雄二が翔子に拉致られたため解散した翌日、僕等は再び優子の借りたホテルに集まっていた。
因みに、ムッツリーニ、秀吉、愛子の三人には詐欺の事を話してないから不参加だ。
「ねぇ、本当にネズハは自分の意思で強化詐欺なんてしたのかしら?」
僕達四人が集まり、昨日の話をするのに、意外にも一番初めに口を開いたのは優子だった。
こういう時は、いつも決まって雄二から話し出すから、これには正直驚かされた。
しかも優子の話はイキナリな内容だったから余計に驚いてしまう。
「なるほど。ネズハに詐欺を行うように指示した奴が存在するかもしれない。そう言いたいんだな?」
「ええ。冷静になって考えると、ネズハはそんな事をする人には思えなくて‥‥‥」
「‥‥‥同感。ネズハはそこまで悪い人に見えない」
‥‥‥‥そう言われてネズハの事を思い出してみると、確かに皆の言う通りネズハは気が弱そうで、詐欺なんてするように見えない。
「確かにお前等の言いたい事も分かるが、人は見かけによらないって言うしな‥‥‥‥まぁ、明久みたいに、見た目も中身もバカっていう見た目通りの奴もいるけどな」
「ははは。何言ってるんだよ雄二。雄二だって見た目はゴリラ、中身もゴリラの見た通りの人間‥‥‥じゃなかった、ゴリラじゃない」
「いやいや、明久ほど見たまんまじゃねぇよ」
「そんな事ないよ。そんな謙遜しなくても、雄二には負けるよ」
雄二と僕は話が脱線した事を分かっていながらも、お互い一向に話を戻そうとせず、お互いに笑顔で睨み合っていた。
そして、互いに睨み合う事数秒後
「「やんのか、このやろう!!!」」
僕等は互いに相手に向かって突進して
「「ぎゃああああ!! 目がぁぁあああ!!!」」
互いに手をチョキの形にして、相手の目を突いた結果、お互い、目に申告なダメージを負う事になった。
「「‥‥‥‥‥‥‥‥」」
そんな僕等のやり取りを優子と翔子は、「また始まった」と言うような顔をして、あきれ返っていた。
止めて2人とも! これは全部雄二のせいなんだ! だから、だからそんな憐れむような視線を僕に向けないでーー!
‥‥‥僕と雄二が目にダメージを負い、床でのた打ち回ってから数分後。
僕等はようやく回復して、やっと話を進められるようになる。
「あー、ゴホン。これからさっきの話に戻ろうと思う。明久、話が進まないから、もう余計な事はするなよ?」
「最初に余計な事をしたのは雄二でしょ!? なんで僕が悪いみたいに言われないといけないんだよ!!」
「もー、話が進まないから明久は少し黙ってなさい」
「‥‥‥明久、少し落ち着いて?」
‥‥‥‥理不尽だ。どうして僕だけこんな扱いなんだろうか?
「じゃあ明久が黙ったところで、話を進めよう」
だから、僕が一人だけ悪いみたいな言い方は止めて!
「とりあえず、ネズハはそんなに悪い奴には思えない。これが全員の共通意見って事でいいか?」
「ええ」
「‥‥‥問題ない」
雄二の質問に答える優子と翔子。
僕も頷いて肯定の意思を示すと、雄二はそれを確認してから
「なら、しばらくは情報を集めるって事でいいな? まだ、すり替えたトリックも分からねえし‥‥‥それと、こっちばっかに気を取られて攻略の方を疎かにするわけにもいかねえしな」
「そうね。アタシもそれが良いと思う。昨日聞いた話では、今日の午前中にフィールドボス攻略戦があるって聞いたから、もうそろそろ迷宮区に入れるようになってると思うし」
「え? もうそこまで攻略が進んでるの? 随分と早いね‥‥‥。攻略部隊のリーダーって誰がやってるの?」
「キバオウと、あと一人‥‥‥リンドっていう人よ‥‥‥」
迷宮区にもうたどり着いてる事にも僕は驚いたけど、優子のその後に発した言葉に、僕は更に驚く事になった。
キバオウは、知ってる人だけど、リンドって人の事は僕は良く知らない。
第一層のボス戦の時に、特に目立ってなかった人が、いきなり出てきてリーダーなんてやってる事に驚いた。
なんて僕は思ってたんだけど
「明久、分かってなさそうだから一応言っておくけど、‥‥‥リンドって一層の時にデイアベルのパーティーにいて、明久に突っかかってきた人よ?」
リンドは僕の知ってる人だった。
そりゃ、一層ボス戦の時にあの場に居たなら、リーダーやってても不思議はないか‥‥‥というか、リンドはあの時目立ってたし、ディアベルの跡を継いだなら、リーダーやるのは普通の事なんじゃないだろうか?
