器強化をお願いしたら成功率が高くなったりするんじゃないかしら?」

「え? うーん、どうだろう? 強化するのは鍛冶屋なんだから、幸運は鍛冶屋でないと意味ないんじゃないかな?」

「けど、鍛冶屋にあのケーキを食べてもらうわけには行かないでしよ?」

「それはそうだけど‥‥‥」

「じゃあ、この剣の持ち主って事でアタシが幸運になってる時に行った方が、何もない時よりは少しは効果あるんじゃない?」

確かに優子のいう事も一理ある。

どうせいつかは強化するんだから、今幸運になっている状態で行う方が良いのかもしれない。

けど、僕はさっきも感じた根拠のない嫌な予感を再び感じてしまう。

「優子、それ今日じゃないとダメ?」

「今日じゃないと幸運の効果切れちゃうでしょ? 今からじゃなきゃ意味ないじゃない」

優子にここまで言われて、僕は言い訳も何も思いつかず、優子の意思を尊重するしかなくなる。

「分かったよ。強化素材も限界まで集めて、既に成功率は95%だし、優子には幸運ステータスもあるし、多分成功するよね」

「じゃあ、明久の同意も取れたことだし、行きましょう」

僕の嫌な予感はきっと気のせいだ。

僕はそう言い聞かせ、優子と二人で鍛冶屋へと向かっていった。

 

 

僕等が鍛冶屋の店に行く道中を歩いていると、雄二と翔子に会い、二人に声をかけられる。

「よぉ明久、こんなところで何してるんだ?」

ただ、雄二の目に光はなかった。

「ゆ、雄二? 一体何があったの?」

僕は恐る恐る雄二に何があったのか聞いてみる。

確かに雄二の不幸は望んだけど、まさかこんな事になるとは思いもしなかった。

「明久、男とは無力だな。所詮、男なんて女の言う事には逆らえないんだ。俺たちは家畜以下の生き物なのかもしれないな」

「雄二ィィィイイーーー!! 気をしっかり持てぇぇ!! 僕が悪かった! 謝るから、謝るから戻ってくるんだぁぁああ!!」

僕は雄二の肩を揺らして、雄二の正気を取り戻そうとする。

「ハッ! 俺は一体何をしていたんだ?」

ふぅー、何とか戻ってきたみたいだ。

とはいえ、まだ安心はできない。

本当に雄二が正気を取り戻してるのか確認しないと

「雄二、男は家畜以下の生き物じゃないからね?」

「はぁ? 当然だろ? そんなもん。お前は何を言ってんだ? バカな発言は程々にしろよ。ただでさえお前はバカなんだからな」

‥‥‥うん。言いたいことは山ほどあるけど、今回だけは見逃してやろう。

また雄二が壊れたら戻すのに苦労するのは僕だしね。

「で? 雄二達は何しに来たの? 僕達は武器強化にきたんだけど」

「お前らもか。俺等も強化しにきたんだが、まさか同じ時間に被るとはな」

全くだ。昼間別れた場所で、今度は夜に打ち合わせもなしで同じ場所でもう一度会うなんて、どんな偶然なんだ。

「まぁ、世間話は後回しだ。先に要件済ませちまうぞ」

「了解。で? どっちから先に強化してもらうの? 僕等は今、幸運の状態異常になってるから先にさせてもらえるとありがたいんだけど」

早くしないと幸運の効果が切れてしまう。

できるなら僕等に先を譲って欲しいんだけど‥‥‥雄二がそんな簡単に譲ってくれるかな?

「なら、そっちが先で構わんぞ? 強化するのは優子なんだろ? パーティーメンバーとしては強化成功する方がありがたいからな」

意外とあっさり譲ってくれた。

けど、雄二の言い方だと

「ねぇ雄二、その言い方だと僕なら譲らないって言ってるように聞こえるんだけど?」

「お前が俺より弱くなるのは歓迎だが、俺より強くなろうとするのは、ハッキリ言って気に入らない。ただでさえ元テスターってハンデがあるんだ。武器の性能位は俺の方が強くなくちゃ話しにならんだろ? よってお前の武器だった場合に譲るメリットがないから、譲ってねぇよ」

「随分長ったらしく話してたけど、よーするに?」

「お前の武器強化だったなら譲ってない」

「なんでだ!? そんなの不公平じゃないか!!」

「その説明は、お前の言う長ったらしいセリフで言ってあるから自分で思い出せ」

たく、雄二は相変わらずバカだな。

僕があんな長いセリフを一々覚えてるわけないじゃないか。

まぁ、それを言ったらバカにされそうだから言わないけど

「じゃあ、色々と納得はいかないけど、先に強化やらせてくれるって事でいいんだよね?」

「そうだって言ってんだろう? 幸運切れる前に、さっさと行ってこい」

僕は雄二との会話を切り上げて、翔子と話していた優子のもとへ行き話しかける

「優子、幸運効果切れる前に早く強化しに行こう」

「あ、そうだったわね。じゃあ行きましょうか」

こうして僕等は二人から四人へと人数を増やして鍛冶屋の店へと向かっていく。

 

 

「こんばんわ」

鍛冶屋についた僕達は、優子がドワーフのような顔をした鍛冶屋の男に話しかける。

店の名前は《Nezha’s Smith Shop》とある。

恐らくこの鍛冶屋の男の名前はネズハも言うんだろう。

初対面でイキナリ名前は訊きづらいから、確認はしないけど多分あってると思う。

鍛冶屋ネズハは優子が挨拶すると素早く立ち上がり、頭を下げてくる。

「い、いらっしゃいませ。本日はお買い物ですか? それともメンテですか?」

ネズハの発言に対して優子は腰にぶら下げていた、カッツバルゲル+4を両手で持ち滑らかに答える。

「武器の強化をお願いします。カッツバルゲル+4を+5に、種類は鋭さで素材は持ち込みで」

ネズハはそれを聞いた瞬間、一瞬困ったような顔した。

「は、はい‥‥‥素材の数はどれくらい‥‥‥?」

「上限までです」

「分かりました。それでは武器と素材をお預かりします」

とネズハは再度頭を下げ、優子からカッツバルゲルを預かる。

僕と雄二は、先ほどのネズハの困った顔が引っかかり、アイコンタクトで会話をしていた。

ネズハノサッキノタイドヘンジャナカッタ?

タシカニ、オレモヘンダトオモッタ。イッシュンコマッタカオヲシタノハ、ナニカフツゴウデモアッタカ、キョウカヲスルノガ、イヤダッタカノドッチカダトオモウガ、イマハヨウスヲミルゾ。

優子や翔子は違和感を感じなかったかもしれないが、僕と雄二には、さっきネズハが一瞬困った顔をしたのがハッキリと見えていた。

僕らFクラスの生徒は教師の隙を伺うのに、細かい表情の変化を見抜くのが必須のため、皆この技能を持っている。

どうやら、その技能はゲームの中でも有効なようだ。

僕と雄二はネズハが明らかに何か隠しているのが分かっていながら、何をするつもりなのか予想もできないので、ただ黙って見ることにした。

ネズハは、炉の中に素材アイテムを入れて炉を輝かせる。

その後、ネズハはカッツバルゲル鞘から抜き火鉢に似た形の炉の中に横たえる。

すると、カッツバルゲルも素材を入れた炉のように輝き始める。

ネズハは、剣が輝くと素早く剣を鉄床に移動させ、鍛治ハンマーを握り高々と振りかぶった。

ザワッ!

この瞬間、僕は再び嫌な予感に襲われる。

僕はストップ! と叫びないといけないような気がして、口を開きかけたが

カァン! カァン!

とネズハは既にハンマーを振るってしまっていた。

強化が開始されてしまっては、もう止める事はできない。

僕は、自分が感じた嫌な予感が気のせいであることを祈って、ネズハの事を見ているしかなかった。

ネズハがハンマーを振るう回数が少しずつ増えていき、遂に十回目のハンマーを振り下ろした時

カッツバルゲル+4は綺麗な金属音を放って、切っ先から柄まで粉々に砕け散った。

 




今回の話で出てきた、優子の武器の曲刀の名前は、知り合いでグリーのSAOのゲームをやっている人が“カッツバルゲル”なんて名前の剣があったような気がすると教えてくれたので、それを採用しました。

今回の話を書いてて思ったんですが、作者は只今、明久達のSAOに限りスランプになっているかもしれません。
今後の展開的にこの層での話しは必要なんですが、この層でのネタが全然思いつきません(T_T)
なので、こっちの話の次の投稿は時間がかかるかもしれません。
ネタが思いつき次第投稿するので、早く思いついたら、早く投稿します。(極端な話、明日ネタが思いついたら明日直ぐに執筆を始めます)

それと、武器と街の名前が全然思いつかないので、誰か名前を提供してくれるとありがたいです。
一応、一層から順番に登って行く予定なので、街の名前は特に重要じゃなくても必要なので(汗)

では、今回はこの辺りで
感想、評価お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。