「因みに、今はディアベルみたいに髪を青く染めて、鎧もディアベルと同じ銀色の奴を使ってるわ」
なにそれ? それってまるっきりディアベルそのものになりそうじゃない?
なんて僕が考えてるうちに、どうやら話はどんどん進んでいたようで
「おい明久、いつまでボーっとしてるつもりだ?」
「早くしないと置いて行っちゃうわよ?」
「‥‥‥明久、早く行こう」
皆は立ち上がって扉の前にいた。
え? これ、どういう展開?
僕は頭の中に疑問符ばかり出てきていた。
「‥‥‥行くって‥‥‥どこに?」
僕はしばらくの沈黙の後、ようやく短い言葉だが、発する事ができた。
「どこって、迷宮区に決まってるでしょ? 聞いてなかったの?」
「何を今さら‥‥‥優子、このバカが話を聞いてるわけないだろう? 少しでも話が長くなると、途中から話なんて左から右に流しだすんだからな」
「‥‥‥明久、難しくても話は最後まで聞いた方がいい」
いや、別に話自体が難しかったり、話が長くて途中から流してたわけじゃなくて、他の考え事をしてただけなんだけど、そんな事を言っても話を聞いてなかった事に変わりはないので、僕は黙るしかない。
「簡単に言うと、そろそろ迷宮区に入れるようになってるだろうから、先に迷宮区行くぞって事だ。ネズハの仲間らしき奴らの事も気になるしな‥‥‥」
雄二がそういうと、優子と翔子も頷いてくる。
どうやら、僕がリンドの事を考えてる間に、雄二は昨日見たネズハの仲間の事も優子達に話したみたいで、2人ともネズハの仲間の事は知っているようだ。
「ようするに、ネズハの仲間がどこにいるか分からないし、とりあえずは攻略しようって事?」
僕は今までの話を僕なりに整理して、皆に合ってるか確認してもらおうと聞いてみたんだけど、皆は驚いた顔をしていた。
‥‥‥なんでだろう? 凄く失礼な事を思われてそうな気がするのは‥‥‥‥
「‥‥‥驚いた」
「え、ええ。正直、アタシも凄い驚いてるわ」
「明久、お前‥‥‥体調でも悪い‥のか‥‥‥?」
「一応聞くけど、どうしてそうなるの?」
僕は答えが何となく分かりつつも、雄二にどうしてそんな発想が出てくるのか聞いてみる。
「いや、お前がまだ説明してもいない事を理解できてるなんて、体調を崩してるとしか思えなくてな‥‥‥」
「雄二! 貴様、どこまで僕をバカにすれば気が済むんだ!!」
「いや、今回は俺だけじゃなく、そっちの2人も同意見みたいだぞ?」
そう言って雄二は、優子と翔子の方を指さす。
僕がそれにつられて2人の方を見ると
「ごめんなさい。アタシも雄二と同じ事を思ってたわ」
「‥‥‥‥ごめんなさい」
2人に謝られてしまう。
どうやら雄二の言う通りだったみたいだ。
‥‥‥やだな。泣いてなんかいないよ?
これは、ちょっと目から汗が流れてきただけだよ?
「よし。バカも理解できたようだし、さっさと行くぞ」
優子と翔子は僕の涙、じゃなくて汗を見て、少し罰が悪そうにしたけど、雄二は僕の汗なんて完璧に無視して迷宮区へと向かっていく。
コイツはもう少し、申し訳なさそうにするべきだと思うのは僕だけだろうか?
と僕は内心不満だらけだったが、優子と翔子の2人も雄二に続いて迷宮区へと向かってしまったため、僕は文句を言うタイミングを逃して皆の後を付いて行くしかなくなり、僕達は迷宮区へと出発した。
また全然進まなかった‥‥‥ほんと、進むの遅い作品だな‥‥‥
これは、多分あれだ。明久と雄二の絡みが多すぎるんだな。うん。きっとそうだ。
なんて自分で理由を考えてみたら、(恐らく)あっという間に回答が見つかってしまった‥‥‥
まぁ、分かってても雄二がいると思わず書いちゃうんですけどね!
はい。反省はしています。
けど、止められないんだよ!!
というわけで、これからも作者が欲望に負けて進むのが遅いままだと思いますが(←おい 少しは頑張れ)これからも温かい目で見て下さると幸いです。
そんなわけで今回はこの辺りで
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